厨二病の男が勘違いされる話   作:D.D.D_Official

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希望しか齎さない男グレン(本名:グレン・サトウ)

 

 

あの修行を乗り越えてからと言うもの、身体がやけに軽い。キャメロットまで数十キロはあるはずなのに、走って五日で着こうとは。それもヴィヴィアンを背負ってその速度だ。今なら腕相撲で最強神になれるな。

 

『グレン、この先で何やら戦いの気配がするわ。何かあったのかも』

 

「ほう?やはりお前も感じるか、この激しい気を」

 

『まぁね。いつまでもグレンの保護者気取りは出来ないんだから』

 

実際、ヴィヴィアンと俺が戦えば百戦やって一戦も勝てないだろう。だって考えてもみろ、何万もの軍勢を一瞬で殺してみせたんだぞ?俺に同じ事が出来るかと言われたら「無理だ」と答えるしかあるまい。

どこの神話でもそうだが、基本的に人間に出来る事は限られている。寧ろ、異世界チート物の主人公がしている事は精霊や神の範疇の物だ。

 

俺の持つ精霊剣バンシーと無くしたクリムゾンは確かに強い武器だが、広範囲殲滅攻撃など出来っこない。だが、ビッグバンアタックやイオグランデみたいな技を撃ってみたいのは男子の定めだとも言える。どうにかして覚えられないか?

 

「ところでヴィヴィアン、俺に魔法は使えるのか?前々から憧れていてな。重力魔法とか、次元魔法とか使ってみたいんだが」

 

『……え、そんな魔法聞いたこと無いわよ。それともあれかしら?グレンが通ってたとかいう魔術学園で使ってる人が?』

 

なんだ、無いのか。ブラックホールとか次元断、使ってみたかったんだが。

 

「そうか、なら良いんだ。突然すまなかったな」

 

『良いのよ別に』

 

そんな話をしている内に、キャメロット城前まで来てしまった。だが、明らかに異変が起きている気配がある。門兵が居ないのだ。

 

「やはり……か。何かが起こっているようだな。この俺の"ラグナロク・センサー"も危険を察知している。ヴィヴィアン、行くぞ!」

 

『えぇ、何が起こってるのか楽しみね!』

 

やっぱり精霊って碌でもないんじゃないか?

まぁ良い。とにかく事態を把握しなければな。

 

 

 

「これは…!?騎士達が倒れ伏している。一体誰が…」

 

あたりを見渡す限りの騎士達の山。死んでは居ないが、殆どが重症、若しくは気絶している。それと同時に、遠くの方で爆音が鳴った。

 

「何だ、何が……!?あれは、モードレッド!?」

 

爆音の方に目を向けると、そこにはイケメン騎士と戦うモードレッドがいた。まさか、もう反逆なのか!?だとしたらランスロットは既に裏切り済みか!くそっ、俺がいない三週間の間に何が起きたんだ!?

 

「くっ、ヴィヴィアン!倒れている騎士達を手当してやってくれ!俺はモードレッドを止める!」

 

『ええ、頑張って!』

 

俺は思い切り助走をつけて跳ぶ。凄まじい速度で移動できる。これも修行の成果だな。あ、マズい。モードレッドがやられそうだ。ここは割って入るか!

 

「双方、争いを止めよ!これ以上の死闘は、この俺、グレン・ヴァン・インフェルノが許さん!」

 

バンシーを地面に突き立て、間に割って入る。咄嗟の事でモードレッドとイケメンが戸惑っている。

 

「グ、グレン…!?生きて、生きてたのか、お前…」

 

「勘違いするな、俺は死なん。一時は死線を彷徨いはしたが、精霊の導きによって俺は帰還した。モードレッド、考え直せ。お前は叛逆の運命にあるのやも知れんが、俺は反対する。お前の運命は、お前が決めろ」

 

「なんだよ、クソ……こんな、事ってあるかよ…!オレはもう叛逆しちまった!王に刃向かっちまったんだ!当初の目的は失われたが、もう、後には…!」

 

頑固な奴だな。というか、叛逆は本当にやめて欲しい。今叛逆が成功しちゃうと、色々マズい。何がマズいって、エディンバラ戦役の時の報酬やら称号やらが貰えなくなる。俺の最強伝説の為にもここは矛を収めて欲しいものだ。

 

「………もう、良いでしょう。モードレッド卿?貴卿の望みは既に潰えました。今ならまだ、贖罪の機会があります。結果的に、エディンバラの奇跡は誰も死ななかった戦争として記録され、グレン卿には褒章を与えます。それでも叛逆しますか?」

 

「ぐっ……………!あぁ、分かったよ。降参だ降参。オレにはもう、戦う理由がねえや。罰は受けよう」

 

「そうですね、ではモードレッド卿。貴方には暫くの謹慎を与えます。謹慎が明けるまで、仕事をしないように」

 

「はぁ?それだけかよ?ま、待ってくれ王よ!オレはブリテンに、王に刃向かった大罪人だぞ!?」

 

「ですから、赦すと。そう言っているのです。そもそも、私はグレン卿に対する処遇に自分ながら納得が行っていませんでした。これで良いのです。ガウェイン卿、貴卿もそれで宜しいですね?」

 

「はっ、王の決めた事であれば!」

 

「それと、グレン卿。マーリンに眠らされているグランツ卿を起こしてあげてください。では」

 

そう言うと、アーサー王は行ってしまった。嵐のような人だったな…いや、嵐の王はヴォーティガーンだから失礼に当たるか?どちらにせよ、丸く収まったらしいな。

 

「オイグレン。後でテメェは殴る。覚えておけよ」

 

前言撤回。丸く収まった様に見えて、モードレッドの内心は大荒れらしい。これは、死を覚悟しなければな……。

 

「あと、ガウェイン…その、すまなかったな。じゃあな」

 

「今後はしないように」

 

「るせーな、分かってるよ」

 

そう言ってモードレッドは行ってしまった。

さて、グランツを起こすか。

 

「おい、起きろグランツ。お前大盾なんか似合わないんだから素直にハルバード持ってろよ」

 

グランツを揺するも、幸せそうに寝ている。コイツ、俺が起こしてやってると言うのに…

 

「蹴るか……スカサハ師匠の元で鍛え上げられたこの蹴り、受けてみよ!オラァ!!!!」

 

鈍い音を立ててグランツが転がっていく。

 

「ぐえっ!?うぐ、ここは…オレは一体…?なっ、グレン!?って事はまさか、オレ、死んだ、のか…?くそ、すまねえ、グレン…!すまねえエレイン…!お前らの無念を晴らせなかった…!」

 

「何を言っている戯け。俺は死んでおらんわ!」

 

酷いやつだ。久々に会った親友を死人呼ばわりとは。

 

「……え?本物?幻じゃなくてか?」

 

「ハァ、だから俺は生きて「よくもっ!」ぐえっ!?」

 

急に殴られた。え?

 

「お前が早く帰ってこないから、みんな、心配してたんだぞ!オラァ!エレインは、我失茫然になってる!このぉっ!今回のっ!反乱だって、お前のっ!名誉の為のっ!反乱なんだよォ!」

 

「ぐふっ!?がっ、貴様、ふざけるなよっ!?ごふっ!俺をっ!?信じていなかったのガハッ!俺が、死ぬわけないだゴフッ!?」

 

何発も盾で殴られながら考える。コイツ、俺の事死んだと思ってたな?そして戦争の報酬は生きている者にしか与えられない。何故なら、報酬の権利者が居ないからだ。それに対して反発したのだろう。

 

俺の為に決起してくれたのはありがたいが、殴るのはやめて欲しい。師匠との修行で耐性は出来ているが、俺とて人間だ。痛いものは痛い。

 

「どうだ、反省したか!?今度からは、オレも死地に連れて行け!あと、今からエレインに会いにいくぞ。彼女にはお前が必要だ」

 

「ま、前が見えねェ…。ヴィヴィアン、俺を癒してくれ…」

 

「あぁ?お前まさか、新しい女を作ったんじゃねえだろうな!?エレインというものがありながら!」

 

「不可抗力だ!あの状況では仕方なかった。だが安心してくれ。ヴィヴィアンは俺だ。そして俺もヴィヴィアンだ。心臓が崩壊しかけていた俺を癒すため、彼女の核と俺の心臓は融合し、一つになった。つまり、2人で1人なんだよ」

 

「んなこたどうでも良い。お前、ちゃんとエレインに謝れよ?」

 

「わかってる……」

 

 

 

その後、エレインに会いに行った。久しぶりに見たエレインはひどく憔悴し切っていたが、俺の顔を見た途端、それが嘘の様に表情を輝かせた。5時間ほど抱きつかれ、仕舞いには俺の腕の中で眠ってしまっていた。その光景をヴィヴィアンに見つかった時は世界の終焉を感じた。

 

 

だがまぁ、叛逆も失敗に終わり平和な生活が続くのだろう。

 

だが、俺はこの時、思いもよらなかった。

これはまだ、始まりに過ぎないと言うことを。




これにて第一章は完結だ…!クク、フハハハハ!!!
だが、俺の旅路はまだまだ続くのだ。
さぁ!次回予告と洒落込もうか?

平和に戻ったキャメロット。しかし、その安寧に影が差す。
厄災の獣は蘇り、焔の少年は己の運命を知る。
次回「厄災の前兆」

グレンのサーヴァント時のクラス

  • セイバー(厨二語による謎カリスマ)
  • バーサーカー(厨二病はバーサーカー理論)
  • フォーリナー(転移者+神の影響)
  • キャスター(ヴィヴィアン霊基、女体化)
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