厨二病の男が勘違いされる話   作:D.D.D_Official

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拉致される男グレン(本名:グレン・サトウ)

 

 

「いってらっしゃいグレン様!」

「いってらっしゃい、英雄様!」

 

歓声と共に出発する俺たち。

メンバーは俺、ヴィヴィアン、グランツ、ランスロット、マーリンとその他志望した騎士達だ。一番意外だったのは、グランツが同行した事だ。

キャスパリーグという怪物は、一説によるとアーサー王をも殺したとされる厄災だ。円卓最強の騎士と中世最高の魔術師、それに湖の貴婦人が居るから負けはしないだろうが。

 

「グレン卿、何か考え事か?何か不審な事が有れば、私に言ってほしい。母さん…ヴィヴィアンの事だが、母さんから聞いた話によると貴卿は卓越した智慧を持っているそうじゃないか」

 

「あぁ、俺は魔術学院を主席で卒業したからな。俺が危惧しているのは、エクスカリバーを以てしても倒せない獣をどう殺すかだ。我々は強いが、奴に対する決定的な手段を持ち合わせているのか?」

 

「任せてくれたまえ、そこは私が眠らせよう。それにどうやら、その獣が本当にキャスパリーグかどうかも怪しいからね」

 

「フォーウ!」

 

俺とランスロットが話していると、マーリンが頼もしい事を言ってきた。そして、相変わらずフォウフォウ猫はかわいいな。

 

「おお、よしよし。そういえばマーリン殿、この子に名はあるのか?」

 

「そうだねぇ…フォウ、と呼んであげて欲しい」

 

フォウ、か。安直だが良い名前だ。ムラサメ研究所に居そうだな。どこかで女みたいな名前の男が叫んでいたのを知っている。

 

「フォウか。よろしくな、フォウ」

 

「フォーウ!キューウ!フォーウ!」

 

俺が和んでいると、突然霧が出てきた。死者の船とか出て来ないよな?まぁ出たとしてもランスロットが何とかしてくれるだろう。当のランスロットはヴィヴィアンと談笑…もとい揶揄われて赤面しているが。

 

「霧が出た状態での走行は危険だ。俺が霧を晴らそう」

 

そう言って俺は馬車を降りる。途端、景色が歪んでいく。なんだ、これは!?

 

「グレン卿っ!?今行くッ!

「グレンッ、今助けるからなぁ!」

 

『行くなっ!お前達まで飲み込まれるぞ!大丈夫だ、グレンを信じろ!私の伴侶だぞ!?生半可なことでは死なぬ!』

 

「グレン君に何らかの転移術式が掛けられている可能性が高い!グレン君、これを!」

 

マーリンが花の栞とフォウを投げつけてくる。猫投げるな。

栞とフォウを受け取った瞬間、俺の視界は暗転した。

 

 

 

 

 

「……知らない天井だ。これを言うのは何回めだったかな」

 

「戯言を吐くとは、随分と余裕そうだな」

 

「む、誰ぞ…そこにおるのか…?」

 

どこからか声をかけられる。だが、何故だか知っているような気配だ。何者だ?心なしか、ヴィヴィアンに似ているような…

 

「フン、最低限の感知能力は備えている様だな。正直、こんなものがアルトリアを討つ手駒に使えるとは思わぬのだがな」

 

「俺を従えようと言うのか?馬鹿げた話だ。俺が忠義を誓っているのは、アーサー王ただ1人。断じて貴様の様な得体の知れない奴に従ったりはしない」

 

「ククク…その忠誠心、見事。ならばそれを我が為に使うが良い……【我に従え】!……クク、これで………」

 

謎のモヤみたいなのが俺を包む。何だ、俺は何をされた?何も変わらないように感じる…だが、これは危険だ。相手がそれ程高度な魔術師だと言うことの裏付けにもなる。

 

だが……

 

「ク、フハハ…!フハハハハハ!!!!」

 

「何が可笑しい…!」

 

「わからないか?貴様の低脳ぶりに嗤ってやっていたのだ!クク、滑稽よな。己が力を過信し、俺を支配しようなどと!これが笑わずにいられるか?ハーッハッハッハ!!!!」

 

取り敢えず、大丈夫そうだったので煽っておいた。俺に纏わりついているモヤが俺の暗黒っぽいオーラに阻まれている時点でお察しだったな。

 

因みに、俺の今の状態は謎のモヤに包まれ、黒色のオーラを発しながら眼をピカピカさせている。

見る人が見れば、完全に闇落ちしてますねハイ。

 

「おのれ…私を侮辱して!許さんぞ、貴様!我が宝具の内、最も惨い物を食らわせてやろう!【失意の庭】よ、この者の精神を閉じ込めよ!」

 

あ、マズい。煽りすぎた。

 

俺の視界はまたも暗転した。もう良いから。

 

○○○○○○○

 

 

「フ、これでこの男も終わりだろう。どれ、精神を覗いてやろうか?」

 

この私を侮辱してきた男を失意の庭に閉じ込めた私は、すかさず男の精神を覗き見る。フフ、お前はどんな失意を見せてくれるのだ?

 

 

だが、私が見た光景は想像を絶する物だった。

 

無。全くの無だった。

 

この男の精神は完全に死んでいる。こんな空虚な男が、英雄だと?ふざけるな、大概にしろ。人間はまた、人に英雄を強いているのか。

 

恐らく、この男は多くの者に望まれたのだろう。そして望まれた通りに英雄になったのだろう。この者は英雄として造られ、英雄として消耗されて死ぬ。そんな事が許されてなるものか。

 

この者が送ってきたであろう修羅の道を考えると、自然と涙が溢れてくる。なんて哀れなんだ。なんて空虚なんだ。ならば、私が必ず終わらせてやる。

 

私は失意の庭を解除すると、彼に抱きついた。

 

「…………………」

 

「私が、必ずお前を終わらせてやるっ!だから、もう英雄として生きるのはやめろ!お前は争いを忘れ、平和に暮らすのだ!」

 

「………最早、我が血塗られた道を忘るる事など出来ぬ。落ちないのだ、剣の汚れが、手についた赤い染みが、耳にこびりついた悲鳴が、何度洗えども落ちない。俺には、もう止まるなんて選択肢は無い」

 

そうか。この者は…本来優しい者だったのだろう。だから死が、血が、悲鳴が忘れられないのだろう。なんと哀しい事だ。なんと残酷な事だ。

 

 

私は涙を流しながら、ブリテンを滅ぼす事を決意した。

 

 

○○○○○○○

 

 

目が覚めたら泣いてる女に抱きしめられていた件について。

 

いや、意味わからんな。何だ?この状況は。視界が闇に包まれたと思ったら、真っ暗で何にも映らないし、挙げ句の果てには真っ白な美人がニヤニヤしながら見てたし。誰だよアレ。

 

「私が、必ずお前を終わらせてやるっ!だから、もう英雄として生きるのはやめろ!お前は争いを忘れ、平和に暮らすのだ!」

 

お、何だ。急に"イデア"に目覚めたか?成る程、ならば俺も、"セフィロト"の導きに従おう。

 

「………最早、我が血塗られた道を忘るる事など出来ぬ。落ちないのだ、剣の汚れが、手についた赤い染みが、耳にこびりついた悲鳴が、何度洗えども落ちない。俺には、もう止まるなんて選択肢は無い」

 

すると、同志が悲壮な決意を固めたみたいな顔をしてどっかに行ってしまった。武器を無くしてない事を確認すると、俺もついて行った。

 

 

それがあんな死闘を生むなんて、

俺は考えもしなかった。




何やら勘違いされている気配を感じたが、まぁ良い!
俺が空虚な人間だと?……フッ、それ良いな。カッコいい。

それはともかく!次回予告だ!
遂に現れた伝説のスーパービースト。「ヴィヴィアーン!俺に魔力を分けてくれーっ!」少年は叫ぶ。最高の明日を掴む為に。
次回「命散って」

グレンの初登場時の特異点/異聞帯

  • 特異点F(冬木)
  • 特異点4(ロンドン)
  • 特異点5(ケルトアメリカ)
  • 特異点6(キャメロット)
  • イベント特異点(影の国)
  • 第六異聞帯(妖精國ブリテン)
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