宿儺成り代わりについて考えてみた   作:かりん2022

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勇者と間抜けな魔女

(うーん。やっぱり悠仁に宿ってるの、宿儺じゃないね! でももっと面倒事の予感!!)

「笑っている場合か」

 

 黒い、五条の形をやんわりととった液状物質。まるである。

 

 スライムもお守りのキーホルダー人形も、未知の技術で、未知の力で、宿儺の文献と擦りもしない。

 ただ、虎杖が取り込んだその指は確かに宿儺の指だった。

 一体、何が起こっているというのか。

 

 

 そんな時に、特級呪霊の対応依頼がきたとまるが教えてくれた。

 明らかに出張中を狙った罠。だが、宿儺の観察をしたかった。

 

(ま、まるがいれば大丈夫でしょ)

 

 まる。小さくてもプルプルしてても最強呪術師の使い魔である。

 ぶっちゃけ五感共有できるので、まるがいれば五条は出張しながら生徒達の様子を見れるのだ。

 

 さらに言えば、遠隔操作で二級までなら余裕で祓える事は実験済みである。

 まるまであちこち出張に飛ばされたら大変だから言わないけど。

 

 

 そんなこんなで、雫って名前も妖精も地獄って名称も宿儺が地獄にいます的なそれもまるっと五条に筒抜けになってしまったのだ。まるだけに。

 

(神様ではないっぽいよね。邪悪な存在って自分で言ってたらしいし、呪霊でもなさそうだし。実際には悪魔的な何かなのかなー?)

「笑っている場合か(二度目)」

(まーでも、宿儺よりは悪いものじゃなさそうだ。そろそろ僕も出張から帰れるし、くろを誘拐した奴のことも気になる。くろのことは残念だったし、お墓も作りたいからできる限り急ぐよ)

 

 対処は必要なのかそうでないのか。触らぬ神に祟りなしなのではないか。

 五条は、突っ込むことを選んだ。

 

「悠仁ーっ 雫ちゃん紹介して!」

「ええっ!? でも内緒って約束したし!」

「せんせーも必要なら内緒にしてあげるからさ♪」

「一番バレちゃいけない人なのでは?」

「呪力の事も教えてあげるよー? 悠仁、まだ呪力練れないでしょ」

「あっ それは知りたい! 雫!!」

「速攻で売るな」

 

 呼ばれた宿儺、いや、雫はプリプリとした。

 

「全く。それで、私に何の用?」

「宿儺どうしたの?」

「覗き見していたら体を取られたのよ。厳密には交換だけど。指と魅惑のむっちりボディをね!」

「え、そうだっけ?」

「誰が男と間違うつるぺたですって!?」

「言ってねぇよ!」

「君、何?」

「魔女よ。宿儺、私の体で私の周りと馴染んじゃってるのよね。もう戻るの諦めて、新しい体を作る予定。呪力はまあ惜しいけど、男の体なんていらないし、私がどうこうできるようなちゃちな器ではないし」

「指送る時、化け物の中でめっちゃ楽しそうに暴れてんの見た!」

「そこ、どこ?」

「遠くだから、宿儺が帰ってこようと思わない限り大丈夫よ」

「なんですぐに助けを求めなかったの? 僕って頼りないかな?」

「先生……」

 

 悠仁は感動する。しかし雫は別の意見があるようだ。

 

「今、あんたの所凄く大変な事態になってるじゃない……。他所の世界にあんまり干渉するのもアレだけれど。私は悠仁に協力して目立たずそっと新しい体を得て帰れたらそれでいいのよ。人間界と地獄の接触なんてどうあってもいい結果出ないでしょ。特に虎杖があんたに保護されるよう誘導した子にバレるとすこぶる面倒なのよ」

「地獄って死んだ人がいく?」

「違うわ。魔界の方がわかりやすいかしら。悪魔どもがたむろする最悪の場所。心配しなくても、この世界が宿儺を失って宿儺クラスの呪力の呪術師が一人現れるくらいで済むようにするわよ」

「出来るの? 君ポンコツ魔女っぽいじゃん。目立ってないって本気で思ってるの?」

「あんたに言われたく……ううん。才能があって頑張ってる人って嫌い。反論の余地がないもの」

「随分、僕への評価が高いよね。照れるな。君は僕の何を知ってるの」

「課せられた運命を。まー、それはそのうちわかるわよ。今言ってもややこしいだけだし、現時点で変にバタついても逆効果だから」

「不吉っぽいこと言うじゃん。僕についてくれんでしょ?」

「どっちにつくかって言われたらね。神様の尖兵に進んで恭順するわけないでしょ。魔女が。ただ、あいつの全勝ちになりそうだったらちょっと手伝ってあげる。私も困るから。私の体づくりに全面協力してくれるなら、もうちょっと手伝ってあげてもいいわよ!」

「君は人類の敵?」

「ええ? あんた呪霊にもそういうこというの? 当たり前じゃない、魔女だもの!」

「はっきり言うじゃん、どういうふうに人類の敵? 人食べる?」

「契約を結んで魂を奪ったり、奪った魂を加工したり、まあ色々よ」

「ガチじゃん。悠仁にそうしないのはなんで?」

「……ああそうね! 魂も体も、余さず使い所があるわけだし!」

「あ、気づいてなかった? ごめん今のなし」

「悠仁! 契約を結びましょ!」

「嫌に決まってんだろ。魂を加工ってなんだよ」

「武器とか食べ物とか」

「絶対嫌」

「まーでも、万が一神様の逆鱗に触れたら嫌だから多少は配慮するわよ。今のところは」

「神様っているの?」

「いるわよ。ガッツリいるわよ。でなきゃ術式開示とか縛りとか天与呪縛とかあなたの存在とかあるわけないでしょ。なんなら呪力だって自然発生じゃあり得ないかなり特殊な力なんだからね?」

「なるほど。でも僕、神様なんて知らないけど?」

「当たり前でしょ、直接介入できないんだから。私が今色々当人に言ってるのもセウトだけど、まー私、魔女だし。悪だし。ルールなんてやぶってなんぼだし」

「ふーん。とりあえず、「前回の僕達」が2回取り逃した、つまり千年は存続してるヤバイ敵がそろそろ襲って来る。悠仁はそれに関係してるってわけね。上層部にも侵食してたりする?」

「記憶力いいわね。まあ、千年で出来る事はしてるわよ。貴方も察してるから、京都を飛び出したんじゃない? でも全部が全部敵の手に落ちてるかというと、そうでもないわ。だから兵器としての貴方が必要だったにしろ、今、生きている。せいぜい周囲に感謝しとくのね。ま、それも王手寸前だけど?」

「すごい詳しいじゃん」

「だって見てたもの。映画気分でがっつり近寄ってみてたら、宿儺に気づかれて……ああもう、ほんと最悪」

 

 五条先生は、しばし考えて言った。

 

「……雫。僕と縛りを結ぼうか」

「あら。邪悪な魔女に、勇者様がいいの?」

「怒られたらその時は雫も一緒ね」

「ゲェッ やめとく。じゃあ、勝手に多少助けてあげるから、監視付きで多少の自由をちょうだいよ。悠仁には呪力の授業ね」

「あ、そう? じゃーそれでいいや」

 

 そして、魔女と呪術師の協定は結ばれた。

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