今回はマシロVSティガレックスと、前回の続き。楽しんでいただければ幸いです。
ナギと別れて雪山エリアに入った私は翔蟲を駆使して雪を乗せた岩肌の中を飛び回っていた。うーん、いつもながらバレットの直感に助けられてたんだなあと直感する。匂いである程度わかるオトモガルクのヴァイスを連れてきてもよかったかな。カムラの里幼馴染組揃ってたからいつもの感じで連れてくるの忘れたんだよなあ。
「ユキ怒ってるだろうなあ」
世話焼きなオトモアイルーの怒鳴る声を思い出して思わず震える。なんか出発前にごちゃごちゃ言ってたの今思えば一人じゃ危険だってことだったんだろうなあ。
「よっと。あ、いた」
一番北の広場まで来ると、我が物顔で闊歩するティガレックスがいた。傍らに食い荒らされたイソネミクニ亜種の死骸があるけど一戦交えたところなのかな?とりあえず奇襲からしようかな。背中の大剣を引き抜き、翔蟲を斜め上に飛ばして糸を掴む。行くぞ!
「ハンティングエッジ!」
「ゴアァアアアアッ!?」
跳躍し、糸に引っ張られて舞い上がり両手で大剣をがっしりと握りしめて弧を描いて空を舞い、急降下。クルクルクルと回転して遠心力を加えながらティガレックスの背中に大剣を叩きつける。大きく背中を抉られ背骨を露出したティガレックスは絶叫を上げてどかんどかんと前足を振り上げ地団太を踏む目の前に私は着地。右手に握ったマガド大剣を背中に戻し、左手で腰の太刀の柄を握って引き抜いて両手で切っ先を下げて構える。
「じゃあ悪いけど、私の太刀の練習に付き合ってよ」
外天種とはいえ、モンスターに太刀の技量で負けていたのが気に喰わない。また極断刀ショウグンギザミと戦うかもしれない、その時に一人で引き受けられるぐらいに強くならなきゃね。
「ゴアァアアアアアッ!」
大地を踏み荒らしながら突進してくるティガレックス。私は見切って横にずれる様にスライドして回避、ティガレックスの左前足の翼を斬りつける。ドタバタと暴れる様にして方向転換してきたティガレックスの突進を前にして、集中。左手に握った鞘に太刀を納刀し、深呼吸。目前にティガレックスが大口を開いて迫ってきたところで身をよじりながら太刀を引き抜いた。
「居合斬り!」
「ガアァアアッ!?」
すれ違った瞬間、斬撃がティガレックスの上半身を襲った。胴体を幾度も斬りつけられて絶叫を上げながら体勢を崩して滑りながら倒れ込むティガレックス。ダウンしているその間に何度も尻尾を斬りつけて部位破壊を試みる。いつ起き上がるかわからない相手に高威力の威合を仕掛けるタイミングが掴めないためひたすら斬りつけて行くしかない。
「ゴアァアアアッ!」
立ち上がり、体を大きくその場で回転させて尻尾を叩きつけてくるティガレックス。咄嗟に見切って背後に軽くスライドして後退しながら太刀を振り上げ、もう一発とばかりに振り下ろす。…………もうすぐ、かな?
「よっと、ほっ!」
「ゴアァアアアアアッ!」
ティガレックスのダメージを伴う咆哮、地団太の様な連続の踏み潰し、噛み付き、回転しての尻尾の一撃を、居合を繰り返して回避しつつダメージを与える。タイミングが掴めてきた。それにバレットが言ってた通り、ティガレックスは居合の鍛錬にちょうどいい。動きが他のモンスターより実直で分かりやすい。それにそろそろ、こう!
「せいっ!」
「ゴアァアアアアアッ!?」
見切りで突進を回避してからの返しの刃で尻尾を斬り落とし部位破壊を行う。うん、やっぱり。なんとなく、斬った感触でどれぐらいダメージが蓄積しているのかわかってきた。太刀の呼吸っていうのかな、掴めてきた。
「絶対強者と呼ばれてるだけはあるよね。圧倒的なパワー、スピード。でもね、貴方には技がない」
私がズタボロにされて敗北した極断刀ショウグンギザミの怖い所は、人間とは身体の造りも違うのに太刀使いを彷彿とさせる動きを見せてきたどころか使いこなしていたところだ。パワーもスピードも防御力すごかったが、巧みな動きをされて対応できずに負けてしまった。
「だから、怖くない」
「ゴアァアアアアッ!」
太刀を納刀した鞘を手に笑って宣言してやると、ふざけるな負けるかとでも言わんばかりに突進してくるティガレックス。怒り状態の動きは単調だから対応できる。
「私流威合」
手にした鞘に納めた太刀に力を溜めながら、跳躍して自ら飛び込むように接近。ティガレックスはそれに気付くと撃墜すべく突進の勢いのまま右前足を振り上げて叩き落とさんとする。
「
その右前足に振りかぶった鞘を激突。その衝撃を利用して空中で太刀を引き抜いてキリモミ回転。袈裟斬りを叩き込んで頭部をかち割り、くるりと一回転して背後に着地。ティガレックスは崩れ落ちた。
「よし、とどめ!」
背中の大剣を右手に握り、左手の太刀と共に構えてラストスパートを決めんとするとさっきから何故か薄暗かった空に巨大な影が差す。見上げると、ネグレ……じゃない、ゴア・マガラが上空を飛んでいてなにかが降りかかってきたので、それが件の狂竜ウイルスだと断定した私は咄嗟に手拭いを取り出し目元から下を覆う。ナギになんかあったのか?と心配もつかの間。
「ゴアァアアアアアアアッ!」
咆哮を上げて復活するティガレックス。その姿は一変し、眼が赤く光り輝き体色も黒みがかった色に染まった全身からおぞましい色のオーラを吹き上げ、体のあちこちに毒々しい模様を浮かび上がらせた姿に変貌、生物とは思えないおぞましい咆哮を上げて襲いかかってきた。
「があっ!?速い…!?」
居合で対処しようとするも、ティガレックスの突進を真面に受けて打ち上げられ、高所から地面に背中から叩きつけられる。いったあ……
「なに?これ……狂竜ウイルスの力…?」
ドカドカドカと大きな足音を鳴らしながら地形を変形させるように暴れまわるティガレックス。その迫力に、たまらず方向転換。翔蟲を使って急いで逃げるがどこまでも追いかけてくる。不味いって、不味いって!?
「どおらぁああああっ!」
すると南の方からナギがブラストダッシュで飛んできて、その勢いでティガレックスにフルバレットファイアを叩き込んで急制止、私の傍に着地した。
「やったか!?大丈夫、マシロ!」
「うん、だけどその台詞、前にふらぐとか言ってなかった?」
「あ、やべ」
指摘すると冷や汗をかきつつガンランスをリロードしていたナギに襲いかかる巨大な岩。どうやらティガレックスがさっきよりも力を増した剛腕で地盤を抉り飛ばして打ち上げてきたものらしかった。
「うえっ!?狂竜症ティガレックスでもここまでじゃないでしょ!?もうそれ荒鉤爪ティガレックスだからあ!?」
シールドで受け止め吹き飛ばされながらそう絶叫するナギ。荒鉤爪って前にウツシ教官に授業で名前が出ていた二つ名個体のティガレックス…だっけ?
「まさか、キュリアのウイルスと狂竜ウイルスが相乗してめちゃくちゃ強くなってるのかな?マシロ、私が受け止めるから…」
「私が攻撃ね、了解!」
バレット程じゃないがバレットが来るまで私達の司令塔だったナギの指示は信用できる。地面をごりごり抉るとんでもない威力の突進を踏ん張って受け止めるナギの横から周って大剣と太刀の二連撃を叩き込む。さっきの時点で瀕死だったんだ、このまま攻め立てれば…!
「グゴアァアアアアアアッ!!!!!」
すると空気が張り裂けるほどの咆哮を放ち、轟音で辺り一面を吹き飛ばして破壊するティガレックス。それに私達は巻き込まれ、天高く打ち上げられると、ランスを背中に直したナギはガンランスを握ってない方の手を私に伸ばしてきたので、こちらも手を伸ばしてそれを手に取る。
「そーらを自由に、飛びたいなっと!マシロ、掴まって!これで決める!」
「任せたよ、親友!」
眼下にはこちらを見上げるティガレックスと、最初にティガレックスと戦った広場で眠って体力を回復しているらしいゴア・マガラ。やりたいことはわかった。
「「うおぉおおおおおっ!!」」
ナギはガンランスのブラストダッシュを無理やり身体を捻って方向転換、縦横無尽に飛び回って上手く制御すると急降下、地面にぶつかる直前で横に曲がり、地面すれすれを飛んで突っ込んでいく目の前には大口を開けて迫るティガレックスが。
「いっけえええええっ!」
超高速を維持しながら私を投げつけ、そのままティガレックスの上を飛んでいくナギ。そちらに気を取られて首を上に向けたティガレックスの隙だらけの喉仏に、投げつけられた勢いのまま鞘に納めていた太刀を引き抜いてすれ違いざまに斬撃を叩き込んだ。
「ゴアァアアアッ!?」
予想外の一撃に、首を斬られたティガレックスは絶叫を上げて倒れ伏し、私はゴロゴロと勢いのまま転がってびたーんと大の字に叩きつけられる。痛い。
「ロケット突きィ!」
「グゴアァアアッ!?」
起き上がってみれば、視界の先でちょうどナギが、手にしたランスでゴア・マガラのどてっ腹をぶち抜いている光景があった。不意打ち過ぎて対処しきれなかったらしい。ナギの自分のことを考えない猪突猛進が功を奏したな。
「あー、疲れた!」
仰向けに寝っころがって、暗かったのが嘘の様な青空を見上げる。いい天気だな。
ブラストダッシュで仲間と一緒に飛んで高速奇襲とかできないかなーとかいう願望からできた今回の合体技。
キュリアのウイルス+狂竜ウイルス=二つ名みたいな強さ。デメリットで体が崩壊しかかる模様。だからティガレックスの首を断てたわけですね。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。