そんなわけで原作イベント、メル・ゼナ襲来です。楽しんでいただければ幸いです。
「いやいや、すごいね!さすがは猛き炎とフィオレーネだ!」
ルナガロンを捕獲、周辺の安全も確保したという信号弾を撃って一時間ほど休息していると、夜になりたての頃にエルガドの回収班であろう数人に荷車を引かせたバハリがやってきて落とし穴で眠っているルナガロンを見るなり感嘆の声を上げる。
「俺の見間違いじゃなければ大地母蜘蛛とネグレマガラが縄張り争いしていたから全力で逃げたってのに。よく生き残れたね?いや、別に君達の能力を疑ってるわけじゃないんだよ?よし、慎重に荷車に乗せてくれ」
「まったく…仕事はしたんだろうな?」
「もちろんさフィオレーネ。ちゃんとキュリアは捕獲したとも。先にエルガドに帰って待っていてもよかったんだけどさ、黙って果報を待つっていうのもね」
「バハリさんはそういう人だよね」
「そ。さすがナギちゃん、わかってるぅ」
ナギの言葉に笑顔で返すバハリ。するとボロボロの俺を見て何かを思いついたように怪しく笑う。おい嫌な予感がするぞこら。
「バレットも重傷みたいだし、一緒に荷車に乗せて運ぼうか?」
「…ルナガロンと一緒ってのが癪に障るが、助かる。ろくに歩けないからな」
「だろうね。装備越しでも背中がズタボロだ。凍傷と裂傷もできてるかな?よく意識保ってるね?」
「もっとひどい怪我を淵虎竜の時に負ったからな」
「ああ、その腕か……もっと性能のいい義手作ってあげようか?」
「本当か!?」
思わず反応する。バハリの技術力はエルガドにいる間、存分に堪能した。恐らくこの世界でも屈指の技術屋だろう。その技術で作られる義手とか期待しかない。カムラの里製の今の義手も中々いいのだが、如何せん精密すぎて戦闘に耐えきれないからヘビィボウガンを左手に直接くっ付ける暴挙に出た訳で。
「もちろんさ。というかなんで俺に頼まなかったの?」
「いや、王国随一の技術者に頼むのはさすがに金がかかるかと…装備と武器で金使いすぎてだな…」
「そんな!俺達友達だろ?お安くしとくよー?」
「そこは
「まあこっちも商売なんでね?」
まあそっちの方が信用できるか。
「あの紅い光は…?」
「うん?どうしたんだい?」
「バハリ!調査は中断だ!バレットを頼むぞ!行くぞ、ヒビキ、ナギ!」
「おう!」
「うん!」
「え、どうしてー!?」
状況が分かってないバハリに、その背後を指差して促す。振り返るバハリ。そこには、キュリアの大群が舞い降りてきている光景があった。その中心で背中合わせに構えるフィオレーネとヒビキとナギ。くそっ、参戦したいが今の俺は足手まといだ。バハリ達非戦闘員に襲いかかるキュリアがいたら撃ち落とすぐらいしかできないな。って、なに!?
「三人とも、上だ!避けろ!」
「「「!」」」
それが見えた途端、考える間もなく回避を指示。キュリアの大群の上空から急降下してきたそれを、散開して回避する三人。現れたのは、白銀の甲殻が美しい気品漂ういわゆる“ドス古龍”骨格の王道スタイルのドラゴンの様なモンスター。顔全体が白い甲殻のようなものに覆われており髑髏でできた仮面を被っている様にも見える。紅く輝く翼と蝙蝠の様なキュリアを侍らせているのも相まって、まるで吸血鬼の様だ。
「グルルルアァアアアッ!」
着地するなり三人を見下ろして咆哮を上げるそのプレッシャーは間違いなく古龍。そしてキュリアを侍らせているということは、奴が例の爵銀龍か…!
「メル・ゼナ……嘘だろ、戦力が低下している時に出くわすなんて最悪だ!急げ、急いで離れるんだ!早くしろ!」
慌ててバハリが指示を送り、荷車を移動させんとする中。メル・ゼナは咆哮すると姿勢を固めたかと思えば高速で突撃。咄嗟に防御したナギとフィオレーネを弾き飛ばし、ヒビキの振るった狩猟笛と激突。天高く弾かれたかと思えば素早い動きで尻尾を叩きつけ、さらに地面に沿わせて尻尾を刺突する攻撃が咄嗟にヒビキが防御した狩猟笛を貫き吹き飛ばす。なんてトリッキーな動きだ。
「ヒビキ!?この…!」
ガンランスのブラストダッシュを使って舞い上がり、ランスで刺突攻撃を繰り出すナギ。しかしメル・ゼナは空中で翼を閉じたかと思えば勢いよく広げて衝撃波を発生させてナギを叩き落とし、尻尾と翼を槍の様に突き刺し、薙ぎ払い、叩き付けるコンボを繰り出して咄嗟に突きだけは防いだナギを叩きのめす。
「くっ…非戦闘員に手を出すのは、騎士の名にかけてやらせん!」
ナギとヒビキがやられたのを見て、俺達を守るように荷車に駆けつけて構えるフィオレーネ。するとそれを一瞥したメル・ゼナは侍らせたキュリアから球体のエネルギー弾を放たせてフィオレーネを吹き飛ばし、キュリアの群れを荷車に飛ばしてきた。やっぱり奴がキュリアの元締めか!?
「させるか!」
咄嗟に取り出したライトボウガンに鉄蟲糸弾を装填、乱射してキュリアを撃ち落としていくが焼け石に水。これまでにない数のキュリアを駆逐するのは誰の目から見ても無理だった。
「バレットが頑張ってるんだ、負けてられん!」
フィオレーネは何とか立ち上がり、キュリアを止めるのは無理だと悟ったのかその元締めであるメル・ゼナに突撃。メル・ゼナもそれを悟ったのか再び姿勢を固めて高速で突撃。フィオレーネはギリギリ回避して片手剣で腕に斬撃を浴びせた。
「グルルルルッ…」
するとメル・ゼナは怒ったのか尻尾の先端を紅く光らせて三つの鍵爪状に展開。振り返って構えたフィオレーネの斬撃を宙返りで回避すると尻尾で刺突を繰り出して咄嗟に身を捩ったフィオレーネの手から剣を弾き飛ばし、体勢が崩れたフィオレーネに追撃で尻尾の刺突を腹部に炸裂させて吹き飛ばすメル・ゼナ。
「ぐああああああっ!?」
「フィオレーネ!」
そのままメル・ゼナが追撃しようとしているのを見て、右手でライトボウガンを乱射してキュリアを撃ち落としながら、バハリにセットしてもらった狙撃竜弾を左手のヘビィボウガンを向けて発射。刺されたのだろう腹部を押さえて崩れ落ちたフィオレーネの頭上をスレスレで飛んで行き、狙撃竜弾はメル・ゼナの顔面に炸裂して爆裂。大きく怯ませる。
「グルルルルルルッ!」
すると目を紅く輝かせたメル・ゼナは口から炎のようなエネルギーを発射し、前方扇状に炸裂した地面を連鎖爆発を起こすブレスで荷車は破壊され、俺とバハリは吹き飛ばされて地面を転がる。
「がはっ、なんて強さだ…」
「ぐふっ…あれが王域最強の古龍、メル・ゼナの強さだよ…キュリアを使うのは初めて見たけど…」
動けない俺達の前で、ルナガロンに群がるキュリアの大群。眠っていたルナガロンも目を覚まして抵抗しようとするが麻酔が効いているのかロクに動けず何かを吸い取られてぐったりと倒れ伏し、キュリアは天高く飛び立っていきメル・ゼナもそれを見届けると空に舞い上がってキュリアを侍らせて飛び去って行った。
「なんとか助かったみたいだけど……みんな、無事かい?」
よろよろと立ち上がったバハリの呼びかけに回収班の人達が反応し、俺も手を上げて無事を知らせるも、肝心の三人から返事が聞こえない。慌てて見やればフィオレーネはなんとか立ち上がっているが返事する元気はないらしく、残りの二人は倒れたまま動かない。気を失っているようだ。
「っ…バハリ!」
「ああ、至急救護班を呼ぶんだ!ルナガロンは後回しにしてキャンプに運ぶぞ!」
バハリの指示で回収班が俺達をキャンプまで運んでいく中で、俺はなにがあったのか聞いてくる掲示板の皆に応える。完敗だ、と。
まさかまさかの全滅。ルナガロンとの連戦に加え、大地母蜘蛛とネグレマガラのプレッシャーを受けて疲弊していた彼等にはさすがに相手が悪かった。
メル・ゼナはある理由から外天種と同格みたいな強さとして描いてます。使ってる技は全部原作のなんですけどね。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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滅雷刃ジンオウガ
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塵魔帝ディアブロス
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灼翼王リオレウス
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極断刀ショウグンギザミ
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星雲龍ネグレマガラ
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大地母蜘蛛ヤツカダキ