私の名はミクマリ。モンスターハンターの世界に転生した転生者だ。生前は木刀を片手に漫画の剣術を真似ていたただの女子高生だったが、交通事故で死亡。神からの
妹の名はセツオリ。私の「ミクマリ」が水の分配を司る「
「特殊納刀。居合・
「特殊納刀。小太刀・
私は敵の流れを受け流し利用する柔の剣。セツオリは太刀を改造したオリジナルの武器、小太刀を用いた連撃の数にものを言わせた力ずくの剛の剣。対照的な私たちは力を合わせて数々の狩猟を達成した。私が守り、セツオリが攻める。そうすることで私達は無敵だった。
リオレウスにティガレックス、ゴシャハギにディアブロス、タマミツネにナルガクルガ、ラギアクルスにジンオウガ、ガムートにライゼクスにセルレギオス、果てには古龍のテオ・テスカトルにナナ・テスカトリ夫妻まで討伐してきた。そして私達はG級ハンター姉妹として知られ、エルヴァスやキョウジと言ったG級ハンターと組んでチーム「ノットアポリア」として知られることになるのだが……。
大陸首都、ギルド本部。最近は新大陸とやらへの調査で結構空いてきたものの人の多いその集会所に私とセツオリ、エルヴァスとキョウジはやって来ていた。何故か首都近くの山間に出没していた古龍級生物、ラージャンの討伐が完了したのでその報告に来たのだ。
「あー疲れた!おうキョウジ、奢ってやるから付き合え。ここの酒場の姉ちゃんがいい女なんだがお前みたいな若者が好みなんだと」
「エルヴァス殿、チームメイトの女子が近くにいながらよくそんなこと言えますね…」
「あ、気にしなくていいよキョウジ。むしろ姉さんに興味持ったら許さないから」
私の四つ年下の妹と二つしか違わないチーム一若手のキョウジをエルヴァスが誘って酒場に繰り出そうとしていたようだが、セツオリにいい笑顔で脅されてげんなりするエルヴァス。よく見る光景だ。チャージアックス使いのエルヴァスに、大剣使いのキョウジ。近距離しかいないがいいチームだと思ってる。
「…な?チームメイトの女子二人が望みないんだから酒場に繰り出すしかねえんだよ…チームの要の盾役なんだからちょっとはサービスしてくれても…」
「おい、妹に手を出すなら容赦しないぞ」
「冗談だって」
エルヴァスがセツオリに色目を使おうとしてたので睨んでおくとすごすごとキョウジと共に酒場に向かって行った。セツオリと二人で受け付けに行くと、ガラスの向こうで私達の専属受付嬢が気が付いて早足でやってきて一礼した。
「ご苦労様です、ミクマリさん。セツオリさん。今回の相手はラージャンでしたが怪我はありませんでしたか?私も現役ならこう、ゴンッと角を叩き折るんですけどねえ」
無表情で拳を握った手で角を叩き折る様な動きをするのは専属受付嬢のマキアナ。ギルド本部のギルドマスターのメイドにして、若い頃はG級ハンターとしても活躍した元ベテランハンターだ。新人時代にリオレウスに襲われて、その際に私が助けたことがある後輩でもある。
「マキアナさん、ヘビィボウガンは殴る武器じゃないです」
「いつも通り怪我はないから安心しろ。マキアナも復帰すればいいのに」
「元G級ハンターと言っても今はメイドの身。ご主人様の命令を無視できませんよ」
なんでも悪徳商人に騙されて借金を負った際にギルドマスターに助けられてその恩を返すためにメイドとして働いてるらしい。見た目は完璧なメイドなのにポンコツと言うか何というか…。
「今はミクマリさんへの恩を返すためにこうして専属受付嬢として働けてるので十分です。……はい、確かに金獅子の尖角と金獅子の鋭爪、確かに確認しました。討伐したラージャンの死骸の回収を確認してすぐに報酬の素材をお送りしますね」
ラージャンを討伐した証である剥ぎ取った素材を渡すと、確認して頷き丁寧に梱包するマキアナを尻目に、集会所の一番目に止まるところに貼りだされたクエスト一覧を確認する。初心者ハンター用の納品クエストから、上位ハンターからしか認められないリオ夫婦の討伐依頼、果てにはG級専用の特殊個体討伐依頼に、外天種と呼ばれる特に特殊な個体の生態調査クエストまでよりどりみどりだ。
「…うん?」
その中で目にとどまったのは、首都に繋がる街道に出没するという「首狩り稲妻旋風」というクエストだ。上級以上G級推奨で、稲妻を伴う旋風が吹き荒んだかと思えば断頭された死体が転がる怪奇現象を調査してほしいとのこと。発生する直前に鳥の様な鳴き声がするのでモンスターの可能性が高い、か。モンスターにしては妙だな。まるで人を殺すことだけを愉しんでる様な。気になったので聞いてみることにした。
「マキアナ、この「首狩り稲妻旋風」は今どんな具合だ?」
「あ、それはやめておいた方が。当初は上級なりたてのハンターでも受けられたんですけど、調査に向かったハンターの死体が見つかって。G級推奨に跳ね上げられたんです。モンスターにしては妙だしもしかしたらはぐれハンターが犯人の可能性も高いので…」
「いや、稲妻を伴う旋風を発生させるだなんてモンスターしかありえないだろう。街道ということは被害が広がる一方だ。我々が出向こう」
そう真剣な目で告げると、少し考え込んでいたマキアナがカウンター下に頭を下げて資料を取り出してきた。
「わかりました。ギルド本部としてもどうすればいいかわからない案件だったので助かります。ミクマリさんたちなら無事に帰ってくると信じていますから!」」
そう言ってくれたマキアナに手を振り、私とセツオリはエルヴァスとキョウジのいる酒場に伝えるのとついでに腹ごなししようと向かう。そのとき私は調子に乗っていたんだと思う。我々の行くところに敵なしだと。まさかあんなことになるとは思いもしなかったのだ。
件の【首狩り稲妻旋風】が出ると言う街道までやってきた。普段は人通りの多い街道なのだが、噂が広まっているのか人っ子一人いない。それもそのはず、石造りの街道には夥しい血の跡が所々に飛び散っていた。
「警戒しろ。直前に鳥の様な甲高い声が聞こえるはずだ」
「しっかし仰々しい名前だな」
「そうとしか言いようがないのでしょう」
「人々を恐怖のどん底に突き落としていたモンスター…必ず退治します!」
四人で背中合わせに構えてどこからでも、と警戒していた時だった。甲高い鳴き声と共に旋風が発生したのは。
「来たぞ!」
「っ、あれは!」
「そんなまさか…!」
どうやら私の背後側から現れたらしく三人の声を聞いて振り向く。そこにいたのは、予想だにしないモンスターだった。
「オサイズチだと…!?」
尻尾を高速で振り回すことで旋風を発生させ、さらに風との摩擦で稲妻まで発生させている、白色の毛並みのオサイズチの鎌が、エルヴァスの盾と拮抗していた。よく見れば高速で回転させている鎌はとんでもない鋭さで、死神の鎌と言われても納得するほど血に塗れて紅く染まっていた。
「どっせい!」
エルヴァスが耐え凌いでいるところにキョウジがゴシャガズバアを振り下ろすも、オサイズチは素早い身のこなしで回避。尻尾をさらに高速回転させたかと思えば稲妻を伴った旋風を飛び道具の様に飛ばしてきて、咄嗟にゴシャガズバアを盾にしたキョウジを弾き飛ばした。
「ぐう!?」
「キョウジさん!この…!」
「セツオリ、気を付けろ!」
尻尾を高速回転させるオサイズチに、セツオリが小太刀を手に斬りかかる。ギンギンギンギンギン!と連続で刃が激突する音が聞こえ、弾き飛ばされるセツオリを庇うように前に立つ。セツオリの高速の斬撃と互角だというのか…!?
「
オサイズチの斬撃を太刀で舞うようにして全て捌いて行く。相手の動きに合わせて変異する技で防御に特化している。それでもギリギリだ。するとオサイズチは距離を取って稲妻を伴った旋風を連続で何度も飛ばしてきた。
「水神乱舞!」
鞘と太刀を片手ずつで構え、急な水の流れに合わせるかのごとく、旋風を逸らして弾いて行く。しかし旋風を飛ばしている間にも鳥の様な鳴き声を上げるオサイズチ。何事かと思っていれば、ぞろぞろと二十は優に超えるイズチの群れがやってきた。こいつの配下か…!
「セツオリ、エルヴァス、キョウジ!そいつらは頼んだ!」
「リーダーは!」
「こいつを抑える!なに、一人で倒せると思っていないさ!」
旋風を発生させながらも斬りかかってくるオサイズチの攻撃を必死に捌くが、捌き切れない刃が掠って全身に切り傷がつけられていく。こいつ、嗤っている。自分の攻撃に耐えるしかない私を嗤っているとでもいうのか。まさか、喰いもしないで首を断たれた被害者たちは……こいつの愉悦心を満たされるためだけに…!?
「きっさまあ!」
オサイズチの斬撃を右に受け流し、返しの刃で左から斬りつける。腕を斬られたオサイズチが悲鳴を上げる。そのまま受け流した返しの刃で反撃。奴から余裕の笑みが消えて行く。怒涛の猛反撃を邪魔したのは、一匹のイズチだった。
「ぐっ…!?」
斬り弾いて奴の頭部を断たんとしたとき、甲高い鳴き声と共に一匹のイズチが顔に飛びかかってきたのだ。慌ててもがいて取り外そうとするも、その隙を突かれて腹部を大きく裂かれてしまう。
「ぐあああああっ!?」
「姉さん!」
なんとかイズチを殴り飛ばすも、斬り裂かれた腹部を押さえて蹲る。このまま首も断たれんとしたとき、割り込んできたのはセツオリだった。
「姉さんに手出しはさせない!」
小太刀を手に、オサイズチの斬撃を斬り弾いて行くセツオリ。しかし守りの太刀である私と違い攻撃型のセツオリでは捌ききれていない。
「駄目だ、セツオリ…!」
止めるが聞き耳を持ちやしない。エルヴァスとキョウジはイズチの群れの相手で手いっぱいだ。セツオリが抜けた分まで相手にしているから当然だ。私が抑えると言ったのに、全うできなかった…何がリーダーだ、私はリーダー失格だ。
「私だって、守られてばかりじゃない…!」
オサイズチの刃を弾いてその肩口に小太刀を深々と突き刺すセツオリ。しかしオサイズチはセツオリと己の間に尻尾を滑り込ませて薙ぎ飛ばしてしまった。小太刀を手放したセツオリが地べたに転がり、それを見るなり私目掛けて走り、尻尾を振り回すオサイズチ。まずは私から、ということかと太刀を握って立ち上がろうとするが間に合わない。すると、私とオサイズチの間に割り込むセツオリが目に入った。
「駄目だ、セツオリ…!」
「…姉さん。ごめん。これしか思いつかなかった」
そして、私の首を断つはずだった稲妻を伴った旋風の刃は、セツオリの胸を穿っていた。ごふっとその口から血が滝のように流れ落ちる。
「セツオリーー!」
怒りのままに立ち上がる。両手で握った太刀を、力の抜けて行く身体の全力を振り絞り、先刻セツオリが貫いたオサイズチの肩口に太刀を突き刺し、力を込めるとめきめきめきと音が鳴って、たまらず暴れたオサイズチの鎌が背中に突き刺さる。
「クギャーッ!?」
「うおぉおおおおおっ!」
背中に突き刺さった鎌に血を吐きながらも渾身の力を持って斬り裂いて行き、そして。オサイズチを斜め真っ二つに斬り裂き、私の背に突き刺さったオサイズチの下半身がべちゃっと音を立てて地面に叩きつけられ、ポーンと打ち上がった上半身がボトリと落下した。それを見て蜘蛛の子散らして逃げていくイズチ達。
「…セツオリ、セツオリ…!」
「リーダー!アンタも重症だ!」
「セツオリさんは、もう…」
慌てて駆け寄るが、エルヴァスとキョウジに止められる。抱えたセツオリの身体は異様に重くて、息をしていなかった。
その後、倒れた私はギルド本部に運び込まれて治療を受けた。セツオリは手遅れだった。ちゃんと調査せずハンターに丸投げしたギルドを恨んだし、当然正義感の元に何も考えず受注した私も憎々しかった。
だが、私のためにギルドマスターに頭を下げて復帰したマキアナや、エルヴァスとキョウジの説得もあって私は復帰した。それから半年後、セツオリの為にも死に物狂いでクエストを受けて人助けをしていた私達は、あのオサイズチをも越える怪物を相手することになるのだが、それは別の話。
ミクマリも結構やべーやつ。
・セツオリ
ミクマリの妹。オリジナル武器「小太刀」を使い、モンスターの全身を切り刻む。重度のシスコン。剣術のイメージは転スラのハクロウだがこちらは力づく。元ネタは言わずもがなゼノブレイド2のセオリ。
・首狩り稲妻旋風オサイズチ
セツオリの命を絶った張本モンスター。全身が白い鎌鼬竜オサイズチの特殊個体であり、己の鎌の切れ味を試す為だけに街道を通る人間を殺害していた。己の鎌が全てのナルシストで、それに敵わない人間を見て愉悦することが趣味。その際稲妻を伴う旋風が巻き起こるのが特徴で属性は雷。氷属性に弱い。鎌の部位は最高硬度であり切れ味が白であろうが弾く。身に纏う皮も同様かなりの硬度を誇り、本編ではセツオリの穿った傷口に太刀を挿し込むことでようやく勝利できたほど。20体もの群れを率いており、人間にとっては厄災そのもの。首狩りの元ネタは仮面ライダークウガのメ・ガリマ・バ。妖怪イメージは鎌鼬と死神。
次回はエスラかな?とりあえずG級組軒並み書いたらサンブレイク編に行く予定。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
G級生き残り組の話いる?
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ミクマリ回が見たい
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エスラ回が見たい
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エルヴァス回が見たい
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マキアナ回が見たい
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アンテム回が見たい
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全部見たい
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いらないからサンブレイク編はよ