破壊神は世界最強にして最凶   作:小説七つ球

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週一投稿と言ったな、あれは嘘だ


大迷宮…さて、どうなることやら

さて、召喚されてから二週間程経過したが、それまでに何があったか簡潔に並べるとしよう。

まずは訓練して強くなった結果、案の定調子に乗った檜山達がハジメに突っかかって返り討ちにされてた。というかオレも遠目に見てたが、どうやらその日に完成した自分の太刀を使ったらしい。同時に注文していたオレと雫、それと恵里の刀が完成したため渡しに来たとのこと。

オレが注文したのは太刀と刃渡り五尺六寸(約169cm)の大太刀。ただでさえ刀を作るのは大変なのだが、それが大太刀ともなればなおさらだ。だが、鞘から抜いてみると、予想以上の仕上がりでかなり吃驚した。本人曰く、技能に鍛冶があったとはいえかなり苦労したらしいが、その努力の結晶は刀身の美しさという形で如実に現れていた。

なお例のバカは「オタクの南雲がそんなものを作れるはずがない」とハジメの努力を丸ごとバカにしたのでぶん殴った。吹っ飛んだバカはそのまま気絶、坂上に運ばれた。そのときの坂上がどこか複雑そうな顔をしていたのは気のせいじゃないだろう。

 

その数日後の夜、自室でハジメと雑談していると、なぜか香織と雫がやってきたのだが、その時雫がハジメと香織が暗闇に消えてしまい、オレがその後を追うという夢を見たとか。それで、明日の遠征は休んでてほしいらしい。

 

「夢、ねぇ…。ま、もしオレ達がどこかに消えても護国たちがいるし、オレたちは必ず帰ってくる」

 

「…信じても、いいよね?」

 

「あぁ、約束だ」

 

 

 

 

 

 

さて、現在オレたちはオルクス大迷宮の一階層にいる。そこで出てくる魔物はラットマンのみ。素早いがそれだけのいわば雑魚だ。十九階層までは各階層ごとに一種類の魔物が出てくるだけなうえ、これと言った固有魔法をもった魔物もでてこないので楽勝だろう。というかこの程度で苦戦しているのが大半らしいが、よくここまで人間族が生き残れたものだな。大方エヒトがテコ入れをしていたのだろうが。

 

閑話休題。

さて、ラットマンだが、バカが聖剣で数体纏めて葬ったり坂上が格闘術で殴り殺している中、雫は思わず見惚れるほどに美しさすら感じる剣舞で数瞬で十体ほど斬る。その刀には血の一滴も付いていない。やはり指南の成果は出ているらしい。師匠冥利に尽きるという奴か。

その後は中村と谷口が落ち着いて初級魔法で残りを殲滅し、魔石を回収した。

さて、オレとハジメだが、ハジメは錬成を用いて百舌鳥の早贄よろしく串刺しにしたり落とし穴に落とした後穴を塞いで生き埋めにしたりと中々えげつない殺し方をしていた。かくいうオレも飛び掛かってきた魔物を掴んでそのまま握りつぶしたり、踏み潰したりと血祭りにあげていた。因みに何人か吐いていたが…、まったく、本当に戦争する気あるのかこいつら…?

 

 

 

 

 

「よし!今日のところは二十一階層への階段に着いたら終わりだ!だが終わりだからって気を抜くなよ!ここからは魔物が複数種類いるし、固有魔法を使う魔物も現れるからな!」

 

時間にして三、四時間ほどで二十階層まで降りた。ここが一流の冒険者になれるか否かのらしいが…こんな程度で一流って、本当に大丈夫なのか?ま、だからこそテコ入れ(・・・・)として呼ばれたんだろうが。

 

少し進むと―――いるな。ハジメと雫、それと中村も気が付いたようだ。

 

「擬態しているぞ!よーく見て見ろ!」

 

その直後、傍らの岩が変色し、盛り上がって…ゴリラになった。ロックマウントか。剛腕らしいが、流石にクラスメイトたちでも十分やれるだろう。初見殺しにさえ気を付ければだが。

 

グゥガガガァァァァァァァ!!!

 

噂をすればなんとやら、威圧の咆哮か。雫はうまくやり過ごしたみたいだが…バカ二人は知識を集めることをしなかったからな、そりゃああなる。情報は時に圧倒的な戦力差ですら覆しうるからな。

それはさておき、バカたちが固まっている間にあのゴリラが岩…じゃねぇわゴリラを投げやがった。ゴリラが後衛の連中に到達する前にハジメが一刀両断。ついでに投げたゴリラも雫が頸を斬り落とした。

 

 

 

 

 

 

オルクス大迷宮六十五階層の石橋の奥には、かつて最強と言わしめた冒険者ですら歯が立たなかったといわれる魔物、ベヒモスが現れた。反対側の上への階段まで撤退しようにもそのルートには大量のトラウムソルジャー(三八階層の魔物)で埋め尽くされている。

 

まさか、ベヒモスなのか―――

 

メルドの声がやけに響いた直後、ベヒモスが咆哮する。それで正気に戻ったメルドは生徒たちに撤退の指示を出し、自らは部下の騎士と共にベヒモスを食い止めようと最強の結界魔法、聖絶を発動させるために詠唱する。そして、絶対の障壁が顕現しようとした時―――

 

「―――ここは聖域なりて、神敵を通さず!せi」

 

 

ガンッッ!!!

 

突如として鈍い音が響き渡る。音の発生源はベヒモスがいるであろう位置から。

そこには

 

「霊呉…?」

 

ベヒモスの頭を踏み付けにしている霊呉の姿があった。

 

 

 

 

ベヒモスは恐怖していた。今までこいつと似たような姿形をした奴は悉く自分に敵わず逃げ帰るか殺されていた。だが、目の前の自分の頭を踏みつけにするこいつはなんだ?普段であれば泉の如く湧いて出る怒りもこの時においては全て恐怖に塗りつぶされた。

魔物は元々魔力によって変質した動物である。故にベヒモスは本能で理解(わかっ)てしまった。

 

こいつには敵わないと。

逆らえばその瞬間に殺されると。

 

よって、ベヒモスが選んだのはただこのまま動かないことだった。

 

「…いい子だ。思ったより聞き分けが良いようだな」

 

何を言っているのかわからないが、とりあえず即座に殺されるようなことはないという事だけはなんとなく伝わった。

 

「座ってろ。ただし攻撃してくる奴は返り討ちにして構わない」

 

 

 

自身が出した命令に対し首肯で返したベヒモスに背を向けた霊呉は、背負っていた大太刀を抜き、多少召喚される数が減ったであろうトラウムソルジャーの群れを目指し走る。

どうやらハジメたちがある程度魔法陣を破壊しながら退路を開こうとしているらしいがそれでもなお湧いて出てくる。ならばそれ以上のペースで倒せばいいと結論付けた霊呉は更に加速、そのままトラウムソルジャーの群れに突撃した。霊呉は、大太刀を自らを軸に回転しながら振るう。さながら竜巻のような斬撃が過ぎた後には魔物の屍のみ。

それに活路を見出した生徒たちは冷静さを取り戻し訓練通りの隊列を組みながら徐々に階段に近づいていく。苦戦している生徒のそばには竜巻が現れ屍を残して消えていく。

しかし、

 

グゥオオオオオォォォォォォォォ!!!

 

突然ベヒモスが咆哮する。原因はベヒモスのすぐそばにあった。

天之河だ。

なんと撤退するというメルドの命令を無視して勝手に攻撃したのだ。

それに対しキレたベヒモスが反撃をしようというところだ。霊呉はあいつの自己責任だし本人に任せるつもりだった。が、

 

「…っ?!あいつら、何をする気だ?」

 

突如ハジメと香織がベヒモスの方へ走り出した。そして、ハジメは天之河に向かって突撃するベヒモスの前で地面に手をつき、

 

「―――錬成!」

 

錬成でベヒモスを生き埋めにした。ベヒモスの抵抗で発生する亀裂も錬成ですぐに修復される。魔力が枯渇しかければ香織が回復魔法で回復させる。それによって天之河がわめくのを丸め込み、撤退させるまでの時間を稼ぐことができた。

そして、それから少しして魔法による総攻撃が始まった。そのタイミングで香織を抱えて階段へ走り出すハジメ。だが―――

 

「っ?!」

 

突然軌道を変えた火球によって足を止められた。さらに悪いことは続く。最初にベヒモスをふみつけた際の衝撃、ベヒモスがハジメの錬成による生き埋めに抵抗し、その結果少しずつ橋が脆くなったこと、そして現在の魔法の総攻撃によってついに橋が限界を迎え、轟音と共に崩れ去ろうとしていた。

瓦礫の破片と破片を飛び移りながらもうすぐ階段に辿り着く、というところで二度目の火球が当たった。もう助からないと悟ったハジメは抱えている香織だけでもと皆の元へ投げ飛ばそうとしたが、香織がハジメの服を掴むことでそれを拒否し、そのまま二人とベヒモスは奈落へ消えていった。

 

 

 

 

そのとき、霊呉は雫が言っていた夢に納得し瞑目、そしてある人物がいる方向に、憤怒と憎悪に濁った白目(・・)を向けた。




次回、お楽しみに。
大丈夫、簡単には楽にしない。
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