今回は結晶皇ライゼクスVS爵銀龍メル・ゼナ。楽しんでいただければ幸いです。
「アハハハッハッハッハッ!」
紅い月が照らす静かな月夜に、ギィアアァアアアッ!!と低く、愉しげな咆哮が劈く空を高速で飛翔する巨影がいた。周囲にいくつも侍らせた結晶体を紅い稲光と共に轟雷を迸らせて、ドゴーンズゴーンズドゴーン!という爆音と共に大地を砕きながら、目を紅く光らせた飛竜は空を舞う。
「楽しい!愉しい!
無意識にセーブしてきた自身の力を存分に発揮して歓喜の咆哮を上げているのは、異界からの転生者が大部分を占める外天種最強の一角。転生モンスターたち随一の問題児にして、特典「結晶生成」を得て転生した
「エルガドどこー!?どこなのー!」
噛生虫キュリアのウイルスにいつの間にか侵され、兄貴分の
「うぎゃあ!?いててて……」
翼爪で頭部を擦る結晶皇ライゼクスの目の前に舞い降りたのは、白銀の甲殻が美しい気品漂ういわゆる“ドス古龍”骨格の王道スタイルのドラゴンの様なモンスター。紅く輝く翼と蝙蝠の様なキュリアを侍らせているのも相まって、まるで吸血鬼の様なそれの名は王域三公の一角にして王域最強、爵銀龍メル・ゼナ。
「
「アタシと遊んでくれるの!?いいね、イイね、イイネ!お兄ちゃんたち弱いしいなくなっちゃってつまらなかったんだ!」
「っ!来るか、ならば相手をしてやろう!」
突撃してくる結晶皇ライゼクスに、メル・ゼナは咆哮して姿勢を固めたかと思えば高速で突撃して、結晶皇ライゼクスの振るった紅く輝く虹色の結晶でできた鶏冠と、紅く光らせて三つの鍵爪状に展開した尻尾を激突。あまりの威力に天高く弾かれたかと思えば素早い動きで尻尾を叩きつけ、回避した結晶皇ライゼクス目掛けて地面に沿わせて尻尾を刺突するトリッキーな攻撃を繰り出した。
「アハハハッ!面白い動きぃ!」
「ぐぬう!?」
しかし結晶皇ライゼクスは尻尾の穂先を噛み付くことで受け止め、そのまま首を大きく動かしてメル・ゼナを振り回し天高く投げ飛ばすと、翼を羽ばたかせて追走。結晶を生やした翼による斬撃を叩き込む結晶皇ライゼクスだったが、メル・ゼナは空中で翼を閉じたかと思えば勢いよく広げて衝撃波を発生させて結晶皇ライゼクスを地面に叩き落とし、翼を再び閉じて瞬間移動でその傍に現れる。
「古き龍である我に「遊ぼう」などと身の程を弁えろ!」
「ギィアアアアッ!?」
尻尾と翼を槍の様に突き刺し、薙ぎ払い、叩き付けるコンボを繰り出して叩きのめすメル・ゼナ。結晶皇ライゼクスは悲鳴を上げるが結晶の鶏冠から虹色の雷電でできた刃を作り上げると振り回し、メル・ゼナの顔に一閃の傷を刻んで後退させる。
「痛い、痛いよお……ここまで痛めつけられたのは初めてだあ…!」
「っ!」
結晶皇ライゼクスの異様な覇気に怖気づき、空に舞い上がったメル・ゼナは侍らせたキュリアから球体のエネルギー弾を放たせる。しかし結晶皇ライゼクスが周囲に展開した結晶塊に電磁波を纏わせて衛星の様に自身の周囲を回転させたことで防がれてしまう。
「そんな小手先じゃなくてさあ!本気で来てよお!」
翼を羽ばたかせて空に舞い上がり、バサッと振るうことで結晶塊を全て細く鋭く尖った氷柱状に変形させ、自身と結晶塊に纏わせた電磁波をプラスとプラスに切り替えて勢いよくミサイルの如く射出する結晶皇ライゼクス。
「ぬう!なんたる技か、異郷の魂のなせるものか!しかし我には通じぬ!」
「吸血鬼さんこちら!
メル・ゼナは巨大な翼を羽ばたかせて音速飛行、自在に紅い月が照らす夜空を舞い踊り回避するがしかし、結晶皇ライゼクスは自身に纏った電磁波のプラスマイナスを切り替えて自在に結晶塊を操りメル・ゼナを追わせて背中から炸裂させ撃墜する。
「ぐおおおおおおっ!?そんな、馬鹿な…!?」
なんとか体勢を立て直して滞空するメル・ゼナは上空を見上げて絶望の咆哮を上げる。夜空を埋め尽くし、紅い月光に照らされるのは万を超える結晶塊。翼を広げて滞空し、鶏冠から生えた雷の刃をバチバチバチと光らせた結晶皇ライゼクスから螺旋を描く様に展開されたそれは例外なく虹色の雷を纏っていて、如何に古龍と言えど耐えきれないのは明白で。
「あーめあーめふーれふーれ!母さんがー!蛇の目でお迎え!愉しいナア!!…アタシ、生まれた時から母さんいないけど!くーらえー!」
イソネミクニでもなかろうに物悲しい歌声を響かせながら鶏冠の雷の刃を振るって結晶塊の雨霰、ならぬ流星群を降らせる結晶皇ライゼクスに対し、メル・ゼナは巨大な翼で自身を覆い隠して瞬間移動で対抗。落ちてきた先から次々と移動して回避していくが、避けきれずに何度も直撃を受けてしまい悲鳴を上げる。ハンターには脅威でしかない瞬間移動も格上相手では意味をなさなかった。
「ぐっ、ぬっ、ぐあああっ!?」
「それそれー!」
広場に叩き落されたメル・ゼナに結晶塊を誘導して集中攻撃する結晶皇ライゼクス。メル・ゼナは回避を諦めて翼や尻尾、前足で迎撃を試みて弾き飛ばしていく。
「殴り合いも愉しいよね!」
メル・ゼナが対処に駆られている隙を突いて勢いよく急降下して着地し、地面を凄まじい速さで駆け抜けて結晶を纏った翼で殴りつける結晶皇ライゼクスの攻撃に対し、目を紅く輝かせたメル・ゼナは口から炎のようなエネルギーを発射し、前方扇状に炸裂した地面を連鎖爆発を起こすブレスで迎撃。結晶皇ライゼクスは爆煙に巻き込まれて見えなくなり、メル・ゼナは勝利を確信する。
「如何に“外れた”飛竜といえど、これを喰らえばひとたまりもあるまい…!」
勝ち誇り、嘲笑を浮かべるメル・ゼナ。しかしその確信は油断に繋がった。爆煙を突き破るように伸びてきた結晶の刃が、メル・ゼナの胴体に深々と突き刺さったのだ。
「な、に…ぐあぁああああっ!?」
さらに虹色の放電が襲い、とてつもない衝撃に痙攣して崩れ落ちたメル・ゼナは結晶の槍で貫かれたまま吊り上げられ、勢いよく振り回されて城塞跡の壁に叩きつけられて破壊、瓦礫に埋もれてしまう。
「もうおしまい?つまらない、つまらない、つまらない!」
爆煙が晴れたそこにいたのは、結晶の鎧を顔から肩まで纏い、尻尾の先端に結晶の槍を身に着けた結晶皇ライゼクスの姿。翼を広げてメル・ゼナに近づいた結晶皇ライゼクスに集う紅い光があった。
「ま、まて……我はまだやれる……」
必死に呼び止めるメル・ゼナから移動しているのは、かつてとは比べ物にならない強大な力の源でありメル・ゼナを宿主として共生していた噛生虫キュリアたち。“本来の宿主”を除いたもっとも強きものに宿る性質を持つ彼らは、今の宿主であるメル・ゼナを一方的に叩きのめした結晶皇ライゼクスを新たな宿主と認め集って行く。
「あははっ、くすぐったいよー!」
けらけらと笑いながらそれを受け入れる結晶皇ライゼクス。その身体に止まったキュリアは宿したウイルスをその身に流し込んでさらに力を強化した上で紅い結晶となって全身にくっ付いて行き、結晶皇ライゼクスは虹色の結晶で纏った全身の上からキュリアが変質した紅い結晶を纏った、地獄から舞い降りた悪魔の如き凶暴な姿に変貌していく。
「遊んでくれないならもういいや。…お兄ちゃんが言っていた、捕食者として自分が殺した相手は責任を持って食べろって」
「ぐ、ぬう……ここまでか。口惜しくは大蜘蛛を野放しにし、地下深きモノと会いまみえることなく潰えることか……」
メル・ゼナを押し潰す瓦礫を雷撃で消し去り、大口を開けて舌なめずりする結晶皇ライゼクスに、王域最強とまで呼ばれた古龍は己の末路を幻視し目を瞑った。
「いただきます」
捕食者の矜持として、喉笛に噛み付きはらわたを食いちぎり、決して柔らかくはないその肉を咀嚼する。そうしていくうちに結晶皇ライゼクスの姿が変容していく。
尻尾の先端は三つの鍵爪状に展開して紅い結晶を鉤爪の様に纏い。
その翼はネグレマガラの物に近い暗幕の様に広がり翼爪も鋭く大きく。
胴体にはメル・ゼナを思わせる銀色の甲殻が紅い結晶を押しのけるようにして生成されプレートアーマーの様に輝き。
その顔は鶏冠が鋭く伸びて、角の様に鶏冠を挟むように二つ隆起してマズルも伸びて、まるで三本角の悪魔の様に三日月の如く頬が裂けて弧を描く。
「強くなれば、ハンターさん達の方から来てくれるよね!アハハハハハハッ!!」
そして生まれたのは淵虎竜マガイマガドと同じく
ネグレマガラに続く半オリジナルモンスター、【結晶皇】
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
好きな外天種及び特殊個体、転生モンスターは誰?
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淵虎竜マガイマガド
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爵電龍メル・ゼクス