今回は大地母蜘蛛との最終決戦!そしてついに……楽しんでいただければ幸いです。
以前と異なり、全身に子供であろうヤツカダキをしがみ付かせていかつい花嫁装束を身に纏ったような姿の大地母蜘蛛が巣の中心にすっぽり隠れていた巨体を動き出させる。四つの巨大な脚を立たせてその巨体を持ち上げ、巣の上に着地した俺達をまるでゴミでも見るかの様に見下ろして一瞥する大地母蜘蛛ヤツカダキ。
「女王謁見とはよく言った物だな。…陛下に首を垂れる時のプレッシャーと同じものを感じる」
「奇遇だな、俺も頭を下げてみたくなってしまった。死んでもごめんだが」
こいつが女王で、今や支配され奴等の国にならんとする世界を考えればクーデターみたいなもんか。左手のヘビィボウガン……妃蜘蛛派生のヘビィボウガン「ルスタ・ド・フィネラ」を構え、右手を腰の後ろにやり極クルスタツォを引き抜く。フィオレーネも片手剣を、マシロも「禍ツ大剣ノ幽鬼ムダン改」ことマガド大剣とヒキサキマクリ極を引き抜いて構え、ナギは「シールドofアーネスト」ことゴアランスと「轟銃槍【虎砲】改」ことティガガンランスを、ヒビキは「禍業物・大幽鬼ウラザ」ことマガド笛と「龍天笛ホルマゼンタ」ことバルファルク笛を構える。事実上の最高戦力だ。
「ギシャァアアアアアッ!!」
大地母蜘蛛の咆哮を合図に開戦。周囲に控えていたヤツカダキが通常種亜種銀蜘蛛選り取りみどりで襲いかかってくるのを、ナギとヒビキとフィオレーネが押し止める。大地母蜘蛛の巨体が邪魔で左右後方の三方向からしか襲いかかれないならせき止めることは可能だ。今回の要は俺とマシロだ。三人にはとりまきの排除をお願いした。
「マシロ、足場を!」
「うん!斬り裂けえ!」
大地母蜘蛛のストンプを回避しながら、俺は逆手持ちした極クルスタツォで、マシロは下に構えたヒキサキマクリ極で大地母蜘蛛の周りの足場である糸を円を描く様に斬り裂いていく。炎を噴いて脚を動かし暴れる大地母蜘蛛。だがその巨体が逆に子供たちを巻き込まない様にしているため好きに動けてない。今のうちに子供たちの大半と奴を切り離す。
「ギィギシャアァアアッ!」
「あぶねえ!」
巣に脚を押し付けてそのまま引きずって薙ぎ払って行く攻撃を、ヘビィボウガンのシールドで受け止め弾き飛ばされるが、その間にマシロが円を描き斬っていた。みしみしと音を立てて巣が円形に斬り抜かれ、大地母蜘蛛の重さに耐えきれず落ちて行く。
「ギシャァアアアアッ!?」
「よし!」
「第二ラウンドだ!」
俺達も斬り抜かれた穴から飛び降りて大地母蜘蛛を追って下の巣に着地する。ツケヒバキたち幼体の遊び場なのか巨大な広場が広がっていた。大地母蜘蛛が倒れ伏していた巨体を起こして咆哮を上げる。……子供たちの大半から引き剥がせたはいいが奴の体にまだ引っ付いてるし、好き勝手暴れられる広い場所に出てしまったし、これプラマイゼロだな?いやプラスかもしれん。
「ギシャァアアアッ!」
対峙する俺とマシロに対して、体を震わせて引っ付いているヤツカダキ一体をぶん投げてくる大地母蜘蛛。ぶん投げられたヤツカダキは岩壁に引っ付き、大地母蜘蛛と繋がった糸を巻いて引き寄せることでその巨体がこの広場全体を薙ぎ払うようにスライド、俺達は端っこによって回避する。なんちゅう攻撃範囲だ。そのままヤツカダキを回収する大地母蜘蛛を見て、子供たちの助けを借りないと高速移動はできないことはわかった。
「マシロ!」
「よしきた!」
俺はしゃがんでヘビィボウガンを構えて固定。その銃口にマシロが大剣を立てかけてその上に柄を掴んでサーフィンの様に乗り込むと、俺は引き金を引いて斜め上に大剣を射出。クルクルクルと大地母蜘蛛の頭上に吹っ飛んで行ったマシロはそのまま大剣を背に背負うとヒキサキマクリ極を両手で構える。
「だーらっしゃああ!」
「ギシャァアアアッ!?」
そのまま巨大な腹部に向けてクルクル横に回転して勢いをつけて斬撃を叩き込み、糸の装甲を斬られた大地母蜘蛛は腹部に引っ付けていた子供たちをばら撒いてダウン、糸の足場が大きく揺れた。
「牙突…!」
「ギィイイイッ!?」
ダウンした大地母蜘蛛の頭部目掛けて、片手剣を顔の前に構えて猿真似の刺突を繰り出して貫くと分厚い糸の装甲に突き刺さって悲鳴が上がる。そのまま大地母蜘蛛は頭部を持ち上げて振り回すが、俺は突き刺さった片手剣に引っ付いてさらに突き刺して固定、左腕のヘビィボウガンに装填した貫通弾を零距離で叩き込んでいく。
「うおおおおっ!」
「みんな引っ付いて叩き込むの好きだなあ。私もだけど!」
斬り裂いた反動で飛び上がり大剣を岩壁に突き刺していたマシロもそのまま大剣を引き抜いた勢いでクルクル回り一撃を頭部、それも首に叩き込む。窒息したのが「ギェエ」と小さな悲鳴が上がり、俺達は離れたところに着地する。
「糸が斬れればそんなに脅威じゃない?」
「いや、気を付けろ。大地母蜘蛛の名は伊達じゃないぞ」
すると隅っこに移動した大地母蜘蛛が体を震わしたかと思えば二体のヤツカダキと一体のヤツカダキ亜種が展開。さらに二体のヤツカダキと一体のヤツカダキ亜種が身体を震わしてツケヒバキとハゼヒバキをそれぞれ五体展開。大地母蜘蛛、ヤツカダキ二体とヤツカダキ亜種一体、ツケヒバキ十体とハゼヒバキ五体で火炎放射と爆発を繰り出してきて、俺達は咄嗟に防御するが吹き飛ばされて岩壁に叩きつけられる。
「がはっ……」
「数の暴力すぎる……ぐうっ」
崩れ落ちた俺達を前に、ツケヒバキハゼヒバキがヤツカダキたちに収納され、さらにヤツカダキたちを己が身に引っ付けながら歩み寄ってくる大地母蜘蛛。そのまま首を伸ばして俺達を値踏みするかの様に顔を寄せてカチカチと顎を鳴らす。くっそ、ここまでか……!
「ギィアアァアアアアアッ!」
「グルグオアアアアアアッ!」
「「!」」
すると円形にくり抜かれた天井から重なる咆哮と共に赤い雷を纏った飛竜と、どす黒い飛竜のコンビが飛来。赤い雷を纏った飛竜……メル・ゼクスが周囲に展開した赤い雷電を纏った結晶弾を飛ばして大地母蜘蛛の表面のヤツカダキたちを吹き飛ばし、糸の装甲だけ纏った丸裸の大地母蜘蛛へどす黒い飛竜…極限化した千刃の追跡者セルレギオスがライダーキックと言わんばかりの見事な飛び蹴りを背中に炸裂。大地母蜘蛛はその巨体を崩れ落ちさせた。
「ギィアァアアッ!」
「グルグオアアッ!」
「ギィアァアアッ!?」
大地母蜘蛛がダウンしてお気に召したのかメル・ゼクスは俺達を見てこの前の続きだと言わんばかりに襲いかかろうとしたが、セルレギオスに蹴り飛ばされ岩壁に叩きつけられて泣き喚く。調教されてるな……(汗)
「手伝ってくれるのか?」
「グルグオアァアッ!」
俺の問いかけに咆哮で応えるセルレギオス。掲示板を見なくともわかる了承の意。ありがたい…!
「え、味方、なの?」
「そうらしい。いくぞマシロ!」
俺はセルレギオスに、マシロはメル・ゼクスに飛び乗って操竜開始。起き上がった大地母蜘蛛はヤツカダキたちを回収。己の口と全身のヤツカダキやツケヒバキたちから全方向に向けて火炎放射で迎え撃って来たので、こちらも操竜で対抗。セルレギオスのミサイルの如き鱗飛ばしでヤツカダキたちを次々と黙らせていき、メル・ゼクスに乗ったマシロが結晶流星群で叩きのめしていく。行ける、これなら…そう思った、その時だった。
「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「「「「!?」」」」
地の底から響いてきた咆哮に、俺とマシロとセルレギオスとメル・ゼクスは反応。弱っている大地母蜘蛛の真下、結晶流星群やミサイルウロコでズタボロになった糸の足場の下から、大きな「手」が現れて大地母蜘蛛の胴体を引っ掴んだ。
「ギッギシャアッ!?」
驚愕の声を上げながらじたばたと暴れる大地母蜘蛛の真下から足場を割いて現れた大口が噛み付き、大きな「手」で引きちぎりバラバラにしてグチャグシャと貪って行く。瞬く間に大地母蜘蛛は「それ」の餌にされて命を潰えた。さらに不思議なことが起こる。
「ギィアァアア…?」
メル・ゼクスの体から赤い結晶になっていたキュリア達が離れて「それ」の大地母蜘蛛を優に超す巨体にくっつき結晶の鎧として纏われていくのだ。赤い結晶が消えた姿となったメル・ゼクスはその巨体を浮かばせるエネルギーがなくなったのかマシロごと落ちそうになり、セルレギオスに掴まれ難を逃れる。
「グルルルルルルオオオオオアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
咆哮と共に足場を突き破り、その姿を現したのはイブシマキヒコやナルハタタヒメと酷似した怪物。青白い舌を伸ばした下顎が四叉に分かれる口に、赤黒い巨体。そして翼脚が変化したのだろう巨大な一対の腕。こいつこそが“サン”の下に眠っていた、キュリアの本当の主…つまり。
「こいつが……そうか、こいつか……!深淵の悪魔……!」
深淵の悪魔は俺達を一瞥すると興味を失ったのか、岩壁を掴んで地上を目指し始めた。あんなのが地上に出たら、不味いぞ…!?
自分の過去を語るのは死亡フラグ過ぎた。というわけで真のラスボス、原作ラスボスことガイアデルムついに参戦です!ラスボス候補だった大地母蜘蛛とメル・ゼクスを簡単に退け、地上を目指す黒き太陽がここに!
駆けつけたセルレギオスとメル・ゼクス兄妹に大地母蜘蛛も申し分のない強さだったのだけど、本当の強者を前には意味がなかった。ただの餌でしかなかったのだ。
巣の蓋で閉じ込められていた上にキュリアを奪われて断食していたけど隙を見て脱出してきたガイアデルム。原作とは一味違う災厄が降臨です。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。ここすき機能などで気に入った部分を教えていただけたら参考にします。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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