今回は前回の続き。対抗策を皆で考えよう。実は原作だとまだ半分も行ってないというね。楽しんでいただければ幸いです。
あれから、キャンプベースを踏み潰して海のギリギリまで追いかけてきたヤツカダキの群れから命からがら逃げだした俺達はエルガドに帰還。ことの顛末と、大地母蜘蛛が生まれたであろう原因を伝えた。
「…報告は確かに受け取った。まさか大地母蜘蛛があそこに潜んでいたとは……」
「提督、全戦力を持って叩きましょう。報告通りなら王国が狙われたら終わりだ。これ以上増える前に…!」
「…ならぬ。奴の糸を突破する手段がいない今、迂闊に刺激して人間を標的にされればそれでこそ一巻の終わりだ」
フィオレーネの進言を一蹴する提督だが同感だ。勝てる見込みもないのに迂闊に刺激するのはやばい。俺が落ちてしまったのは影響ないと信じたい。
「不可抗力とはいえ、俺が落ちたのは大丈夫だろうか」
「……恐らく大丈夫だろう。今までの反応から見て、奴等の視界に入らない限りは襲ってこない筈だ。事実、一度出くわしたお前たちを奴はより強大な獲物に気を取られて見逃している。恐らく人間のことを脅威と見ていないのだろう」
「くっ……敵と見られていないことに救われるとはなんたる屈辱…」
悔しげに拳を握りしめるフィオレーネ。単に狩猟できる相手じゃないからなあ。100を超える大型をどうにかする手段とか無理だろ。
「その推測は正しいと思います。俺が落ちた時も、単なる餌としか見ていなかった」
「腹ペコなのか追いかけてきた奴等も私達を見るなり血相を変えていたよね」
「さすがに海を渡れないみたいだが地上からのルートがあるからな…」
俺の言葉にナギとヒビキも頷く。どうしたもんかね。すると一度研究所に向かったバハリが書類の束を抱えてやってきた。
「やーやーお待たせ!提督、フィオレーネ。現状は把握できてるみたいで何より!」
「この非常事態に何をにやついているバハリ」
「いや笑わないとやってられないでしょあんなの!ヤツカダキの群れに追いかけられるなんて体験二度としたくないね!」
「お、おう…悪かった」
「バハリさんでもあれはトラウマ級なんだね…」
顔を青くしてまくしたてるバハリにドン引くフィオレーネと、同情するナギ。あんなのトラウマにならない奴はいないだろうよ。
「とりあえずですね、今できることを考えて来ました!まず、あの小型生物の研究!ぜひとも捕獲したい!現在寒冷群島で暴れているイソネミクニ亜種の付近で見たという報告があるのでその狩猟を頼むよ!亜種は手強いからね、君達にしかできないんだ!」
「…先刻、報告していたものだな。次の緊急クエストだとチッチェ姫に伝えておこう」
まあ同感だ。あのよくわからん生物の正体が分からんことにはな。
「第二に、糸を斬る方法。実体のある刃で駄目ならライゼクスの電撃の刃で焼き切るのはどうかな?」
「ライゼクス……」
言われて思い出した。そういやアイツがいたわ。俺とナギは顔を青くする。…いや大地母蜘蛛ヤツカダキと極断刀ショウグンギザミと星雲龍ネグレマガラだけでもお腹いっぱいなんじゃが?
「可能性はあるのか?」
「いや導電性は良好なのは一応検証で判明してるから、一つの手段としてね。ちなみに炎はまるで通じないことが判明している。水も然り。試してないのは冷気と電気。電気はライゼクスのメカニズムを知るために捕獲してほしい」
「捕獲か……討伐は?」
「できれば捕獲が望ましいね。あの大技の雷の斬撃を参考にしたい」
なるほどな。確かに奴の特性を考えても、有効的な手段だろう。ライゼクスが異様に強くなければの話だが!
「冷気は王域三公の一体を捕獲すればいいかも?ほら、君達も出会ったらしい奴さ」
「確か…ルナガロンか?」
思い出す。確かにあいつは氷属性だった。王域三公と呼ばれるだけあって歴代メインモンスターと同格なんだろうな。
「ああ、奴は氷の刃を全身に纏うことができる、うってつけだ!」
「ルナガロンを見つけ次第すぐに報告する様に伝達しておこう」
「つまり……ライゼクスとルナガロンを捕獲することが当面の目的ってことでいいか?」
「正確には何時逃げ出すか分からないイソネミクニ亜種傍の小型生物から、だね。糸の対抗策は後回しでいい。あれは俺の予想が正しければ………早急に対策を立てないとヤバい」
真面目な顔でそう言ってくるバハリ。…あのちっこいのがそんなにヤバいとは思えないが……いや、あの小さな体にどれだけエネルギーを溜めこんでるのかって話か。
「メル・ゼナはどうする?」
「それも見つけ次第、かな。大穴と関係あるのはほぼ間違いないし……バレット。たしか小型生物を見たのと同時期に、あの決戦があった獄泉郷でメル・ゼナを観測したって情報があったんだろう?小型生物ともなにか関係がある可能性が高い」
「なるほどな。道理に叶ってる」
……あの干からびた淵虎竜マガイマガドの死骸も関係があるとしたら、俺達にとっては後片付けにもなるな。
「そして第三になんだけど。提督、集められるだけ戦力を集めて欲しい。最悪全面戦争になる。特に、早めに手練れのハンターを見張りとしてあの大穴の傍に置きたい」
「……そちらは手を打っている。淵虎竜討伐に協力して生き残ったG級ハンターたち他、カムラの里とこの観測拠点に常駐している手練れの盟勇を集っているところだ」
「ミクマリ達が…!」
嬉しそうなナギの声。そうだな、掲示板でも連絡していた通り、あちらの問題が片付けばすぐにでも駆けつけてくれるだろう。それでも足りないぐらいなんだがな。……また掲示板のみんなの助けを借りようにも、魔導師ニキ曰く「持ってるコネ全部使った荒業だから二度はできない」ってことだったし……。可能性があるとしたらくだんニキに頼んでまたモンスターの掲示板の転生者たちに助けを乞うぐらいか。
「まさか淵虎竜と百竜夜行・ヌシ大乱以上の脅威があるとはなあ…」
「あの時も実際100体いたわけじゃないんだよね……」
「ヤツカダキは間違いなく100体以上いたからな。しかもそれぞれツケヒバキ等幼体が付いている上に亜種までかなりいるときた。下手なヌシの群れより厄介だ」
「名付けるとしたら百蟲夜行だな。…穴から湧き出てくるから深淵ノ百蟲夜行、か?」
「フィオレーネ、名前はどうでもいいと思うよ?」
「…いや、分かりやすくしておいた方がいい。この大地母蜘蛛絡みの異変を以降、百蟲夜行と呼ぶことにする!フィオレーネ、各所に伝えておいてくれ」
「わかりました」
宣言する提督に敬礼して走り去っていくフィオレーネ。ちょっと嬉しそうだったな。「深淵ノ」ついてないけどいいのだろうか。
「さて、猛き炎の諸君。体調はどうだい?」
「心的障害というかトラウマ以外は大丈夫だ」
「バレットは特にトラウマに残ってそうだね…」
「無理もない話だ。ゆっくり休むべきだが…急いだ方がいいのか、バハリ」
俺を心配してくれるナギとヒビキに嬉しく感じる。仲間っていいな。マシロも早く完治してくれるといいが…腹ぶち抜かれたからなあ。
「そうなんだよね。さっそくで悪いがさっき言ってたイソネミクニ亜種の狩猟をお願いできるかい?討伐でも捕獲でもどちらでもいい。例の生物の捕獲は俺がやるよ。……というか、やらせてくれ。俺以外の人に、やってほしくないんだよね」
「その理由は?」
「いやあ、あれは扱いを間違えたらやばそうなんだ。研究主任としての責任感さ。間違っても、触れないでくれよ?あの毒が人間にどんな作用をもたらすかわかってないんだから」
「了解だ」
そんなこんなで、大地母蜘蛛は後回し。まずはイソネミクニ亜種の狩猟か。………亜種?ヤツカダキは他の地方にもいたから戦ったことあったがイソネミクニの亜種ってどんなだ?
というわけで最重要狩猟目的としてイソネミクニ亜種、ライゼクス、ルナガロン、メル・ゼナが決まりました。バハリ的に糸を切れる可能性があるのは某千の刃とかもいるんだけど、現状物理が全然歯が立たないので一番可能性があるのが「電気」「冷気」ということでまずはこの面子。ただでさえ強力な面子だから追加するのは、ね?
大地母蜘蛛に喧嘩を売るのはやめとこうというのは総意。そして今章のタイトル回収「百蟲夜行」フィオレーネは上手い事言ったつもりでご満悦である。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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