俺あるある。難産であるほどクオリティが下がる。
原作ヒュドラだったら瞬殺されるから強化させたら八岐大蛇になっちゃった!
ま、相手破壊神だし別にいっか。
奈落オルクス100階層、のひとつ上の99階層で作った拠点で霊呉たちは各々決戦の準備をしていた。次の100階層は数字のキリがよく、大体ラスボスだろうなと覗いてみたら案の定それまでのと違い、直径数メートルほどの石柱が左右対称に並んでおり、まさにラスボスがいるような雰囲気だったので一度引き返して準備に専念しているという訳だ。
とは言いつつもハジメ以外は特にすることもないので香織はドンナーの整備に集中しているハジメの横顔を眺め、アレーティアは、既に整備を終えている霊呉の大太刀を鞘から抜いて刀身を感嘆とした様子で見ており、そして霊呉は寝ていた。
「…それにしても、あれは凄かったなぁ」
ハジメが整備を終えたドンナーを香織に返した後、そう切り出した。
「あれって?」
「あの、ほら。兄さんが階層を焼き払ったあれ」
「「あー…」」
「グルァ…」
ハジメがそういうと、現在夢の中にいる本人を除いて皆一様に遠い目をした。
―――
始まりは、樹海の中から頭の上にかわいらしい花を恐竜っぽい魔物が現れたことからだった。とりあえず霊呉が雷球で炭にすると、今度は30体ほどまとめて現れ、これもさして時間もかからず全滅させた。
次の瞬間、地鳴りのような音と共に、数百体もの大小様々な恐竜型の魔物が全方位から向かってきた。その時、霊呉がなにか閃いたらしく、ハジメたちを前の階層へ退避させた。前の階層の拠点で待機していると、突然耳をつんざくような爆発音や咆哮が何度も何度も響いた。それらが止んだ後、何事かと思って戻ってみたらさっきまであった樹海は全て炎と焦土だけになっており、階層全体が生物の肉が焼けた酷いにおいに包まれており、その中心に、炎に照らされた黒い岩のような山が聳え立っていた。が、次の瞬間には山は初めからなかったかのように跡形もなく消え、その数分後に山があった方から霊呉が現れ、ハジメたちを一瞥してから、いつものようにさっさと先に行ってしまった。
―――
「あれは…うん…酷かった…」
「もう霊呉だけでいいんじゃないの?」
「なんでティアがそのネタを知っているんだ?」
その後も霊呉が目を覚ますまで雑談に花を咲かせたりチハの毛づくろいをしてみたりハジメと香織のイチャつきっぷりに見張りのアレーティアが砂糖を吐いたりしていた。
武器の最終調整等諸々の準備を整え、大事を取って全員一度熟睡(見張りは先に寝ていた霊呉)して英気を養い、四人は100階層に足を踏み入れた。
奥へ進むたびに導くように光る左右の柱。そして、最後の柱に到達すると、恐らくアレーティアが封印されていた場所と同等かそれ以上の広さの広間があり、奥には両開きの扉。そして、血のように紅く輝く直径30m程の魔法陣。そこから現れたヒュドラの様な
クルゥゥアアアアァァァン!!!
不思議な音色の咆哮をあげながら八対の眼光が並々ならぬ威圧感を叩き付けながら霊呉達を射貫く。ハジメらも各々の得物を手に取りながら睨み返し、霊呉はスゥ、と目を細めて大太刀を抜き、チハも
次の瞬間。赤、青、緑、黄、銀、そして虹色の頭の口腔がそれぞれの色の光を発し、その顎門がガバッと開かれ、そこから炎、水、風、雷、極光、そしてそれら全てが含まれた虹色の光の津波が霊呉達に向けて放たれた。
一秒後には灰すら残さず三人と一頭をこの世から消滅させていたであろう光の津波は果たして誰にもあたることはなかった。香織は一行の中で最も機動力がないアレーティアを抱えて後方に跳ぶことで回避、霊呉は上へ、チハとハジメは前に駆け出し、チハはさらに角に炎を纏って突進し、ハジメは紅い雷を太刀に纏わせて赤い首に斬りかかり、香織とアレーティアは後方から魔法と、隙を見て大蛇の口腔にドンナーを放つため援護射撃に徹する。
そして上に跳んだ霊呉はというと、ノーモーションで複数の上級魔法を放ち、さらに
が、
「効いてこそいるが…頑丈だ。それに、再生能力も高い」
霊呉の攻撃は虹首の皮膚を消し飛ばし、肉を多少抉ったが、それだけ。骨すら見えていない。そしてその傷は眼が一瞬白く光ったと思えば一秒足らずで跡すら残さず完治してしまった。
ハジメたちの方も苦戦しているらしい。見たところどうやら白首が回復役らしく、咆哮一つでハジメに斬り落とされた赤首と香織とアレーティアに吹っ飛ばされた青首が元通りになってしまっている。それに。
(最初の攻撃、そしてこの再生能力を見るに恐らくだが、虹の首は回復も含めた全属性だろうな。厄介なことこの上ない)
最上級魔法に切り替えて攻撃してみても先程と同様、肉を多少抉って再生される。ならばと斬りかかってみても頑丈な骨に阻まれ刃こぼれする始末。かと言って力を使えば加護によって大勢があるハジメと香織はともかくチハとアレーティアは膨大な放射線量に耐えられるかわからない。そんなことを考えていると、さっきから動きを見せていなかった黒頭と眼が合った。
―――瞬間
転生して以来湧き上がることがなかった殺意、怨念がまるで火山が噴火したかのような勢いで溢れ出し、自らの内側で荒れ狂い、それを制御するために霊呉は動きを止めてしまった。その隙に虹頭も霊呉と黒く光った眼を合わせた。ただでさえ恐慌状態にしてしまう
結果。霊呉の眼前には、空を埋め尽くす無数の銀の怪鳥がばら撒いたものによって炎に包まれる街、ヒカリに焼かれ、暴風に吹き飛ばされ、地獄となった街を幽鬼の如くさ迷う溶けて化け物の様な姿へと変わり果てた人間、目の前で黒く焦げて事切れた同族――――憎悪が、怨嗟が、殺意が、溶岩の如く溢れだし、煮えたぎる。黒首の闇魔法によって精神が不安定になっていた霊呉にそれを御することが出来なかった。
黒頭と虹頭と眼を合わせてから全く動かなくなった兄に対し、止めを刺そうと口腔に魔力をためる虹頭の気をそらそうと攻撃を仕掛けるもその全てが他の頭に妨げられ、そして虹色の極光が兄を飲み込んだ。
「あ、あぁ……嘘だろ、兄さん…?」
膝をつく僕。直後、黄色の首と戦っていたはずのチハが突如全速力でこちらに向かって走ってきた。そのままへたり込んでいた僕を咥えてそのまま柱を何本か通り過ぎたところでようやく停止した。香織とアレーティアもチハのただならぬ様子を見て僕らの方に向かってきている。
しかし、何故チハは突然逃げ出したのか。その理由はさっきまで戦っていた場所にあった。
黒い岩の様な皮膚。
背中には三列の植物の葉のような幾重にも枝分かれした背びれ。
太く、長大な尾。
あらゆる負の感情によって白く濁った眼。
そしてこの世のすべてを滅ぼさんとする怨念が形を成したかのような禍々しいまでの姿。
兄のステータスプレートに記されていた破壊神、水爆大怪獣とはこのことだったと、ハジメは本能で理解した。
ガアアアァァァァァァァォォォォォン!!!
作者「えー、首一本増えましたねぇヒュドラさん。なんでですか?」
ヒュドラ「なんでやろなぁ」
オスカー「というか僕こんな強化した覚えないんだけど」
作者「管理システム的なのが暴走したんじゃないですかね。知らんけど」
霊呉「とまぁこんな感じで書きたいとこ以外は適当に書くんでそこんとこよろしくです」