転生ウマ娘が夢に向かって頑張る話   作:トレセン学園生徒会書記

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スカウト云々だけなのに何故こんなに長くなったんだろうか
ちょうどいい切り目がわかんなかったのでそのまま投稿しちゃいました


7 青い鳥

「…え?」

 

 その言葉に伸びた手も固まり、桐生院に向けた威圧も霧散する。

 

 マイノスワローの顔は鳩が豆鉄砲を食ったようにほおけた表情に変わった。

 

 それは何もマイノスワローだけではなく、ルドルフ、マルゼンスキーも同じようにこの場の桐生院の発言に驚いている。

 それはただマイノスワローを止めるだけに講じたスカウトなのだろうか?

 

 当の桐生院はというと先ほどのマイノスワロー威圧で聞こえたナースの悲鳴で野次馬に気が付いたのか扉を閉めており、マイノスワローの言葉で振り向いた。

 

「だから、私がお前をスカウトすると言った。何か問題でもあるの?」

 

「問題も何も、トレセン学園のトレーナーが学園の生徒でもない私のトレーナーになれるわけないじゃないですか。というか、今の今まで私がトレーニングするしないの話からなんでスカウトの話がぶっ飛んで来るんですか? 突拍子がなさすぎるんですが」

 

 あの感情的な態度とはいったん変わってしまったマイノスワローに桐生院の眉がピクリ動く。

 

「自分の言ったこと覚えてないのか? お前がトレーナーでもないのに止めるなって言ったんだからそうしただけ。トレーナーである私がウマ娘であるお前をスカウトすることにトレセン学園は関係ないでしょう」

 

「関係あります。あなたの今いる担当はどうなるんですか!」

 

「今は皆トゥインクルシリーズから退いて担当はいない。ただのチームに所属してるだけのサブトレーナーってだけよ」

 

「だったら、その所属チームが許可しないでしょ。部外者の私をスカウトすることなんて」

 

「そう。そんなことが心配なのね。それなら少し待ってちょうだい」

 

 マイノスワローが反論すると。彼女は徐にスマホを取り出した。

 そして、どこかに電話をかけるようで、画面を操作したのちに耳に当てた。

 

「もしもし、私です。実は少々お伝えしたいことがございまして」

 

『-----?』

 

「はい、急な話になってしまいますが夏休み明けから休職いたします。必要な書類は後程送りますので今は口頭だけで失礼します。では」

 

『――!? ――――――!』

 

 そして、必要なことだけを話し終えると。電話越しに聞こえる困惑した女性の声を気にすることなく一方的に通信を切った。

 

「さあ、これで学園は関係なくなった。お前が私のスカウトを承諾すれば、私はお前の担当トレーナーになれる」

 

 そして、驚きの内容を言っていたにも関わらず、何事もなかったかのようにさっきの続きを問い始めた。

 

「え、ちょ…は?」

 

「な、なにを言ってるんだ、桐生院サブトレーナー!?」

 

「そうよそうよ。これにはさすがの私もびっくり仰天よ!?」

 

 目の前で衝撃的なことがあっさりと告げられたことに他のウマ娘3人は目に見えて取り乱す。

 3人の状態を見ても当の本人はというと何事もないように淡々としていた。

 

「何よ。ウマ娘をスカウトするのに邪魔な障害を取り払っただけよ」

 

「チームはどうなるんだ。君は今は担当の持たないサブトレーナーでもチームでの仕事もあるしそんなことしなくても、私が彼女をトレセンにスカウトすればすぐにでも―」

 

「チームの仕事はマニュアル化しているから他のサブトレーナーでも補える。東条トレーナーからは担当ウマ娘を持つならいつでもサブトレーナーをやめていいとも約束しているから問題ないわ。

 それにルドルフ。あなたオグリキャップをスカウトしたときのこと忘れたの?」

 

「っ!? いや、忘れたわけではないが」

 

 シンボリルドルフが止めようとし、代替案を出すが。桐生院から最後に放たれた一言にシンボリルドルフはたじろぐ。

 

「オグリキャップをスカウトは世間的には大成功だった。中央に来て日本中を沸かせる大活躍。地方から離れ離れになった元トレーナーも中央トレーナーの資格を取得して担当トレーナーに返り咲いてオグリキャップにとっても世間的には大団円。でも、あなたの強引なスカウトは地方レースのスター候補を突然引き抜かれた笠松に大きな打撃を与えた。それであなたは注意されたことを忘れた? あれ以降はスカウトも学園をしっかり通して慎重に行うことになったはずよ」

 

「だが今回は」

 

「そうね。彼女は地方トレセンにも属してなく、実績もないただの中学生。合意を得られれば他のところに迷惑も掛からないでしょう。でもね、一度、落とした人をあなたが直に引っ張り上げるのはあまりよろしくないわ」

 

「私が贔屓したと。そう言いたいのか? 問題ない、それくらいの汚名なら私は喜んでかぶろう。それがこの子の幸せになるのなら」

 

「…はぁ。ルドルフ、短慮が過ぎるわ」

 

「そうね、それは私でもわかるわ。ねえ、ルドルフ。いい印象を持たれないのはスワローちゃんも同じなのよ。

 通りすがりで倒れたウマ娘を病院運んで、話を聞いたらトレセン学園の受験に落ちた子でした。その子はとても素晴らしい夢を持っていたのでスカウトして入学させてあげました。

 パッと見、いい話に聞こえるけど実際はただルドルフがお情けで入学させてあげたどことも知らない子、そんなレッテルが張られちゃうわ。他にも良くない印象を色々持たれちゃうと思うわ。そんなことになっちゃったらこの子の言っていた夢の邪魔をしちゃうんじゃないかしら? ルドルフはそれでもいいの?」

 

「……それは、そんなのは駄目に決まっている……すまない、確かに私の考えが浅はかだったようだ」

 

「うんうん、ルドルフにとって衝撃的なことが起きすぎてるんだもの気が動転しちゃうのはしかたないわ。だから、今は落ち着きましょ、ここは桐生院ちゃんにまかせましょ」

 

「ああ…わかった」

 

 マルゼンスキーから起こりうる影響を聞かされたシンボリルドルフは自分の発言を反省することにしたのかマルゼンスキーとともに2人を見守ることにした。

 

 ルドルフの様子を確認した桐生院は改めてマイノスワローに向き直る。

 さあ、仕切り直しだと。

 

「少し話が逸れてしまったが、どうする? 私はお前をスカウトしたい。外野の心配もない。どうするかはお前の返答次第だ」

 

 マイノスワローは先程の衝撃からは立ち直っているようで睨みつけるように桐生院を視線で刺す。

 

「なんで、そんなことまでして私をスカウトしようとするんです。自分で言うのもなんだけど、私は地方トレセンにすら受からない落ちこぼれ。しかも、自主トレで倒れるほど自己管理もなっていないウマ娘。そんな私をスカウトなんてして何のメリットがあるっていうの。私からすれば、休職するなんて特大のデメリットしか見えませんけど」

 

 何か裏でもあるんだろうという訝しげの目で見る。

 

 誰が見ても天下の中央のトレーナーが突然、トレセン生で最低限の実力が保証されているウマ娘ではなく、それこそ、そこらへんでランニングしていたなんてレベルに近い見知らぬウマ娘をスカウトするんだと。

 そんなものはよくある漫画や小説で語られるシンデレラストーリーであり現実になんて普通は起こりえない。

 あったとしても、駅前で顔や体系を見てモデルをスカウトするなんてものの比じゃない、競技ウマ娘であるなら外見などでは推し量り切れない実力、才能を見定める必要があるというのに。

 誰もが何かあると思うのは必然だ。

 

 そんなマイノスワローが言ったことを桐生院はというと何とも言えない表情で聞いており、一度長く息を吸い込むと、あからさまにため息を吐く。

 お前はバカかと言いたげな表情だ。

 

「何を言うかと思えば……さっきの勢いはどうした? ルドルフを言い負かして、私を力ずくで退けようとしたのに。なに、さっきからその返答は」

 

「え」

 

「スカウトするって言って一周回って冷静にでもなったの? それで、出てきたのがその言葉? 卑屈で、懐疑的で、利益を天秤にかける。まるで人間じゃない。なんなの? あなたもしかしてウマ娘の皮を被った人間だったりするの?」

 

 本当にバカにしていた。

 しかも、極大の挑発付きで。

 ウマ娘にとって自分の種族を否定されたも同然のことを言った。それはウマソウルを持っていないと貶されていると言ってもいい。それはウマ娘にとって本能である走ることを貶されると同等、いやそれ以上のことかもしれない。

 

 それを聞いていたルドルフたちも険しい表情になる。しかし、見守ると決めた以上、長い付き合いのある桐生院の信頼も込め、己を制し行動にも声にも出さず2人はじっと耐えた。

 

 対する、マイノスワローはその場に立ったまま俯き顔は見えない。

 普通のウマ娘だったらその場で跳びかかっても全くおかしくないというのに。ただ、こぶしは握られている。

 その様子を桐生院はじっと見ている。まるで反応を探っているかのように。

 

「……違います」

 

 少しの沈黙があり、絞り出すかのような小さい声が聞こえた。

 ウマ娘でも聞き逃してしまいそうな声量。

 だが桐生院は聞き取っていた。周囲が静まり返っていて、尚且つ至近距離だったからか。

 

 桐生院は顎に人差し指を付けてワザとらしい笑みを浮かべる。ルドルフたちからすれば、それは彼女には考えられないしぐさだ。

 

「何が違うの? ウマ娘ってことが?」

 

「違う」

  

 マイノスワローは僅かに顔を上げて桐生院を睨む。会って間もない彼女からすればそんな桐生院のしぐさに違和感など感じない。

 

「だったら、何が? 人間さん」

 

「違う! 私はウマ娘だ!

 

 顔を振り上げて叫ぶ。

 その顔は真っ赤に染まり、頭頂部の耳は後ろ向き引き絞られる。

 見るからに怒り心頭だ。正直、先ほど押し通ろうとしていた比じゃない。ウマ娘でも悲鳴を上げて逃げ出しそうなほどだ。しかし、当の桐生院は全く動じず、ただ彼女を見つめる。

 そして、もっと火に油を注ぐかのようにしゃべり始めた。

 

「とても上手な演技ね。すごい才能よ。何年もそう見せるために頑張って走ってきたのね。あの坂であった陸上部の人たちもすっかり信じてたわ。それに加えて、歌も踊りも得意みたいね。それならミュージカル女優なんて向いてるんじゃない? そしたら、親御さんを招待してミュージカルかなんかで夢のウイニングライブを演じて見せてあげたら、きっと喜ぶわ。他の視た人たちだって歌も踊りもできるそんな女優さんになったらきっと覚えられるわ。夢がかなうじゃない!」

 

「違う違う違う!! 演技なんかじゃない! そんなものは私の夢じゃない! 応援してくれるお父さんとお母さんやみんなに見せたいのはそんな何回も全く同じ脚本で繰り返される舞台じゃない!」

 

 マイノスワローの尾が太ももを打ち、音を鳴らす。そして、片足が床を掻き始める。

 その様子に見守るどころではなくなると判断し、足を踏みだそうとするルドルフとマルゼンスキーだが、それを予期していたかのように桐生院が手をかざし待ったをかける。

 何故だと言わんばかりに留まるルドルフたちをよそに、マイノスワローの様子を確認した桐生院の表情が元の仏頂面に戻った。

 

「だったら、お前の夢をもう一度言ってみなさい!」

 

 先ほどの挑発口調とは打って変わって威圧の籠った一言。さながら説教でも始まるかのようだ。

 マイノスワローはそれに対抗するように言い返す。

 

「何度だって言ってやる! 私の夢はあの菊花賞のたった一度きりの舞台で勝ってウイニングライブをすることだ!」

 

「ウイニングライブをするだけなら菊花賞である必要なんてないだろ」

 

「菊花賞じゃなきゃダメだ。絶対だ。そのレースが私の抱いた夢の舞台なんだから!

 

「そうか、なら無理に勝利しなくても2位でも3位でもいいだろう。そもそもだ、トゥインクルシリーズで走る以前に中央どころか地方のトレセンにも受かってないお前がどうやって菊花賞に、トゥインクルシリーズ最高峰のG1レースに勝つっていうんだ。勝つどころか掲示板、いや、出走自体できるはずがないだろう。今のままでは本当に夢で終わるぞ」

 

「夢で終わってなんてたまるか! だから私は毎日、あの坂で走っているんだ。絶対に中央に編入して菊花に出て、1位になるんだ! そして、ウイニングライブのセンターをお父さんお母さん、学校や通ってた歌やダンス教室のみんなに見せつけるんだ! 私はこんな立派なウマ娘なんだぞって!」

 

 マイノスワロー目にまた涙が浮かびはじめる。それはルドルフと相対したときの慟哭による涙のように、全く別の違う感情とはいえ自分の本心を曝け出し本気で告げている感情の発露。

 

 それを見ているルドルフは何かを思うのか、瞬きを忘れたかのように見つめていた。

 先ほどまで心配していた様相から変化したのを察したマルゼンは微笑む。

 これはもしかするかもしれない。

 長い付き合いのマルゼンが変えられなかったことを成そうとしているあの小鳥を、そして己の可能性を掴もうとしている姿を静かに見守る。

 

 マイノスワローの吐露に桐生院の仏頂面に変化があらわれる。待っていたかのような挑戦的な笑みに変わる。

 

「だったらどうする! お前に教えてやる。お前の本格化のピークが来年一杯だってことを。しかも早熟型だ。晩成型と違ってピークを過ぎたらすぐに目に見えて衰え始める。編入するといっても秋の編入申し込みは間に合わないぞ、今からだと最速でも来年の春。必ずジュニア級からのスタートだ。そうなると、菊花賞に出れるのは再来年。その時になれば本格化が終わって衰え始めたお前じゃ絶対に勝てない。

 だが、私なら今年中にデビューさせることができる!」

 

「なら、私をスカウトしろ! ダメとは言わせない! あなたは私をスカウトしたことを覚えてないなんて言わせない! 私の夢を聞いた上でスカウトしたなら、私の菊花への糸筋を見出せるんでしょ。だったら、私にそれを手繰らせろ!」

 

「そうだ! 最初からそう言えばいい。目の前に来たチャンスにうだうだ言うな。さっきの人間臭い言葉はなんだ、他のレースを諦めた転生者みたいに前世が皮を被ったウマ娘じゃないんだろ? ゲーム感覚で挑んでるんじゃないんだろ?」

 

「当たり前だ。私はこの世界で生まれたウマ娘だ。ポリゴンでも、プログラムで動くわけじゃない。前世もゲームも関係ない!」

 

「『駆け始めた者』なんだろ、抱いた無謀な夢に倒れるまでバカみたい愚直に走っているんだろ。転生者でなくとも普通のウマ娘だって折れる状況でも折れないで、皇帝を理論じゃなく覚悟だけで押し退けるほどに本気なんだろ。

 だから、スカウトしようと思ったんだ。私がしてやれるのは菊花までの道のりを教えるだけだ。お前の夢の可能性を0%から0.1%にするだけだ。これを1%、10%に変えるかどうかはお前次第だ」

 

「上等! 0じゃないなら、私は走れなくなっても可能性を絶対に掴み取ってやる!

だから、私の担当トレーナーになれ!」

 

「いいだろう! 担当とは言わずに専属トレーナーになっていい。契約成立よ! 皇帝と怪物の前で誓ってやる。マイノスワロー、お前は今から私の担当ウマ娘だ! 底辺から這い上がって見せろ! 私に戴冠した姿を見せて見せろ、全力で手助けしてやる」

 

「当たり前だ。私は絶、対に…あきらめ、な…

 

 マイノスワローは最後にそう言い残すと、急に力が抜けたように崩れ落ちた。

 

「おっと」

 

 目の前にいたために、外で倒れた時と違い今度はしっかりと倒れる前に抱えることができた。

 

「病み上がりに発破をかけてしまってすまなかった」

 

 気絶したマイノスワローの顔を覗き込む桐生院は謝罪した。

 そのまま、桐生院は抱き込みながらマイノスワローを抱え上げる。

 

 ルドルフはマイノスワローが抱えられたのを見送り、目が覚めたかのように今起こった事を理解すると慌てて駆け寄った。

 

「桐生院サブトレーナー! その子は!」

 

「大丈夫なのかしら、急にまた倒れちゃったけど」

 

 マルゼンスキーもその後に続き、急に倒れたマイノスワローを心配して同じように覗き込んだ。

 

「疲れが完全に回復しないまま興奮しすぎたから、気を抜いたときに落ちてしまったみたいね。そこまで心配しなくでも大丈夫。あとは寝て体力回復するだけだから」

 

 桐生院は部屋の出口を見た。

 そこには扉が少し開き、隙間から先ほどのナースたちにその後ろの方には医師や入院してる人など大勢が覗き込んでいた。

 それはそうだろう大声でこれだけ言い合えば何事かと集まってしまうのは当たり前だ。

 

「一先ず、起こしてしまった騒ぎの後始末よ。手伝ってくれるかしら」

 

 桐生院は少し申し訳なさそうな笑みでルドルフたちに助力を求めた。

 

「私もこの騒ぎに加担してしまっているからな。喜んで手伝わせてもらうよ」

 

「モチのロンよ」

 

 もとより他人のために奔走している2人だ。桐生院の頼みに快く肯いた。

 

 

【マイノスワローがスカウトを承諾しました。

これにより桐生院茜はマイノスワローの担当トレーナーになりました。

現在の担当ウマ娘は1名です。

このスカウトが成功したため、桐生院茜のスカウト可能回数が上限に達しました。

これ以上のスカウトは行えなくなりました。

 

桐生院茜がマイノスワローの専属化を申請しました。

……許諾されました。マイノスワローの専属トレーナーになりました。

これにより、マイノスワローの育成に育成能力のすべてのリソースを注ぐことが可能になります。

 

マイノスワローの専属トレーナーになったため、マイノスワローを桐生院茜の主要人物に設定しました。

これより感情を設定します。

感情種別『興味』 対象ウマ娘『マイノスワロー』

 

トレセン学園に所属していない実績、名声のないウマ娘をスカウトしました。

称号『型破りのスカウター』を獲得しました。

 

トレセン学園の受験に失敗したウマ娘をスカウトしました。

称号『灰かぶりの庇護者』を獲得しました。

 

同じ転生者であるウマ娘をスカウトしました。

称号『同郷の友』を獲得しました。

 

称号『駆け始めた者』を持つウマ娘をスカウトしました。

称号『見届ける者』を獲得しました】

 

 

 病院での後始末を終えたのちに車に移動した。マルゼンスキーはもちろん運転席。他はルドルフが助手席に座り、桐生院が後部座席と入れ替わっている。

 まだ起きていないマイノスワローは後部座席の空いている席にシートベルトを掛けて座らされている。

 

 今向かっているのはマイノスワローの実家だ。マルゼンスキーが生徒手帳を頼りに連絡した中学校から教えてもらったマイノスワロー自宅へ連絡し、諸事情を話したのち、住所を教えてもらったのだ。

 

 向かっている途中、ほとんど会話はない。

 道路を走る車の駆動音だけが響く車内で、ルドルフが徐に口火を切った。

 

「……桐生院サブトレーナー、他の者の耳があって聞けなかったのだが。その子、マイノスワローが転生者というのは本当なのか?」

 

「ええ、本当よ。倒れた時に確認したステータス欄に書かれていたわ。この子は私と同じ転生者よ」

 

 少し、思いつめたかのようにゆっくりとした口調で聞いたルドルフの問いに、桐生院は間を置かずにすぐ答えた。

 

「視てもらった時のあれはそういうことだったのか。しかし、そうか…そうなのか……」

 

 ルドルフは桐生院の肯定で何か思うところでもあるのか、少し眉を顰める。

 だが、その考えていることを払いのけるかのように頭を振る。

 

「いや、たとえ転生者でも関係ないな。私が感じるに実にウマ娘らしいウマ娘だ。故にその子は私が忘れてたことを気づかせてくれた」

 

「ルドルフ? 気づかされたって? そう言えばこの子のこと知っていたのよね」

 

「ん? ああ、私の菊花賞のライブの時にな。最前列で夢中で私だけ見ていたのでつい印象に残ってしまってね。まあ、今の今まで忘れていたのが恥ずかしい……それも思い出せて良かったんだが、もう一つ。その子が思いの丈を告げるのを聞いて気づかせてもらった。とても大切なことだ。随分前に置いて行ってしまったものを、その子のおかげだよ」

 

 ルドルフは後部座席に座るマイノスワローをバックミラー越しに見ながら、思いにふけるように感じたことを言った。

 

「あらあら、そうなの? 私はその時は記者会見に一緒にしただけだからテイオーちゃんしか知らなかったけど、他にもそんな子がいたのね。その子がその小鳥ちゃんで、大切なことに気付かせてくれた。じゃあ、その小鳥ちゃんに感謝ね」

 

「ああ、今は感謝しかない。スワロー、燕…確かに小鳥だな。巣立つ前の小鳥だ。それがこれから巣立つ。傍からすれば大言壮語にしか聞こえない夢だろうが、私は決してこの子の告げた夢は不可能ではないと思う。私はその羽で夢にたどり着くのを是非見届けたい。

 桐生院サブトレーナー……いや、もうサブではなくなるんだったな、サブを取ると妹殿とも被るな。では、茜トレーナー。その子をマイノスワローをどうかよろしく頼む」

 

「当たり前のこと言わないで頂戴。見てたあなた達が証人でもあるんだから、トレーナーとしてやり通すわ。ああ、それと2人ともまたお願いがあるのだけれどいいかしら」

 

「なんだ?」

 

「ん? どったの?」

 

 桐生院もとい茜はついでとばかりにまたお願いを申し出た。またと言っても、さっきのが病院での騒ぎの後始末であって、ルドルフとマルゼンにとってはないようなものであるが。

 

「2人にはちょっと共犯者になってほしいの」

 

「あら、とても危険な響きね。何かしら?」

 

「共犯者か…ふむ、いったいどんな企みに加担したらいいんだい?」

 

 茜の表現の仕方に、一体何かと興味を惹かれる2人はその内容を聞かせてほしいと促す。

 

「それはね―――

 

 何かしら密談をする3人と1人を乗せた車は薄暗くなり始めた車道を法定速度を守った緩やかな速度で走っていく。

 

 のちにある一軒家から驚きの声が上がるのは、まあ予定調和なので語る必要はないだろう。

 

 

【マルゼンスキーがマイノスワローに対し強い感情を抱きました。

感情種別『期待』 対象ウマ娘『マイノスワロー』

 

シンボリルドルフがマイノスワローに対し強い感情を抱きました。

感情種別『感謝』 対象ウマ娘『マイノスワロー』

 

シンボリルドルフがマイノスワローに感情を設定しました。

再度、シンボリルドルフの主要人物に設定します。

……完了しました。

マイノスワローがシンボリルドルフの主要人物に設定されました。

 

 

イベント『青い鳥』が終了しました。

 

参加者全員のやる気が上がりました。

 

参加者全員の絆が大きく上昇しました。

 

称号『青い鳥』を獲得しました。

 『青い鳥』…同じ称号を持つ者同士の距離が近い時にイベントの発生確率が上昇。

 

イベント『青い鳥』終了に伴い元イベント『復活兆し』も終了しました。

条件達成したためシンボリルドルフの心境に変化があらわれました。  

 

 

 




チャンミの方はいかがですか?
私は何とかグレード第1ラウンドは3勝出来ました
でも、1人も本育成完了してないので第2ラウンドは絶望的です
仕方ないので1人だけ何とか育成して残りは古き良きデバフネイチャと新星デバフドーベルでダブル八方睨み&スタミナグリードを搭載してデバフ戦術で行こうと思っています
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