厨二病の男が勘違いされる話   作:D.D.D_Official

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希望

「███████████████ッ!!!!」

 

三つの獅子の顔に四つの蛇の尾の生えた黒虎が吠える。厄災の残滓と呼ばれたこの獣は一心に俺を見つめている。

 

「ッ!狙いは俺か、ならば!」

 

俺はバンシーを抜き放ち、斬りかかる。ヘイトが俺に集中しているなら好都合だ。タイマン性能が高いバンシーなら勝てる。尤も、奴から血が出ればの話だが。

 

「█████!」

 

獣の口腔に黒い光が収束している。あれビームじゃないか?一点集中ならまだしも、薙ぎ払いだった時はまずい。避けれなくて死ぬ。

 

「【血牙】!【血衝斬】ッ!【屍山血河】ァ!!!」

 

血の牙を飛ばし、全身の血を沸騰させるほど震わせる斬撃を繰り出し、俺自身の血でエンチャントした血の斬撃を放つ。

 

「██████████!?██、█████ァァァ!」

 

獣から血が溢れ出すが、ビームチャージは止められずそのまま俺に向かって四点注目ビームが放たれた。回避出来ない。死ぬ、死んでしまうっ!

 

「うおぉおおおおっ!」

 

死にたくはないが、どうせ死ぬならカッコつけて死にたい。俺はバンシーを地面に突き刺し、堂々と立つ。

 

「俺は、王国の盾!決して倒れぬ城壁である!これしきのことォ!」

 

ビームが俺の目前に迫る。だが、いつまで経っても痛みは来ない。それどころか、ビームが何かの障壁に阻まれている。マーリンが上手くやってくれたのだろう。それに、何らかの力の昂りを感じる。今ならビームも斬れそうだな、試してみるか!

 

俺はバンシーをしまい、クリムゾンを抜き放ち叫ぶ。

 

「【全反射】!」

 

某大罪で主人公が使っていた技、全反射。自身に向けられた魔力を2倍にして返すというもの。撃てるとは思っていなかったが、まさか撃てるとは。

 

俺から反射された魔力は炎の形をとり、獣に返っていく。炎は獣を焼き焦がし、苦悶の声を上げさせる。

 

「ギャアアアアアアアアッ!!!!!!」

 

突如獣が絶叫し、爛れた皮が破れ、肉が、骨が溶けていく。中から七色に輝く球体が現れる。それは段々と人の形をとっていく。

 

「まずいっ、皆!あれを破壊するんだ!」

 

マーリンが焦ったように声を上げる。いの一番に切り掛かったのはやはりランスロットだった。

 

「喰らうがいい!【アロンダイト・オーバーロード】ッ!」

 

「盾しかねえが、喰らいなァ!【シールドバッシュ】!」

 

『グレン!私達も行くわよ!たくさん魔力付与してあげる!』

 

全員が七色の物体に攻撃をしかける。いつの間にか合流していたヴィヴィアンが俺を急かす。ドンドンと俺の万能感は高まっていく。

 

「あぁ、今、行くよ。焼き払え、【天理焼き焦がす三天の刃(クリムゾン)】」

 

俺はその昂りのままに剣を振り下ろす。大地から炎が七色の物体を貫き、焼け焦げた天から降り注ぐ巨大な炎の刃は大地に突き刺さり、あたり一面を焦土に変える。

 

「なっ、何だありゃあ!?アレが、グレンの力だっつうのか!?くそっ、やり過ぎだ!【ガーディアン・オブ・キャメロット】!全員ここに入れ!オレが守る!」

 

「これは…神代の力そのものだ……!グレン君、君は一体!?」

 

我の力を見て、有象無象どもが驚愕しておるわ。だが、我の至高の技を持ってしても傷一つ付かんとは。変身中は無敵とか言ったやつかね?フン、だが我には関係ない。

 

『グ、グレン…?あなた、どうしたのその目…』

 

精霊が我の金色の目(・・・・)を見て驚愕しておる。クク、完全を表す金色の目を見て畏れておるのか、愛いやつよの。

 

「フ、フハハハハハ!魔女よ、貴様は呼び出してはならぬ物を呼び出したぞ!そこな物体は"第四の獣"の成り損ない!ビーストであるも既に存在するビーストに存在価値を奪われても尚輝かんとする、"人間"よ!フハハハハハ!!!!」

 

『グレン?どうしちゃったのよ!貴方一体…』

 

「湖の貴婦人!ソイツはグレン君では無い!グレン君の精神と肉体を乗っ取った別物だ!その証拠に、私が彼の正体を見破れている!彼は…!」

 

「おっと、皆まで言うな。我自ら名乗ってやろうぞ。我が名はアレイスター・シュヴァルツ・フォン・レーヴァテイン。かつて神に封印されし、銀河最強の戦士。この肉体の持ち主が我の存在に近づいた隙を見計らい、乗っとらせてもらった。だが感謝せよ、凡夫ども。我がそこな"人間"を殺してくれよう」

 

人間は我の目の前に立ち塞がり、炎を纏う。我も手に持っているゴミを捨て、己が剣を創り出す。

 

 

死闘が始まった。

 

○○○○○○○

 

 

その時、グランツは憤っていた。

己の友を乗っ取られた事に対して。

 

その時、ヴィヴィアンは困惑していた。

己の伴侶が突然別人に変わってしまった事に対して。

 

その時、ランスロットは魅了されていた。

己の上を行く存在達の闘争に。

 

その時、マーリンは驚愕していた。

アレイスターと名乗った男の正体を見破ってしまったから。

 

 

(何だ、これは!?グレンの見た目をしているが、グレン君ではない!何より、魂の形が違う!前までは阻まれてほとんど見えなかったけれど、確かにグレン君の魂は炎に包まれ燃えていた!だけど今は?炎を黄金の檻が捕らえている!これではまるで…!もっとだ、もっと知らないと!)

 

マーリンは焦る心の中、千里眼を血眼にして見つめた。

 

(奴の正体…それは…ま、まさか!そんな事!我々の世界よりも更に上位の次元の神だって!?それに封印されていたのか!そして奴は封印が解けたが壊れかけの魂のみで蘇った!そして偶然上位神の影響を受けているグレン君が奴と同じ領域まで届きかけたその瞬間に乗っ取ったというのか!)

 

マーリンの思考は真相に近づいたが、その思索は打ち切られる事になる。"人間"と呼ばれた獣の攻撃が、とうとうアレイスターに通ったのだ。

 

「何ィッ!?我の守りを突破するとはぁ!」

 

「グォオオオオオオオッ!!!!」

 

動揺するアレイスター。しかし、その動揺を許す獣では無い。連撃を放ち、その魂を削り取っていく。

 

「ぐほぉっ!?」

 

弾き飛ばされ、地面を無様に転がるアレイスター。

 

「ぐぐ…!ふざ、けるなァ…!なんだこれは、あり得ない…!ま、待て!!わ、我の…魂がぁぁぁぁ!!!!」

 

アレイスターは狂乱し、頭を抱えて呻く。その目からは金色が段々と薄れていく。

 

「グ……ズ………ギャアアアアム!!!!」

 

アレイスターは絶叫しながらグレンの身体から抜けていく。その魂はボロボロと崩壊を遂げながら天へと還っていく。

 

「な、何が起こったんだ…!?」

 

誰が言ったか、それは最早どうでも良い事だった。何故なら、英雄が帰ってきたからだ。

 

男は赤い目を輝かせ、暗黒のオーラを出しながら剣を掲げ、高らかに名乗る。

 

「俺の名は、グレン!グレン・ヴァン・インフェルノである!皆の者、よくぞ耐えてくれた!帝国一の美少年であるこの俺は帰ってきたぞ!」

 

 

希望が、帰ってきた。

グレンの初登場時の特異点/異聞帯

  • 特異点F(冬木)
  • 特異点4(ロンドン)
  • 特異点5(ケルトアメリカ)
  • 特異点6(キャメロット)
  • イベント特異点(影の国)
  • 第六異聞帯(妖精國ブリテン)
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