あの日から   作:tuzimoto

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第二章 「恵ちゃん」

恵「ネ、アンタ名前はなんて言うん?ウチは安藤恵!よろしゅうね」

 

ヒロ子「あたしは藤井ヒロ子 よろしくね」

 

恵「よろしゅうね …ひ…ヒロ子さん」

 

ヒロ子「ヒロ子でいいよ」

 

恵「ほう?…ひ…ヒロ子」

 

ヒロ子「うん!よろしくね恵ちゃん」

 

恵「ヒロ子ちゃんがウチのこと「恵ちゃん」言うんなら、ウチはヒロ子ちゃんて呼ぶね!」

 

ヒロ子「うん/////」

 

 

 

恵「ネ、弟さんはどうやって探すん?」

 

ヒロ子「うーん まず、病院かな」

 

 

恵「……あっ あ ヒロ子ちゃん…」

 

ヒロ子「…どうしたの?」

 

 

恵「髪の毛が…ハゲとる」

 

ヒロ子「……えっ?」

 

ヒロ子は髪を触ると パラパラと髪の毛が落ちてきた

 

ヒロ子「……えっ……えっ?… えっ?!」

 

恵「ああ!…ヒロ子ちゃん それ以上触ったらいけん!」

 

ヒロ子「…えっ…どうして…髪の毛が」

 

恵「…あっ…ヒロ子ちゃん…あっその水溜まりを覗いて見み!」

 

ヒロ子は恵に言われるままに

水溜まりを覗くと

ヒロ子の前髪右の半分の髪の毛が抜け落ちてた

 

ヒロ子「……えっ…嘘……なんで……嘘…」

 

恵「……ここへ来る時同じ人見たけぇ」

 

ヒロ子「えっ…」

 

恵「お医者さんの話によると昨日の ピカて新型爆弾が原因で

脱毛の他に 赤痢や寒気もあるらしいんよ…ほ…いじゃけぇ…最後は………あっ」

 

ヒロ子「……ピカ……ど…どうして…」

 

恵「…」

 

ヒロ子「こん……こんな目に遭わないといけないの… どうしてなの…うぅわぁぁぁん…………い…嫌だよぉ……死にたくないよぉぉぉ……死にたくないよぉぉぉ……うわぁぁぁん

 

ピカのバカぁぁ !!おばあちゃんに文子姉ちゃん返してよぅぅぅぅぅ…勝ぅぅぅぅ あぁぁん!!」

 

恵「……ヒロ子ちゃん」

 

 

ヒロ子「あぁぁん…… それに こ……こんな髪じゃ 恥ずかしいよぉぉぉ…ひっく ひっく……ピカ絶対に許さないんだからぁぁぁぁぁ!!……」

 

恵「……ヒロ子ちゃん ちぃと待っとって!」

 

ヒロ子「…ひっく…ひっく……え?」

 

 

恵は瓦礫を退かし探し物をしていた

 

恵「あっ!これええね………あっ陸軍さんの帽子…兵隊さん この帽子使わせてつかぁさい…」

 

ガツッ ガツッ

 

恵がその音に気づくと 背後でおばさんが

頭蓋骨をコンクリ片で砕いてた

 

恵「…ありゃ?おばさん何しとるん?

骸骨なんて砕いて」

 

おばさん「頭蓋骨を砕いて粉にし飲むと

火傷やピカの病気や効くんよ

ほら、たっちゃん お薬出来たけえ飲みんさい」

 

子供「う……うん」

 

恵「…ほ…ほんまに効くん?」

 

子供「……う…う!苦いよぅ…母ちゃん」

 

おばさん「たっちゃん 我慢して飲むんよ!」

 

子供「…ゴホッ..!……ゴホッ...ヴ...ゲホッ.」

 

恵「……」

 

おばさん「お願い!たっちゃん飲むんよ! ほうじゃないと……死んでしまうんじゃけえ……たっちゃん!」

 

子供「苦いよぅ…」

 

恵「おばさん……うん?」

 

恵が辺たりを見渡すと 同じように粉にし飲んだり 火傷や傷口に塗ったりかけたりする人々がいた

 

恵「……これが…ピカに効く…

ほいなら…ヒロ子ちゃんにも…」

 

 

ヒロ子「……恵ちゃん」

 

恵「ヒロ子ちゃん~!」

 

数十分後 恵は顔や服を煤だらけにし戻って来た

 

ヒロ子「…め…恵ちゃん?」

 

 

恵「はい ヒロ子ちゃん!」

 

恵の手には顎紐が取れた 黒ずんだ陸軍士官用略帽があった

 

ヒロ子「…」

 

恵「こがいな帽子しか無うて、こげななんでも良かったら使うてくれんね」

 

ヒロ子「……恵ちゃん……ありがとう ありがとうね///// …使うね」

 

恵「えかった!麦わら帽子とかありゃ良かったんじゃけどね…」

 

ヒロ子「ううん これでも充分嬉しいよ!」

 

恵「ほう?ありがとうね…じゃったら、今度は可愛い帽子見つけてくるけえね、まあ、その頃には髪の毛が生えとるかも知れんけどね」

 

 

ヒロ子「……だといいね」

 

恵「あと、 お薬持って来たけぇ」

 

ヒロ子「お薬?」

 

恵「これじゃよ」

 

ゴトッ

 

恵が取り出したのは煤まみれの頭蓋骨だった

 

ヒロ子「…え? 骸骨?」

 

恵「この骸骨を砕いて その粉を飲むとピカの火傷や病気に効くらしいんよ」

 

ヒロ子「……火傷……」

 

ヒロ子は頭蓋骨を見つめた

 

恵「ほいじゃけぇ…あっ この石がええね…」

 

ヒロ子「………いいよ 恵ちゃん」

 

恵「……え?」

 

ヒロ子「骸骨を…砕くなんて可哀想だよ…」

 

恵「ほいでも……」

 

ヒロ子「……あ…あたしなら大丈夫だから 火傷ぐらい」

 

ヒロ子は優しく頭蓋骨を拾い上げた

 

恵「……ヒロ子ちゃん……ほうじゃね…うん…効くか分からんしね…」

 

2人は頭蓋骨を埋め 木板を立て

手を合わせた

 

2人「…………」

 

 

恵「…ほいじゃあ 弟さん探しに行こ!」

 

ヒロ子「……うん!あっ……」

 

恵「どうしたん?」

 

ヒロ子「…疎開してきたばかりだから病院の場所とか分からない…」

 

 

恵「任せんさい!ウチが案内したるけえ!姉ちゃんが赤十字病院の看護婦なんよ〜ほいじゃけえ、病院の場所は目を瞑っても分かるんよ♪」

 

ヒロ子「そうなの?! ありがとう!」

 

恵「ええんよ~ ほいじゃけど、姉ちゃんはどこに行きよったんか…」

 

ヒロ子「あっ そういや探してるんだっけ…」

 

恵「うん…病院にゃあ出勤しとらんらしいんよ…ピカで死んどらにゃあええんじゃけど…」

 

ヒロ子「……」

 

恵「……あっ 案内するけぇ」

 

 

 

市民「昨日のあれは一体何じゃったんかのう…」

 

市民「皆実のガスタンクが爆発した思うたが…」

 

市民「市全体が丸焼けじゃけえのう…そういや、アンタんとこの元ちゃん、市内の勤労奉仕作業に動員されとったんじゃろ?」

 

市民「おお、土橋でのう…生きとったらええんじゃが…」

 

市民「ほうか…ワシんとこは女学生の娘が3人、敏江、美都子、鞠江…敏江は兵器工場へ行っとって、美都子は縫製工場、鞠江は確か鶴見橋付近で勤労奉仕作業に動員されとるはずじゃ…」

 

市民「とりあえず、ワシは土橋に行ってくる。アンタは…」

 

市民「とりあえず色んな救護所に回って来るかのう…」

 

 

ヒロ子 恵は病院に向かい歩いた

 

恵「……ほんまなんも無うなってしもうたねえ…この辺に本屋があったハズじゃのに、それも焼けて無うなってしもうたんかねえ…」

 

ヒロ子「……」

 

周りには焼死体等あちらこちらに転がってた

 

恵「……ヒロ子ちゃん 見ん方がええよ」

 

ヒロ子「ううん……見とかないと……いや目に焼き付けないと…ピカの恐ろしさを…!」

 

恵「……ヒロ子ちゃん ……ほうじゃねぇ

ヒロ子ちゃん! 産業奨励館(原爆ドーム)が…」

 

バロック様式の産業奨励館は

原子爆弾により 無惨な姿に変わり果ててた

 

ヒロ子「……酷い」

 

恵「……ピカはほんま恐ろしいねぇ」

 

ヒロ子「…ピカを落としたアメ公が憎い…!街も人々もこんなにしたアメ公が憎い!」

 

恵「ほうじゃ!アメ公の馬鹿たれ!」

 

 

 

 

 

二人は相生橋に差しかかった

 

ヒロ子「……あれ? 何してるんだろ?」

 

恵「?」

 

相生橋には人だかりが出来てた

 

恵「なんじゃろね…?」

 

 

2人は人集りに近づいてみると 欄干に括り付けら略帽 半裸 短パン(下着?)短靴を履いた

傷だらけで息絶えた若いアメリカ兵2人の姿があった

 

ヒロ子「?!」

 

恵「…米兵?! どうしてこがいな所に」

 

民衆「このクソったれアメ公!死ね!!」

 

2人のそばに居た男性が アメリカ兵に向かって石を投げた それを見た周りの人達も罵倒しながら石を投げ始めた

 

「コイツが廣島をこぎぁなことにしよったんじゃ!!」

 

「ほうよ!ウチの家族を返しんさい!返せ!!」

 

ヒロ子 恵「……」

 

恵「……のう、憲兵さん なんでこがいなところにアメ公がおるんです?」

 

恵は近くに居た若い憲兵に話しかけた

 

憲兵「……彼は捕虜でのう…昨日の爆弾で憲兵隊司令部が被害をくらって、ほいじゃけえ、移送するときに欄干に縛っとったんじゃが、いつの間に死んでしもうたげな…移送するトラックもそのままにして行ってしもうて、民衆から石を投げられておる…ほんまは止めにゃあいけんのじゃが、あん人らの気持ちを考えると止められんのじゃ…廣島をこがいな焼け野原にしたけえのう…」

 

「くたばれ!」

 

「死ね!死ね!」

 

「お母ちゃんを返せぇ!!」

 

 

恵「ヒロ子ちゃん ウチらもアメ公に石投げよ!」

 

ヒロ子「……うん!」

 

憲兵「……」

 

ヒロ子は傍にあった石を持ち アメリカ兵を睨み石を投げようとした

 

ヒロ子「この…!おばあちゃん 文子姉ちゃんを返………」

 

恵「このクソったれアメ……ヒロ子ちゃんどうしたん?」

 

既に息絶えたアメリカ兵は悲しそうな表情をし下に俯いてた

 

 

ヒロ子「………悲しんでる…あの米兵悲しんでる……」

 

恵「……え?」

 

ヒロ子「…… もう……いいよ だって

あの米兵に石投げても おばあちゃん達が戻って来る訳じゃないし…… 」

 

恵「…… ヒロ子ちゃん」

 

 

ヒロ子「……行こ 恵ちゃん」

 

このアメリカ兵は 呉空襲の際撃墜され 捕虜になり産業奨励館(原爆ドーム)近くの中国憲兵隊司令部に留置中 被爆

司令部から移送する際に相生橋欄干に縛ったがその時には亡くなってた

その為憲兵は放置しその場を後にした

その後 怒り狂った民衆の格好の的になり

投石等を受けた

 

 

恵「…のう…ヒロ子ちゃん あの米兵若かったね…」

 

ヒロ子「うん…」

 

恵「……姉ちゃんと同歳ぐらいかな 」

 

 

ヒロ子「…私たちと変わらない 人間だったね……」

 

恵「ほうじゃねえ…鬼畜米英じゃー言われとったけど、ウチらと変わらん人間じゃったねえ…あ、ほうじゃ…話は変わるんじゃけど、ヒロ子ちゃんはどこから来んさったん?」

 

ヒロ子「あたしは横濱(横浜)からだよ」

 

恵「横濱?!どうりで…東京弁を話すわけじゃ…」

 

ヒロ子「うん、5月の大空襲で家焼けちゃって…それからはお母さんの実家の厚木に居たんだけど…厚木も安全じゃないからってお父さんの実家がある廣島に疎開してきたの」

 

 

 

横濱大空襲

1945年5月29日 昼間

米陸軍第20航空軍・第7戦闘機群のB-29・P-51が横浜を中心に焼夷弾爆撃 機銃掃射を行い

約8千から1万名の死者を出した

 

 

 

恵「ほうね…厚木言うたら海軍航空隊があるところじゃろ?」

 

ヒロ子「うん だからP公(P-51)がよく来るから 空襲を受けてない廣島に…… でもピカが落とされるとは思ってなかった……」

 

恵「……ほいじゃけえ廣島の街は空襲されんかったかね…ほいじゃけど、軍港がある呉はよう空襲を受けたげな…Bが大編隊組んで、昼間・夜に堂々とやってきて、街を焼け野原にしていきよっちゃった…それにグラマン(艦載機)もようけ来んさってね…ウチの家は山の方じゃけえ、被害はあんまり受け取らんけど、学校は焼けて友達もみんな死んでしもうたあ…」

 

ヒロ子「……友達も……あっえ?呉に住んでるの?」

 

恵「ほうじゃよ…呉はええとこ…?…なんじゃろこの臭い…」

 

 

ヒロ子「……あそこの陸軍?のトラックから臭うね……

…うっ!この臭(にお)い…て…!!」

 

トラックの方を見ると

クワを使い 遺体を片付けてた陸軍兵士数名が居た トラックには遺体が山のように積まれた 遺体からは強烈な異臭を放ってた

 

陸軍兵士「はぁ~片付けても 片付けてもキリがないのぅ…」

 

陸軍兵士「もうこの辺りで燃やしたらええじゃろ…?」

 

陸軍兵士「ほうじゃのう…」

 

陸軍兵士「…のう、考えられるんか…昨日の8時前までこの仏様達は行きとって笑うとったりしとったんなて…のう……」

 

陸軍兵士「アメ公も惨いことしやがるのう…惨いのう…本当に惨いのう…」

 

 

 

陸軍兵士「ああっ!…」

 

陸軍兵士「どうしたんじゃ?」

 

陸軍兵士「か…カラスが死体食べとる…」

 

 

陸軍兵士「うっ…カラスの奴 目玉食べとるぞ……」

 

陸軍兵士「言うなバカタレ!!」

 

陸軍兵士「…カラスどころかウジ虫やハエやありこさん(蟻)までようけ居ってじゃ………」

 

陸軍兵士「早うせんとヤツらに食い散らかされるけえ、急げ!!!」

 

 

陸軍兵士「…よいしょ」

 

グチョ……

 

ヒロ子 恵「!!」

 

陸軍兵士が遺体の手を引っ張ってたが

皮膚がズル剥け 骨が見えてた

 

陸軍兵士「…あっ」

 

陸軍兵士「道具使った方がええぞ 」

 

陸軍軍曹「おい! 遺体をここいらで燃やす! トラックに積んだのは運んどけ

ガソリン用意しろ!」

 

陸軍兵士「はっ!」

 

 

恵「……あれが人間じゃったなんて信じられんよ…クワで引っ張って運ぶなんて…魚じゃああるまいに……ピカは人間をあげな姿にしんさるんじゃ…ほんま惨いよ…」

 

ヒロ子「うん…」

 

 

 

赤十字病院付近

 

 

恵「ヒロ子ちゃん もうちょいで着くよ!」

 

ヒロ子「勝 居るといいな……」

 

 

ヨンホ「어이 혜누나!(おーい 恵姉ちゃん!)」

 

男の子がヒロ子達の方に走って向かって来た

 

恵「…영화! 무슨 일이야? !(ヨンホ!どうしたん?!)」

 

ヨンホ「큰일이야(大変だよ!!)혜 누나의 아버지가! !(恵姉ちゃんのお父さんが!)」

 

恵「아버지가?! 아빠가 무슨 일이야? !(お父さんが?! お父さんがどうしたん?!)」

 

ヒロ子「?」

 

 

ヨンホ「……배가 기뢰에 있어서는 숨진라고( 船が機雷に当たって死んじゃったて)」

 

恵「……어 ...... 거짓말 ...... 거짓말이야 ...... 등 ... 왜 ......(えっ……嘘……嘘じゃ…なん…なんでじゃ……)」

 

 

ヨンホ「어제 밤미군이 뿌린 기뢰 탓이야…(昨日の夜、米軍がバラ撒いた機雷のせいじゃ…)」

 

恵「……」

 

ヨホン「... 나, 엄마 찾아 온다!(俺、母さん探してくる!)」

 

恵「엄마 돌아온 안 나?(お母さん帰って来てないん?)」

 

ヨンホ「……그래 어제 친척 집 간다고

아침 교착했다 송곳으로 돌아온 않은거야

(……うん 昨日の親戚の家行くって朝出たっきり帰って来てないんだ)」

 

恵「그런가 ......찾으면 좋다(ほうか……見つかるとええね) 」

 

ヨンホ「그래 ...... 엄마 ......(うん……お母さん……)」

 

 

 

恵「……アッパ……アッパ…」

 

ヒロ子「……どうしたの?恵ちゃん」

 

恵「……アッパ(韓・お父さん)……

お父さんの船がアメ公の機雷に当たって……死んでしもうた……」

 

ヒロ子「……」

 

恵「……お父さん……お父さん……アメ公の馬鹿たれ……うぅぅ」

 

恵の目は涙いっぱいで溢れそうだった

 

ヒロ子「…… 恵ちゃん 我慢しないで泣いた方がいいよ……あたし 見ないからさぁ……」

 

恵「……ヒロ子ちゃん…来て…」

 

ヒロ子「えっ?」

 

2人は瓦礫の影に来た

 

恵「……ヒロ子ちゃん……!

うわぁぁぁぁぁ あああん……」

 

恵はヒロ子を抱きしめ大泣きした

 

ヒロ子「……いいよ いっぱい泣いて恵ちゃん……」

 

恵「あああん……お父さんぁぁ……あああ……!」

 

ヒロ子「……恵ちゃんの気持ち 分かるよ

……あたしもお父さん死んじゃったんだ」

 

恵「……ふぇっ?」

 

ヒロ子「あたしのお父さん 海軍少佐で 戦艦大和て大きな戦艦に乗ってたの……」

 

 

恵「…死んだて…ことは…大和は…?」

 

ヒロ子「大和は…沈んだだって…雪隠詰めにされて…生き残ったお父さんの部下さんが教えてくれたの」

 

恵「…えっ大和が沈んだ?!あの馬鹿デカい大和が…そんな…嘘じゃ……」

 

ヒロ子「えっあっ 大和のこと知ってるんだ」

 

恵「そりゃ東洋一の軍艦なんじゃけえ…呉に住んどる人なら皆知っとる!小学生でも知っとるんよ!ほうよ…一年くらい前までは、戦艦はようけ居ってのに、空母は居らんかった…ほいじゃのに…あの大和が…あの大和が沈んだ…」

 

 

1945年4月7日 戦艦大和は沖縄海上特攻作戦に参加 米海軍艦載機約300機に攻撃され 坊ノ岬沖に爆沈した

しかし、大和が沈んだ事は知らされてなく

敗戦の1ヶ月後の9月にやっと大和が沈んだ事が公にされた

また、大和は当時 秘匿されて存在は国民の間ではあまり周知されてなかった

 

 

ヒロ子「…だから……恵ちゃん気持ちは痛い程分かるよ……」

 

恵「……ヒロ子ちゃん

 

……ウチのお父さんは漁師じゃったんじゃけどね…

海軍さんの手伝いで特設監視艇の乗員もしとったんよ

ほいじゃけぇ……敵機監視の為に機雷が有っても 海に行かんといけんかった……」

 

特設監視艇

民間の漁船などを徴用し監視艇にした

 

恵「……アッパ……アッパ……あああん…」

 

恵はしばらくヒロ子を抱きしめ泣いた

 

 

 

 

 

恵「はぁ…スッキリしたけぇ…」

 

ヒロ子「良かったぁ」

 

恵「……ね…ヒロ子ちゃん」

 

ヒロ子「なに?」

 

恵「分かっとると思うけど…ウチね、朝鮮人なんよ…正確に言うと在日二世っちゅうヤツよ」

 

ヒロ子「えっ朝鮮人なの?!…日本語上手いから日本人と思ったよ 凄いね!恵ちゃん!」

 

恵「…えっありがとう/////」

 

ヒロ子「さっきの男の子は弟さん?」

 

恵「ううん 近所の子 、ウチ、弟は居らんけどあんちゃんと姉ちゃんなら居ってじゃけえ。ほいでもあんちゃんは陸軍特攻隊員で沖縄の海で散ってしもうたぁ…それに姉ちゃんは見つからんし…」

 

ヒロ子「…特攻隊員」

 

恵「……「俺は朝鮮人じゃが、日本の為、俺の家族を守る為に戦いたいんじゃ!」言うて特攻隊へね…」

 

ヒロ子「……お兄さん」

 

恵「ほいでも、あんちゃんは満足しとると思うよ日本の為に戦えて」

 

恵は涙目だった

 

ヒロ子「……恵ちゃん」

 

ヒロ子はハンカチを差し出した

 

恵「…ありがとう ヒロ子ちゃん………よし!弟くん探しに行こ!」

 

 

 

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