オリウマ主がただただ媚薬効果でキュンキュンしたりされたりするだけの話 作:珱瑠 耀
受験が終わって色々落ち着いたので、ようやく復帰。
今回はライス回です。
十月末のトレセン学園は何時にも増して騒がしくなる。
それはそうだ、なんせ今日は十月の祭典―――ハロウィンだからだ。
私の生まれ故郷であるアメリカ。
そこのとある古代民族は十一月一日を新年とし、その前日にあたる十月三十一日に先祖の霊が会いに戻ってくると信じられている。
その際に付いて来る悪霊を追い払ったり怖がらせる為に仮装や焚火を起こしたのがハロウィンの起源だ。
それが現在の日本では単純な仮装パーティーと化しているのはどうなのか知らない。
他所は他所内は内ともいうし、まぁ楽しいから良いだろう。
むしろ、私は日本のやるハロウィンの方が割と好みだ。
先祖の霊に悪霊が付いて来るだの怖い話よりかは、強風に煽られたサラリーマンの仮装をしている大学生の写真を見ている方が何倍も楽しいし。
―――そして、そんな私は今とある方と休憩を取っている。
………いや、休憩というか、なんというか。
「う、ぅぅ……ごめんねっ、フレイルちゃん……あと、ありがとう……」
「だ、大丈夫ですよ……」
―――慰藉、と言う方が正しそうだ。
パキュ、とボトル缶の蓋を回すタイミングは奇しくも同時だった。
「んく……暖かいね……」
「ですねぇ……もう風も冷たくなってますし」
この寒さが無ければ、きっと眠れてしまうだろうな。
そんな思考を巡らせながら、私は右隣をちらりと見た。
こうして今私の隣でホットのコーンポタージュを飲んでいる方は、このトレセン学園で『黒い刺客』とも比喩されるライスシャワー先輩。
菊花賞でミホノブルボンさんを倒して
だがその実態は不幸を引き寄せてしまう、おどおどした引っ込み思案なただの少女なのだが。
それも今は割と改善されており*1、かなり人間関係も良くなってきたと言っていた。
「しかし……
まさか羽根を烏に取られて返したと思いきや持ってきたお菓子をあの二人*2に食べられ、購買に行こうとしたら頭に紙吹雪がどっさり落ち、購買は休みで近くにあったお菓子入りダンボールがすぐ側で倒れ、いつの間にか蝙蝠のアクセサリが本物の蝙蝠に連れて行かれるなんて……」
「うぅ……やっぱりライスは不幸な子なんだぁ……ライスのせいで……」
「そんな事無いですよ……元気出して下さい……」
だが、
それはしょうがないことなのだが、最近はそれでライス先輩が更に凹んでしまい周囲が慰める、という構図をよく見るようになった。
以前とは違い周囲の反応がそうなった辺り、やはりライス先輩の印象は大きく変わったのだなと言える。
「ぷは……ライス先輩、飲み終わったら一旦部屋に―――」
「こ、コーンが出てこないよぉ……」
「oh……」
でも、そういうところも含めてライス先輩だ。
とりあえず、次飲む時は缶の側面を若干凹ませると良いですよとだけは言っておこう。
さて、そんな不幸に見舞われた私達は現在寮の裏*4に居る。
お菓子が
現在時刻は午後4時で、その季節も相まってもう夕方に差し掛かっている。
「は―――くちゅんっ!」
その空の下にひゅうっと小さい風が吹き、ライス先輩がくしゃみを一つ。
ライス先輩の仮装はどちらかというと半袖のクラシカルロリィタと想像した方が合っており、腕の辺りは完全に露出している。
その影響で寒いのだろう、今も少し肩が震えている。
それを見て、私は肩に掛けられたポンチョを躊躇なく脱いでライス先輩を包み込む。
「ライス先輩、これ着ていいですよ」
「へ?あ、ありがとう……えへへ、あったかいね」
私の仮装はいかにもな雪兎。
中に着ている服もポンチョも耳飾りも、ワンポイントを除いて全てが髪色と同じ白ベースのもの。
もちろんこの季節に配慮してポンチョはちゃんともこもこふわふわの防寒仕様にしてある*5。
黒ベースの衣装に白いポンチョが良いコントラストを生み出して、うん、なんというかもう。
「可愛いです……」
「かっ、かわ…!?そっ、そんな、ライス、あのっ」
あ、口に出てた。
「はい、ほんとに可愛いです」
「あぇ、ぁぁぅぁぅぁ」
あわあわと両手を振って狼狽えるライス先輩に出来心で悪戯をしてみれば、顔を真っ赤にして終いにはきゅうと両手で顔を覆ってしまう。
ライス先輩可愛い、Sになりそう*6。
「もうっ、フレイルちゃん……恥ずかしくって、ライス暑くなっちゃったよぉ……」
「ごめんなさい……でも、暖かくなったなら良かったですよ」
「むー……ふふっ。ありがとう、フレイルちゃん」
頬をほんのり紅くするライス先輩は、もう肩を震わせることもなさそう。
思い立ってライス先輩を弄ってただけなのに、棚から牡丹餅を引いたような偶然だった。
偶然を独占するつもりはあまりないので、ライス先輩に向かって優しく微笑むだけにしておく。
―――と、ふと私と先輩の間を舞い降りていった欠片が目に入る。
それはひらひらと季節外れの桜颪を思わせる、風で遊び飛んでいくような小さな花弁。
「―――?先程の紙吹雪ですかね?」
「だと思うけど……どこから来たのかな……?」
こんな寮裏に飛んで来る位に、今日の風は強かったのだろうか。
いや、多分そんなでもないはずだと思っていたのだが。
はらはら、ひらひらひらひらぱらぱらぱさぱさと―――
―――いや待て。
ちょっ、これ、なんか量がどんどん増え
「ふっ、フレイルちゃんっ!!」
「ぉごぅっ、ぅぐっ……―――ぁっ」
正面からの衝撃、そしてその直後に聞こえた「うにゃっ!!」という声とドサッという音。
桃色と黒色と黄色が私の周囲を埋め尽くし、その正面には顔を少し顰めて至近距離にまで近付いたライス先輩の顔。
キスをしてしまう程に近付いた彼女の、玉のような肌や淡紅色の唇に、意味もなく顔が茹だってしまう。
「あっ、あの、近……」
「ふぇ?」
はらはらと周囲に積もる紙吹雪を擽ったそうにする彼女は、私の囁きにも等しい呟きを拾って目を開く。
そう、倒れた体勢の
普段はずかしがり屋の彼女がそんな状態のままで私と目を合わせたらどうなるか。
それは勿論、
「―――ぅきゅう!?!?」
ボフッ、と効果音が鳴りそうな位に、ライス先輩の顔は紅く染まる。
耳の先端もくっついて、むしろ耳まで紅くなっているような気もしなくもない。
だからといって振り払うことはしたくないし、筋力的な意味でも振り払うことは難しいだろう。
それ以上に、今ここで離して欲しいと言っても逆効果になるのではないか?とも思ってしまう。
ちょっと……いや、かなり恥ずかしいが、ライス先輩が少し落ち着くまで大人しく待っていようか―――いてて握力が少しずつ強くなってじんわりと痛みががががががががががががが
―――どうして、こんなことになった。
すぐ近くで口を小さく開いたり閉じたりする後輩のフレイルちゃんを見ながら、ライスの頭の中は不良馬場なターフの如くごちゃついていた。
なんでフレイルちゃんを押し倒してるんだっけ……と騒ぎを止めない頭を回せば、すぐにこうなった理由を察した。
紙吹雪が沢山落ちてきたから、それを避けようとして……
……避けようとして、咄嗟に押し倒しちゃった!?
そんな事しなくても別の方向に引っ張れば良かった筈なのに、なんで思い浮かばなかったんだろう……!?
熱くなっていく頭で、ちらりとフレイルちゃんを見る。
雪のように真っ白な肌に射す頬の赤みやそれよりも紅い瞳、ぴくりと震える耳にくっついた幼さの残る顔。
それらを視界に入れた途端、私の心臓がどくんと鳴った。
―――あれ、なんでだろう、なんで、少しずつ……
ふぅー、と頬に温かい風。
「―――ぅにゃっ!?」
驚いて変な声が出る。
至近距離でライス先輩が、コーンポタージュの香りを僅かに残す吐息を溢したらしい。
もぞ、もぞりと動くライス先輩の身体は……なんという事か、少しずつ私の身体を逃がさないようにしてくるではないか。
「ぁ、あの、ライス……せんぱい……?」
はらりと落ちる紙吹雪の速度が遅くなる筈がないのに、私とライス先輩の時間だけがゆっくりと進んでいくような錯覚。
頬はほんのり紅く、目尻は少しとろりと垂れ、今にも
「———っ、は、ぁ…………ふ、フレイルちゃんが」
長い沈黙を破った先輩の声は、酷く艶かしくて。
どくっ、どくっと五月蝿い程に鳴る心臓が、どちらから聞こえるのかもわからなくなって。
ぺろりと小さく唇を湿らせたその姿に、目を逸らせなくなって。
「ふれいる、ちゃん…………の、せい、だからね」
いつの間にか、ライス先輩の手は掴まれていた筈の手首から外れて、私の手を握っていて。
———一呼吸、心臓の音が更に近くなる。
———一呼吸、先輩の瞳に引き込まれたように身体が動かなくなる。
———一呼吸、鼻先が触れそうな位に先輩の顔が近付いて、どちらともなく目を閉じて———
「あれー?ここにあった紙吹雪どこやったのー?」
「「!?!?!?!?」」
ガラガラと窓を開けると共に聞こえた声に、二人して盛大に驚いた。
「え、持っていったんじゃないの?てっきりそうだと」
「私は知らないけど……ま、いっか」
「よくないでしょ……多分」
驚きで冷静になれた頭が、遠のく二つの足跡を認識する。
———しかし、それで限界。
「キュゥ」
バレなかった、と至極冷静な脳内に相反する様に爆音で鳴る心臓の音と今の状態に耐え切れず、私は意識を手放した。
「……そ、その……ふれいる、ちゃん……?」
二人分の足音が遠のいて、自然の音のみとなった空間。
静かなパニックをようやく鎮めたライスは、目の前で寝転んでいる*7フレイルちゃんに声を掛ける……が、反応は返ってこない。
そんな彼女の閉じた瞳を見て気絶してしまったのだと気付き、よかったと溜息を吐く。
———じゃなくて!?
「〜〜〜〜っ!!!!」
今現在のお互いの体勢を再び認識して、自分の顔がかあっと熱くなった。
よく考えてみればおかしすぎる。
自分はこんなことをした覚えはないのに、ふと冷静になれば自分がこんな事をしているなんておかしいにも程がある。
そもそもライスは彼女に気がある……?
いや、そんな筈はない。
だって彼女とは先輩後輩という清い関係の筈で、そこに邪な気なんて…………
「———ッ!!!!」
再び、今度は先程よりも顔が紅く染まる。
これ以上このままで居たら、ライスはもっとおかしくなっちゃう……!
———そこからの行動は迅速だった。
ベンチの背凭れを左脚で蹴る事で推進力を得て、飛ぶ様にベンチから離脱。
両手をついてバランスをとり、四つん這いの姿勢で着地。
そのまま全速力で走り出してその場を後にする。
———曰く、その日のライスシャワーの速度は「サイレンススズカを彷彿とさせる程の走りだった」という*8。
4600字(過去最大字数)
オリ×ライスだった筈がライス×オリになった。
攻めライスはいいぞ……いいぞ…………(サムズアップ)
アンケートはデジタル→マヤノ→ネイチャが確定感ありそう。
今回の更新でウンスファインがどう伸びてくるのかが楽しみですねぇ。
ライスの次を何人か決めておきましょ(人選は以下略)
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マヤノトップガン
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ビワハヤヒデ
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ナリタブライアン
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ヒシアケボノ
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ファインモーション
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ナイスネイチャ
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ニシノフラワー
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セイウンスカイ
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ハルウララ
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エイシンフラッシュ
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ハッピーミーク
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サクラチヨノオー
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ジャスタウェイ(オリウマ)
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アグネスデジタル
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メジロアルダン
-
サトノダイヤモンド
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キタサンブラック
-
メジロブライト
-
マチカネタンホイザ
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その他