今回はメル・ゼクスVSバレット。楽しんでいただければ幸いです。
城塞高地が変貌した迷宮の結晶城の最奥、最北部の広場でメル・ゼクスは疲れたのか眠りについていた。その周りには、結晶に覆われ物言わぬ躯と化したジンオウガやガランゴルム、ラングロトラといったモンスターたちが転がっている。キュリアの赤い粒子が漂い、小型モンスターや環境生物の影すらない不気味な光景。今この城塞高地に存在する生物は、キュリアを総べるメル・ゼクスと、愚かにも立ち向かってしまい結晶の傀儡にされたモンスター「結晶獣」たちのみ。
「ギィアア…」
むにゃむにゃと大きな欠伸をするメル・ゼクス。エリア全体を覆い尽くす結晶の迷宮を組み立てるのに脳を行使し、天廻龍シャガルマガラを撃退するので力を使い果たした彼女は自動的に自身にエネルギーを集めてくれるキュリアに居心地の良さを感じながら安眠していたが、そこに誰かが近づくのを感じて目を開ける。
「ギィアアアアッ!」
歓迎する様に翼を広げて紅い雷撃を放電して周囲を破壊しながら飛び立ち、迎え撃つメル・ゼクス。対するは……。
「グゴアァアアアアアッ!」
「ヘビィナックル!」
「滅・昇竜撃!」
飛びかかった、虹色の結晶に包まれながらも黄金の輝きを損なわないシャガルマガラの顎を、フィオレーネと二人揃って殴り飛ばして迎撃する。
「グオアアアアッ!」
「ぶん投げブーメラン!」
「ハンティングホイッスル!」
炎を吐きながら急襲する結晶を身に纏ったリオレウスに、エスラがレイジネイル―を投げつけてぶつけることで体勢を崩し、ヒビキが笛を操虫棍の様に使って跳躍して頭頂部に笛を叩き付けてその反動で浮かび上がって大剣の様に溜めて叩き込む。
「グルオオアッ!」
「水面打ち!」
「大地納刀・抜打激昂斬!」
結晶の壁の上から右腕を伸ばして掴もうとしてきた結晶で覆われたガランゴルムの拳をアンテムが打ち付けて怯ませ、大地に勢いよく突き刺した大剣を鞘代わりに引き抜いて叩きつけるマシロ。
「遅い!」
「ウォオオオン!?」
「昇天突き!」
迷路を駆け抜けて爆走してきた結晶を纏ってごつくなったルナガロンの爪をミクマリが太刀で叩き折り、頭部を地面に叩きつけて倒れ伏したルナガロンに翔蟲で飛び上がったナギが刺突を脳天に繰り出してとどめを刺した。
「ミクマリさん!」
「ああ、シャガルマガラの相手だろう?!」
「じゃあいくよ、変則的デュエルヴァイン!」
さらにナギはミクマリの構えた太刀の刀身に乗り、勢いよく振り払われたそれを踏み台にして俺とフィオレーネが殴り飛ばしたシャガルマガラに向けて跳躍、鉄蟲糸を繋げたクナイを突き刺し、それが繋がったランスを結晶の壁に突き刺して繋ぎ止める。
「バレット!フィオレーネさん、行って!」
「ここは我らが引き受ける!」
「わかった、頼んだぞ!」
「行こうバレット!」
背後でミクマリとナギがシャガルマガラに飛びかかっているのを見届けながらフィオレーネと一緒に結晶の迷宮を走り抜ける。…いやまあ、リオレウスとガランゴルムならすぐにでも倒してシャガルマガラも鎮圧されるんだろうな。
「迷路を抜ける方法は簡単だ!」
「なに、乗り越える以外に何かあるのか!?」
「ヒビキが乗り越えるのは無理って言ってただろ……右の壁を辿るんだ。それで出口のある迷路なら出ることができる」
…転生者ならなおさらその「お約束」は守ってるはずだしな。
「バレットは博識だな、急ぐぞ!」
「ああ、あいつらが来る前に終わらせよう」
…そんな強気な発言をしてみるが俺達二人で勝てればいいんだけどな。正直勝てる気しねえ。外天種が味方してもどうかってレベルだ。とにかく時間を稼がないと…。
「ギィアアアアッ!」
っと、咆哮ってことは来たか。咄嗟に左腕のヘビィボウガンを構えると、それは来た。
「奴か!」
「ギィアアアアアアアッ!」
「…淵虎竜程じゃないがでかいなこの野郎」
どう見ても3000以上はある、虹色の結晶の上から紅い結晶に覆われた煌めく巨体。三つに増えた結晶の鶏冠…というより角が禍々しく広がり、前に見た時よりマズルが伸びていて印象はメル・ゼナの方が近い。三日月の如く頬が裂けて弧を描く顔は相変わらず凶悪だ。
尻尾の先端はメル・ゼナと同じく三つの鍵爪状に展開して紅い結晶を鉤爪の様に纏っていて悪魔の手の様で、ネグレマガラの物に近い暗幕の様に広がり翼爪も鋭く大きな翼はジャンボジェットを思い出すぐらいに雄大で、威圧感が凄い。
背中は結晶が盛り上がっていてステゴサウルスの様な剣がいくつも生えてる様な凶悪なものになっていて、胸部は紅い結晶を押しのけるようにしてメル・ゼナを思わせる銀色の甲殻がプレートアーマーの様で女騎士に見えなくもない。…いや、どちらかというと武装した皇后陛下、といったところか。結晶皇后にふさわしい高貴さを感じる姿となっていたメル・ゼクスは歓喜の咆哮を上げていた。明らかに喜んでいる。
「ギィアア……ギィアアァアアアッ!」
「っ!?」
メル・ゼクスが周囲に展開した、虹色のトゲトゲした結晶塊……例えるならあれだ、FGOの聖晶石をさらにごつくしたような。それ二つに、全身から放出した紅い雷撃を集束させると結晶を変形させて星形の砲口にすると深紅のビームを放って爆撃を仕掛けてきた。例えるならエヴァンゲリオンのラミエルのあれだ、マジであんな感じに変形してる。
「「っ!」」
咄嗟に俺はヘビィボウガンのシールドを、フィオレーネは片手剣の盾を構えて防御の構えで受け止めるがしかし、ビームは盾に当たると跳ね返って結晶の迷宮の壁にぶつかり、さらに反射。フィオレーネは防いだはずのビームを背後から受けて呻く。
「があ!?」
「嘘だろ…!?」
俺も横から跳ね返ってきたビーム……受けて分かったが超圧縮された雷撃……を受けて吹き飛ばされ、さらにビームは反射。何度も何度も俺とフィオレーネを四方八方から襲うと反射角度がずれたのか斜めに空に向かって飛んでいきようやく解放された。
「がはっ…小手先でこれか…」
「いいや、フィオレーネ。小手先じゃない…」
ただ解放されたんじゃないと気付いたのが遅かった。俺達は反射に追い込まれて、結晶の迷宮の直線状の道まで誘い込まれていた。目の前から地面を引き裂きながら迫るのはメル・ゼクスの悪魔の手の様な尻尾だ。考えられるのはただ一つ。
「あいつは最初から本気で、俺達で遊ぶつもりらしい」
「あんなもの、避けられん…!」
「…上等だ」
俺は背中のライトボウガンを右手で構えて翔蟲を斜め上の前に飛ばしてその糸を掴み舞い上がる。旋廻跳躍だ。目の前まで迫っていたメル・ゼクスの頭上に飛び上がり、俺はライトボウガンをしまって代わりに腰から片手剣を引き抜いた。
「存分に遊んでやるよ!メル・ゼクス!」
「ギィアアアアアアッ!」
驚愕と歓喜の混じる咆哮を上げるメル・ゼクスの背中の結晶の隙間に片手剣を突き立ててしがみ付き、ヘビィボウガンで殴りつけてバランスを崩すことでフィオレーネを救い、俺達は紅く染まった夜空に舞い上がる。
「ギィアアアアッ!ギィアアアアアアッ!」
メル・ゼクスはこそばゆいのか悶えながら空を縦横無尽に凄まじい速度…雷速と言っても過言じゃないスピードで飛び回り、全身から放電して俺を引き剥がそうとするがさらに結晶に突き立てた刃を抉らせて固定ししがみ付く。遊んでやるからちょっと加減しろ!
「オラア!」
「ギィイアアアッ!?」
貫通火炎弾を装填したヘビィボウガンの銃口を結晶の合間に見える奴の皮膚に突きつけて連射、乱射と撃ちまくる。貫通した内部で爆ぜる炎はさすがに効いたようで苦しげに暴れ、急降下。メル・ゼクスは地面に激突し、俺は投げ出されて転がるが受け身を取り立ち上がる。
「…ここは、迷宮の出口か。決戦の場ってか?」
「ギィアアアアッ!」
明らかに怒った様子で大地を踏みしめたメル・ゼクスが放電して大地を破壊していき、俺は片手剣を構えた。フィオレーネかヒビキ達が辿り着くまで……手加減願いたいもんだなあ!
実質、メル・ゼナ討伐「月光染めし紅」、シャガルマガラ討伐「黒の中の白」悪名高き「キュリア集結」同時攻略。無理ゲーである。
お疲れのメル・ゼクスちゃん。バレットにひどいことされておこモード。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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