今回はメル・ゼクスVSバレットその2。楽しんでいただければ幸いです。
「うおおおおっ!?」
メル・ゼクスの翼を広げての突進を、鋭い結晶の翼爪を片手剣で鍔競り合いながらなんとか斬り弾く。体勢が崩れた俺に対して旋廻しつつ結晶塊をばら撒いてくるメル・ゼクス。さらに放電し、俺を取り囲んだ結晶塊に伝導させて電磁網の檻を作り上げる。逃がす気はないってことか。
「ギィイアアアアッ!」
「貫通ヘビィナックルファイア!」
両足を振り上げて飛びかかってくるメル・ゼクスに対し俺はヘビィボウガンに貫通弾を装填。蹴りの一撃を避けながら足の間にヘビィボウガンを突き付け、胴体を貫通する様にアッパーカットと共に貫通弾を叩き込む。
「ギィアアアアッ!?」
「炎が弱点らしいな!」
メル・ゼクスが撃墜されると右手に片手剣を握って飛び込み、ジャストラッシュを叩き込んでいく。ヘビィボウガン+ライトボウガン+片手剣(盾なし)。上手く使えてるな!
「うおっ!?おおおおおおっ!?」
するとメル・ゼクスは足の間の地面を抉りながら尻尾を突き出してきて、咄嗟にヘビィボウガンのシールドで防御。しかし三つの鉤爪が動いてガッシリとヘビィボウガンを掴んできて、そのままメル・ゼクスは俺の頭上を飛んでいき、それに掴まれたまま引っ張られ空に舞い上げられる。
「この、放せ!」
左腕のヘビィボウガンをガッシリ掴まれているので、右手で背中のライトボウガンを掴んで装填していた斬裂弾をメル・ゼクスの胴体に照準を定めて連射。一拍置いてから斬裂弾が破裂して斬撃がいくつも炸裂、体勢を崩れるメル・ゼクスだが特に気にせず翼を羽ばたかせ、勢いよく俺を掴んでいる尻尾を山肌に叩きつけてきた。
「がああああっ!?」
咄嗟にライトボウガンを撃ってその反動で向きを変えて背中から激突。とてつもない衝撃が襲って口から溢れてきた熱い液体を吐きだす。真っ赤だ。内臓潰れたか骨が折れて刺さったか…どっちでもいいか。
「ギィアア?ギィアアアアッ!」
口から赤い液体を垂れ流している俺を見て興味を失ったのか、雑に尻尾を振るって俺を地面に向けて投げつけるメル・ゼクス。俺は咄嗟にライトボウガンを左脇に抱えて、空いた右手でポーチから取り出した回復弾をライトボウガンの弾倉に装填。ライトボウガンを逆さに持つとヘビィボウガンで下から押し上げて固定し、銃口を自らの胸部に突きつけて引き金を引いて回復。痛みが引いたと同時に地面に激突、バウンドしてライトボウガンを手放し、片手剣が地面のでこぼこに引っかかって弾け飛び、俺自身は結晶の迷宮の壁に激突して止まる。
「よし!」
ハンターという人種がとくせい:がんじょうでよかった!本当によかった!死んだかと思った!とか全力で生を実感していると、空からメル・ゼクスが目の前に舞い降りてきた。どうやら俺が生きてると気付いて興味を持ったらしく、首を傾げて睨み付けてくる。…睨み付けて来てるから怒ってるのかと思ったが本人的にはそんな気はなさそうだがな、聞いた話通りの性格なら。片手剣を拾い上げるのを待ってくれるのを見てそんなことを思う。正直、討伐はしたくないんだよなあ。
「ギィアアアアッ!」
「ちっくしょう……こい!」
覚悟を決めて右手に片手剣を、左手のヘビィボウガンを構える。メル・ゼクスの翼爪による連続引っ掻きを、巧みに両腕を動かして捌いて行く。素人丸出し、いやまだ野生の方が厄介ってレベルで拙い動きだ。全身に迸っている雷電の影響か凄まじく速いが対処は容易い。
「ギィアアアアッ!」
接近戦では埒が明かないと見たのか、翼を羽ばたかせて空に舞い上がり、首を仰け反らせて振り上げた三つの鶏冠の間に、深紅の稲妻で形成された二本のゼクスカリバー……もといライトニングブレードを展開するメル・ゼクス。そのまま叩きつけてくるのかと思いきや、二本のライトニングブレードを中心に拳大の結晶塊をいくつも展開、∞を描く様に高速で回転させて勢いを上げて行く。
「なにをするのか知らんが隙が大きすぎるぞ、喰らえ!」
隙だらけだったのでライトボウガンを回収、斬裂弾を貫通火炎弾を撃ちまくり全身に切り傷と、炎によるダメージを与えて行く。しかしメル・ゼクスは止まらない。∞を描く結晶塊の勢いを強めて行き、赤色の雷電を迸るまでになると、空に順番に打ち上げていき、それらは赤い雷電を纏った流星群の如く降り注がせてきた。いちいち頭のいい戦い方だなあ!
「うおおおおっ!?」
直撃しそうなものだけ片手剣とヘビィボウガンで斬りつけ殴りつけ弾き飛ばしていく。しかし大部分は当たらず地面に激突し粉々に破裂して粉塵が充満していく。なんだ、ノーコンか?
「ギィアァアァアッ!」
「っ!?」
瞬間、メル・ゼクスが嗤ったかと思えば衝撃的なことが起こった。俺の足が、動かない。ガクッといきなり動きが止められてつんのめり、肩に流星群の結晶塊の一撃を受けて吹き飛び転がるが妙に足が動かない。何事かと見てみると、足が虹色の結晶に徐々に覆われていって既に膝上まで覆われていた。
「
「なんて言ってるかわからんがとんでもないなクソッたれ!」
まるで石化したかのように動けない。ならばと片手剣の柄を叩きつけて砕こうと試みるが、片手剣を握っている右腕まで固まって動かせない。見れば四肢がほぼ完全に結晶に覆われてしまっていた。
「ちっくしょう……」
モンハンフロンティアにいたな、結晶化する液体を飛ばすアクラ・ヴァシムとかいうやつ。あとガルバダオラとかアクラ・ジェビアとか黒狐竜ミ・ルが使える「結晶やられ」状態。アレはスタミナ最低値まで減少、移動以外の行動封印、アイテム使用不可、一定時間後に自身と周囲に即死級ダメージの爆発発生という極悪極まりない効果だったが。確か解除方法は攻撃を受ければいいんだったか。だがこの「結晶化」は文字通り結晶で固めてしまう、例えるなら石化みたいなもんで別物だ。単騎で挑んだ場合どうしようもなく詰んでいるのが笑えてくるが。
「俺はお人形扱いかよクソッたれ……」
そしてついには胴体まで結晶に覆われ、首から上も固められて完全に身動きが取れなくなってしまう。傍から見れば結晶像にしか見えないだろう。意識だけ残っているがなにもできない。
「無事か、バレット?!」
そこに、結晶の迷宮の出口からフィオレーネが飛び出してきた。駄目だ、一人じゃこいつには絶対に勝てない。そう伝えたくても口も動かない。くそがっ……!
「なんだこれは?バレットの結晶像…?いや、本人は何処に…まさか!」
「ギィアアアアアアッ!」
待ってましたと言わんばかりにメル・ゼクスが翼で自身を覆うとフィオレーネの目の前に瞬間移動して翼爪を振るう。反射的に盾でパリィするフィオレーネ。さすがだ。
「この…バレットの仇だ!」
いや俺死んでないが。そのままくるりと宙返りして尻尾を叩き付け続けざまに雷光ブレスを放つメル・ゼクスの攻撃を避け、すぐさま飛び込んでジャストラッシュを叩き込むフィオレーネだったが、フィオレーネとメル・ゼクスの間に結晶の壁が形成されて防がれ、メル・ゼクスは壁を貫いて尻尾で攻撃。
「しまっ…があっ!?」
フィオレーネは片手剣を持ってる手を掴まれて振り回され、破壊された壁の残骸である結晶の粉塵の中に叩きつけるメル・ゼクス。どうやら気絶しているらしいフィオレーネの四肢も固まって行き、フィオレーネも意識を取り戻すことなく完全に結晶像に変えられてしまった。
「ギィアアア?」
俺達の間に降り立ち、交互に眺めて何が楽しいのか嗤うメル・ゼクス。不味い、不味い、不味い。こんな身動きが取れない状態で致死ダメージを受けたら、さすがのハンターの肉体でも…!?
ァァァァアアアアアッ!
うん?なにか聞こえた。なんだ?風の音…いや、違う。首が動かないので目だけ動かして空を見る。黄金の輝きがちらっと見えた。
ァァァアアアアアアアッ!!
メル・ゼクスも首を傾げて夜空を見上げる。それはさながら夜空を駆る彗星。声が、否咆哮が聞こえてきた。視界を埋め尽くすのは黄金の煌めき。
「グゴアァァアアアアアッ!」
「ギィアアアアッ!?」
そして空から落ちてきた、結晶から解放されたシャガルマガラがメル・ゼクスを押し潰して激突。その背から五人の影が飛び降りる。シャガルマガラの背には、交差した狩猟笛二本を担いだ男が鉄蟲糸を掴んで操っていた。
「よしっ!無茶苦茶だったがなんとかなったな!」
「も、もう二度と尻尾に掴まるなんてごめんにゃ…」
「俺なんて翼脚だぞ……」
太刀使いが満面の笑みを浮かべ、双剣使いのアイルーのハーフとスキンヘッドのハンマー使いが青い顔で溜め息を吐く。
「で、なにこれ?」
「まさか結晶やられ!?いや、違うか…とにかく助けないと!」
慌てて白髪ポニーテールの少女と黒髪ツインテールの少女という対照的なコンビが俺達に駆け寄る。
「よし、シャガルマガラ!手伝ってやるから仕返しするぞ!」
そして相変わらず狩猟笛使いが楽しそうに吠えていた。相変わらずだなお前。なんか安心したわ。負ける気がしねえ!ってやつだ。
メル・ゼクスの脅威、結晶化。粉塵状になった結晶を操って対象を固めて硬化させるもので、結晶やられとは別物です。ソロで挑むと絶対勝ち目がないというものになってます。雷電と結晶生成とキュリアの力を同時に行使できるのはどう考えても強い。
バレットのヘビィボウガン+ライトボウガン+片手剣で応戦したけど一歩及ばず。フィオレーネに関しては薄いなにかでありそうですね。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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