オリウマ主がただただ媚薬効果でキュンキュンしたりされたりするだけの話   作:珱瑠 耀

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3月末週

「十連引くぞォ!!」
「激熱ッ!!」
「うおおおおおおおロリ事長確定だああああああああああ」
「ショウリコソワガサダメ。タテノエイヨヘムケテ、イザ!」
「めじょまっきーんお前かよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


ミホノブルボンの場合

トレセン学園の、時間は放課後。

 

私は今、とある方と合同で練習している。

 

その練習相手が―――

 

「はぁっ、はぁっ……ぶるぼん、さんっ」

 

「オペレーション:「応援」を適用。頑張って下さい、フレイルアルミラージさん」

 

そう、「坂路の申し子」や「サイボーグ」と呼ばれるミホノブルボンさんだ。

 

そして見た通り、スタミナの差が私と彼女でとんでもない事が解る。

 

お互い逃げウマなのは理解している、してはいるのだが。

 

どうしてトレーナーさんはこういう隔絶された様な差のある方とトレーニングをさせたがるのか。

 

スピカのテイオーさん然り、カノープスのネイチャさん然り。

 

この前はリギルに交渉して3秒も無く玉砕されたって聞いたし。

 

私のトレーナーさんはあほなのか?そうなのか?そうなんだろうな?(怨)

 

それにこれが決まったのも今日のトレーニングの直前だったし、これで何回目なのだろうか?

 

10回目か?いや、20回目だ*1

 

そろそろ事前連絡というものをして欲しい、と今はどっかに行ってしまった自分のトレーナーへ最大限の怨嗟を送り付ける。

 

「ぜぇっ、はぁっ、ひぃっ、はぁっ……あとっ、どれく、らい……ですっ、か、げほっ、ごほっ」

 

「現在の通過地点より距離を計測、残り200mと推測されます」

 

なお現在で坂路往復11回目である*2

 

絶え絶えになりながらも距離を聞き、まだ長いと解ると流れきって出なくなった汗よりも身体が冷たくなるような錯覚に陥る。

 

―――駄目だ、もう何も考えなくていいから走れ。

 

―――もう脚が限界なのに、どうすればいいのさ。

 

本能と理性がプロレスごっこを始めてる幻覚が見える。

 

そんな幻覚を外から見てる私は、楽しそうだなんて世迷い言を浮かべた。

 

その輪に私も入りたくて―――

 

「―――ひゅっ、げほっ、ごほっ!」

 

「残り100m地点を通過。後少しです、頑張って下さい」

 

脳を埋め尽くす苦しさが私を現実に引き戻した。

 

肺が酸素を求める様に、短く荒い呼吸を繰り返す。

 

今息止まってた?

 

いつから?

 

どうやって走ってた?

 

解らないけど走り切らなきゃ。

 

あぁでもやっぱりきつい。

 

喉から空気が掠れるように出てくる。

 

でも、はしらないと、まだはんろがおわらないから―――

 

「―――、―――、―――……ぅ」

 

カクン、と踏み出した身体から力が抜ける。

 

そうして地面に向かって頭突きをかます直前に触れた体温に、私は気付かなかった。

 

 

 

 

 

「―――確保、心拍数の過度な上昇と呼吸の速度より、コンディション:「疲労」と断定。休息が必要だと判断しましたので、只今より運搬に入ります」

 

崩れ落ちた彼女に大丈夫ですか、と呼び掛けるも反応が返ってこない。

 

「………コンディション:「気絶」も追加しましょう」

 

そう淡々と呟き、周囲を気にすることなくフレイルアルミラージをお姫様抱っこをするミホノブルボン。

 

周りに気付いてないのか、それとも無視しているのか。

 

前者ならば見掛けに依らず相当に焦っていて、後者ならば相当な胆力をお持ちなようだ。

 

そしてこの光景を見ていた他のウマ娘達が二人の事をロミオとジュリエットだの噂するようになるのだが、それが二人の耳に入るのはもっと先の話になるのだが。

 

 

 

まぁ、閑話休題(それは置いといて)

 

 

 

坂路脇のベンチに着いたミホノブルボンは、ここからどうしようと思案した。

 

ベンチに寝かせるのは良いと思うが、ただそれだけだと身体を痛める可能性がある。

 

うーん、とたっぷり10秒考えて、あ、と。

 

「……そういえば、以前ライスが読んでいた本には」

 

現在より1日と4時間15分前にそんなのがあったな、と思い出す。

 

ライスシャワーの読んでいたものがちらりと見えただけでその前後の展開は解らなかったが、恐らくこれが一番の最適解だろう。

 

うん、と小さく頷いた彼女は真っ直ぐにベンチへ向かう。

 

「…………こう、でしたね」

 

そうして淡々と、ミホノブルボンはフレイルアルミラージに膝枕をした。

 

この瞬間に遠くから見ていたウマ娘達がきゃーっと黄色い声を上げ、その更に遠くから観ていたアグネスデジタルが鼻血を噴き出すが、生憎と本人達にその声と光景は届かなかった。

 

そんな当の彼女は慣れてないせいか両腕が中途半端に浮いており、壊れかけのロボットの様にカクカクと上げたり下げたりを繰り返す。

 

ミホノブルボンが以前視聴していたロボアニメに出てくる、ウマーロボ2世とも似つかない様な少し滑稽な動き。

 

彼女の事をよく知る友人からしたら、頭の中を動揺と焦りが満たしているのは一目瞭然だった。

 

そんな彼女が、ぽつりと。

 

「ここからどうしましょう」

 

こっちが聞きたい。

 

多分トレーナーが居たらそう返されるのだろう。

 

しかし、ミホノブルボンがマスターと呼ぶトレーナーは現在飲み物を取ってきており、フレイルアルミラージのトレーナーもまた不在。

 

悲しきかな、今のミホノブルボンの言葉に返答してくれる人物は居ない。

 

しかしマスターが不在なのはまだ解るが、フレイルアルミラージのトレーナーは何処へ行ったのだろう。

 

いつの間にか姿を表したり消したりする様はまるで忍者か、それとも単純に身体能力の差なのか。

 

「ん……」

 

どこかゴールドシップさんのような雰囲気を纏う彼女のトレーナーの行先を思案していたミホノブルボンは、下から聞こえる声に反応した。

 

「おはようございます、フレイルアルミラージさん。体温は平熱、疲労は蓄積されていますが呼吸機能も正常へと戻っていると推測されます。身体に不調はございませんか」

 

極めて淡々と先程の焦り(ふしぎなおどり)を記憶のゴミ箱へと投棄した彼女は、目を覚ましたフレイルアルミラージに聞く。

 

「え、っと……だいじょうぶ、です?―――って、こここ、これ」

 

坂路を照らし続ける陽の光から隠れるように目元を覆ったフレイルアルミラージはそう返し、そしてすぐに慌て始めた。

 

「以前取得した記録から、疲れてしまった方に膝枕をすると良くなるというものがありましたので」

 

「その情報はどこからなんです!?って、あのっ、頭っ、押さえないで下さっ、ちょっ」

 

「あと2分の休息が必要ですので、もう暫く休んでください」

 

ぐぐぐぐぐ、とまだ充分に休息できてない(多分)彼女の頭を押さえるブルボンは、無自覚にも珍しくこのシチュエーションを楽しんでいた。

 

いや何故解るかって言ったら、二人からは見えない所でブルボンの尻尾が振れていたからであるのだが。

 

ブルボンは無意識だし、アルミラージは膝枕で見えないから解ったのは恐らくいつの間にか坂路のさらに後方に回っていたデジタルのみだろう*3

 

現にその後方でデジタルが菩薩の如く微笑み(アルカイック=スマイル)のまま霊体となっているし。

 

「喉は乾いていますか?」

 

「あ、えっと……はい」

 

艷やかな白髪を撫でるようにして暴れる身体を諌め、ブルボンは()()()()()()()()()ペットボトルを手に取る。

 

「……どうぞ、お飲みください」

 

「よっ、こいしょ……っと、ありがとうございます」

 

太腿の上に乗る重さと暖かさが消えた事によりほんの少しだけやる気が下がったブルボンに気付かず、アルミラージは()()()()()()()()で閉じられた飲み水を口に含んだ。

 

「……ん?」

 

「どうかされましたか」

 

小さく零れた困惑を拾ったブルボンの方を向く。

 

「いえ、その……なんか、味が付いてるなっ、て―――」

 

―――そちらの水は大丈夫ですか、という言葉が続かなかった。

 

いつも飲む水は完全な無味の筈。

 

疲れか、はたまた隣に座るブルボンから香るいい匂いか、多少の違和感を覚えたアルミラージ。

 

そうして少し上げた顔の先にあった、それ。

 

 

―――私の顔を覗き込む幼さの残る顔に。

 

 

―――あまり高くない、落ち着いた声に。

 

 

―――さらりと肩から流れる茶色の髪に。

 

 

意味もなく、自分の意識がそこへ向かった事を理解した。

 

 

―――いや、そうじゃなくて。

 

今私は水の違和感について聞こうとしていた筈なのだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()―――

 

「顔面の温度上昇を確認、大丈夫ですか」

 

 

「ぅにゃっ!?―――ぁっ」

 

 

「あ」

 

顔が突然目の前に来た衝撃で、アルミラージは離れようと腰を上げる。

 

だが、それが悪かった。

 

突然横に動こうとしたせいで疲労の抜けきっていない脚が(もつ)れ、動かしたエネルギーが停止せず慣性に従って倒れていく。

 

詰まる所、ベンチから転げ落ちる直前だった。

 

ブルボンがそのくりくりした目を見開く。

 

重力が和らいで、すぐにまた重くなる錯覚が次いでやって来た。

 

 

―――あぁ、これは駄目だな。

 

 

視線をブルボンから離せないまま、無駄に冷静な思考はそうなる未来だけの事を考える。

 

「フレイル、さんっ!」

 

だから、気付くのが遅れた。

 

「―――ぇっ」

 

無意識に伸ばしていた腕をぐいっと引かれ、視界がブレる。

 

 

それと同時にブルボンの顔が一層近付いて、それで―――

 

 

顔を埋め尽くす柔らかな温もりと同時に、二人の時間が止まった。

 

腰に回った体温は、恐らくブルボンの左腕だろうか。

 

恐る恐る顔を上げると、ヒンジラインによく似た構図で固まる二人の間を生暖かい風が通り抜ける。

 

 

―――どうして、目が離せないのだろう。

 

 

 

 

 

「フレイル、さんっ!」

 

向こう側へと離れる腕を咄嗟に掴んで、倒れぬ様に引き寄せて支える。

 

引き寄せられたことによって起きる慣性に従った彼女の顔が、自分の肩辺りにぶつかった。

 

その衝撃で、白髪の少女が持つペットボトルが手から零れ落ちる。

 

横に倒れたそれは中身が流れてしまって、もう満足には飲めないだろう。

 

しかし、今のブルボンにはそんなことを考える余裕など無かった。

 

目の前で固まるフレイルアルミラージからどきどきと高鳴る心臓の音をウマ娘の耳が拾う。

 

ブルボンは先程と違う、と内心首を傾げた。

 

呼吸は先程よりも整って……は、無い。

 

坂路を走っていた時に勝るとも劣らない、早い呼吸。

 

白い髪と対照的に紅く染まる頬は、疲労とはまた別のものにも見える。

 

潤んだ瞳はまだ涙を流しておらず、これも悲しみとは別のものだと断定できる。

 

じゃあ、今の彼女(フレイルさん)はどのような感情に?

 

―――解らない。

 

社交ダンスのポーズみたいな奇妙な体勢のまま、お互い一言も喋らない状態で時間が過ぎていく。

 

その間にもフレイルさんの心拍数は一定速度を乱して上昇し、()()()()()()()()()()()()()()―――

 

 

―――?

 

 

―――今、自分は何と言った?

 

 

耳を傾けると聞こえる、通常よりも速い鼓動。

 

この音は自分の心臓の音なのか?

 

疑問。

 

目の前の彼女を見ていると、だんだんと頭の中がエラーで埋め尽くされていく。

 

困惑?

 

この状態はなんなんだ、と同じ問いが脳内を蝕んでいく。

 

動揺?

 

これが思春期真っ只中な高校生であれば、この違和程度すぐに気付いてくれるだろう。

 

しかし、彼女は父親の手で育ち、アニメのキャラに憧れてロボット口調になってしまったミホノブルボン。

 

そして、周囲のトレーナーからの評判が「割とポンコツなワンコ系サイボーグ」であるミホノブルボン。

 

―――つまりは。

 

「(………致命的なエラーが発生、この心拍数の加速は異常です。現在の状況に対し未知の感情を確認、コンディション:「不明」と識別………)」

 

―――こういうことである。

 

ミホーとアルミラージを見つめたまま*4、ミホノブルボンの頭の中では現在進行系で領域のような宇宙空間が広がっていた。

 

至近距離で見つめ合っているアルミラージが惚けているのにも気付かず。

 

周囲の背景が気にならなくなり、目の前の彼女しか見えなくなっていく。

 

惹き込まれるアルミラージの雰囲気に完全に呑まれる、刹那。

 

「―――っ!!」

 

ぶわっ、と吹いた風が、ブルボンの精神を引き戻した。

 

「―――ふ、ぅ……」

 

いつの間にか荒くなっていた呼吸を整えて、近かった顔を離す。

 

そうしているとだんだん脳に酸素が行き渡り、冷静な判断を下せる理性が戻ってきた。

 

見ればアルミラージは既に気を失っている。

 

まだほんのり紅い顔は力無く項垂れ、まだ軽い*5体重をブルボンの腕に預けていた。

 

極めて慎重にベンチへ寝かせ*6、目に掛かった前髪を優しく退ける。

 

その人形とも見紛う姿を視界に収めたブルボンの鼓動がもう一度跳ねた。

 

ぎゅっ、と心臓の辺りを掴むように押さえる。

 

「…………心拍数の上昇を確認、坂路トレーニングによる鎮静化を図ります」

 

その無知から来る困惑を振り払うように、ブルボンは踵を返した。

 

向かった先は坂路コース。

 

照らす夕陽は沈みかけて、ブルボンの顔と坂路コースを紅く染めていく。

 

その夕陽に負けない位、ブルボンの顔が紅かった事は誰も気付かない。

 

 

 

 

 

「あ、ブルボンさん」

 

「おはようございます、フレイルさん」

 

翌日、二人は食堂でばったり遭遇した。

 

タイミングも良かった事から、二人は一緒に食事を摂る事にする。

 

その途中で、食事が一段落したブルボンが口を開いた。

 

「時にフレイルさん、二つ程お伝えしたい事が」

 

ふぇ?(え?)なんれふは?(なんですか?)

 

飲み込んでください、と一言挟んだブルボンが話すのは昨日の事だった。

 

「昨日……それが、10往復位した辺りから記憶が無くなってしまって……」

 

しかし、返ってきたのはそんな応え。

 

「記憶が」

 

「はい」

 

それを聞いて、ブルボンは安堵とも不安とも言えない細い溜息を吐いた。

 

そして。

 

「……昨日のトレーニングは、とても有意義なものでした。私にとっても、フレイルさんにとっても」

 

「あ、いえ……こちらこそ、ありがとうございます」

 

「はい、そしてもう一つは―――」

 

……と、ここでブルボンが停止した時計のように固まった。

 

「……あ、あれ?ブルボンさ―――」

 

「いえ、何でもありません」

 

それだけ言って再び咀嚼を始めたブルボンに、アルミラージがえ?と呆ける。

 

何がなんだか解っていないアルミラージの眼前で朝食を摂るブルボンの尻尾は、昨日を思い出して湧き出た感情を制御するように。

 

無意識にだが大きく振れていた。

*1
反語

*2
ブルボンの往復数の1/2でもある

*3
鼻血を出した後坂路の端にある倉庫からトレーニング用具を出しに行く所だった

*4
これが噂のアホノブルボン状態である

*5
ウマ娘基準

*6
膝枕はしていない




先週

「今なら確定が出る気がする!!」
「Eclipse first, the rest nowhere」
「うおおおおおおお確定じゃあああああああああああああああああああああ」
「ステキナオモイデクローバー!ワタシトイッショニ、サガシテクダサル?」
「殿下ああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



さて(気を取り直して)。
このお話でフレイルアルミラージとの親密度がちょっと上がったらしいので、プロフィール増えてるかもしれない。
後で見てみよう……

4/21追記
アンケート〆切、マンハッタンカフェ→アドマイヤベガ→ライスシャワーの順で更新することに決定しました。

3人目、どうしよっか?(人選は筆者の勘)

  • マヤノトップガン
  • アドマイヤベガ
  • マンハッタンカフェ
  • ヒシアケボノ
  • ファインモーション
  • ライスシャワー
  • ニシノフラワー
  • セイウンスカイ
  • ハルウララ
  • エイシンフラッシュ
  • ハッピーミーク
  • サクラチヨノオー
  • ジャスタウェイ(オリウマ)
  • アグネスデジタル
  • メジロアルダン
  • サトノダイヤモンド
  • キタサンブラック
  • メジロブライト
  • マチカネタンホイザ
  • その他
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