今回はようやく王域三公の一体との対決です。楽しんでいただければ幸いです。
「
マシロが一命を取り留め、目を覚ますまでエルガドで待機していた俺、ヒビキ、ナギ。ヒビキが奇しき赫耀のバルファルクから剥ぎ取った素材から作成した新たな狩猟笛「龍天笛ホルマゼンタ」を完成させて狩猟笛二刀流を試していたところに提督に呼ばれて駆けつけてみれば、開口一番伝えられたことに物申す。
「…追うなとは言っていない。奴は神出鬼没でどこにでも出没する、追跡は不可能だ。発見したら即報告するが、バハリから急報が入ったからそちらに対応してほしい」
「大地母蜘蛛の研究と並行して行っていた調査で、王域三公ガランゴルムを発見。追跡中とのことだ」
「…あの人研究の合間に調査もしてるんです?」
ナギが呆れた様にそう言うとフィオレーネは苦笑する。
「バハリは自分の趣味を優先しながら仕事ができる奴だ、勘弁してやってくれ」
「バハリの報告では近隣の集落を襲いながら移動しているため、速やかに倒さねばならない。恐らく例の大地母蜘蛛の毒によるものだろう。王域生物が縄張り拡大し始めた理由を解き明かす足がかりにもなるかもしれない。大地母蜘蛛だけが原因ではないだろう」
「此度はマシロの代わりに私も同行する。王国の騎士として王域三公を貴殿等に任せる訳にもいかない」
「気にしなくてもいいのに」
「騎士と言うのはそういうものなのさ、ナギ。よろしく頼む。バハリのせいであんな重傷を負ったマシロの分まで使い潰してくれ」
そう手を差し出してくるフィオレーネの手を握り返す。チームが一人欠けてたから助かる。
「…いやあれはバハリのせいじゃないです、俺達の責任だ」
あんなショウグンギザミがいるのだと事前に調べてなかった俺のミスだ。少なくともバハリのせいじゃない。
「バレット。そう引き摺るな。マシロの分まで、やるぞ」
「ああ、ヒビキ。マシロに心配させるわけにもいかないしな」
「泣いてばかりじゃいられないもんね」
ヒビキとナギの言葉に頷く。アイツの分まで、やりとげてみせるさ。
船でやってきたのは城塞高地。かつて城塞都市のあった場所が廃墟と化し、自然の一部となりつつある狩場。緑豊かな森林や寒冷地帯、崩壊した石造りの城塞で構成されている。ここの森林地帯がガランゴルムの本来の縄張りらしい。と、始めて来た狩場のマップを視界のゲーム画面で眺める。やっぱり雲に隠れて見えないな。モンスターもガランゴルム以外は?表示だ。三体いることぐらいしかわからない、が…ガランゴルムと?の一つがなにやら何度も接触している。これは…?
「…大型モンスター二体がぶつかっている気配がする」
「それは本当か?どっちだ、バレット」
「ああ、恐らくだが間違いないフィオレーネ。こっちだ」
マップ情報を勘と言うことにして、扇動する。地図が次々と更新されていく中を突っ走っていく。そして道なりに広場の様に出た所で、俺達はそれを見てすぐ物陰に隠れた。同時に?が更新される。ダイミョウザザミのそれに似たアイコン。ショウグンギザミ、それも普通のじゃなく七色の鉱石の甲羅を背負った逆刃刀みたいな鎌の個体。極断刀ショウグンギザミだ。
「城塞高地にショウグンギザミが出るなど聞いたことないぞ…!?」
「あいつはどこにでも出没するって話は本当だったのか…」
「乱入する?」
「いや、あれは巻き込まれたら不味そうだ。決着を待とう」
フィオレーネの驚きの声が上がり、ヒビキの案に全員頷き観察を続けるが、今にも飛び出したい衝動でいっぱいだ。アイツがマシロを……!
「ギシャシャッ!」
「グルオオオッ!」
ショウグンギザミが鎌を振るい、ガランゴルムが刃を左拳で地面に挟み込んで押さえたところを溶岩を纏った右拳で殴りつける。鉱石の甲羅で拳を受け止めたショウグンギザミがもう片方の鎌を振るって牽制。ガランゴルムは大きく飛び退いて、ショウグンギザミは自由になった両鎌を太刀の如く振るいながら突進。拳に纏った苔や溶岩で刃を受け流しながら後退していくガランゴルムは防戦一方で。
「グルオオアッ!」
するとガランゴルムが思わぬ手に出た。溶岩を纏った右拳を爆発させると跳躍してショウグンギザミの背後に回り込み、その両手でショウグンギザミの鎌…は触れたら斬れるとわかっているのかその付け根の腕を掴んで拘束した。
「ギシャシャアッ!?」
暴れるがガランゴルムの怪力はビクともせず、そのまま何度もヘッドバットを甲羅に叩きつけられて本体が地面に押し潰され、足を押し付けられて腕を引っ張られるショウグンギザミ。そればかりか右腕に掴まれた腕は熱で焼かれていき怒号の様な咆哮が上がる。
「ギシャーッ、シャアアアッ!!」
するとブチギレたショウグンギザミが無理やり関節を折り曲げて腕を振り下ろして鎌を引き抜き、その時掌を斬り裂かれたガランゴルムが後退。ぶつけ合わせて砥いだ鎌を横に構えたショウグンギザミがグルグルと高速回転して連続で斬撃を叩き込み、溶岩と苔に包まれた両腕でガードしていたガランゴルムだがガードを吹き飛ばされ、胴体の岩の様な肉体を切り刻まれていき、最後にはショウグンギザミが跳躍。兜割の様な急降下斬りを受けてガランゴルムに縦一文字の切り傷が走り、そのまま崩れ落ちた。
「ギシャシャシャッ…」
ショウグンギザミはそれで気がすんだのか鎌を砥ぐと地面を掘り進んでその場をいなくなる。マップを見る限り地下に出たらしい。水脈でもあるんだろうか。
「…ガランゴルムが、倒されたのか…?」
「どうだろ、相当な大ダメージ受けたと思うけど」
「気絶はしてるみたいだが…」
「待て、近づくな!」
俺がマップに気を取られている間にガランゴルムに近づく三人に気付いて慌てて呼び止める。ガランゴルムのアイコンはまだ、討伐どころか瀕死の表示も出ていない…!その瞬間、目を開いて両手を押し付けて地面から立ち上がるガランゴルムの怒りに囚われた瞳が俺達を見据えた。ショウグンギザミにやられた怒りも混じってるな…まるで、ヌシの様な覇気だ。
「グゴガァアアアッ!」
咆哮と共に両手を地面に突き刺し、大人の男の等身大程はある岩石を飛ばしてくるガランゴルム。ナギが盾ランスで防ぎ、ヒビキが咄嗟にマガド笛で弾き飛ばすが俺とフィオレーネは退避。バラバラになった俺達に、拳の乱打を叩き込んでくるガランゴルム。一撃一撃で小規模なクレーターを作り上げて行くそれからなんとか避けていく。
「怪力の化身」や「剛力の怪物」などとも評されるほどの剛腕の持ち主は伊達じゃないな。しかも殴りつけた傍から尻尾が触れた個所が緑に溢れて行く。体表から分泌される「体肥液」と呼ばれる黄土色の液体で植物の成長を促すとは聞いていたが、本来は大人しい気性なのも相まって無垢なる巨影と呼ばれてるのも納得だ。フィオレーネとナギの二人が盾で受け流している光景を見ながらその恐ろしさを痛感する。右腕に火属性を、左腕に水属性を纏っている。アンジャナフと戦ってた時にもしやと思ったが二属性持ちか。
「しかしまあ、火属性と水属性を同時に使ってくるとは…ヒビキ!」
「任せろ…!」
ライトボウガンで貫通弾を撃って注意を引きながらヒビキに指示。背後から、専用のX型のホルダーに斜めに納めていたもう一本の狩猟笛…龍天笛ホルマゼンタを禍ツ琵琶ノ幽鬼ウラザと共に両手に構えたヒビキが跳躍。まるで双剣を扱うの様に打撃をその頭頂部から足まで叩きつけて行き、着地。繋げていた鉄蟲糸から、両手の狩猟笛をぶつけ合って演奏する離れ技で衝撃を与えるヒビキ。絶対狩猟笛の正しい使い方じゃねえ。
「ん?」
俺も負けてられないとばかりに左腕のヘビィボウガンを右手に握ったライトボウガンと共に構えた時だった。マップのショウグンギザミがもう一体のモンスターである?と接触。激突し始めたのだ。好戦的とは聞いていたがここまでとは……
「なにをしている、バレット!」
「え?」
フィオレーネの叫びに正気に戻る。すると目の前には突進してくるガランゴルムが。マップに気を取られて気付かなかった、この特典の弱点だなと痛感した直後。とんでもない衝撃が横から襲って、俺は宙を舞うのだった。
次回に続く。王域三公と外天種の縄張り争いでした。凶暴化したことで外天種とも張り合える強さになってるという。大地母蜘蛛の毒はなんなんでしょうね?
狩猟笛二刀流を披露したヒビキ。やっぱりこいつ頭おかしいです。
実はこのショウグンギザミと戦い始めた?モンスター、バレットは会ったことないけど既に登場しているモンスターだったりします。
最近ご無沙汰でしたが次回は掲示板要素入ります。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。