あの日から   作:tuzimoto

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第四章「先生とえっちゃん」

教室

 

 

ヒロ子「…うぅ…ん…ん?……あっえ?」

 

征矢野先生「あっ起きた?藤井さん」

 

ヒロ子「芳子先生…? どうして…?」

 

征矢野「高橋さんが急に倒れてここに来たの」

 

ヒロ子「えっちゃんが?!」

 

征矢野先生「今、あそこで休んでるわ」

 

ヒロ子「えっちゃん…あっ!恵ちゃんは?!」

 

征矢野先生「恵ちゃん? あの子ならそこで寝てるわ」

 

恵は体育座りして眠ってた

 

恵「zzz……」

 

ヒロ子「…恵ちゃん/////」

 

 

征矢野先生「あと、これ恵ちゃんからで新しいシャツとモンペ」

 

ヒロ子「………ありがとう 恵ちゃん

…あっ芳子先生無事でよかったです」

 

征矢野「ええ…だけど他のみんなは……

私と高橋さんは 高橋さんが防空壕で無くし物をしてそれを一緒に探してたら運良く助かったの」

 

 

 

8月6日 8時10分

 

征矢野先生「あら、おはよう高橋さん」

 

高橋英子「あっおはようございます 先生」

 

征矢野先生「なにしてるの?」

 

高橋英子「はい ちいと、昨日防空壕で手帳を落としてしもうたみたいで…ほいじゃけえ今探しとるんです」

 

征矢野先生「先生も一緒に探すわ」

 

 

英子「うーん おかしいなぁ この辺りなんじゃけどなあ………」

 

征矢野「暗くて見えない…

ちょっと先生 ロウソク持ってくるね」

 

英子「あっ!あった!」

 

征矢野先生「えっ良かっ……」

 

征矢野先生が後ろに振り返った時

ものすごい閃光がした

その後ものすごい爆風が征矢野先生の背中に直撃し 防空壕の中に追いやった

 

 

 

征矢野先生「…うっ…ううん………?……高橋さん?」

 

英子「う…うん……あっ先生……なんでウチの上に寝てるんです?…/////」

 

征矢野先生「あっ/////ごめんなさい……それより一体…何が……?」

 

2人は防空壕から顔を出した

外は一変し黒煙で昼なのに真っ暗で

街は瓦礫だらけだった

 

英子 征矢野先生「…???」

 

英子「……街がどうしてこんとな事に……」

 

征矢野先生「あっ……校舎が」

 

校舎は半壊してた

 

 

 

英子「あっ校舎が…なんでぇ………ん?…先生!…あれ……」

 

征矢野先生「……?」

 

英子が校庭の方に指さした

校庭には黒ずんだ物体が何体も転がってた

 

英子「な…なんじゃろうね……先生 アレ」

 

征矢野先生「……もしかして人…?」

 

 

英子「…えっ?!人……人…」

 

征矢野先生「とにかく外に出ないと……痛!」

 

英子「先生?」

 

征矢野先生「あっさっきの爆風?みたいなので脚を挫いちゃったみたい」

 

征矢野先生の足首を見ると赤く腫れてた

 

英子「あぁ……先生っ、衛生室行ってきますけえ!!」

 

征矢野先生「えっ 高橋さん」

 

英子は外に出た するとネバっとした

黒い雨が降ってきた

 

英子「……なんねぇ……この雨は……黒い?…」

 

英子は走って半壊した校庭の方に向かった

 

辛うじて衛生室は半壊してたが残ってた

 

天井が吹き飛びない為 黒い雨が英子の頭上に降り注ぐ

 

英子「えっと……氷嚢 氷嚢……と

あった!……あとは水を… この黒い雨油っぽいねぇ…油じゃろうか?」

 

 

 

征矢野先生「……痛っ…」

 

英子「先生氷嚢持ってきたよ!」

 

征矢野先生「ありがとう高橋さん……?その顔どうしたの?真っ黒よ それに服も」

 

英子「黒い雨が降ってきて」

 

征矢野先生「…黒い雨?」

 

英子「あれです」

 

 

征矢野先生「あっ本当 黒い雨だわ……変ねこんな雨…とりあえず止むまで中に居ましょ」

 

英子「…そうですね……じゃけぇ……一体何が……先生」

 

征矢野先生「……そうね……ん?」

 

英子「先生?」

 

2人は雨音の中から微かに聞こえる会話に耳を傾けた

 

「う〜痛いよ〜」

 

「お母ちゃ〜ん!目が見えんよ〜」

 

「痛い……ううっ…」

 

英子「………なんね……なにが起きたんよ」

 

 

征矢野先生・それから雨止んで

外に出て 高橋さんを家まで送ったんだけど……家が焼けてて 高橋さんの家族も……それから私の住んでる寮に向かったんだけど全壊してて 結局学校に戻り高橋さんと一緒に夜を明かしたの

 

でも、昼頃に食べ物探しに行こうとしたら

高橋さんが倒れて…

 

ヒロ子「……芳子先生……それじゃ…えっちゃんは…黒い雨に!」

 

征矢野先生「…ええ 黒い雨がどうしたの?」

 

ヒロ子「……軍医さんから聞いた話なんですけど あの黒い雨を浴びると 脱毛 赤痢 寒気 吐血……最悪……し…死ぬみたいです……」

 

征矢野先生「……えっ…」

 

ヒロ子「あたしもあの雨浴びたから…じ…直に…」

 

征矢野先生「…藤井さん」

 

ヒロ子「…それまでに…勝を探さなきゃ…」

 

征矢野先生「勝君と離れちゃったの?」

 

ヒロ子「はい…」

 

征矢野先生「……」

 

ヒロ子「…でも…やっぱり…勝…し…死んじゃったのかな…」

 

征矢野先生「…先生も一緒に探すわ!」

 

ヒロ子「…芳子先生」

 

恵「…う…うん…ん?…あっ寝ちゃった…あっ!ヒロ子ちゃん!」

 

恵はヒロ子の傍に駆け寄った

 

恵「ヒロ子ちゃん 大丈夫?!」

 

ヒロ子「…あっ…うん…今の所いいみたい」

 

恵「ほ…ほうか……えかった…えかったぁぁ!」

 

恵はヒロ子に抱きつき泣き始めた

 

ヒロ子「恵ちゃん…/////」

 

ミチコ「あっ…藤井さん! 先生!」

 

 

軍医「うーん…他の重症患者と違って比較的軽いか…今の所吐血も斑点無いようじゃし…うん…」

 

ヒロ子「本当ですか?!」

 

軍医「でもしばらくは様子見じゃな」

 

ミチコ「良かったねぇ 藤井さん」

 

軍医「…どうやら発症は個人差あるみたいじゃけぇ…直ぐに発症して亡くなる人も居りゃ しばらくして発症する人も居るけぇ

じゃけど藤井さんの場合は直ぐに発症した

 

じゃがぁ 脱毛 赤痢 寒気以外無い

まあ、そういう人らはコロリコロリと死んでいくけえ、「コロリ病」なんて言われとるらしいが…今はのう、まだよう分からんのじゃ…」

 

ヒロ子「……コロリ…」

 

恵「ヒロ子ちゃん…」

 

征矢野先生「…先生 高橋さんの方は?」

 

軍医「分からん…悪化しても、ワシら医者でもお手上げじゃ…治せる方法がありゃあええんじゃが…のう…」

 

征矢野先生「そ…そうですか」

 

軍医「クソ!アメ公めどれえらい爆弾落としやがってぇ!」

 

 

看護婦「先生!」

 

軍医「わかった 今行く」

 

 

ヒロ子「…えっちゃん

あっそういえば 恵ちゃんは黒い雨大丈夫だったの?」

 

恵「ウチは今日来たけえ、黒い雨は浴びとらんよ」

 

ヒロ子「良かった…」

 

恵「…あっ!」

 

ヒロ子「どうしたの?」

 

恵「…帰りどうしよう」

 

征矢野先生「お家はどこなの?」

 

恵「呉です」

 

征矢野先生「呉…鉄道で来たの?」

 

恵「いえ、陸軍の救援トラックで」

 

征矢野先生「トラックで …あっそうだったわ 鉄道で帰るにしても山陽本線は西条方面しか無かったわ…」

 

恵「うーん…今日はここで泊まりになるかねえ…」

 

ヒロ子「そうだね」

 

恵「お母ちゃん 心配するじゃろうな…」

 

 

 

翌 8月8日

 

恵「うーん……ん? あっ、ほうじゃった学校で寝とったんじゃった…おっ」

 

横を振り向くと征矢野先生が寄りかかって寝てた

 

恵「あっ…先生/////」

 

征矢野先生「んっ…あっん……あっ!ごめんなさい/////」

 

恵「~/////」

 

 

ヒロ子「おはようございます 先生 恵ちゃん」

 

 

恵「あっ!///// おっ…おはよう/////」

 

ヒロ子「……?どうしたの?」

 

恵「え~なんでもないよ/////あっそれより具合大丈夫?」

 

ヒロ子「あっうん 大丈夫だよ」

 

恵「ええかったぁ」

 

 

征矢野先生「高橋さん…」

 

英子「…うん…ん…っ……あっ先生」

 

征矢野先生「高橋さん!」

 

英子「あれぇ~どうして先生が……」

 

征矢野先生「覚えてないの?」

 

英子「…はい…んっ? あっ!ひーちゃん!!」

 

ヒロ子「えっちゃん!!」

 

英子は這ってヒロ子の元へ行きお互い抱き合った

 

英子「えかったぁーひーちゃん無事じゃったんね!」

 

ヒロ子「えっちゃん!」

 

英子「ひーちゃん!…あれ 陸軍さんの帽子被っとるんね」

 

ヒロ子「あっ…うん ちょっとね」

 

英子「あっ ここはどこね?ひーちゃん……」

 

ヒロ子「中央國民學校」

 

英子「?なんして學校に?…」

 

征矢野先生「高橋さん 昨日のお昼頃に倒れたのよ」

 

英子「えっ?!げにですか先生…」

 

征矢野先生「ええ」

 

英子「どうして倒れたんじゃろ…」

 

ヒロ子「……えっちゃん」

 

 

征矢野先生は英子に事情を説明した

 

 

英子「…ウチ、死ぬんかいね…」

 

ヒロ子「…でも…まだ分からない

助かるかも……」

 

英子「ええんよ…死ぬなら……死ぬで…ウチはもう、ひとりぼっちじゃけぇ……

もう、ええよ……お父さんやお母さんの元へ逝けるんなら……」

 

ヒロ子「えっちゃん……」

 

英子「もう…助からんでしょ…」

 

英子は涙目になってた

 

英子「……ほら、見て ……髪も抜けて来たし…」

 

ヒロ子「……えっちゃん」

 

英子「……ひっく……ひっく…うわぁぁぁぁんん」

 

征矢野先生「……高橋さん」

 

英子「先生 …ああぁぁぁん…

死にとうないよぉ 死にとうないよぉ……」

 

ヒロ子「……」

 

征矢野先生「 大丈夫よ高橋さん 大丈夫」

 

英子「…のう ひーちゃん こっち来て…」

 

ヒロ子「えっちゃん」

 

英子「ひーちゃん ウチのそばにおって

手握って…」

 

ヒロ子「うん!…えっちゃん…」

 

英子「…ひーちゃん…! うっ ゴホッ...ヴ...ゲホッゴ」

 

ヒロ子「えっちゃん?!」

 

英子は吐血し 口から溢れんばかりの血を吐き出した

 

征矢野先生「高橋さん?!看護婦さん! 看護婦さん!!」

 

ヒロ子「えっちゃん…ちょっと…え?!」

 

英子「手を離さないで…離さないでぇ…ひーちゃん…」

 

ヒロ子「大丈夫!離さないから!!」

 

英子「ひーちゃんの手…温いねぇ……

ウチ……寒くて…寒くて…」

 

ヒロ子「えっちゃん!えっちゃん!」

 

征矢野先生「……容態が急変したわ

高橋さん!」

 

看護婦「どうしました?!…あっ 先生!」

 

ヒロ子「えっちゃん! えっちゃん!しっかりして!!」

 

征矢野先生「高橋さん!」

 

英子「…ひ…ひー…ちゃん…………」

 

ヒロ子「…えっちゃん?!」

 

征矢野先生「高橋さん!!」

 

軍医「しっかりするんじゃ!お嬢ちゃん!」

 

英子「…………」

 

ヒロ子「先生! えっちゃんを助けてください!!」

 

軍医「…………」

 

ヒロ子「先生!!」

 

征矢野先生「先生!!」

 

軍医「……駄目じゃ もう…死んどる」

 

ヒロ子「えっ…えっちゃん…えっちゃん!目を開けてよ!目を開けてよ!お願いだから目を開けてよ!!さっきまで話してたじゃん!ねぇ!えっちゃん!!」

 

恵「ヒロ子ちゃん……」

 

征矢野先生「……高橋さん」

 

 

 

 

 

ヒロ子「…うぅう…ど…どうしてピカはあたしの大事な人達の殺すの…ねぇ…なんでよ!

な…なんでよぉ…おばあちゃんに文子姉ちゃんにえっちゃん…それに勝だって…なんでぇ うわぁぁぁぁんん!!えっちゃん!えっちゃん!」

 

征矢野先生「……藤井さん」

 

患者「ほ…ほうじゃ お嬢ちゃんの言う通りじゃピカは何もかも奪う…なんでじゃ…ウチらがなんかしたんか…ウチの娘を返せ…返せ…!!!」

 

患者「ほうじゃ…ほうじゃ!ピカのアホタレ!バカタレ!」

 

 

黒い雨を浴びた者は 続々と死んでいった

原爆を受け 雨を浴びた者や死体整理に来た兵士 親類を探す為に来た親族など原爆を受けてないそれまで健康でなんとも無かった人達も急に殺していく

この雨は 何十年も経った今も苦しめてる

 

 

看護婦「 後で死亡診断書渡しますね」

 

征矢野先生「はい……」

 

恵「…ヒロ子ちゃん」

 

ヒロ子はしゃがんで俯いてた

 

ヒロ子「……」

 

 

巡査「……あれ?君は…」

 

ヒロ子「……?」

 

ヒロ子が見上げると カーキ色の戦闘帽を被り九〇式鉄帽を背中に背負い

ボロボロになった昭和十年制警察官 制服を着た巡査が立っていた

 

巡査「やっぱり!」

 

ヒロ子「えっ?…もしかしてあたしを助けた巡査さん ですか?!」

 

巡査「ほうじゃ えかった 元気そうで」

 

ヒロ子「その節はありがとうございました!!」

 

巡査「ええんじゃよ お嬢ちゃんが無事なら」

 

ヒロ子「あ…あの!私以外に五年生ぐらいの男の子助けませんでしたか?!」

 

巡査「…いや、助けたのはお嬢ちゃんだけじゃ

あの辺は火の手が迫りつつあったげなし…」

 

ヒロ子「……そうですか

あたし 弟を探してて……でも、ひっく……ぜ…全然見つからなくて……ひっく

あの辺の瓦礫の下敷きに…なってたんです…昨日見た時 居なくて……燃やれたのか助けられたか……」

 

巡査「ほうか……弟さん…」

 

ヒロ子「…勝…勝」

 

巡査「じゃったら、ワシも探してやるけえ!」

 

ヒロ子「えっ お巡りさん……!ありがとうございます!」

 

巡査「名前は…ふ……藤井勝君でええんか?」

 

ヒロ子「はい!」

 

巡査「わかった!……今はつらいかもしれんが…元気出すんじゃよ 藤井さん」

 

 

 

 

 

恵「あっヒロ子ちゃん 元気なったん?」

 

ヒロ子「うん」

 

恵「ほうか ならえかった」

 

ヒロ子「あっ恵ちゃん! お巡りさんも勝を探してくれるって!」

 

恵「えかったのぅ!ヒロ子ちゃん!!」

 

ヒロ子「うん!……あたしも探しに行かないと」

 

恵「お巡りさんも捜してくれるなら百人力じゃねえ」

 

ヒロ子「うん!……あっ…」

 

恵「どうしたん? …ん?學校?」

 

ヒロ子「あたしの通ってた女學校なんだ

ここ……」

 

ヒロ子が通ってた廣島中央高等女學校は無惨な姿に成り果てて

 

校庭には当日に比べ遺体が陸軍兵士により片付けられ減ったがまだ遺体は何体も野ざらしにされてた

 

恵「惨いね…そういやあ…聞いた話なんじゃが

1年生の子らって市の勤労奉仕作業に動員されとったらしいんよ…そ…それで※第一県女の子もやられたらしいんよ…」

 

廣島県立廣島第一高等女學校。爆心地から約800mの小網町で建物疎開作業に動員されていた1年生281人ほぼ全員が命を落としたと言う…。

 

ヒロ子「うん…勤労奉仕作業かぁ…勝とあんまり歳の変わらない子達が…大変だね…」

 

 

 

征矢野先生母「あのちょっとすまんね」

 

ヒロ子「?」

 

恵「なんねぇ おばさん」

 

征矢野先生母「征矢野芳子てご存知なかとです?

ここん先生ばしとーんばいけど」

 

ヒロ子「…そ…征矢野先生?」

 

征矢野先生母「知っとーんと?!」

 

ヒロ子「はい、私の担任です」

 

征矢野先生母「生徒さん?!…芳子はどこに?!

…うちゃ芳子ん母です」

 

ヒロ子「芳子先生のお母さん

…芳子先生はこの先の中央國民學校に居ますよ」

 

征矢野先生母「良かった…あん子生きとったんね」

 

 

ヒロ子「學校まで案内しますよ」

 

征矢野先生母「ありがとう」

 

 

恵「のう ヒロ子ちゃん 先生のお母さんべっぴんさんじゃねぇ」

 

ヒロ子「そうだね べっぴんさんだね」

 

 

征矢野先生母「 良かった…あん子が無事で良かった…

あっ そうだお嬢ちゃん達

カステラあるん 良かったら食べん?」

 

ヒロ子「か…カステラ?」

 

恵「おばさん カステラてなんねぇ?」

 

征矢野先生母「ちょっと待ちんしゃいね」

 

征矢野先生のお母さんは 背嚢を下ろし

中のふろしきを開き その中にあったお弁当の蓋を取ると

カステラが現れた

 

征矢野先生母「さぁ、どうぞ」

 

ヒロ子「パンみたい?……いただきます」

 

恵「ええ匂いする…///// いただきます!」

 

ヒロ子 恵「~!!!!」

 

ヒロ子「美味しい!甘くて美味しい!」

 

恵「ウチ こんな美味いもの初めて食べたけぇ!…ブチ美味いのぅ!」

 

征矢野先生母「良かった 全部食べてよかばい」

 

恵「ええの?!おばさん」

 

征矢野先生母「よかばい よかばい」

 

ヒロ子「でも……芳子先生の分」

 

恵「もぐもぐ…あっ……ほうじゃねぇ」

 

ヒロ子「おばさん あとは芳子先生にあげてください」

 

征矢野先生母「よかと お嬢ちゃん達?」

 

ヒロ子 恵「はい!」

 

 

征矢野先生母「優しか生徒さん持ったね 芳子……お母さん嬉しかばい

 

……ばってん……あん子ついとらんね

東京で先生しとったら空襲でそれで廣島に来たらピカドンで……ばってん、無事で良かった ほんなこつ良かった」

 

 

 

中央國民學校

 

ヒロ子「着きましたよ」

 

恵「征矢野先生ー!」

 

征矢野先生「ん?どうしたの?恵さん」

 

征矢野先生母「芳子!!」

 

征矢野先生「お母さん?!」

 

征矢野先生母「無事で良かった ほんなこつ良かったばい!」

 

征矢野先生「長崎からわざわざ来たの?!」

 

恵「えっ長崎?!」

 

ヒロ子「長崎……」

 

恵「えらい遠いところから来んさったねえ」

 

征矢野先生母「 廣島にピカドン落とされたて聞いてお母さん 心配で心配で」

 

征矢野先生「お母さん……」

 

征矢野先生母「芳子ん好きなカステラ持って来たばい

あと、芳子に話があるばい」

 

 

 

 

 

 

征矢野先生「えっ?!長崎に?!」

 

征矢野先生母「敏江ちゃん あん子も先生になったとばってん

学校に先生あまりおらんんごたーばい

やけん芳子も帰って来てそこで先生せん?」

 

征矢野先生「うーん……」

 

征矢野先生母「芳子ん學校見てきたけど

あれで學校しきると?

長崎はあまり空襲受けとらんけん 大丈夫ばい」

 

征矢野先生「お母さん」

 

征矢野先生母「芳子 帰っといで 芳子 帰っといで」

 

征矢野先生「お母さん お願いがあると!」

 

 

 

 

征矢野先生母「あんお嬢ちゃんば?」

 

征矢野先生「うん」

 

 

恵「ヒロ子ちゃん カステラ美味かったねー」

 

ヒロ子「そうだね あっ」

 

 

 

陸軍兵士「しっかり持てよ」

 

陸軍兵士「はい!」

 

看護婦「可哀想にねぇ…あの男の子まだ9じゃのに」

 

看護婦「ピカはほんま惨いねぇ……」

 

ヒロ子「……」

 

 

征矢野先生「藤井さん ちょっといい?」

 

ヒロ子「…?はい」

 

征矢野先生「先生ね 実家の長崎に帰ろうと思うの

お母さんがどうしても帰って来いて聞かなくてね」

 

 

ヒロ子「長崎に」

 

征矢野先生「 そこでまた、先生をしようかなて 向こうの知り合いが學校の先生が足りないから先生に来て欲しいんだって

それに學校……あれじゃ無理でしょ

…それでね…藤井さんもし、良かったら 先生と住まない?」

 

ヒロ子「…えっ?」

 

 

征矢野先生「 長崎ね

空襲とか受けてなくて安全らしいなのよ

だから どうかなって」

 

ヒロ子「でも、どうしてあたしを?」

 

征矢野先生「…唯一無二生き残った大事な生徒だから 面倒見たいの」

 

征矢野先生母「お嬢ちゃん 長崎においで」

 

 

ヒロ子「……先生 おばさん ありがとうございます///// でも、まだ勝探したいんです どこかで生きてるかもしれない…… 病院や救護所も全部周り見れてないので

 

それに 神奈川にはお母さん居ますし」

 

征矢野先生「エッ? あっ!///// そうだったわね!

ご…ごめんなさいね/////」

 

恵「ちょっ先生~…」

 

征矢野先生母「芳子 あんた……あん子はピカドンで1人て……」

 

征矢野先生「あっあはは‪w///// ごめんね お母さん……/////」

 

征矢野先生母「全く…芳子ったら」

 

征矢野先生「先生 すっかり忘れてた……/////

分かったわ藤井さん

弟さん見つかるといいわね

……一緒に探すことができなくてごめんなさいね…藤井さん」

 

ヒロ子「はい いえ、気になさらないでください あたしには恵ちゃんが居ますし」

 

恵「先生の分までウチが頑張りますけぇ!安心して先生」

 

征矢野先生「…藤井さん 恵さん 落ち着いたら ちょっと遠いけど長崎に遊びにおいで あっ私が住んでるのは 」

 

征矢野先生母「遊びにおいで お嬢ちゃんそこんお嬢ちゃんも

また、カステラ食べようね」

 

恵「はい!」

 

征矢野先生は手提げカバンから 鉛筆と手帳を出し 手帳に書き始めそれをちぎり渡した

 

征矢野「はい 先生の実家ここね」

 

ヒロ子「長崎市松山町…

ありがとうございます 先生」

 

征矢野先生「じゃ 頑張ってね藤井さん」

 

ヒロ子「芳子先生… もう、行っちゃうんですか?」

 

征矢野先生「うん…ごめんね 急に

あっ藤井さん もし、生き残った先生が居たら伝えといてくれる」

 

ヒロ子「わかりました あと……先生……その…///// い…今までありがとうございました!…芳子先生大好きです!!/////」

 

征矢野先生「…ふ…藤井さん/////

ありがとう///// 私も大好きよ!!/////

元気でね」

 

征矢野先生母「芳子行くばい」

 

征矢野先生「はい」

 

征矢野先生母「お嬢ちゃん 頑張りんしゃい」

 

ヒロ子「ありがとうおばさん」

 

征矢野先生「恵さんも頑張ってね」

 

恵「はい!先生」

 

 

 

ヒロ子「 廣島から長崎て遠いね…」

 

ヒロ子は教室に貼ってある日本地図を眺めてた

 

恵「ほうじゃねぇ」

 

ヒロ「 …芳子先生 元気でね」

 

 

 

 

8月9日 未明

ソ連が不可侵条約を破棄 ソ連軍1,577,225の大軍が日本領満州へ侵攻しつつあった

 

午前3時47分 テニアン島

アメリカ陸軍航空軍 ノースフィールド飛行場にて2発目の原子爆弾

「ファットマン」を搭載した

B-29 「ボックスカー」が日本へ向け離陸した

 

投下目標は…第1目標 小倉 第2目標 長崎

 

 

 

 

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