今回はちょっとテコ入れ。楽しんでいただければ幸いです。
エスピナスの頭部と尻尾を、棘に刺さらない様に抱えてエルガドに帰還した俺達。到着するなり駆けつけた医療班の持って来た首桶と桐の箱に入れて医院のタドリのもとに運んでもらい、提督とバハリが待っているいつもの場所に四人揃って行くと歓迎してくれた。
「…エスピナスの狩猟、お見事。さすがの腕前だ」
「報告は聞いたよ。エスピナスだけじゃなく、結晶皇に千刃の追跡者に極断刀までいたんだって?よく五体満足で戻ってこれたもんだね。俺とタドリも待機してたんだけど、その報告を聞いて震え上がったよ」
「正直何度死んだかと思ったことか」
「酷い目に遭いました…」
「極断刀にはリベンジできたけど…」
「バハリ一発殴らせろ」
「いや待ってバレット。観測班が見誤っただけだから!俺悪くないから!?」
その弁明も確かだったので殴るのはやめておく。ヘビィナックルぶちかますつもりまんまんだった。命拾いしたな。
「…エスピナスだけでなく、極断刀ショウグンギザミに勝利したと聞いたがまことか?」
「倒したって言うか、鎌を叩き折って追い返したが正しいな」
そう言えば戦利品の鎌は持ち帰れなかったな。あそこに突き刺さったままだろうか。
「叩き折ったって鎌は後で回収させるよ。いやー、今から研究するのが待ちきれないね!外天種の一部だなんて史上初めてだからね!しかし機転で頭部と尻尾を持ち帰るのはよく思いついたね。おかげで、薬を作るのに必要な毒も十分に確保できるだろう」
そう言ってると医院の方からタドリがやってきた。
「よくやってくれました猛き炎の皆さん。想定の50倍は作れる量がありました。正直そこまでは必要ないのですが、まあ少ないよりは多い方が安心ですのでこれはこれで。ナギ殿の血をいただけたら血清もできそうなんですけどね?」
「それは本当に勘弁してください。注射、大嫌いなんです!」
「冗談ですよ」
本気で嫌がるナギに苦笑するタドリ。いやまあナギも俺も外天種の仲間みたいなもんだからそれは正しいとは思うが。
「ともあれ、あとは私にお任せください。調合に取り掛かります。迅速な対応のおかげでフィオレーネ殿も助かるでしょう」
「よし。それじゃ、薬ができるまでの間、猛き炎のみんなにお願いがある」
「なんだ?外天種と戦うのはもう勘弁だぞ」
「さすがに外天種と戦えと言うほどひどくはないさ。爵銀龍メル・ゼナの居所については補足しつつあるんだけど……大地母蜘蛛とメル・ゼナとキュリアは順調にウイルスの浸食を広げているらしく、ウイルスの感染を受けたらしきモンスターたちは元気に暴れ回ってらっしゃる」
「結晶皇ライゼクスに追い返されたのに懲りずに暴れているのか、大地母蜘蛛」
しかも本人は暴れず毒…改めウイルスを感染させたモンスターを暴れさせている辺り、蜘蛛を思わせるかのホームズの仇敵、犯罪界のナポレオンことジェームズ・モリアーティを思い出す。やけに高い知能も奴の特異性のひとつだろう。
「状況は切迫している。だけど拠点内の騎士は防衛のために動けず、出払っている騎士にも限界が来つつある……君達が狩猟している間にエルガドに訪れていたミクマリ、エルヴァス、マキアナ、アンテム、エスラといったハンターたちに対処を頼んだんだが、はっきり言って数が足りない!」
「あ、だから…」
「しっ」
ナギが合点がいったとでも言うように納得の声を出そうとしたのですかさず止める。掲示板の連絡網でしか知らないミクマリたちが訪れていることを知っているのはあまりにも異質だ。
「どうしたんだいバレット、ナギ。なにか思うところでも?」
「いや、なんでもない。つまりこれまで通りと言う事だな?」
「そういうこと!引き続き力を貸してほしい!エスピナスと結晶皇ライゼクスと千刃の追跡者セルレギオスと極断刀ショウグンギザミとかいう前代未聞な大狩猟を終えた直後で無茶を言っているのは承知の上なんだけどさ…」
「……ギルド本部から腕の立つG級ハンターを派遣してもらったが、今、ここの主戦力は間違いなく貴殿等だ。その実力は、今回の狩猟達成で疑いようのない領域まで来た。この世界でも屈指の猛者たちだ。提督として、私からも助力を請いたい」
そんな提督の言葉に頷く俺達。もとよりそのつもりだからな。
「任せてくれ提督。…数がいるなら俺達も別れた方がよさそうだな」
「えっ。…マシロが心配なんだけど…」
「もうあんなへまはしないって!心配性だなナギは!」
「似たようなこと言って重傷を負って帰ってきたのはどこのどいつだマシロ」
「あ、ちょっと待ってくれバレット」
「ん?…先に行っててくれ」
わいわいと話しながらその場を離れようとすると呼び止められたため、三人を先にチッチェ姫の元に向かわせ、呼び止めたバハリに向き直る。もしかして……。
「例の義手ができたのか?」
「ご明察。今回出向かなかったことでようやく余裕ができたからね。俺の研究室までついて来てくれ」
そう言われて素直について行き中に入らせてもらうと、そこには予想以上のものがあった。
「木…いや、鉄…いやこの質感は皮か…?」
「残念、正解は加工したモンスターの骨さ。下手な鉄より頑丈だからね。ちなみに外の皮はジャギィノスだね」
「まさかの有機」
「ネジとか使ってるから純粋な有機でもないけどね。指の骨は苦労したよ、小型モンスターから厳選して……まあいいや。どうだい?」
「確かにこれなら、前の腕みたいに使えそうだな。見た目も装備を付けたときと大差ないから目立たないし。でもそんな細かいなら自由に使えなくないか?」
今の日常生活用の義手を慣らすのも一ヶ月ぐらいかかったんだが。
「一応筋肉の運動で動かせるようにはしてるけど、まあ時間をかけて慣らせるしかないね」
「だよなあ……あ、頼みがあるんだ」
「なにかな?」
「この盾を今の義手に固定してくれないか?」
「え、なんで?ヘビィボウガンを付けるならいらないよね?」
「これにはやむを得ない事情があるんだ…」
決戦に向けて準備もしないといけないのだがひとつ問題があった。色々ヘビィボウガンやライトボウガンを作成してもらい、必要そうな装備を揃え、弾も毎回雑貨屋で買い揃えていたのだが……金がついに切れた。前世の頃から気に入ったら何も考えずに即買いしてた悪癖がここにきて裏目に出た。マスターランクの装備と武器、高すぎて泣ける。その旨をバハリに伝える。
「えーと、弾代の節約のために別の武器を試したいってこと?」
「ああ。片手剣なら今の腕でも使えると思って」
「それはいいけど……君、ボウガン使いじゃなかった?」
「いやこれでも、昔は色んな武器を試したから心得はある」
大剣に太刀。片手剣に双剣。ランスにガンランス。スラッシュアックスにチャージアックス。躁虫棍にライトボウガン。ヘビィボウガンに弓矢。転生してからハンターになれた当初はせっかくだから色んな武器を試してみようと思い至り節操なく試して、ハンターの師匠を困らせた物だ。普通のハンターは一つの武器を極めることからで複数の武器を扱えるのは相当の天才だと言う話だった。
それでもある程度いくつかの武器を扱えたのは前世で色々試してたからだろう。その中でしっくりきたのがライトボウガンで、火力を求めてヘビィボウガンも使い始めて、後は初心者用の片手剣と、型を習えば技ができる双剣が一番扱えた。大剣はタイミングが難しいし、太刀は居合が下手、ランスとガンランスはそもそも片手であの重さをろくに扱えず、スラッシュアックスとチャージアックスは変形をスムーズにできず、操虫棍はあんなでかい虫が駄目で論外、弓矢はろくに引き絞れない。
「まあいいけど…武器を変えたからって死なないでくれよ?」
「死なない自信だけはあるから任せろ」
そう言ったら呆れられた。解せぬ。
三人と合流し、チッチェ姫からクエストを聞いて話し合った結果。はぐれヤツカダキ亜種の討伐を大地母蜘蛛の予行練習として俺が、ティガレックスの討伐を居合を鍛えたいマシロが、ゴア・マガラの討伐を狂竜ウイルスが効かないナギが、ルナガロンとガランゴルムの同時討伐をヒビキがやることになった。一人だけなんかおかしい気がするが、まあ本人希望だから大丈夫だろう。さて、片手剣でどこまでいけるかね。
新しい左腕(出ただけ)。片手剣使うバレットは本当はライズ編で使う予定だったけど出す暇がなかったのでようやく参戦できました。転生者でも力がないと大概の武器使うの難しそうよね。
金欠はボウガン使いあるあるだと思う。特に全武器を使う僕みたいな人間は。
最後は実際にあるクエストから合いそうなのを選別。ゴア・マガラとナギは相性抜群なのは周知の事実。ヒビキは自分でやる辺り結構ストイック。全部書くべきかアンケートしようかと思います。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
それぞれの戦いを全部描く?
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バレットだけ
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バレットとナギの転生者組だけ
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全員
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バレットのとモンスター掲示板も書いて
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転生者コンビのとモンスター掲示板も書いて
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全員分のとモンスター掲示板も書いて