海軍と訳あり賞金首のお話   作:人よりのごりら

6 / 10
すいません、予定よりも遅くなりましたが6話です
他と比べてなぜか難産になってしまう...
かなりキャラの崩壊が起きてるはずです。注意してください。




どっちつかずな大将の場合

 ―――「偉大なる航路」(グランドライン)前半の海、「シャボンディ諸島」の近くには

 「マリンフォード」と呼ばれる三日月のような形をした島がある。

 この島は世界の中心にある島として有名だがそれ以上に海軍本部が置かれている島として有名である。

 本部が置かれているだけあって最新技術を使った設備も充実しているし

 最高戦力である「海軍大将」もいるため海賊たちは近寄ることすらできない島である。

 そのせいか実力のある賞金首を生け捕りにできた賞金稼ぎたちは、支部ではなく

 本部へと連行することとなっている。

 

 こんな島だが名物は海軍カレーである、意外とおいしいらしい―――

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 この日、海軍大将黄猿は天竜人の護衛任務を終え、本部へと戻ってきたところであった。

 相手にするのは非常に面倒だが、手当も支給されるし拘束時間も短く済むのでよく受けるようにしている

 なので今日も早く帰って秘蔵の酒で一杯やる予定だったのだが...

 

 

「すまん黄猿、私の代わりに手続きをしてくれないか?

 賞金首の引き渡しの手続きだから大丈夫なんだが」

 そう青い顔をしながら執務室へと入ってくるセンゴクさん

「なんですかい?センゴクさん

 顔色が悪いみたいだけど大丈夫ですかぃ?」

 ひとまず休んでくださいと言いながら近くにいた海兵にお茶を持ってくるようにお願いする

 大丈夫だというセンゴクさんをソファーに座らせ、一息つかせる

 

 

「これは赤犬とガープのせいでな...

 医者に少し休養を取るよう言われたんだ」

 胃に穴が開きかけているらしいと言いながらお茶をすする

 確かに最近は赤犬も積極的に海賊を殲滅しているし、苦情がここまで聞こえていた...気がする

 ただ、ガープ中将は何をしたのかわからない

 

 

「何かやったんですかい??ガープ中将の話は聞かないですが...」

「あぁ、ある国の王族を殴り飛ばした。

 苦情の電伝虫がさっきまで鳴りやまなかったんだ」

 どうやら思っていたよりもやばいことをしていたようだ

 これ以上は上に行きたくないねぇ...

 

 

「わっしは別に大丈夫ですよぉ、ただ明日提出の書類があるんで

 代わりにやってもらえませんかねぇ?」

「そのくらいなら構わない、ではくれぐれも頼んだぞ」

 

 

 そういいながら書類を持ってセンゴクさんは部屋から出た。

 賞金首の引き渡し手続きは時間がかかってしまうこともあるが

 大体自分が行けばスムーズに終わる。

 かかっても大体30分くらいだろう。

 センゴクさんからも遠回しだが終わったら帰ってもいいと言っていたし

 きっともう今日は人と話したくないのだろう

 そう思い、心の中でスキップをしながら引き渡し場所まで向かった―――

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 ここは海軍本部内にある第三応接室

 主に危険性が低く逃げだす恐れがない賞金首の引き渡しによく使われている場所で、

 内装はよくある応接室と同じである。

 しかし、外のドアの前には見張りとして海軍大佐がついているため

 そもそも逃げ出すこと自体困難ではある。

 が、役目はこの場所へ人を近づけさせない事である。

 

 

 

「どうしてこうなったんだろうねぇ...軽い気持ちで来たのが間違いだったかねぇ...」

 そう言いながらうなだれる黄猿

 その後ろ姿に、大将の風格はなかった。

 この部屋に来て早2時間、途中気が遠くなったが、

 状況説明という名の質問攻めを耐えきったのだ。

 

 

 そんな彼の前には二人の人物がいる

 一人はこんな場所でも変わらず、白いタンクトップに短パンをはいており、

 頭が照明の光を反射している30代くらいのおっさん(20代)である

 いつもと違うのはその両手首に手錠がされているという点だろう

  

 もう一人は若い女性である。

 サファリジャケットという探検家が良く着るようなベージュ色の上着に

 これまたベージュ色なズボンをはいており、とても身軽そうな格好をしている。

 首からはカメラがぶら下がっており、手にはメモ帳と鉛筆を持っている。

 そして、その透き通るような青い瞳はじっと大将を見つめており、真剣そのものだ。

 興奮しているのか顔が少し赤く、少し疲れているようだ。

 あれだけ質問してきてたのだから当然だろう。

 

「もう一度だけ確認させてねぇ、お嬢ちゃんがこれを捕まえたのかい?」

「はい!私が捕まえました!こうガっとやりました!」

 そういいながらソファーから立ち上がり、ヘッドロックをおっさんへとかける。

 おっさんは急に来たから対応できず、されるがままになっている

 

 

「お~元気そうだねぇ、で君は賞金稼ぎかぃ?」

「いえ!ジャーナリストです!スクープ探してたら見つけたので捕まえました!」

 褒めてください!と言いながら胸を張る女性。

「お~...ん~...ちょっと待ってねぇ」

 そういい考え込む大将、ごくりと唾をのむ音が聞こえた。

 

 

―――このおっさんの内部事情は海軍将校と一部賞金稼ぎ、

   そしてジャーナリストたちにとっては既知のネタなのだ

   当然である。だって懸賞金「時価」だもの

   そんなこと書かれてたら気になって捕まえにもくるし取材にだって来るのだ。

   事情を話したらネタに出来ないと言ってジャーナリストたちは記事にもしなかったが。

   ...仮にもしそのことを知ったうえで動いたなら、まさか海軍を脅そうとしているのか

   このおっさんはとぼけているようでそこら辺の人たちより、

   なんなら外にいる大佐と張り合えるかもと言うくらいには強いのだ。

   しかしこの女性はそれを一人で捕まえることができるというし

   なぜかジャーナリストを自称している。

   ...スパイだろうか?―――

 

   

 久しぶりに頭を使って考えたせいか、のどが渇く

 入れてもらったお茶を飲む。なぜか甘かった。

 外にいる大佐にはお茶を入れる練習をしてもらおう、このままでは二等兵以下だ。

 

 

「どこで捕まえたんだい?」

「ボッタクーリ島の港の船の上で寝てました!」

「そうなのかい?」

「...うっす、寝てました」

「...君、年はいくつだい?」

「15歳です!」

「どこかに所属しているのかい?」

「いえ!フリーです!何でしたら海軍のお抱え記者になれたらなーって!」

「お~...ちなみにこの仕事に就き始めたのは?」

「あ、今回が初めてです!悪人を捕まえるのは市民の義務なので!」

「...その手錠はどうしたんだぃ?普通ならそんなものは持ち歩かないはずだよねぇ?」

「これはお母さんからもらったんです!外は危ないからって!

 私のお守りなんです!」

 

 

 ん~...とうなりながら考え、一つの結論に達する

 ―――これ、マジで何も知らない人だねぇ―――

 だからこれをセンゴクさんはやりたくなかったのだろう

 残酷に事情説明してしまい、記事に出来ないとわかったらこの子が悲しむ

 しかし懸賞金を支払い、受け渡しを成立させてはこの男は海兵にはなれない。

 ただでさえ優良株なのだ、この人材は確保したい。

 

 おっさんもいつも通りなら殴り倒していたはずだ。

 何なら今つけているその手錠も本気を出せば壊せるはずなのだ。

 しかし、年端も行かない健気な女の子を殴ることが出来ず、

 なぁなぁと来てしまったのだろう。気持ちはわかる。

 

 つまり、「うまい事丸く収めてね☆」ということだったのだろう。

 戦桃丸君がいれば解決案の二つや三つ思い浮かぶんだろうが

 あいにくと一つしか方法は浮かんでいない。

 一つしか浮かんでいない。

 非常にこの方法はとりたくない。

 けど仕事だしこうするしかないか...

 

 

「お~...実は今そいつの懸賞金は把握しきれていなくてねぇ~

 だから...おじさんと取引をしないかい?」

「取引ですか!やってみたいです!わぁ初めてだー!」

 そう言いながら喜ぶ女性、にっこりと笑う黄猿。

 そっと覗いていた大佐は後にこう語る。

 「ヤクザが飴玉で子供を釣って誘拐しようとしている場面かと思った」

 

 

 

「取引というのはねぇ、懸賞金は渡さないけど

 代わりに海軍大将の密着取材をするっていうのはどうだい?」

 どこの記者もできてないんだよぉと言うと

「わぁ!いいですねぇ!ネタになりそうです!

 その取引乗りました!」

 そういいながら黄猿の手を握り、ぶんぶんとふりまわす女性

 

 

「あ、そうだ取材は明日からでもいいですか?

 わぁ!楽しみだなぁ!あ、そういえばここら辺に宿ってありますか?

 できれば安めなところだと嬉しいです!」

 そう目をキラキラさせながら聞く女性、元気すぎてこちらが疲れてしまう

 

「いいよぉ、あと宿は話を通しておくから本部に泊まるといいよ」

 いいよねぇ?と言いながら後ろを見る。やはり大佐が覗いていた。

 ジーっと見つめてると、大佐がいやそうにうなずいた。今日君の寝るところは

 ふかふかベットではなくごつごつソファーだ。

 

 

「やったー!なんて幸運なんだろう!まさか三大将の密着取材ができるなんて!

 期間は一週間ぐらいでお願いしますね!じゃあ明日からお願いしますね!」

 そういい、頭を下げてすぐに応接室を飛び出していった

 わはー!探検だー!とか、こっちですー!とか叫び声が響いているが、きっと大丈夫だろう。

 ふぅと一息ついて甘ったるいお茶を飲む。

 茶葉の苦さと砂糖の甘さの不協和音だ。

 ...三大将?

 

 

「...これはやっちゃったねぇ...まずいねぇ...」

 いってしまった以上、撤回するのは無理だろう。

 どうやら自分だけでなくあの二人も呼ばなきゃいけないようだ。

 青雉はサボってるし、赤犬はちゃんと取材させてあげられるだろうか?

「素質はあるし...センゴクさんに報告しようかねぇ」

 そう呟く黄猿におっさんが話しかける

 

「いやぁ...まいっちゃうよね...ほんと

 自分の時も同じだったから大将の気持ちわかるぜ」

「そうだねぇ...けど君も道連れだよぉ?」

「え?」

「経緯の報告はまだいると思うからセンゴクさんに直接言って怒られてきてねぇ

 あとは明日から変装してもらってあの子の監視員やってもらうよ~?

 そのあとは雑用係と混ざってしっかりと損失分働いてもらうからねぇ」

「損失分!?何も損してないじゃないですか!?なんでや!」

 そう叫ぶおっさん。確かに同じ立場なら理不尽だと思うだろう。

 しかしこちらだって理不尽な目に合っているのだ。

 

 これで今日の早上がりもなくなり、明日からは取材で遅れた分の残業続き

 あげく各部署、特に同僚どものアポイントメントもとらなければいけないし、

 その同僚たちの機嫌取りも自分である。

 何より楽しみだった晩酌が遅れるのだ、

 これぐらいやったって罰は当たらないだろう。

 ...センゴクさんの気持ちが少し分かった気がする。

 

「わっしは久しぶりに疲れたよ...

 やっぱりわっしも用事があるからねぇ、一緒にセンゴクさんのとこに行こうか」

 そういい、おっさんの肩をつかみ応接室を後にする

 観念したのか、うなだれながらおっさんもついてくる。

 

 事情は違えどその日、海軍本部の通路ではしょぼくれた姿で歩く二人の姿があったそうだ。

 最も、この話はある一般人が本部内を台風の如く走り回り

 頑張って海兵が確保したという話でかき消えたのだが




黄猿のネタが思いつかなかったので、
安易にキャラを増やしてはいけないと思い没案としていた内容を今回使いました。
そのせいで別なオリキャラを出す必要が出てしまいました。
全員おっさんで行こうと思っていたので残念です...


以下後日談的なキャラ紹介です

おっさん:主人公です。今回は影薄め
捕まって連行される主人公なんて彼ぐらいでしょう。
このまま捕まって懸賞金が支払われた場合は倍に借金が膨らんでたため
一週間の雑用と監視員で済んだのは僥倖だったでしょう。
因みに本当に船の上で寝てて捕まりました。自分の部屋で寝ましょうね。

女性(少女?):駆け出しジャーナリストです。再登場は作者が困ったら出る予定です。
初期あたりのルフィの女性版でしょうか?そんな感じな元気な女性です。
悩みは成長が遅いことだそうです。
無事に取材でき、新聞社に売り込みました。結果は新聞に載せるのはダメでした
が、代わりに雑誌に掲載するとのこと。
大佐とは一週間一緒にいて仲良くなった模様です。

黄猿:被害者枠です。
軽い気持ちできたら一週間みっちり取材を受けることになり
赤犬、青雉から批判されました。
センゴクさんからは「お疲れ」と言われましたが、
ほんの少しセンゴクさんのいうことを疑うようになりました。

センゴク:逃げた人です。
初めは自分で処理をしようとしてましたが、
おっさんが捕まっていることに気づきやべぇことになるぞ
→そうだ押し付けようとなりました。
後日黄猿にバナナを送り、円満解決したそうです。

大佐:被害者枠二号です。モブです。
役職のイメージのせいで叙述トリックっぽい感じになってそうですが女性です。
センゴクさんにお願いされ、見張りをしていましたが知的好奇心には勝てなかったようです。
ソファーで寝ようとしたらいつの間にか同じベットで寝ることになってました。
料理が下手なので、お茶くみマスターになったのは3か月後でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。