東方闇月城   作:スマート

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今回、東方というより、どこの小説からの引用ですか?と言った方が良いほど…東方の雰囲気がないですね。


No.009「田舎の空気」

あの綺麗なひまわりを見た後直ぐに、汽車は乗り込んだ時と同じように重々しい金属音を吐き出し、回転する車輪から火花じみた光を溢れさせゆっくりと動きを止めた。    

 

蒸気が噴き出るような音とブザーの警告音と共に、車両の駅のホーム側に位置した両扉が左右に開き、駅員の独特な声色の停車駅に関するアナウンスが入る。  

 

「ほら着いたわよ、お父さん起こして?」    

 

どうやらここが降りる駅だったらしく、母は膝上に乗せていたアルファベットが大量に印刷された、茶色いハンドバッグを肩に掛けて、椅子から降りた。    

 

僕もそれにならい、隣で軽いいびきを掻いて寝ていた父の肩を軽く揺すって、目的地へ着いたことを教えてあげた。  

 

「う、寝ていたか」  

 

「そんなに疲れてたのなら言ってよね、私達は家族なんだから」    

 

子供がいるにも関わらず、目の前で腕を絡めたりといちゃいちゃしだす両親は、他の家族にも類を見ないほど仲が良いのだろう。    

 

同じく電車に乗っていた乗客が、微笑ましそうに両親を見ていたので、僕は気恥ずかしくなりそっとその場から距離を取ったのだった。

 

貧乏な抑圧された環境にいる所為か、両親はたまにタガが外れたように二人で変な風に盛り上がることがある。

 

まあ、何年も何十年も連れ添っていく夫婦の関係に口を出す気はないが、こういう公式の場で羽を伸ばす事をするのは止めて欲しい。

 

本人達は何も感じてないのだろうが、刺さる視線を一身に受け止めているのは僕なのだ・・・    

 

汽車の開いた扉から駅のホームへと足を踏み出すと、車内のクーラーと外の熱気との境目の所為で、何ともいない湿気を含んだサウナのような空気が肌にあたり、一気に汗が吹き出してきた。  

 

大きな入道雲の隙間から、太陽が休むことなく照り続けている。

 

薄暗い雰囲気のあった都会に比べ、人間と共存していた大量のカラスの姿はなりを潜め、代わりに綺麗な色の野鳥がさえずり合いながら飛んで いく。

 

   此処は僕が住んでいた所とは、全く違うのだと実感できる光景だった。    

 

降りた駅は駅員がいない無人駅のようで、駅名を指す看板と、無人のキップ置き場だけがあるとても簡素なものだった。

 

随分不用心な駅もあったモノだと思ったが、この辺の地域ではそういうインチキを犯す人間もいないのだろう。

 

それほど人間を信用し、信頼され合っているからこそ、無人でもやっていけるのか。    

 

ポケットに入れっぱなしになっていたキップを、置かれた箱に放り込み、僕は足早に駅をでた。

 

「凄い」    最近は驚いてばかりだ。 田舎は僕を何度驚かせれば気が済むのだろう。   

 

美しく輝いていたひまわりに続き、僕を驚愕させたのは、黒いアスファルトやタイルなどで舗装されていない土肌が大きく露出した道。    

 

駅の周りには、都会のように入塾を進める看板や病院やビル、ベッドタウン独特なアパート群は無く、古い年代を感じさせる黒く重々しい瓦屋根の家が軒並み建ち並んでいる。    

 

そしてひときわ目を引いたのが、家々の間に大きく開けた、先ほども述べたようなまったく舗装のされていない道だ。  

 

獣道を少し手入れしたかのような、雑な道は所々に小石がおいてあったり、子供の足跡が残っていたりと、沢山のでこぼこした人の横行の痕跡がある。    

 

無機質な面白味のない左右対称の道ではなく、歪な曲がりくねった道はどこか愛嬌があった。  

 

「ああ、懐かしいな」    

 

父が土の道路を踏みしめて、息を思い切り吸い込んで、清々しい顔をした。

 

   きっと、昔ここに住んでいた頃のことを思い出しているのだろう。

 

父は此処で生まれて育ち、そして母に出会い、僕が生まれた。    

 

僕はこの場所に来たことがなかったので、父の故郷というものに少しだけ興味がわいたのだった。 祖母は、足を悪くする前は僕のあの家に何度も遊びに来ていた事を覚えている。    

 

どこに父の実家があるのかと、歩きながら左右に首を降っていると、母にはしたないと叱られてしまった。  

 

「うん、空気がうまい」  

 

「そうね、排気ガスが混ざった空気が汚れていたのがよくわかるわね、 こんなに良いものを吸っちゃうと」

 

嬉しそうに土の道を歩きながら語り合う、父と母を視線に止めつつ、僕は家と家の合間にある草原に咲いている草花を眺めていた。    

 

都会のようなアスファルトで道が舗装され、一面がアパートやビル で埋め尽くされた場所で見る花と言えば、花屋か街路樹の植え込みにしかない。

 

それがこうして自然に、多種多様な花を咲かせているのは、見ていて飽きなかったのだ。    

 

道にも草花は咲いていて、そよ風に揺られ踊っているようだった。  

 

「どう、ここがこれから私達が住むことになる地域だけど、気に入った?」  

 

「うん、気に入った、物凄く綺麗だね」    

 

いつの間にか僕の隣に立っていた母に笑いかけると、母も同じく笑い返してくれた。      

 

道は進んでいくごとに色や形を変え、段々と細くなっていく。    

 

風景もそれと同じ様に、建ち並んでいた家もあるところまで来ると、そこで途切れあとはあのひまわり畑のごとく大きな草原だけが広がっていた。

 

左右どちらも草原という、本当に獣道のような所を、若干心配しながらさらに進むと、丘だった場所に大きな木で作られた家が見え始めたのだ。

 

「見えるか、あれが父さん達の家だ」

 




日曜日の投稿は今日で終わりにさせていただこうと思います。
日曜日を休んで、月曜から改めて、六日間の投稿をしていくので、今後ともよろしくお願いします。

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