廣島中央國民學校
ミチコ「あっ夕焼け……」
看護婦「綺麗じゃねぇ……明日も晴れそうじゃねぇ」
恵「看護婦さん!はぁ…はぁ
ヒロ子ちゃんが!!」
教室(病室)
医師「うーん…」
恵「先生!ヒロ子ちゃんは!?」
医師「腕見てみ…斑点じゃ」
恵「…斑点…」
ヒロ子の右手の表面には青紫色の斑点が何点かあった
恵「……」
医師「それに身体も弱っとるように見えるのぅ…あと、火傷の治り具合もあまりええとは言えん
まぁ、今は安静にする事じゃな……」
恵「……ヒロ子ちゃん」
ヒロ子「……はぁ…ん……っはぁ……」
恵「……」
回想
1945年 7月2日 呉
呉市街を火の海にするB-29の爆撃梯団
Vooo……
Huuuuuu…
Huuuuuu…
BAM! BAM!
「恵ちゃん助けてぇぇぇええ!!」
恵「あっ……あっ…!」
「きゃぁぁぁ……あああ!!熱いよ熱いよぉぉぉ……」
「ああああああああぁぁぁ!!!!」
恵「ヨッちゃん!さっちゃん!!」
警防団「お嬢ちゃん離れるんじゃ!!離れるんじゃ!!」
恵「いやぁぁぁぁぁぁ!!嫌じゃ! 嫌じゃ!」
恵・もう……大事な友達を失いとうないよ…ウチから友達を奪わんでよ…神様…
恵「ヒロ子ちゃん…頑張るんよ
死んだらいけんよ」
恵はヒロ子の手を握った
翌日 8月10日 朝
ヒロ子「………んっ……うーん…あっ」
恵「……」
恵はヒロ子の傍に添い寝していた
ヒロ子「…」
ミチコ「おはよう 藤井さん
具合どう?」
ヒロ子「……ええまぁ」
ミチコ「恵さん じゃったっけ?ずっと傍に居ったんよ
優しい子じゃね…」
患者「看護婦さん~」
ミチコ「はーい」
ヒロ子「恵ちゃん…ありがとう……っ!
(…えっ身体が思うように動かない
勝を探しに行かないと行けないのに…動いてよ…!!)
うっ……あぁ……」
恵「……ん……あっヒロ子ちゃん!
動いたらいけんよ!」
ヒロ子「でも…勝を探しに行かないと……あぁ……っ!」
恵「あぁ!ダメじゃ 動いたらいけんよ!…っ!
ヒロ子ちゃんのバカタレ!動いたらいけん言っとるじゃろうが!」
ヒロ子「うるさい!邪魔しないで!」
恵「…ヒロ子ちゃん」
ヒロ子「……あぁ…ま…勝…」
恵「…っ!」
バチン!
ヒロ子「……」
恵はヒロ子の頬を叩いた
ヒロ子は思わず恵を睨む
恵「…あっ…動いたらいけんよ!ヒロ子ちゃん!」
ヒロ子「…邪魔しないで言ってるでしょ!」
恵「ヒロ子ちゃんはピカの病気なんよ!
安静にしとらんと 勝くんはウ…」
ヒロ子「…恵ちゃんはいいよね… ピカ受けてないし火傷も無いくて…分かりっこないよね!! あたしには時間が無いのよ!
安静? それが何よ!あたしは絶対に勝を見つけるんだから!身体が言うこと聞かなくても……あたしは勝を探しに行かないといけないの!」
恵「な…なんしてそがな事言うんじゃ!
勝くんじゃってもう死んどるよ!!
あがいに探したのに見つからんのよ!!
ええ加減諦めるんよ!!」
ヒロ子「……」
恵「……あっ…ごめん」
ヒロ子「…どっか行ってよ…どっか行ってよ!!」
恵「…っ!」
恵は教室から走って出ていった
ミチコ「きゃっ!……えっ恵さん?」
患者「どうしたんじゃお嬢ちゃん?」
患者「静かにしておくれ!」
患者「…なに?」
ミチコ「どうかしたんですか?」
患者「あのお嬢ちゃんともう1人のお嬢ちゃんが言い争って…」
ミチコ「えっ藤井さんが」
ヒロ子「…………あっ……痛っ…あぁ」
ミチコ「藤井さん!」
ヒロ子「あぁ……痛い…痛い」
ミチコ「藤井さん横になって
動いたらいけんよ 安静にしとらんと…」
ヒロ子「でも……弟を…」
ミチコ「気持ちはわかるけど…
自分も大切にせんといけんよ…」
ヒロ子「…でも、あたしには時間が…時間が…」
ミチコ「…大丈夫 弟くんはきっとどっかで生きとるよ
ほいじゃけぇ藤井さんもピカの病気なんかに負けたらいけんよ」
ヒロ子「……看護婦さん
(……分かってるよ……勝はもう死んでるって…でも、生きてる方に願いたい……お姉ちゃんを1人にしないで…勝…)」
ミチコ「安静にね」
ヒロ子「……」
キヨコ「ね…アンタ 気持ち分かるよ」
ヒロ子「……え?」
ヒロ子が隣を振り向くと
全身包帯だらけで肩顔しか見えてない女性が話しかけてきた
キヨコ「 私もね お母さん探しに行かんといけんのよ
ほいじゃけぇ……こがな姿で動く事も出来のよ…」
ヒロ子「……」
キヨコ「アンタ、どこから来さった?
廣島の人じゃないね」
ヒロ子「…神奈川です」
キヨコ「神奈川…」
ヒロ子「横濱に住んでて でも、空襲で家が焼けて厚木に…そこから廣島に」
キヨコ「ほうね……私も神奈川で座間から来たんよ」
ヒロ子「えっ?!」
キヨコ「実家がこっちでね 里帰りしとったらピカドンに……
そん時、お母さんと一緒に歩いとって
…気づいたらお母さんのうなっとった
ほいでこの身体よ…」
ヒロ子「……」
キヨコ「…大きなお世話かもしれんけど
あの子に謝って来た方がええと思うよ
あの子、ずっとアンタの傍に居って手握って祈とったよ」
ヒロ子「……恵ちゃん……あたしったら……恵ちゃんに酷いことを…」
キヨコ「…まぁ…ウチらかて
あと、どのくらい生きれるかわからんしね…あがいな気持ちになってしまうよね……あっ!」
ヒロ子「えっ…大丈夫ですか?!」
キヨコ「大丈夫……傷口が痛いだけじゃ……っ!……看護婦さん呼んで包帯替えてもらわんと……あぁ……ウジまで沸いとる…」
ヒロ子「……看護婦さん!」
ミチコ「包帯変えますね…」
キヨコ「…っ!」
キヨコは口の中に手ぬぐいを入れた
ヒロ子「…?」
キヨコは震えてた
ミチコ「…取りますよ」
ミチコはゆっくりと包帯を取り始めたが
包帯は火傷跡に付着しており
包帯を剥がすと膿まで取れ物凄い激痛がミチコに届く
キヨコ「~んっ!!ん!!…ん~!!」
ミチコ「足を押さえて!!」
看護婦「は…はい!…きゃっ!」
キヨコは足をばたつかせ涙を流してた
ヒロ子「…(酷い…あたしの火傷なんてまだマシじゃん)」
包帯には蛆虫も付着しており 傷口を侵食していた
ベリベリ…と剥がす度にキヨコが足をばたつかせる
あまりの激痛に失禁した
キヨコ「ん~!!ンっ!ん!!ンっ……ん…」
キヨコのその光景に他の患者も目を逸らす
20分後 ミチコは包帯を交換した
キヨコ「…漏らした所は私がやるわよ」
ミチコ「病人なんじゃから 安静にしとってください 私は気にしとりませんから」
キヨコ「…悪いね…
…みっともないことろを見せたねお嬢ちゃん名前は?…」
ヒロ子「…あっいえ…え?……藤井 ヒロ子です」
キヨコ「私は……横山…キヨコ
こう見えても 國民学校の先生なんよ」
ヒロ子「…えっ、先生なんですか!」
キヨコ「ほうよ ほいでも…もうできんね…」
キヨコは下を俯いて呟いた
ヒロ子「……」
キヨコ「…こがな身体じゃ…みんなにお化け言われるね…」
患者「大変じゃ!大変じゃ!
長崎にピカが落ちたぞ!あと、ソ連も参戦したぞ!」
患者「なんじゃと?!」
患者「また?!」
患者「ソ連が?!」
患者「今日の朝刊じゃ ほれ!」
ヒロ子「…えっ……長崎」
ヒロ子は駆け寄った
新聞を見るとソ連参戦の見出しと長崎に新型爆弾が落とされたと書かれていた
患者「長崎にピカが…」
患者「ほいでも 被害は僅少じゃ」
患者「廣島がピカでこんなんじゃけぇ
の僅少の訳あるか!
大本営と新聞は当てにならん!」
患者「あんた、声が大きいよ」
患者「それよりソ連じゃ!」
ヒロ子「…征矢野先生」
キヨコ「…どうなるんじゃろうね この國は」
校庭
恵は校庭の端の草むらにしゃがみこんでた
恵「…ウチの大バカもん……なんしてヒロ子ちゃんにあがいな事言ってしまったんじゃ…大バカもんじゃ…」
タツ「のぅ、姉ちゃんこがいなところでなにしてるんじゃ」
恵がその声を聞き見上げると
頭部に包帯を巻いた男の子が心配そうに立ってた
恵「…え?…いや…大事な友達とケンカしちゃって…」
タツ「ほうか…それは辛いのぅ」
恵「謝りたいんじゃけど……顔を合わすのが…ちぃと…」
タツ「うーん ほうじゃね 難しいのぅ」
恵「はぁ……(もし、謝っても…あんげな事言ったし……許してくれる訳ないよね…あぁ…ヒロ子ちゃん
……にしても…自分の身体がああなるまで勝くんを探すんなんて……ヒロ子ちゃん よっぽど弟思いのお姉ちゃんなんじゃね…勝くんは幸せもんじゃ)」
教室
ヒロ子「……はぁ…」
キヨコ「迷ってるなら さっさと言うのが1番よ」
ヒロ子「キヨコさん(…謝っても恵ちゃん…許してくれるのかな……それにあたしったら恵ちゃんを泣かして……最低よ…
恵ちゃん…あの日からずっと傍に居てくれて勝を一緒に探したり 私を助けてくれた……そんな優しくて大事な友達をあたしは …!)」
恵「…はぁ…あぁ~…」
タツ「ん!ほうじゃわしが一緒に付いてってやるけぇ!」
恵「…え?」
タツ「2人じゃったら 安心じゃろ?」
恵「……ありがとうね……君名前は?」
タツ「わしはタツじゃ!」
恵「ウチは恵じゃ よろしゅうね
タツくん!」
タツ「よろしゅうな!恵…姉ちゃん?」
恵「恵でええよ」
タツ「じゃあ、恵な!」
教室
ヒロ子「……よし…」
キヨコ「…頑張るんよ」
ヒロ子「はい 玉砕覚悟で謝ってきます!」
キヨコ「えっ(玉砕覚悟て…)そこまで気を張らんでも…」
ヒロ子は廊下に出てしばらく歩き突き当たりを曲がると…タツと一緒に歩く恵の姿があった
ヒロ子「?!」
恵「…?!」
お互い足が止まり 数秒見つめあった
ヒロ子「…」
恵「…」
タツ「ほれ」
ヒロ子・恵「あの!…えっ…あっ」
ヒロ子「ごめんね恵ちゃん!」
恵「ごめんねヒロ子ちゃん!」
ヒロ子・恵「…あっ」
恵「ウチ、ヒロ子ちゃんにあがいなこと言って……ホンマにごめんね!」
ヒロ子「ううん、あたしも…恵ちゃん
が心配してくれたのに…あんなこと言って…本当にごめんね」
恵「ええんよ……ヒロ子ちゃん
叩いてごめんね…痛かったよね」
ヒロ子「ううん、大丈夫
叱ってくれてありがとう」
恵「…ヒロ子ちゃん」
タツ「えかったのう!恵」
恵「うん!」
ヒロ子「…?その子は?」
恵「あっタツくんて言うんよ
さっき落ち込んでるウチを励ましてくれたんよ
タツくん ヒロ子ちゃんね」
タツ「よろしゅう!」
ヒロ子「よろしくね タツくん」
タツ「ひ…ヒロ子姉ちゃん/////」
ヒロ子「…姉ちゃん」
回想
勝「姉ちゃん!」
ヒロ子「…」
ヒロ子は少し涙目になってた
タツ「…ヒロ子姉ちゃん?…えっ わしなんかしたか?!」
ヒロ子「…ううん…ごめんね」
恵「…(ヒロ子ちゃん…勝くんを思い出したんじゃね)」
ヒロ子「…あたしにもタツくんと同じぐらいの弟が居るの…
でも、ピカの日からどっか行っちゃって…ずっと探してるんだけど…見つからなくてね」
タツ「ほうか…それは…辛いのぅ…
ほいじゃったらわしも弟探しちゃる!」
ヒロ子「…えっ」
タツ「じゃけぇ、元気出すんじゃ
…姉ちゃん!」
ヒロ子「…あ…ありがとうね…タツくん…」
ヒロ子はタツを抱きしめた
タツ「?!……姉ちゃん…/////」
恵「えかったね ヒロ子ちゃん
…タツくんてお姉ちゃんとか居ったの?」
タツ「……/////…いや、姉ちゃんじゃのうて…あんちゃんじゃ
ほいじゃけど…特攻で死んでしもうた
海軍の搭乗員で 硫黄島で死んだんじゃ
確か御盾隊じゃったかのぅ」
恵「…ウチもあんちゃんが陸軍の特攻隊員じゃったんよ…振武隊て知っとる?
隼に乗って特攻したんよ」
タツ「恵のあんちゃんも特攻隊員じゃったのか…ん…姉ちゃん…/////」
ヒロ子「……あっごめんね! 抱き着いて/////」
タツ「…別にええけど/////」
恵「あっ~タツくんたら赤くなっとる」
タツ「えっ/////…なんか、花代姉ちゃんを思い出すのぅ…/////」
ヒロ子「…花代姉ちゃん?」
タツ「近所に住んでる女學生の姉ちゃんじゃ……ほいでも…ピカで2日前に死んでしもうた…」
ヒロ子「そっか…」
恵「…あっ ほうじゃ!ヒロ子ちゃんは
戻って安静にしとらんと
勝くんはウチとタツくんが探すけぇ
心配せんで」
ヒロ子「…ありがとう……でも、勝はもう」
恵「…いや!勝くんはきっとどこかで生きとるよ
こがいにヒロ子ちゃんが想っとるんよ!
生きとるよ!」
ヒロ子「…恵ちゃん…ありがとう」
3人は教室に向かって歩き始めた
恵「…ね…ヒロ子ちゃん」
ヒロ子「…ん?」
恵「…ウチは…ヒロ子ちゃんに死んで欲しくないんよ…ウチは…父ちゃんやあんちゃんやお姉ちゃんや親友のヨッちゃんさっちゃんも大事な人みんな死んでしもうた…ほいじゃけぇ…これ以上…大事な人を失いたくないんよ…
ほいじゃけぇ、何もかもあがいにブチまけてしもうた…
ヒロ子「…恵ちゃん
…大丈夫!あたし絶対に死ぬもんですか!
勝もそうだし恵ちゃんの為に生き抜いてやるんだから!!」
恵「…ヒロ子ちゃん…ほうじゃ!その意気じゃ!ヒロ子ちゃん
ピカに負けるな!頑張ってヒロ子ちゃん!」
教室
キヨコ「…んっ…仲直りしたかな?」
ヒロ子達が教室に戻って来た
キヨコ「(えかった 仲直りしたみたいね……あれ男の子が増えとる)」
恵「安静にしとらんといけんよ ヒロ子ちゃん」
タツ「ほうじゃよ!姉ちゃん」
ヒロ子「はいはい、わかってるよー」
キヨコ「藤井さん 仲直りしたみたいね」
ヒロ子「はい お陰様で
ありがとうございました キヨコさん」
キヨコ「私はなんもしとらんよ 藤井さん」
恵「ヒロ子ちゃんこん方は?」
ヒロ子「横山キヨコさん」
キヨコ「よろしゅうです」
恵「安藤恵です よろしゅう」
タツ「わしは山本タツじゃ よろしゅう!」
キヨコ「みんなよろしゅう」
恵「ほいじゃ…休んでね ヒロ子ちゃん
勝くんの事じゃったらウチらに任せて」
ヒロ子「ありがとう 恵ちゃん」
タツ「ほら、横になるんじゃ姉ちゃん」
ヒロ子「ありがとう」
タツ「おい!ありこやウジめ!しっしっ
姉ちゃんが寝るんじゃ 去ねや!」
ヒロ子「…タツくんて…勝みたい」
タツ「…へ?…ほう?」
ヒロ子「似てるの……なんかね…」
タツ「……ほうか……じゃったら
勝君が見つかるまで弟になったるけぇ!」
ヒロ子「……えっ/////」
タツ「姉ちゃん!」
ヒロ子「…………っ……あっ…ん」
タツ「ね…姉ちゃん?」
ヒロ子「…ごめんね…あたし…嬉しくて…」
タツ「アワワワ……姉ちゃん……そがに泣かんでも…あっ…泣かんで姉ちゃん」
タツは帽子上からヒロ子を撫でた
ヒロ子「ありがとう…タツくん…嬉しい/////」
タツ「ほうじゃ……姉ちゃん なんして
陸軍さんの戦闘帽被っとるんじゃ
しかも、士官の」
ヒロ子「……ん……あぁ…」
ヒロ子は帽子を脱いだ
タツ「……あっ…姉ちゃん……」
ヒロ子「…ごめんね…」
タツ「なんで謝るんじゃ!わしじゃって……ピカで髪の毛無なってしまったわ
ピカめ…ホンマに許せん!……人は殺すし苦しめる!わしや姉ちゃんも!…ピカのバカタレ!!」
ヒロ子「…タツくん」
キヨコ「…ホンマ……ほうじゃね…」
タツ「…ん キヨコさん 手の傷口に蛆虫おるよ」
キヨコ「…あっ」
タツ「わしが払ったる …このウジめ!去ねや!」
キヨコ「……なんか 私の生徒を思い出すわ」
タツ「生徒?」
キヨコ「私、学校の先生なんよ」
タツ「ホンマ?!」
キヨコ「ほうよ、國民学校の先生よ」
タツ「先生なんか…じゃったら…わしに勉強教えてくれんかのぅ キヨコさん」
キヨコ「…え?」
タツ「學校はこがな事になってしもうたじゃろ?…じゃけぇ…勉強出来ん
わしは勉強がしたいんじゃ 字の勉強とかしたいんじゃ
勉強して賢くなって海軍の予科練に入るんじゃ!あんちゃんの仇取るんじゃ!」
キヨコ「 …ええよ…ええよ
先生が教えちゃるね」
恵「あっ!ウチもお願いします!」
キヨコ「恵さん?」
恵「ウチも勉強大好きです!」
キヨコ「…ええよ!…また、勉強を教える事出来て……私…嬉しいよ」
ヒロ子「恵ちゃん勉強好きなんだ」
恵「ほうよ!ウチは勉強大好きじゃ!」
ヒロ子「へぇ…凄いね
…あたしは勉強は苦手かな」
恵「ありゃ そりゃー意外」
ヒロ子「うん、特に数学とか分からない」
(実際に数学が苦手な女学生は多かった)
キヨコ「じゃったら 藤井さんにも教えてあげるね」
ヒロ子「うげぇ!……あたしはだ…大丈夫です~……病人だから横になろ…と」
タツ「…ほうじゃ!準備せんと!」
恵「…準備?」
校庭
タツ「あっ!恵!あったぞ!」
恵「おお! ええね」
タツは手にしてたのはふたつの木箱だった
タツ「これじゃったら 机代わりになるわ」
恵「それにしても…この學校は丈夫なんかね あんまり壊れとらんし…」
タツ「この辺は全壊を免れとるけえのう…」
恵「市の中心部の方なんかは酷いもんじゃったよ…大手から横川まで…もう…全部焼け野原じゃった…」
福原先生「ん?君たち何しとるんじゃ?」
恵「ウチら机代わりになる木箱探してて」
福原先生「木箱?何に使うんじゃ?」
タツ「あっ福原先生」
タツは事情を説明した
福原先生「ほうか!そういう事なら任せんさい!色々準備しちゃる!」
恵・タツ「ホンマですか?!」
教室
数分後 恵とタツの手には木箱と筆記用具 紙があった
恵「おまたせしました キヨコ先生」
キヨコ「…よくこんだけ集めたね」
タツ「ここの先生の福原先生が用意してくれたんじゃ」
キヨコ「福原先生…ほう」
タツ「ほいじゃ 早速勉強じゃ!キヨコ先生よろしゅう頼んます」
恵「よろしゅう頼まんます」
キヨコ「任せんさい★」
患者「なんかあん人達 面白いことやり始めたね」
患者「ほんまじゃね…」
患者「勉強か?」
患者「ええね」
キヨコ「よいしょ…」
恵「あっ!先生横になっててええですよ!」
キヨコ「大丈夫よ…」
福原先生「居った 居った」
タツ「…先生?」
福原先生「これ、使うとええ」
福原先生が持って来たのは國語の教科書3冊だった
恵「教科書…」
福原先生「先生も」
キヨコ「…あっありがとうございます」
福原先生「ほいじゃ 勉強頑張ってつかあさい」
キヨコ「……ええ人じゃね/////
…あっ始めんと…タツくんは字でも漢字が知りたいん?」
タツ「ほうじゃ!六年生の途中までは覚えたんじゃがのう…」
キヨコ「分かったわ …えっとほいじゃ…19頁(ページ)開いて
この辺?」
タツ「ほうじゃね」
恵「今の教科書は色刷なんね」
キヨコ「……(また、こうやって勉強を教えることが出来るなんて…嬉しい…
この子達の為にも私はピカには負けんから…)」
タツ「先生?」
キヨコ「あっ ごめんね……えっと……」
キヨコの目には涙が浮かんでた
恵「先生…」
キヨコ「ごめんね……嬉しくて……嬉しいて…こがなお化けみたいな身体になってしもうて…もう、先生は諦めたんよ……ほいじゃけぇ……また、こうやって勉強を教えることが嬉しいんよ…」
タツ「キヨコ先生…わしらはキヨコ先生の生徒じゃ!」
恵「…ほうよ キヨコ先生!」
キヨコ「…ありがとう…ありがとう……2人とも…はぁ……ほいじゃけぇ始めようね」
ヒロ子「…キヨコさん」
キヨコ「まずは……優 て字ね
読みは 音読みが ゆう で訓読みが
やさしい ね」
タツ「久しぶりの勉強楽しいのぅ!」
恵「ほうじゃね!」
キヨコ「…はい、ここまでかな
どう?久しぶりの勉強は」
タツ「楽しかったです!キヨコ先生」
恵「ウチもですキヨコ先生!」
キヨコ「えかった」
タツ「のう、キヨコ先生…また、勉強教えてくれるかのう…?」
キヨコ「……えっ」
恵「ウチもです キヨコ先生がえかったら また、教えてつかあさい」
キヨコ「……ありがとう……うん、ええよ」
タツ「えかった!」
キヨコ「 ええよ 私じゃったらいくらでも教えてあげるね」
タツ「ほんまか?! 先生!
やったのぅ!恵」
恵「うん!」
キヨコ「ほんまよ…ありがとう2人とも」
タツ・恵「えへへ」
タツ「ほいじゃ……次は勝君探しじゃ」
恵「今日はどの辺探そうかね…」
タツ「わしは子供がいっぱい居る所知っとる」
恵「子供が?」
タツ「ほうじゃ なんかの建物にえっと(いっぱい)居ったけえ」
恵「ほいじゃあ そこへ行こっか!」
建物前
タツ「ここじゃ」
恵「ほう…ここが」
建物はコンクリート製で建物の半分が半壊してた
恵「い……行こっか」
タツ「おう…」
恵「薄暗いね…んっ!」
タツ「どうしたんじゃ 恵」
恵「臭いが…」
タツ「……んっ…こがな臭いは…」
近くを見ると何体の遺体が野ざらしにされてた…
恵「………こ…子供達はどこかね?」
タツ「…奥の方かのぅ?ますます暗くなってきた」
恵「……」
恵はタツの手を握った
タツ「…?恵……怖いんか?ニャ」
恵「へっ?!…こ…怖くなんか無いね!……ほ…ほら、足元暗いけぇ……転ばんようによ!」
タツ「ほう」
恵「ほ…ホンマよ!」
タツ「ほう…ニャ」
恵「ホンマ言うとろ…ギェャァァァァァ!!」
タツ「恵?!…どうしたんじゃ?!」
恵「顔に!顔に!なんか なんかが! きゃう!」
タツ「…あっ……蜘蛛の巣じゃ」
恵「蜘蛛の巣?!早う取って!タツ!」
タツ「ちぃと待たれや…おっデカい蜘蛛じゃのぅ しっし」
恵「……と…取れた?」
タツ「取れたぞ」
恵「はぁ……ありがとうタツ」
タツ「恵て虫苦手なんじゃね 怖いのも」
恵「そりゃ女の子じゃけぇ…苦手よ……あっ怖いのはへ…平気じゃ!」
タツ「はいはい……ほら、手掴みぃ」
恵「…/////……ありがとう」
タツ「…ええよ/////……わしの手しっかり握ってろよ」
恵「…えっ/////」
タツ「…ほら!行くぞ」
恵とタツはさらに奥に行く
タツ「おかしい…居らんのぅ…」
恵「ホンマに居るん?」
タツ「ホンマじゃ……じゃけど……」
恵「……ん」
ノリ「……っ!」
恵「……わぁっ!」
背後から来た男の子は恵の手提げカバンを奪った
タツ「?」
恵「……え…ウチのカバン…あっ!コラ!待んさい!」
タツ「…あっこらぁー!待たんかい!われぇ!」
恵「待ちんさ……きゃっ!」
恵は男性にぶつかった
男性「おい 嬢ちゃんどこに目ん玉付いとんのじゃ
ワシらの縄張りで何してるんじゃ?」
タツ「カバンが男の子に盗まれたんじゃ」
男性「ほう……まぁええこっち来ぃ!」
恵「え…な…なんね?!」
男性「小僧も来ぃ!」
タツ「なにするんじゃ?!」
恵とタツは薄暗い一角に連れてこられた
そこには男性が2人居た
木村「なんじゃヒョン 女の子じゃあなの」
李「どっから連れて来たんじゃ」
邢(けい)「あのガキ共にカバンを取られたらしいんじゃ」
李「ほう、それは可哀想じゃのぅ」
邢「그것이 아이 놀자 일까라고(それとこの子で遊ぼうかなと)」
恵「…?!…당신은 우리 조선인?!(あなた達朝鮮人?!)」
タツ「…恵?」
李「なんじゃ 嬢ちゃん仲間か」
邢「가방은 되찾아 줄 테니 대신 우리들에게 데이트 해줘(カバンは取り返してやるからその代わりに俺達に付き合ってくれよ)」
恵「교제하고 ... 무엇하는거야(付き合うて…何するのよ)」
邢「알 겠지?(分かるだろ?)」
邢は恵のお尻を触った
恵「…?!なにすんね?!」
タツ「恵?!…恵に何するんじゃ!」
木村「おっとガキは動くんじゃねぇ!」
木村はタツの腕を掴んだ
恵「タツに何するんよ!」
邢「暴れるな!暴れるとその顔に傷が付くぞ」
邢は短刀を恵の顔に突きつけた
恵「…っ!」
邢「동향 사람끼리 사이 좋게 하자구(同郷の者 同士仲良くしようぜ)」
短刀は恵のヘチマ襟服のボタンの間に入れボタンの縫い目ごと切った
恵「……あっ!」
タツ「恵!……離すんじゃ!離すんじゃ!」
木村「やかましいわガキぃ!」
李「ヒョン 早う脱がせや」
タツ「恵!恵!離すんじゃ!!」
木村「姉ちゃんが裸にされる所黙って見とれ」
恵「あっ……ちぃと…なに………んっ」
邢は恵の服の中に手を入れシュミーズをめくりあげ服を強引に開かせた
恵の胸部が露になる
恵「…っ!」
タツ「恵!」
李「なんじゃ こまい(小さい)乳じゃのう」
タツ「あっ…恵…」
恵「…見んで!!」
木村「ええぞ 下も脱がせ」
邢「…ほいでも 触り心地はええぞ…」
朴は恵の乳を触る
恵「…んっ…や……やめい……な……なんしてこがなことするんよ…んっ…」
邢「やかましいわ!……わしらはあのピカドンのせいでみんな奪われたんじゃ
何もかも……何もかもなぁ!
やっと……憧れの日本に来て…幸せじゃったのにあの爆弾が……全て壊して行きよった…!!
…これを見ぃ!」
邢の腕には青紫の斑点があった
恵「…あっ…」
邢「…ピカの病気じゃ!わしもいつ死ぬかわからん ほいじゃけぇ!もう、好き勝手に生きるんじゃ!」
恵「……んっ……ほ…ほいでも」
邢「やかましいわ!大人しくするんじゃ!」
邢は恵の胸を強く揉む
恵「……んっ…痛」
ノリ「…喰らえ!」
木箱の上から男の子がパチンコを撃ってきた
邢「……なんじゃ……痛!!」
ケイ・シゲ「おりゃぁぁぁ!!」
李「なんじゃ?!」
木村「…お?」
2人の男の子達は李の後ろにある木箱の束を蹴り崩した
崩れた木箱は李の上に崩れた
李「あぁ…」
邢「クソ……なんじゃ…」
恵「タツこっちじゃ!」
恵はタツの手を引っ張り その場から逃げた
邢「……待てや!」
ノリ「おりゃー!」
邢「アギャ!」
邢に向かって木箱を投げつけた
木箱は邢の顔面に直撃した
木村は後を追うが木箱で躓いた
木村「……っ!痛…クソ…シゴしあげたる…ガキャ…」
シゲ「こっちじゃ!」
ノリ「早う!」
恵「ありがとう!」
タツ「あっ!お前は!カバン…」
ノリ「あとで返すからこっちじゃ!」
恵達は瓦礫に身を潜めた
シゲ「ここなら大丈夫じゃろ…」
恵「…ありがとうね」
シゲ「…おう…それより服閉じろ/////」
恵「……あっ/////」
タツ「恵大丈夫か!?」
恵「大丈夫よ」
タツ「…すまんのぅ……すまんのぅ恵…わしが……助けてやりゃ…」
恵「ええんよ……それよりタツが無事でえかった」
タツ「…恵」
シゲ「おい、ノリ渡したれ」
ノリ「…ほれ」
恵「…あっ、ウチのカバン」
ノリ「盗んで…悪かったのぅ」
シゲ「全くじゃ ノリのバカタレ
……姉ちゃん わしに免じて許してくれや」
恵「まぁ…返してくれるならええよ」
タツ「にしてもなんでカバン盗んだんじゃ」
恵「ほうね…」
ノリ「…食いもん探しじゃ
わしらはもう3日も食べてないじゃ…
じゃけぇ、カバンを取ったんじゃ…腹が減って死にそうなんじゃ…」
恵「……」
シゲ「わしらはあのピカドンに家は壊され 家族もみんな死んだんじゃ…右腕ものぅ」
タツ「ほうか………ほうじゃ」
タツは自分のカバンを漁り始めた
恵「タツ?」
カバンの中から胡瓜3本が出てきた
タツ「……これやるよ」
シゲ「……」
ケイ「胡瓜じゃ!」
シゲ「……ええんか?」
タツ「ええ」
ノリ「ホンマにええんか?!」
タツ「ホンマじゃ…ホンマは恵や姉ちゃんやキヨコ先生にあげたかったじゃが……スマンのぅ 恵」
恵「……ええんよ タツ あげて」
ノリ「…あんちゃん!」
シゲ「…待ちぃ!…そがな胡瓜貰う訳にいけん」
タツ「ええから食べるんじゃ
助けてくれたお礼じゃ!」
恵「ほうよ あん時助けてくれんかったら
どうなってたか…食べんしゃいや」
ケイ「…シゲあんちゃん」
シゲ「…ありがとうのぅ…お前ら大事に食うじゃぞ!」
男の子達は胡瓜を貪り食べた
ケイ「美味いのぅ……美味いのぅ」
シゲ「…ありがとうのぅ……ほうじゃ
なんしてこがいな所に?」
恵「男の子探しとるんよ…五年生ぐらいで藤井勝くんて言うんじゃけど」
シゲ「…知らんのう ノリ ケイ知るか?」
ノリ「知らんのう……ケイはどうじゃ?」
ケイ「うーん 知らんのう」
タツ「他に子供は居らんのか?」
シゲ「最近まで居ったんじゃかのう…ほとんど死んでしもうた…あとはよそ行ったり
今、ここに居るのはわしらだけじゃ…
あと、最近来たあの朝鮮人達じゃ」
タツ「ほうか…」
シゲ「外に墓に名前が書いてあるけぇ
なんじゃったら見とくとええ
ノリ 案内したれ」
ノリ「あいよ こっちじゃ」
恵「…ありがとう」
ノリ「…のぅ、姉ちゃん…さっきはホンマにすまんのぅ」
恵「ええんよ」
タツ「ほいじゃがもうしたらいけんぞ」
ノリ「あぁ…すまん」
タツ「…と言ってものぅみんな生きるに必死じゃけぇ……そうせんと生きていけんしのぅ……なんとかなるとええんじゃが」
恵「ほうね……日本が戦争に勝てばこんな思いせんで済むし…あともう少しの辛抱じゃ」
ノリ「……勝つんかいのぅ…廣島をピカでこがいにされて……長崎にも落とされたんじゃろ……それにソ連も…」
恵「…日本は勝つんよ! 今に神風が吹いて鬼畜米英なんか鎧袖一触じゃ!
銃後のウチらがそんなんでどうするんじゃよ!ほいじゃけぇ頑張るんよ!」
タツ「恵…」
ノリ「…そうじゃ!アメ公め!今に見ておれ!…父ちゃん母ちゃんの仇を取ってやるんじゃ!……取ってやるんじゃ……取ってやるんじゃ…」
ノリは涙を浮かべてた
タツ「……ほうじゃ わしじゃって予科練入ってアメ公を蹴散らすんじゃ!」
恵「ウチじゃって!」
ノリ「……日本が勝ったら……白米をたらふく食いたいのぅ」
恵・タツ「……ほうじゃね」
墓前
ノリ「ここじゃ…」
恵とタツは手を合わせた
タツ「……どうじゃ?恵」
恵「……うーん…居らんね」
タツ「ほうか……ん?……えっ」
恵「どうしたんよ」
タツ「……あぁ…俊あんちゃん………俊あんちゃんも死んでしもうたんか…」
恵「…タツ」
タツ「近所に住んでおった……中学生のあんちゃんじゃ……俊あんちゃん…うぅ…」
ノリ「……あと、あの墓が最近死んだ子供たちの墓じゃ」
恵「………こがいに居るんね」
ノリ「みんな……父ちゃんや母ちゃんて呼びながら死んで行ったわい…」
タツ「……惨いのぅ…アメ公の奴らに見せてやりたいのぅ!……」
ノリ「…姉ちゃん 探しとる男の子の名前あったかのぅ?」
恵「……ううん 居らんよ
…居って欲しうないもん…勝くんは生きてて欲しい…」
タツ「…他に子供たちが居りそうな場所知っとるか?」
ノリ「ほうじゃのぅ……シゲあんちゃんなら知っとるかも」
シゲ「他に子供が居りそうなところか…」
シゲは煙草を咥えて靴の裏でマッチを擦ろうとした時 胸ポケットから1枚の写真がひらりと落ちた
タツ「…あっ 写真落ちたぞ」
恵「…タバコ吸ってええのー?」
ジート
シゲ「…硬いこと言うなや姉ちゃん
おっ すまん……」
恵「…ん 女の子?」
シゲ「妹じゃ…ピカで死んでしもうたが…わしのたった1人の兄妹じゃった」
タツ「あれ?じゃったら…」
ノリ「わしとケイはシゲあんちゃんが拾ってくれたんじゃ」
ケイ「シゲあんちゃんにはホンマに感謝じゃ…シゲあんちゃんが居らんかったらワシら野垂れ死んでたわ…」
ノリ「ホンマじゃ」
タツ「…ほうじゃったのか」
シゲ「……痒い事言うなや 照れじゃろうが……お前らだけはわしが大事に見たる
…大事な兄弟じゃ」
ノリ・ケイ「シゲあんちゃん…」
シゲ「……ほうじゃ……子供たちが居る所じゃったのぅ……こっちじゃ」
シゲは恵とタツを建物の上に案内した
恵「……あぁ……廣島の街が…」
タツ「……ホンマなんも無うなってしもうたのぅ…」
恵達は廃墟になった廣島の街を見つめた
シゲ「ピカはホンマに恐ろしいのぅ……クソ!……ほうじゃ…あの建物と その奥の建物とかにおるかのぅ」
恵「ありがとう …えっとあの建物と奥の建物じゃね」
シゲ「その男の子見つかるとええな」
恵「うん……ウチの大切な友達の弟さんなんよ…ほいじゃけぇ見つけてあげたいんよ…」
シゲ「ほうか ……姉ちゃん ええ子じゃのぅ」
恵「ほうでもないよ…今日、喧嘩しちゃったし……仲直りしたけど」
シゲ「友達なんじゃから喧嘩はするもんじゃろ……してもまた仲直りすればええ」
恵「…ほ…ほうじゃね」
シゲ「……さぁ、戻るかのぅ 姉ちゃん頑張れよ」
恵「うん」
恵・タツはシゲ達と別れた
タツ「…のぅ、恵」
恵「ん?」
タツ「恵て朝鮮語分かるんじゃね」
恵「…あっ……うん……ね、タツ…」
タツ「?」
恵「…ウチ…朝鮮人なんよ……二世じゃけど」
タツ「…ほうか 恵は朝鮮人じゃったんじゃね」
恵「……嫌いになった?」
タツ「えっ?!なんでじゃ?! そがな理由で嫌いなる訳無いじゃろ!」
恵「…ホンマ?」
タツ「ホンマじゃ!」
恵「…ウチ……子供頃 それでいじめられてたんよ…それに朝鮮人て分かるとちぃと渋い顔されたり」
タツ「恵が朝鮮人じゃっても…恵はわしの大事な友達じゃ!」
恵「タツ……ありがとう……タツて博くんみたいじゃ
六年生の時
朝鮮人て事でウチは女の子達からいじめられとってね…ほいでも 博くんだけは
…朝鮮人でも普通に接してくれたんよ……嬉しかったなあん時は…」
タツ「…六年生じゃから…わしと同じか」
恵「えっ?!…タツ 六年生なん?!」
タツ「ほうじゃ」
恵「…博くんじゃ…」
タツ「ホンマじゃのぅ……姉ちゃんは恵が朝鮮人なの知っとるのか?」
恵「うん…ヒロ子ちゃんも嫌な顔せんかったよ 」
タツ「それはえかった…なんか……朝鮮語喋る恵…かっこええかったぞ…/////」
恵「えっ…かっこええ……?
そがな事…初めて言われた…/////」
タツ「恵は優しくてかっこよくて……素敵な姉ちゃんじゃ…/////」
恵「…タツもじゃよ/////」
タツ「…照れるのぅ…/////あっ……早う姉ちゃんの所に帰ろう」
夕方
恵「ただいま ヒロ子ちゃん」
ヒロ子「あっ恵ちゃん…」
キヨコ「おかえりなさい」
ヒロ子は起き上がろうとする
恵「あっ!寝ててええよ!ヒロ子ちゃん」
タツ「ほうじゃ!姉ちゃん」
ヒロ子「…勝は?」
恵「…ううん……ほいでも子供たちが居りそうな所はわかったよ
明日はそこに行こうかな」
ヒロ子「ありがとう…恵ちゃん タツくん」
恵「ええんよ ヒロ子ちゃん」
タツ「ほうじゃよ 姉ちゃん」
ヒロ子「…ありがとう」
タツ「…あっ!もうこがな時間か
…ほいじゃぁ…わしはいぬる(帰る)けぇ
家でオカンが待っとる 恵 姉ちゃん キヨコ先生また、明日じゃ!」
恵「気をつけていぬるんよー」
キヨコ「気おつけるんよ」
ヒロ子「じゃね タツくん」
タツは教室から出て行った
恵「お母さん居るんじゃね……えかった 」
ヒロ子「そうだね」
キヨコ「はぁ……ええ意味で疲れたわ…久しぶりじゃね……楽しかった…」
恵「ウチも楽しかったです!キヨコ先生
…ありがとうございました」
キヨコ「こちらこそありがとうね 恵さん」
恵「……///// …ほうじゃ
ヒロ子ちゃん 具合は大丈夫?」
ヒロ子「うん、大丈夫だよ
…なんか、あたしも勉強したくなってきたかも」
恵「ヒロ子ちゃんもやろうよ!」
ヒロ子「…でも、…右手が」
ヒロ子の右手の手ひらには火傷があった
恵「…」
ヒロ子「書くことは出来ないけど聞くことは出来るから
…キヨコ先生 あたしもお願いします」
キヨコ「藤井さん… 藤井さんも私の生徒じゃけぇね」
ヒロ子「キヨコ先生…」
キヨコ「……んっ……ゴホッ…ゴホッゴホッ...」
恵「キヨコ先生!」
キヨコ「…へ……平気 大丈夫よ
ちぃと噎せただけだから………」
恵「キヨコ先生も横になって」
キヨコ「ありがとうね 恵さん」
夜
恵はヒロ子に団扇を仰いでいた
恵「夜でも暑いね」
教室前
巡査「あの 藤井ヒロ子さんはどちらに」
ミチコ「…え?藤井さん 藤井さんならそこの教室に…」
巡査「どうも……藤井ヒロ子さん 藤井ヒロ子さん」
巡査が教室に入って来た
恵「……え?ヒロ子ちゃん…ヒロ子ちゃんならここに」
巡査「おっ…」
巡査が近寄って来た
恵「お巡りさん……ヒロ子ちゃんがどうかしたんです?」
巡査「藤井さんは?」
恵「ヒロ子ちゃんなら…」
巡査「……あっ…藤井さん
…藤井さんは大丈夫なんですか?」
恵「はい、今のところは」
巡査「藤井さん…」
恵「ヒロ子ちゃんがどうかしたんですか?ウチはヒロ子ちゃんの友達です」
巡査「あっ 弟さんの件で…」
恵「勝くん見つかったんですか?!」
巡査「……」
巡査は首を横に振った
巡査「…探してみたんじゃがそれらしき男の子の情報は…無くてのぅ
遺体や浮浪児やらも探したんじゃがのう……駄目じゃった」
恵「…勝くん…」
巡査「市内全域も調べたんじゃがのぅ… じゃけぇ…もう……燃やされたか」
恵「……ヒロ子ちゃん……9日に倒れるまでずっと勝くんを探しとりました…
ホンマ ヒロ子ちゃんは弟想いのええ姉ちゃんなんです……ヒロ子ちゃん…」
巡査「……藤井さん…もう一度探してくるけぇ…」
恵「……お巡りさん…」
巡査「……困っとる者を助けるのが警察官じゃ…それにやっと警察官らしい仕事をしとると思うんじゃ…憲兵みたいな仕事はもうええ
…じゃけぇ…見つけ出しちゃる…勝くん…」
恵「…お巡りさん ヒロ子ちゃんの代わりにウチから……お巡りさんありがとうございます!ヒロ子ちゃんも喜んどります!」
巡査「…あぁ 頑張ってみるけぇ
…ほうじゃ 藤井さん達 海軍少佐の子供じゃったんじゃのう」
恵「はい……ほいじゃけぇ軍人さんみたいに逞しいですよ ヒロ子ちゃんは」
巡査「うん…ほうじゃな 逞しいお嬢ちゃんじゃ …ほいじゃ俺は勝くん探しに戻るけ…ゴホッ...ヴ...ゲ……」
恵「…大丈夫ですか?」
巡査「…あぁ……平気じゃ…はぁ……藤井さんを頼みますけぇ」
恵「あっはい」
巡査「では」
巡査は教室から出てった
恵「……ヒロ子ちゃん ええお巡りさんじゃね
ヒロ子ちゃん……今はしっかり休んでね……代わりにウチとタツが勝くん探してくるけぇ
ほいじゃけぇ 心配せんでね……」
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