厨二病の男が勘違いされる話 作:D.D.D_Official
私ことパーシヴァルは今、途轍もない危機に瀕している。川に溺れかけているのだ。金属の鎧が重くて中々陸に上がれない。
「パーシヴァルッ!こっちだ、俺の手を掴め!」
グレン卿が血相を変えて私に手を差し伸べている。慌てて私はその手を掴もうとするが、悪魔の攻撃により遮られる。
「くっ!悪魔め、グレン卿!私と共に十字を!」
「やってる場合か!良いから俺の手を掴むんだよ…!よしっ!掴んだ!引き上げるぞ!」
私が必死に十字を切ろうとしていると、その手をグレン卿に掴まれ引っ張り上げられる。そのまま少し宙に浮き飛ぶが、受け身をとって事なきを得た。
「グ、グレン卿!パーシヴァル卿を助け出せましたか!申し訳ないのですが、ご助力を願いたい!ぐぅ、せりゃあっ!」
「任せろ!初めて試す技だが、受けてみよ!【天空・極炎】ッ!」
グレン卿が悪魔を上空に打ち上げ、炎の斬撃でめった斬りにし地面に叩きつけ大爆発を起こす。
やはりグレン卿はお強い!私も何かしなくては。
「お、おのれ…!騎士風情がぁぁぁぁ!」
そう言い、一番弱っている私に向かってくる悪魔。私はその辺りにあった木の枝を拾うと、投擲する。
「そんな木の枝で…グェーーーッ!」
鋭い木の枝は悪魔の心臓に突き刺さり、悪魔は絶命する。
「でかしたパーシヴァル卿!馬は…ダメか。無くしたものはないか?」
「武器、防具はありますが、携帯食料を流されてしまいました。申し訳ありません!」
「良いんだ、君が無事なら。これではもう行軍出来そうに無いな。あまり進めては居ないが、今日はここで野営としよう!」
グレン卿がテキパキと指示をし、野営の準備をする。ヴィヴィアン殿に雨を凌ぐ結界を張ってもらい私たちは休息を取る。
目が覚めると、見知らぬ荒れ地だった。
波の音が聞こえる事から、ここは海が近いのだろう。辺りを見渡せども、グレン卿やギャラハッド卿の姿は見えない。
暫く二人を探していると、遠くから船が一艘やってくるのを見た。そこに乗っているのは何と、まるで精霊の如き美しさと、それに反するような妖艶さの二つを兼ね備えた美しい女性がいた。
女性は船から降りると、私に話しかけてきた。
「わたくしの名はエレノア。アステールの王女エレノアでございますわ。貴方様の名を、教えて頂けますか?」
囁くような、甘えるような声が私の名を問う。
「私の名は、パーシヴァル。ブリテンにて円卓の騎士をやらせて頂いています。見たところ、何やらお困りのご様子。私で良ければ、聞きましょう」
「まぁ、嬉しい…!その、お恥ずかしい話なのですが、聞いて頂けますか?」
自分で生唾を飲んだのを感じる。それほどまでに、エレノア殿は魅惑的だった。
「実は……わたくし、他人の精を受けなければ死んでしまうのです。ですので…もし、よろしければ……パーシヴァル様、わたくしっ!」
「それ以上は、言わないでください。貴女に恥はかかせたくない」
私がエレノア殿の肩を掴み、目を見てそう言うと、エレノア殿は顔を上気させ目を潤ませる。
「パーシヴァル様ぁ…♡」
「私は、一命を賭けても貴女の望みを叶えましょう」
「では、服を……」
エレノア殿は私の鎧を外していく。神よ、私はここで操を捧げます…
「なっ!?その、剣は!う、ギィィィヂィィイイガァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
「なっ、どうしたのですかエレノア殿!」
「グ……ズ…ギャアアアアム!!!!!」
エレノア殿は悍ましい悲鳴を上げ、船に乗り逃げ出してしまう。何だ、どうしたと言うのですか!?
ふと私が剣を見ると、剣の柄の先にあるキリストの像が淡く光っているのが見えた。そうか、私は悪魔に騙されたのか!
悲鳴を上げながら燃え盛る海に溶けていく悪魔を尻目に私は一心不乱に祈っていた。
○○○○○○○
パーシヴァルが消えた。
比喩でも何でもなく、パーシヴァルは俺たちの目の前で消えた。
「ヴィヴィアン!」
『待ってね……うーんと、あっ!わかった!海よ、海に向かいなさい!』
「ギャラハッド卿は馬を!俺は先に走っているぞ!待ってろよパーシヴァル!」
俺が全力疾走していると、どこからか声が聞こえた。女の声だ。微かだが、頭の中に声が響く。
『……ン様……わた…連れ………』
「俺の前に出てこい!俺は急いでいるんだ!」
俺が怒鳴ると、女が出てきた。なんだ、どこかパーシヴァルに似ている。誰だ?
「わたしはパーシヴァルの妹、ディンドラン。どうか我が兄を救ってください。そして、わたしをお連れ下さい。わたしと兄は魂で繋がった仲、道案内はお任せください」
「ヴィヴィアン、コイツ悪魔か?」
『いいえ、違うわね。正真正銘人間よ』
「そうか。よしディンドラン、少し揺れるぞ」
「ふえっ?」
俺の速度は新幹線だ。つまり、速い。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「黙っていろ!舌を噛むぞ!」
「だからって小脇に抱えなくったってええええええええええ!!!!」
辺り一面に悲鳴が響き渡った。
四時間ほど走った後、砂浜に倒れるパーシヴァルを見つけた。そこから3時間ほど遅れてギャラハッドが追いついてきた。
「パーシヴァル!目を開けろパーシヴァル!」
「パーシヴァル卿!パーシヴァル卿!」
「お兄様!目を開けてお兄様!」
何やら魘されているようなので、ショック療法を取ることにした。すまない、許せよパーシヴァル。
「ぐ、グレン卿…!?何を…!?」
「や、やめてくださいグレン様!そんな事をしたらお兄様が死んでしまいますぅ!」
「HA☆NA☆SE!」
俺たちが騒いでいると、パーシヴァルが目を覚ます。やっと起きたのか。遅い!盾きた!メイン盾きた!
「う、うぅ……ここは?それに、グレン卿?何をされているのですか?」
「お兄様ぁ!」
ディンドランがパーシヴァルに抱きつく。やはり、寂しかったのだろうか?ふっ、俺にも理解出来るぞ。孤独の寂しさと言うのはな。
思えば懐かしいな。クラスでもボッチの山中くんに同類だと思って話しかけたら「何いきなり話しかけて来てるわけ?」と辛辣な態度で当たられ傷ついた事がある。俺が現代に戻れたらアイツは血が出るまでブン殴る。絶対にだ。
そんな事を考えているうちに話は進んでいたようで、船を使って海を渡ることになっていた。そうか、もう海を渡るのか。思えば、俺が円卓の世界に来てから一年ほど経つが、海を渡ったことは無かったな。どこへ行くんだろうか?
円卓の物語では、サラス市と言うところへ行くらしい。市と言うことはローマやフランスとかか?まぁ良いや、ここから数日はかかる言うしな。
気ままに海を楽しむとしよう。
グレンの初登場時の特異点/異聞帯
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特異点F(冬木)
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特異点4(ロンドン)
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特異点5(ケルトアメリカ)
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特異点6(キャメロット)
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イベント特異点(影の国)
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第六異聞帯(妖精國ブリテン)