未踏領域で果てる   作:真の柿の種(偽)

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てぇっんさいマッドサイエンティスト「出来たよ! これが君を小さくする薬だ!」

自滅マニア軍曹「ええっ!? なんだってそんな代物を!??」

てぇっんさいマッドサイエンティスト「いいから飲みたまえ! 飲み込むのは得意だろう!?」

マザコン少尉「そりゃ得意っちゃ得意ですけど、感情的なモノに限られる訳でして……」

てぇっんさいマッドサイエンティスト「――見えた、隙の糸っっ!!」

シスコン大佐「隙なんざあるかっ! 飲む訳ねーだろ!!」

てぇっんさいマッドサイエンティスト「残念、トリックさ」

潜在的S中将「んなっ!? まさかさっき飲んだコーヒーの中にっっ!!??」

てぇっんさいマッドサイエンティスト「フハハハハハ! 実験は成功ダーッッッ!!!」

メジロ特攻総司令「ぐ、グワァァーッ!!!!!!」


そんな感じで始まる地雷な番外短編、くっそ短いです
時系列はいつかの明日的なサムシングで


こんなこともあったりなかったり
IF:1 逆行体験


 俺は男のウマ娘、エイヴィヒカイト。世界中で有名な男のウマ娘さ。

 俺はひょんな理由から勉強の日々に明け暮れていて、とある先輩から物理を教わっていた。

 少しの間休憩していた俺は、彼女の巧みな話術にだまされてしまった。

 一瞬の隙を突かれて毒薬(確信)を飲まされ、そうして気づいたら――――

 

「たすけてくれすずかせんぱい!!」

「……? 貴方は……先輩って、私のこと?」

 

 ――――身体が縮んでしまっていた!!

 

 

 マッドな先輩には、何の目的もない愉快犯だったことを瞬時に察知した。だってコイツの顔には、愉悦の色だけが塗りたくられているのだもの。

 腹いせに扉を蹴りつけながら、早々に理科室から勢いよく飛び出した。この場に居続けてもどうせ進展が無い。大人しく元に戻してくれるなんてことも絶対、確実に、必然的にまずあり得ない。走り出す理由には十分すぎた。

 無論ながら無計画でなく、たづなさんを呼んで脅させてやろうと目論んでいた。

 目的地は分かり切っている。上だ。ひたすらに上を目指すのだ。学園長室へ向かって、頼れる大人に助けてもらうのだ。

 ダボダボのズボンを引きずりながら、袖余りにも程度があるシャツを頭に引っ掛けて、不慣れな身体を操縦していく。ブレザーはどっかに落としてきた。帽子はうまいこと頭に収まって、つば部分が視界を横切るが、知ったことか。

 

「いっこくも早く、あのくそ女にてっついを……!!」

 

 その結果だけだ。このエイヴィヒカイトは、結果だけを強く求める。

 しかしスケールダウンしたのは体格だけで無く、身体能力も比例して縮んでしまっている。今頃は学園長室まで着いていた頃か。全盛期と言わずとも、それなりの速力を誇っていた身体がこのザマだ。このままではたづなさんへ助けを求める前に、元凶たる狂学者が逃げてしまう。つーかまじで許さん元に戻ったら覚えとけよ。

 歩幅が小さく、ずり落ちそうな衣服を掴みながらでは如何ともしがたい。もしかすれば普遍的人間な子供よりも、この身体能力は落ちている可能性がある。

 そう判断すれば、即座に計画変更だ。

 

「知りあいっ! どこだ!?」

 

 おんぶでもしてもらえば早く着く。急がば回れだ。さっそくその時点に居たフロアから、知り合いを探して回った。

 するとドンピシャな人物を一名発見伝なのでござる。

 

「あるだんっ!!」

「っ? ……子供?」

 

 呼んだ瞬間に気が付いたが、この娘は身体が弱いのであった。おんぶを任せるには、ちょっと適任ではないかもしれない。

 なのでここから辿って知り合いへの道を切り開く。

 

「あるだん! おれだ! かいとだ!!」

「……? カイト? カイトって、かい、と……」

「そうそう! そのかいとだよ! ほらおれ男なのにうま耳がついてるでしょ!?」

「カイト、その……姿、は……」

 

 瞳が見開かれて、恐ろしいモノを見たと語っている。なんでですか。

 ここでエイヴィヒカイトの容姿を振り返ろう。

 髪は黒、これはいい。毛並みも黒くて、肌は相対するように白い。瞳はルビーで顔立ちは母親に似ている。我ながら整っていると自覚している。特に母親似ているだなんて所が、一番気に入っている。

 背丈は低く、一メートルにも満たないと確信できる。手足も小さく、本格期どころか成長期すら来ていない風貌。年齢で表すなら、ざっと四から五歳と見た。

 もう一つ確認しよう。エイヴィヒカイトがメジロ本家にて引き起こした、あの流血自殺未遂は、一体全体何歳ごろの出来事でしょうか。

 場の状況的に整えるなら。アルダンにとってのトラウマは、何歳頃なカイトの姿でしょうかと。

 もう答えは出ている。それ即ち――――

 

「 、ゃ……ごめ、…………さぃ」

「あ、あるだん?」

「ごめん――なさい。ごめんなさいごめんなさいっ、ごめんなっ、さい……!」

「あるだん!?!?!?」

 

 ――――長らく陽の目を見なかった、トラウマスイッチ再発動である。

 成長に応じて大きくなったギザ耳は、ギリギリ生まれつきそうなのだと誤魔化せるか、ぐらいだった。尻尾も周りの者達よりも短いが、まあ個性の範疇で収まる短さだろう。どちらとも、在りし日の光景を思い出させるほどには極端ではなかった。

 しかし今のエイヴィヒカイトは、おそらく若返っている。スケールダウンした五歳ドンピシャリなボディに対しては、その傷はあまりにも目立ち、過去の傷を無自覚にほじくり返す視覚的拷問器具(メジロアルダン専用)となっていたのだ――――!!

 

「わたっ、しの、せい、で」

「なんでぇ!?」

 

 信じ難いものを見ないように手で顔を覆い、その場で崩れ落ちるお嬢。

 指の隙間から覗けるガラスのような瞳には、雫が溜まっていくのを見た。

 それを見たカイトは、とりあえず焦った。

 

「ごめんなさっ」

「まてまてまてまてまってくれ!!??」

「……ふぇ?」

 

 咄嗟に抱きしめたのは、失敗か成功か。後のことなど分からないが、涙腺の決壊は堰き止められたので成功とする。後の後悔など投げ捨てておこう。

 サイズがサイズなだけに、抱きとめるよりは抱き着いたみたいな絵面になっているが、カイトはそれを知らないってことにする。

 

「だいじょうぶ、だいじょうぶだからな」

 

 震えた呼吸を落ち着かせるように、透き通った芦毛を撫ぜる。小さな視界にも華奢に見える背中も、幼子にするように撫でる。

 昔にやってくれたみたいに、今度はカイトがアルダンを優しく揺らした。

 

「ぁ…………カイト、なの……?」

「そうです。こんななりをしてますが、おれはかいとなのです」

 

 悪手だったかと内心ビクついていたのもどこへやら。

 そんなおどけた説明ができるくらいには、アルダンは落ち着いてくれた。

 

「もう、消えようとしない……?」

「しないしない」

 

 舌足らずな滑舌で、安心させるような声色を心掛ける。

 何でこんなことになった。ここまで動揺させるなんて、原因はアグネスタキオンのせい以外にあり得ない。今回はカイトに非はちっとも無い。絶対無い。メジロ家密室流血事件なんて、ちょっと覚えていないことにしておこう。

 なので幼少期にトラウマを製造させたのも、全部アグネスタキオンが悪い。過去の責任も押し付けれるなんて、カイトは偉大で厄介な先輩を持った。特に誇らしくはない。

 

「ずっと、私と一緒にいてくれる?」

「話がべつだろそれ」

 

 どさくさ紛れに何を言っているのだこやつは。ひょっとしなくても正気戻ってるだろコイツ。

 

「……そう………でも、こうしていられるなら……」

 

 そう言ってカイトの小さな手に、自らの手を重ねるアルダン。

 そのささやかな動作で、彼女の深い喜びが、細い手を通して伝わってくる。

 家ならされるがままでいるのも、まあまあ、それなりに。しかしお忘れなく。此処は天下の中央トレセン学園であるのです。その廊下だったりするのです。すぐそこの教室で、犬っぽい先輩が――――

 

「アルダンさん……?」

「ばしょかんがえろあたまお花ばたけかおまえーっ!?」

「ああっ……つれないのね」

 

 切なそうに言うの、良くないです。人の目を考えろバッキャローイ。

 

「あの……その子は……?」

 

 そりゃ戸惑うでしょう。本人だって戸惑い極致点で踏みとどまっているのだから、そりゃあ周りだって戸惑うでしょうよ。誰かこの状況下から、エイヴィヒカイトをお助け侍。

 隠す利点なんざ見つからないので、正直に話そうとした。

 

「のちよせんぱいおれです! かい――」

「私の子です」

「……ええっ!?」

「ひっぱたくぞおまえ」

 

 そんなことは言えども、流石に実行へは移さない。せめてデコピンが関の山なのは、甘さか優しさか。

 

「私とカイトの――」

「なぐるぞおまえぇぇえぇ!!??」

 

 やっぱりデコピン程度じゃ足りないかもしれない。この拳が振るわれたのは、人生の中ではトレーナーだけだが、まさかの二人目がアルダンかもしれないだなんて、恐ろしく信じがたい事実なのじゃなかろうか。

 まあ実行は絶対にしないのですが。

 

「はわわわ……! カイトくんと、そんな……()()だとは思ってたけど、そんなの早すぎますっ!!」

「おいこらなんだってしんじてんだのちよせんぱい」

「隠していてごめんなさい……伝えるのが遅くなってしまって……」

「……あたまいたくなってきた」

 

 おもっくそ面倒になってきました。面倒な時は逃げると相場を決めているんじゃい。しかしこれは無為な逃走逃亡ではない。これは未来へ繋がる投資であり、希望へ届かせるための戦略的かつ決意的撤退であります。

 (/ω\)イヤンイヤンとチヨノオーへ幻想虚構(あることないこと)解説するのを尻目に、脱兎の如くを再現するエイヴィヒカイト。再現性の高い模倣をモノに出来るこの身が、こんなことに役立つだなんて思いもしなかった。これも仕込んだ先輩のお陰だが、こうなった発端はやっぱり先輩なのである。クソッタレがこの女郎がよぉ。

 

「あてにできそうなさいゆうりょくこうほがきえちまったよおい!!」

 

 もう時間切れだ。元凶はとっくに逃げたであろう時間は浪費した。まさかこうなることを予測していたからこそ、リークに走ったカイトを止めなかったのではないか。

 

 ――――あれ? あの子どっか行っちゃいましたよ?

 ――――あらっ……逃がしません――!!

 

「うぎゃぁっ!? こっちくんなばかおれをどうするつもりだぁっ!!??」

 

 脱した事実へ気づかれる前にリードを獲得していたが、アルダン本気の速力には無力に等しい。腕力と呼ぶにも乏しいこの腕では、抵抗の余地なく捕縛されてしまう。

 捕まってその後にどうなるか――――想像できないけど、とにかく寒気が止まらなくて、足が速度を上げていく。遠くから聞こえてくる追跡者の呼び声が、今までになく果てしなく恐ろしい。

 

「だれかー! だれかたすけてー!!」

 

 このままじゃエイヴィヒカイトは、あれやこれやな末路へ至ってしまう。

 それもある意味、未踏たる領域なのかもしれない――――んなわけあるか。

 

「たづなさーん! ふらーっしゅ! だれでもいいからたすけてぇ!!」

 

 エイヴィヒカイトの孤独な戦い(約二日間)が、今始まるっ!!




IF:2に続くんじゃないかな

温度差で風邪をひきますように祈ってます

あ、誤字脱字の仕事人さん、めっちゃ助かってます

深い意味は無いけれど

  • お祭りお助け黒色娘が善哉善哉
  • ジンクス絶破ウーマン良き良き
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