これ以上ないくらいの地雷の出来上がりだァ……慄け……人間……戦慄け……宇宙人……
種別としてはここが最上位の地雷、だと思う
後書きの設定は長いから飛ばしてヨシ!!
「おっはよう!」
「ん、おはよう」
元気の良い声。前の席に座るクラスメイトは、今日もすこぶる元気なようで安心安心。
この溌溂さを目にしないと、一日を通して不安になったりもする。
「妹さんは?」
「逃げてきた。朝からしつこいんだよあいつ」
「あはは……また拗ねちゃうよ?」
「そんときゃそんとき。人生塞翁がウマ。なるようになるさ」
だらけきった持論を出して、中身のない会話を続ける。テンポ良く流れる言葉の数々は、しかし決して大きくはなることはなく、けれどぬるま湯に浸かったような安堵を心にお届けしてくれる。
日常とはかくあるべきだ。平穏平静な暮らし、サイコー。
出生諸々に諸事情がある自分は、様々な騒乱をどうしたって切っても切り離せない。とは言えだ。
「出来栄えは?」
「今日もちょっと失敗しちゃった……」
「でも形だけだろ。味はいつも美味いじゃん」
「全部完璧にしたいのっ! まったく……女の子の心が分かってないのは相変わらずだね」
それを言われたのはつい一昨日であり、そんな二日ちょいで人格を変えられるのなら、世の中誰しもイエスマンの素質を持ちし者達で溢れている。けど世界は依然として平和なようで争いも絶えなかったりしている。つまり――
「――そういう事なんだ、分かったか?」
「はいはい、分かりました分かりました」
「適当に話すなよ」
「そっちにそのまま返すね」
やはり目指すべきはこのダラダラとした空気感である。行くとこまで行った感と言うか、末路とか末期とか言える、老後のような気遣いの風化した空気。こんな空気を目指して、少年は未来を目指そうと思ったのだった。
「で、どうすんの」
「薮からスティック〜……何が?」
「お前来週デビューだろ」
そうである。この目の前で、手持ち無沙汰に自分の白いメッシュを弄る娘。中等部の二年目となるこないだまでのほほんとしていたくせして、何と来週にはレースデビューなのである。
ズタ袋で誘拐されたやらなにやら聞かされたが、語った際の顔は決して悪いものではない。困り顔ながらも嬉しさが隠しきれていない表情を見て、たづなさんへ通報する判断を中断させたのは記憶に新しい。
なんでもチーム名はスピ、スパ……ス、す……スミカ?
「そうなの! ろくにトレーニングもしてないのに、私大丈夫かなぁ……」
「嬉しい悲鳴ってやつか」
「あ、わかる?」
「デコピンしてやろうか」
えへへと笑うその色は優しく柔和で、ついつい見惚れる男子も多かろう。生憎学園においてたった一人である少年は、とっくのとうに見慣れている。トレセン以前の学校やらでは、それで何人の男子をドン底に落としたのだろうか。もしくは堕としたのだろうか。
「でも……いいね」
「何で?」
「友達が喜んでると嬉しいだろ」
「それは……確かにっ!」
価値観の共有がそこそこの仲な二人を、より強い友人間へと昇格させた気がした。
ではではお近付きの印に贈り物を授けましょう。
「バウムクーヘン、食う?」
「食べる!」
出会って一週間ほどで、この親父手製バウムで餌付けは終わっているのだ。このレスポンスの速さには納得の頷き。
「おじさんのお菓子って美味しいよねぇ…………あーあ、また増えちゃうなぁ……」
「……いつも俺にデリカシーがどうこう言うけどさ、そんな発言は言われる隙を作ってるのと一緒だぞ」
「それを差し引いてもやっぱりデリカシー無いからね。……初対面で『重い、どけ』は無いよ。私、女の子なんだからねっ!」
「まだ言うか……一年前の話だろうが」
突かれれば痛い話を掘り返す結果につながってしまった。ここは誤魔化しと有耶無耶と機嫌取りを兼ねて、やはりファザーバウムの出番しか無い。
それいけぼくらのバウムクーヘン。でもちょっとは残してね。少年も食べたいからね。
「それでさ、カイトくんは……」
「呼び方」
「あっ。……
「ん。面倒かもだけど
「カイ君!」
「うわっ、うるせーのが……」
「朝ご飯も食べずに登校して……ネクタイはどこにいっちゃったの?」
「え? あるけど……着けるの面倒くさい」
「……ほら、貸しなさい」
「いやいいよ、窮屈だし」
「貸 し な さ い ?」
「…………あい」
「カイ君はちゃんとすればカッコいいんだから、ね?」
「そーですねー」
「もうっ、……まったく、カイ君は私が居ないとダメダメですね……ふふっ♪」
「要らねー世話だって」
「あらあら、口答えするならシャンとして見せてね?」
「…………や、それは面倒かな」
「……やっぱりカイ君には、私が付いてないとダメなんだから」
「カイさん」
「……休み時間までどうしたの」
「いえ、時間は有効に使うべきですから」
「? だからどうして教室まで?」
「…………休み時間の間も一緒にいたい。これでは答えになりませんか?」
「いっつも思ってたけど、姉さんってブラコンだよね」
「ブラコン……ブラザーコンプレックス…………悪くない響きです」
「え」
「特に禁忌を思わせる意味合いが、高揚を引き立てて……ええ、とっても悪くありませんね」
「 え 」
「果たして何が禁忌なのか……触れて確かめる気は、ありませんか?」
「 え 」
「か、カイ……今、大丈夫?」
「姉ちゃん、どしたの?」
「お昼は先約あるかなって」
「や、無い。…………一緒に食べる?」
「! うんっ! ……その、実はお弁当作ってきたんだけど」
「う゛ぇ゛っ゛!?」←既に他の人から貰っている
「食べて、くれる……?」
「…………や、やったぁ! 姉ちゃんの弁当だぁ! 嬉しいなぁ!?」←一日一食でも余裕なほど少食
「あ、そんなに喜んでくれるんだ……よかったぁ……」
「そりゃね」←今日の晩飯は要らないと母親へメッセージ送信中
「じゃっ、じゃあほら行こっ! 今日は天気も良いし屋上で!」
「わっ、姉ちゃん急に引っ張ると危ないよー?」
「お兄さまっ!」
「おっ、来たか」
「はいっ! おまたせしました!」
「そんじゃ帰ろっか」
「はいっ! ……その、お兄さま……、一つおねがいしても、よろしいでしょうか……?」
「ん、言ってみな」
「て、手をちゅないでっ…………ぁぅぅ」
「(うっっっっわ、やっっっっっべぇぇぇ、かっっっっわいぃ……)……ああ、いいぞ」
「!! ほんとにっ!?」
「むしろ喜んで……お姫様」
「〜〜っっ!! ……? ……、……?」
「どうした?」
「むねがかゆいんです……なぜでしょうか…………お兄さま?」
「うん?」
「さわってみてくださいますか?」
「うん????」
「あ゛〜〜今日も疲れた〜……」
「言うな、もっと疲れる……」
練習終わりの帰り道。
道はすぐさま別れるが、それまでの合間を埋められる程度の友人関係。
なんやかんやあって、少年もスピカに加入することになったのだった。曰く、運命を感じるとは担当トレーナーの言。少年と少女を見比べながら言ったのには、どことない懐古の情を受け取れたが、少年達にはサッパリである。
「スズカさんって子供っぽいところあるよね……」
「あの人は根本がバカなんだろ……先頭民族ってやつだ」
「納得だぁ……」
トレーニングの上でしごかれるなら兎も角、並走でああもかっ飛ばされては困る。アレと隣り合わせで走れと言われようが、追い付けない絶望感しか得られるものはないのだぞ。とんでもないくらい名のあるOBらしいが、絶対に練習相手としては不適格だ。断言してやろう。ちょっと、ほんのちょろっとだけ天然水みたいな清涼感のある声だからって、忖度できる部分とできない部分はあるのだ。
ところでもう一度会えないかな。あの声でもっかい名前を呼んでほしかったり。気分は推しアイドルを見つけたドルオタなのかもしれない。
「……そんなに気に入ったんだ」
「…………え、ごめん何の話?」
「スズカさんのこと」
「気に入った……気に入っただぁ?」
はて、そんな分かりやすい態度をとっていただろうか。
「見た事ないくらい張り切ってたし……」
「……マジで?」
「…………ずっと、目で追ってたの気づいてたよ」
しかもその現場を見られたのが、よりにもよって彼女だと。それは何と言うか、気不味い。
何故なのかは言葉にし辛いが、その、不明瞭な申し訳なさが先立つ。
「…………ん? ずっと?」
「うん……ず〜っと、スズカさんばっかり見てた」
「殆どの時間?」
「そうだよ……! トレーニングにもイマイチ身が入らないくらい! ず〜〜〜っっっと!!」
であればだ。
必然的にこうなるのでないか。
「…………スズカ先輩を見ている俺を、お前はずっと見てたのか」
「だからそうだって……! ………………あっ」
勢いづいてはいるが、確かに認めた。今気づきましたが満載な絶賛だったが、どう足掻いても認めた。完膚なきまでに認めた。決定的な事象を、彼女は真正面から認めてしまった。
その認識は、友人の枠に不意の変革を齎すには過剰すぎる。
「…………そうか」
「…………そ、そうなのかも」
「…………そうなのか」
「…………う、うん」
…………………………………………桜並木の下で、そんな沈黙がこそばゆい。
十分経った。いやもっとだ。一時間は経過した。いやいやもっとだ。半日は過ぎ去った。そんなわけが無いのに、そんなバカな想像に思わず納得してしまうくらい、この三十秒は重くて長くて、心地良くもある。
気不味いのに、もう少しいたい。離れたいくらい気恥ずかしいのに、脚はどうしてか静止をやめない。
誰かが通りすがったり、大きな音やらでも何でも良い。とにかく皮切りになるのならそれでキリがついて、きっと二人とも帰路へと一直線に違いない。
それすらも心のどこかでは起こり得ないでくれと、そんな懇願に気づけるほど、まだまだ少年は自分へ素直になれないのだ。
「………………カイ、くん」
「………………なに?」
「その…………か、帰る?」
「…………俺は、どっちでもいい」
その天秤は、些か片方は傾いている。
どちかへなんて、そんな自己はまだまだ見えていない。
とは言え、下地となる感情は元々存在していたのかもしれない。
それすらもきっとお互い様。
「……帰るのも…………それか……
「こっ、このままって」
「…………今更喋らないと間が持たない間柄でも無いだろ。だから、その…………あれだ……」
「…………とりあえず、座ろっか」
「……だな」
少女が指差す方には、手頃な場所にベンチが見える。
世界が、もしくは運命がお誂えたのか、ちょうど二人座ればスッキリするような、そんなサイズ。
手を置けば触れてしまうような、手頃なサイズ。
「……えっと、カイくん」
「……なに」
「きょっ、今日の宿題って難しそうだよねっ! 私ちゃんとできるっ、かなぁあ……なんて……」
「教えようか?」
「えっ……どこで?」
「俺ん家で…………あ」
「かっ、カイくんの家ッ? はまだ、いいかなっ……!!」
「そっう、だよな! そうだよそうだよ、何言ってんだ俺……」
そんな二人をまだ見守る野次は、幸いなことに誰もいない。
強いて言えば桜の花びら達。
幾重にも吹雪く彼等は踊り、吹き荒び舞い散る美麗な景色。
かつての者達を見送ったように、新たな世代を祝福するように。
その桃色は、今年も嬉しそうに咲き誇る。
「……でも、また今度……行ってもいい?」
「ウェッ!?」
英雄達の倅を祝い尽くしては、緩やかに浮上する花の渦。
あの日互いに感じた、何かを信じて。
春も夏も秋も冬も超えて。雨も風も雲も闇も超えて。いずれ胸に抱くその願いを焦がした時、夢はきっと叶う。
先に見える景色は未だ知らぬ風景に満ちて、いつの間にやら未踏を越えてその先に辿り着ける。
その旅路は、きっと幸いに満ちていることだろう。
・カイト・アルダン二世
有史二番目の例外。男のウマ。
例外から血を分けて生まれた例外なので、多方面から興味津々。政府とか研究機関とかは喉から手を出すくらいに欲しい。親子セットで欲しい。スペアも産まれたことだし、バラバラにして細かく調べよう! 母体との相性が良いのかもだし、産ませてまくって被験体も量産しちゃえば研究し放題だー!! 未来がワクワクさんだねぇ!!! とか狂喜乱舞する輩もちらほら。でもバックにいるのがでっかいしおっかないお家なので手は出せない。スイーツ大好きな現当主は、そんな少年には特に甘々なのだとか。
父親母親共に交友関係が広いから、色々と大きなパイプを無自覚で所持してらっしゃる。ちなみにメジロ家現当主が初恋。けれどいつの間にか初恋は卒業していた。息子みたいに可愛がられ続ければ、そりゃ恋慕も薄れるんよな。分かるわ。
彼へと世界からの理不尽が降り注ぐことはない。それはきっと、彼の父が幼い頃から努力を重ねた結果が、予想することのない形で発現したから。彼の魔王による復讐は世界への影響を灯し、巡り巡って子を庇護できる世界へと作り替えていたのだから。
最近の悩みは二つある。一つは姉と妹の距離が著しく近いこと。スピカに入ってから妙に掛かっているような気がする。はてさて原因はどこだろうか、と。今日も彼は前の席のクラスメイトへ相談するのだった。
――え? 仲が良いなら大丈夫だろって? 仲が良いなら鼻息荒くなるのか? 目は血走って一緒に寝ようと布団に潜り込んでくるのか? 歯形を首に満遍なく付けようとしてくるのか? 耳かきとか言って舌を捻じ込んでくるのか??? さあほら答えてみやがれよバカ親父。
もう一つの悩みは、とある娘とどう接すれば最適解なのか分からないこと。命短しなんちゃらせよとも言うが果たして。心ってのは複雑怪奇なのだなぁと母親に相談すれば、その娘でなくその親に対して妬いたような口振りでアドバイスをくれた。
名を――――メジロカイト。
自らの内に生まれた本能と運命に従って、自らをそう冠した。
誇りと尊敬を抱く名前だと、彼は静かにそう語ってくれた。
・グラス二世
世話焼き系幼馴染。やれやれとか言いつつ共依存したいしされたい願望持ち。
まったくもう、カイ君ってば私がいないとダメなんだから→満更でもない→…………あれっ、もしかしてカイ君がしっかり者になったら頼ってくれなくなる? →うわっ、なにかしらその地の獄は→――――本当に? 甘やかせてぐずぐずに溶かせばダメダメになる? 私がいなくちゃ生きていけなくなる? その地盤を今の内に……? →教えてくれてありがとうお母さん。
・フラッシュ二世
イチャイチャを通り越してグチャグチャしたい願望持ち。沼よりも底無しに、霧よりも湿度は高く、背徳と痒欲と共にめちゃくちゃになりたい願望持ち。
自らの内から湧き出る感情をどうにかしてでも遂げる為に、持ち得るデータをフルに行使し尽くす系。
禁忌な関係とは、どうして触れるたびにこうも甘美な感情を抱いてしまうのでしょうか。え? 私とではあまりにも血が濃すぎる? 何を言うのですか。半分なら誤差です。些細な話です。大丈夫、私の計算に狂いはありませんから。それに――――オトコノコって、こういうのがお好きでしょう? 貴方のことならなんでも知っているんですよ、カイさん。
・ベルちゃん二世
寂しがりの意地っ張り。ツンツンしてるけど、気を許せばダダ甘の中のダダ甘。相手も蕩けるくらい甘やかすし、自分からゆるゆるとした猫みたいに甘えたりもしたい。その矛先が向かうのは、女難と言い切れるかも知れない相を所持した永劫Jr.だった。
むっつり(確信)だが、他の姉妹も負けじとその手の策を弄するので、比較すれば常識人枠。だと思いきや独占力が凄まじく、それに伴って覚悟の強さも群を抜いている。メンタリティは最強なのかもしれない。多分フラれても諦めを知らないからそのまま押し倒――――自主規制。
べっ、別にカイが他の誰かと遊んだって関係無いし……でも、同じ墓に入るのはアタシだけじゃないと、絶っ対に許さないんだからね! うわ重っ。
・ダイヤ二世
母親が勝ち取った(意味深)タイミングは他よりも遅れていたために、一番の末っ子。きょうだいの間ではみんなのアイドル。その大事にされようはプリンセスとも。無垢なる存在で、誰もが無条件に甘やかす。カワイイ。
――――そんな立場は使える。私がその扱いを嬉しそうに受け取っているしばらくの間は、他の誰にも気づかれることなく外堀内堀を埋めていける。そんな感じの本能を察した彼女の裏の顔は、父親の気質でもある、使える物は何でも使うクレバーさを見事に引き継いでいた。なんなら母親の強かさも加わってより堅固に。
母譲りの胸部装甲は戦術級へと至る余地が有ります。小等部である現在ですら有効な武器です。でもその威力を披露するにはまだ早い。この期間はなりを潜めるためにサラシで隠し、中等部後半になってから最大火力をぶつけます。幼いと思いこんでいた妹が、いつの間にやら女性を感じさせるギャップを秘めていた、と。……ええ、確かにこのシチュは使えますねお母様。
・前作主人公。
クズ。ゴミ。カス。アホ。バカ。得意技は状況に流されることである。中身スカスカな流木野郎である。でも責任は取りました。これからも一生涯を賭して取り続けます。
現役時代とトレーナー時代の成果の報酬として、とある特権を一つゲッツ。それはその珍しき突然変異の血を拡げるために、特例ではあるが重婚を認めるだのあーだこーだ。日本政府やらWHOだのFBIだのがお墨を付けたり。しかしながら広がったその下の世代も、再び一つに集約しそうでワケワカメ。何で自然に逆らって血を濃くしようとするんですか……?(電話猫)
家族大好きだから子供も大好き。甘い。クソ甘。甘々々々々々々々い。おねだりされたら欲しいもの何でも何でも買っちゃうし、おねだりされなくてもどうでもいいものを買ってあげちゃう。そのせいで鬱陶しがられることもしばしば。でも確かに深い愛情を注ぎ、子供達もそれを嫌がりはしない。
『え? きょうだいの間でぇ? マジで? ……や、本人達が嫌じゃないならいいんじゃない?』
身内に甘い男は、このように倫理など吹き飛ばした結論を出してしまった。激戦は、更に加速するッッ。
父方の実家で色々仕込まれて、二号店を出せる程度の腕にはなった。父方の実家は後継万歳と大はしゃぎだが、跡を継がせたがる家は多かった。結果共有物となった。なにそれ?(自問
ほうほう風呂にか……そうか……一緒に、か…………――――なんだ、仲が良いだけじゃないか(白目)。見積もりが甘いとか、そんな後悔してません。本当ですよ。マジマジ。
・正室。
愛を振り撒くのではなく、愛を欲するが故の究極の寂しがりから来る浮気性を、後天的に持ってしまっている。そんな私の大好きで、狂おしいほど愛おしい旦那様。はてさて此奴は一体どうしたものかと長いこと考えたが、結局彼が一番に恋愛感情を抱くのは自分だけだと再認識すれば優越感がとめどない。負ける気しない。身体が軽い。もう何も怖くない。彼が選んだ私はその時点で勝ち組ですし? 敗北者が誰達なのかは瞭然の事実。
『略奪? ――――うふふっ…………とても無駄なことをご苦労様です。ですが、どうぞお好きになさってくださいな。彼の心は私の物で、私の心は彼の物。この相互を崩す事など、何人たりとて不可能なのだから。心行くまで無駄なことへと、無駄な努力を費やしなさい――――悪い羽虫さん方』
でもたまにヤキモチが爆発して、かまってちゃんへと成り果てる。寂しそうに頬を膨らませる姿に何年何十年経ってもメロメロ(死語)な彼は、ルパンダイブでイチャつき始める。そんな二人を見てげんなりするJr。
そんな日々がずっと続け。別にぶっ壊れてもそれはそれで。もっぺん事故でも起こすかァ……? 夫も息子もグッバイさせとく? 未亡人にしとく?
・側室。学生の頃は友達以上の仲間でライバル。
勝ったから襲って喰った。場所なんか考えられるほど冷静じゃなかったから、校舎裏に引き摺り込んで喰った。走って昂ぶった後だったので盛り上がった。南無。
勝者の報酬としては非常に美味でしたとは、後々の彼女からの言。震え上がった青年もいたとか。
子を生したら落ち着いた、訳ない。たまに喰べちゃうけど、逆に喰われることもある。そんな時は決まってしおらしく被虐的な挑発をしてくれちゃって、こっちとしても嗜虐心を大いに煽られる、すごい良い。とは本人の言。ソイツは後日正室殿にマジビンタされるまでが一連の流れ。
・側室。小さな頃は姉だった。
襲わせるように仕組んで、綺麗に喰べさせてあげた。美味しい? ならよかった。ちなみに彼女は、しあわせで満ち溢れた瞬間だったらしい。南無。
新たな関係性が始まってからは、性根の優しさは隠し切れないほどに肥大化して、母性とも呼べる庇護的な目元を良くするようになった。その視線の先にいるのは、まあ、一人しかいない訳で。
子供を甘やかし過ぎて逆に怒られるくらい我が子達に甘い。
「……二人目が欲しいなぁ…………ねぇ……カイトは、どう思う?」とかなんとか言って、くらりときたバカを襲うのは、クリノクロアからのマジビンタ。
・側室。今も昔も従姉弟。
バカを言いくるめて、喰われている自覚も与えずに喰った。神経毒で雁字搦めにする蜘蛛かな? 尚、幸福の味がしたらしい。南無。
願いはそばにいること。隣で手を握って、一人ではないと教えてあげ続けること。もしも歯車の一つや二つが欠けていれば、彼の一番は彼女だったのかもしれない。
正室がいない状況下を完璧に見計らっては、二人きりの状況を作ってしまう。智将なのかもしれない。賢さ高いとこうなるのか、怖。
密やかな逢瀬の時間は露見されることなく、制裁もなく、何一つ滞ることなく、ジワジワと快楽で貪られるバカ一匹。しかしゲッソリとしていく様子でバレて、泣きながらの脛刈り(ウマ娘筋力準拠)はバカを一度に八回分は殺した。
・側室。元教え子。字面が最低なのかもしれない。
その可能性を毛ほども考えてはいなかった。
しかし身体が熱くなる薬(プラシーボなビタミン剤)を盛られて、(意識を軽度に混濁させる効果のアロマがビッシリな)部屋に二人きりで閉じ込められ、追加で部屋の温度は汗が滲むくらいには暑い(不自然な小型冷蔵庫には水分補給用の水、まるでこれから水分不足になると言わんばかり)。そして不安そうな甘い声で、耳元へこそばゆく囁かれる(弱特超会心)オマケ付き――――まあ、罠でありました。
コッチが喰ったと思いきやその実喰われていた。その仕込みは数年前からサブリミナル効果として刷り込まれていたそうです。南無。
年下っぽく甘えた様子でバカを夕食(終電ギリギリの時間に外食)に誘っては、正室殿と火花散らすデッドヒートを期待させてくれるとかなんとか。
・姑
孫多っ。わぁお、最高すぎる。あっ、コレって人生三番目の幸せだ。ちなみに一番目は息子が産まれたこと。二番目は旦那と出会ったこと。同着三番目には、義理でも娘が出来たこと。
しっかしきょうだいでとは……しかも軒並みが重たい……業も深いが、それもまた良し。愛に貴賤など無いのだから。だがしかし孫息子からは、何やら興味深い電波を拾えるようで……?
・紫焔の流れ星の、その娘。
最近はお母さんからお料理の勉強中。食べて欲しい人がいるなら、どこまでだって頑張れる。でもつまみ食いはご愛嬌。それで体重が増したとしても、彼はきっと嘲笑したりはしないから安心だ。…………!? なっなんで彼の話になったのだろうか。じつにふしぎである。うん、ふしぎふしぎ。
料理修行の失敗は続く。続くが、前向きにひたむきな努力へ取り組める姿勢は、確かに母親譲りと言えるだろう。トレセン学園の前に通っていた共校では、隠れる気のない隠れファンが多かったらしい。
後ろの席のクラスメイトがここ最近よそよそしい。(自分も似たような状態だとは気づいていない)不満を抱く。なんで不満なのかは分からない。友達から避けられているから? うん、多分そう。きっとそうなのだと、ふんわりさっぱりとおもいました。
ん? お、お父さん!? 猟銃なんて持ってどこ行くの!?? 待って違うのっ! 彼とはまだまだ全然そういうんじゃ――――