厨二病の男が勘違いされる話   作:D.D.D_Official

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決闘

 

 

「師匠…俺は、貴方を超えて見せますッ!」

 

「勝てると思うな…小僧ッ!」

 

 

互いに啖呵を切り合い、駆け出す。

俺の得物は直剣、だがただの直剣ではない。ヴィヴィアンが喚び出した小精霊を剣にした物だ。

 

名を、“精霊剣バンシー"。

この剣で斬りつけたものは、血を流し苦しみ悶え死ぬという物だ。素になった精霊の名はバーバンシー。元は家人の死を予言する精霊だが、何の因果か血を啜る精霊となっていた。そしてその性質が剣に受け継がれ、血を吸いとる剣へと成ったのだ。

 

「せやァッ!【ブラッド・ミスト】!」

 

剣を握った時に俺の脳内に、この剣の使い方、そして能力が流れてきていたのだ。恐らく、バーバンシーが俺に力を貸してくれているんだろう。

俺は出血を齎す血の霧を剣から噴き出させ師匠にぶつける。

 

「鈍い鈍いッ!」

 

「ぐぬッ!?」

 

亜音速に見える程の速さで躱される。だが、目で追えている。勝機はある。師匠だって人間だ、血が出れば死ぬはずだ。諦めるな、俺!

 

「霧がダメなら…!【ブラッディ・レイン】!」

 

「むっ!この程度、効かぬぞ!」

 

あろうことか師匠は槍を片手で回転させ血の雨を防いでしまった。人間離れした技だ、これがクー・フーリンの師匠の実力というわけか!?

 

「この、ビックリ人間が!【屍山血河】ァ!」

 

「この程度効かぬと…ぐっ!?」

 

「よしっ!」

 

血で出来た液状の斬撃が師匠を捉える。ぱっと見固形の攻撃にしか見えないこの技の本質は斬ることでは無く、敵に出血の呪いをかける事にある。そして屍山血河は四連撃の技だ。このまま削り切る!

 

「うぉおおおおおおおおっ!!!」

 

「くっ!あっ!がはぁっ!?」

 

「フハハ!油断したな師匠よ!これで終わりだァ!受けてみよ、ヴィヴィアンより受けし焔の力!【エクスプロージョン】!!!イ"ィヤ"ァッ!!!」

 

師匠から大量の血が流れ出したのを見計らい、エクスプロージョンを例の掛け声と共に発動させる。やったか!?

 

 

「まだだ……クク、ここまで儂を斯様に追い詰めた者が現れるとはな…何百年ぶりか…!クク、クククク…!少々大人気ないが、受けてみよ。刺し穿ち…!突き穿つ!」

 

朱槍が飛んでくる。だがバンシーでしっかり防御する。ゲイボルグの攻撃は突き出なければ怖くないという事を俺はこの二週間で知った。

 

「無駄だ……なっ!?身体が、動かない!?何だ、これは!?」

 

「ククク…神性を持って産まれた事を後悔するのだな。【ゲイボルグ・オルタナティブ】ッ!」

 

う、動けん!死ぬ、このままだと死んでしまう!それはマズイ、俺の命にはヴィヴィアンの命まで掛かっているんだ、死ぬわけにはいかない!

 

「うおおおおおっ!何とかなれ!俺は、【帝国の破れぬ盾、グレン・ヴァン・インフェルノだ】ぁぁぁぁ!!!!!」

 

「今更何を……何ッ!?儂のゲイボルグ・オルタナティブが、防がれている!?何故だ!必殺必中の技だぞ!?」

 

俺の前に光の壁が展開される。何だ、とうとう覚醒か!?いや、そんな事を考える前に避けなければ!

 

「危ねぇ!くっ、とどめを刺してやる!【天く「降参だ」……何?」

 

どういう事だ?俺の油断を誘うための罠か?

 

「だから、降参だと言うておるのだ。儂の必殺技を防がれたのだ、もう文句は無い」

 

「………勝った、のか?俺は…」

 

「あぁ、悔しいがお前の勝ちだよ。勿論、純然たる殺し合いであれば儂の勝ちは揺らがぬのだがな。本来ならあの後、無数のゲイボルグを打ち込んでも良かったのだぞ?」

 

「だが、勝った…俺は、勝った……!俺は、俺はやったんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ウォオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 

やった。やったんだ。あのスカサハに勝った。こんな事、前いた世界では考えられないような偉業だ。バーバンシーやヴィヴィアンの協力があったとは言え、史上最も強い女に勝てたんだ。

 

『ま、私は初めから信じてましたけど?……とは言えないわ。あのゲイボルグの軌道、完全に心臓を捉えていたもの。むしろグレンはよく防げたわね。あれって神性を持ってる人には効果抜群でしょ?』

 

「だからこそ、儂は負けを認めたのだ。逆境に打ち勝ってこその勇士。その姿、真に勇者であったぞ」

 

「ありがとうございます、師匠。これで俺も歴とした勇者を名乗れる」

 

「ところでなのだが…時にグレンよ。女に困ってないか?」

 

「は?」

 

は?何を言い出すんだ、師匠は…?

ああそうか、血を出しすぎてトチ狂ったのか。

 

「実はな?逆境に抗うその勇姿を見たらな?その、疼いてしまって…」

 

『はぁー!?何言ってんのスカサハ!グレンは私の何ですけど!?それにアンタ、散々勇者とやる事やったんでしょ!?だったら良いじゃない!昔の男でも連れてきなさいよ!』

 

「いやしかし…グレンは美形だし、その上勇士だ。儂の愛人としては丁度良かろう?」

 

『グレンは私と一心同体だから!私同伴でやるのはキツいでしょう!?』

 

「それはそれで趣があるな…」

 

『なーっ!?アンタ、いつの間にメイヴになったわけ!?この色魔!貞操狩り!』

 

「やれやれ、姦しいとはこの事だな。因みに、俺の心は既にヴィヴィアンに奪われてしまったから師匠に渡せる分は無いんだ。すまないな」

 

『まぁっ、嬉しい!どうよスカサハ?これが、"愛"の力なのよね!オーッホッホッホ!』

 

 

その後、精霊と女傑の激しい死闘があったが俺は疲れで立ったまま寝ていた。目が覚めた時にどっちが良いか聞かれたが、俺はヴィヴィアンを選んだ。8回死にかけた。

 

 

グレンが帰還するまであと四日。

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「オイお前。毎日ここで修行してるっつーのはテメェの事だな?確か…グランツとか言ったか?」

 

城壁の上。そこに全身鎧の騎士と、大盾と短槍を携えた騎士が対峙していた。

片や弟子のように思っていた少年を亡くした騎士。

片や親友を失った騎士。

奇しくも、両者が失った者は同じであった。

 

「…はい。私が下級騎士長代理、グランツです。高名なモードレッド卿が私なんかに何の用で?」

 

「そう畏まんなよ。お前、グレンのダチだったよな?オレはグレンに礼儀作法やらを教えてやってた身なんだが…」

 

「っ、グレンの…。それで、何ですか?私はグレンに対する処遇に納得がいっていないのですが。何故グレンを英雄として祀らないのですか?理解しかねます」

 

「……やっぱり、お前もオレと同じ考えか。王は、円卓はグレンの英雄的戦果の報酬をランスロットに与えようとしている。オレはそれが許せねえ」

 

「何だと…。それは本当なのですか、モードレッド卿。それが本当なら、私は…」

 

「ガチだ。王曰く、『死んだ者に恩賞は与えられない』だとよ。ったく、ふざけてやがるぜ!クソッタレが!」

 

「…………………………」

 

「なぁ、グランツ。オレと来い。オレと共に円卓をぶっ潰してやろう。一緒にグレンの無念を晴らすんだ」

 

「……ランスロットは、どうなさるのですか。奴は最強の騎士。正当な手段では…いえ、外道な手を使おうとも勝てないでしょう。どうなさるおつもりですか?」

 

「ランスロットには遠くの任務に出て貰う。オレの仕事を押し付けてな。その隙を叩く。王に認めさせるんだ。オレと、グレンを」

 

それを聞くと、グランツは目を細め故郷の家族を想う。

 

(すまない父さん、母さん。オレは円卓を、王を裏切るよ。親友の名誉を守るために)

 

「いいか?実行はあと二週間と五日後だ。そこでグレンの無念を晴らす。他の騎士にも声を掛けておくから、それまでに腕磨いとけ。良いな?」

 

「Yes.Sir」

 

 

グレンが帰還するまであと二週間と五日。




俺だ、グレンだ!!!!
遂に俺は名実共に最強になったと言っても過言ではないだろう!
フハハ、フハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!
しかし、グランツは気負いすぎでは無いか?
親友として心配だが、奴は強い!何とかなろう!
もしダメでも、俺が何とかしてみせるとも!!!フハハ!

さて、次回予告をさせて貰おう。
影を抜け、白亜へと迫る火焔。
その焔が齎すものは希望か、絶望か。
運命は常に、無常である。
次回「世界樹を裏切りし者」

グレンのサーヴァント時のクラス

  • セイバー(厨二語による謎カリスマ)
  • バーサーカー(厨二病はバーサーカー理論)
  • フォーリナー(転移者+神の影響)
  • キャスター(ヴィヴィアン霊基、女体化)
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