転生ウマ娘が夢に向かって頑張る話   作:トレセン学園生徒会書記

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お久しぶりです

前から読んでくれている方、申し訳ないです
諸事情により桐生院茜の過去話の2話分を一時的に削除してます

あと、立ち絵を更新しましたので興味あればどうぞ






 私が病院で起こしてしまったひと騒ぎから。

 

 あの後、目を覚ますと退院手続きが終わっていて、マルゼンスキーさんの車に乗せられていることに私はすごく驚いた。

 次に目を覚ましたらいつの間にか退院していて車で移動中、それも憧れの超有名人と一緒に。

 

 病院の時の言い合いは何だったのかと思うほど、シンボリルドルフさんは…ではなく、車中で略称でも良いと言われたのでルドルフさんと言わせていただこう。

 ルドルフさんは穏やかにも少し遠慮しがちに、マルゼンさんは気さくで積極的に、茜さんは冷静に淡々と私に話しかけてくれた。

 3人とも私を気遣っているのは雰囲気から分かった。あの時の自分は明らかに危うい状態だったのが落ち着いた今では痛いほどわかる。

 それゆえに迷惑をかけてしまった申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。

 

 ほどなく家に着き私を迎えに2人揃って出てきてくれた両親は滅茶苦茶驚いた。車中で目を覚ました私以上だったと思う。

 それはそうだろう、何せ皇帝とスーパーカーだ。驚かない方がおかしい。私だって逆の立場だったら絶対に同じ反応をする。間違いなく両親以上に。

 

 事前に事情を話していたらしいのでその後は互いに頭を下げ合って短い会話を挟んだのちにルドルフさん達はトレセン学園へと帰っていった。

 

 私が家に帰ってきた後に待っていたのは両親の説教だった。

 生まれてから何度も怒られることはあったが、今回のはその比じゃない一番の説教だった。

 

 当たり前だ、嘘をついて倒れたのだから。それも、下手したら大事になっていたかもしれないことだったのだ。

 偶然、ルドルフさんたちがいたから、もし居なくでも陸上部の人たちがいたから今回に限っては偶々大丈夫だったが、場所やタイミングによっては人がいない状況だって十分あり得たのだから。

 最後には母に泣かれてしまった。

 

 無事でよかったと。

 

 茜さんから聞いていたらしい、この状態で疲労だけで済んだのは奇跡に等しいと。普通だったら疲労で倒れる前に体のどこかが壊れてもおかしくなかったと。

 そんな危ない状態だったのだそうだ私は。

 

 こってりと両親のお説教で絞られた後、入浴を軽く済ませ夕飯となった。

 私が帰ってくるまで待っていてくれていたようだ。

 

 食事中、私は両親に告白した。

 今までウイニングライブをしたい、中央のトレセン学園に行きたいとしか伝えていなかったことけど、今日の事を機に言うことにした。

 菊花賞で1位になってセンターでウイニングライブをするって夢を。

 

 それを告げた私に両親は目を丸くした。互いに目を合わせたのちに私に言った。

 

「大きく出たな、GⅠを獲るなんて。それでこそ俺と母さんの娘だ!」

 

「あらあら、だったらこれから全力で応援しないとね」

 

 「…ありがと」

 

  肯定してくれた両親に私は感謝した。

 

 病院でルドルフさんたちを前に啖呵を切って。今、目の前で両親に告て、改めて夢への決意を固めた。

 

  そして、私が転生者ってことも話した。

 …話したのだけれど。実は前々からそうなのかもしれないって思っていたらしい。でも、私が話すまで何も言わないつもりでいたのだと。

 私が自分から話してくれてとても嬉しそうにしていた。

 私ってばどれだけ迷惑かけていたんだろう。

 

 それでこれからも迷惑を一杯かける。この夢の挑戦が終わったら親孝行しないと。

 

 

 

 その日から二日が過ぎた。

 

 二日間は家でダラダラと過ごし、時折コンビニに歩いて行ったりなどでそれ以外は基本家にいた。

 

 本当だったら今すぐにでも外でトレーニングしたいのだが、残念なこと今は運動禁止令が科せられていて、家の中での筋トレすらできないのだ。

 ダンスの練習だって運動に入ってしまうのでできない。

 隠れてやろうとしないようにリビングに居なさいと母に言われ、その母の監視下にいるし。

 そもそも、約束を破るわけにはいかない。この過ぎた二日の期間はトレーナーになった茜さんから言われた安静期間。

 言い渡された時は不服ではあったが、のちにしっかりとした理由を聞いて納得はできた。

 

 発声練習でもいいが、如何せん昨日の病院で声を張り上げてしまったので少しのどの調子が悪くてできないし。今も、完全に快調になるよう念のためにやっていないだけだ。

 

 久しぶりに体を動かさない日だったので、新しく携帯に有名な音ゲーのアプリをダウンロードして2日間ずっと遊んでたな。

 これなら、音楽に触れられるし、まあリズム感覚も養えればいいなって。

 

 今日は用事があって制服姿でいるのだけれど、まだ時間があるのでその音ゲーで時間をつぶしている。

 

 と、暇を持て余しているとインターホンが鳴った。

 ソファから降りでインターホンの映像を見る。 

 

「来たみたい」

 

「あら、そう? じゃあ行ってらっしゃい」

 

「ん。わかった」

 

 玄関に向かって靴を履き、あらかじめ用意しておいたバックを肩に引っ掛けて扉を開けた。

 

「ども、茜さん」

 

「おはよう、スワロー。……ちゃんと言ったとおりに休養を取ったみたいね。じゃあ、行きましょうか」

 

「わかった」

 

 開けた先に居た茜さんと簡単に挨拶を交わして、私は家の前に止めてある茜さんの車に乗り込んで出発した。

 

 

 

「で、今日はトレセン学園に行くって聞いてるけど。なんかの手続きでもやるの?」

 

 走行中、助手席に座る私は隣で運転している茜さんに聞いた。

 すごく砕けた口調だが前の病院での畏まった口調はまだ他人の関係だったからで、私と茜さんはトレーナーとその担当ウマ娘の関係でもあるし、交換した連絡したチャットなどの会話しているというのもある。

 それもあるが、一番は先日に素の口調であんな言い合いして、これからGⅠ目指すのに互いに変に距離をとる必要がないことだ。それで、茜さんとは普通に会話することにしている。

 

「ええ、あなたがデビューするのに必要なことよ」

 

「へえ。まあ、必要だって言うんなら仕方ないけど。今日から走っても良い日だって前に言ってなかった? 今日からトレーニングでも始まるものかと思ってたのに。この手続きさ、昨日か一昨日じゃダメだったの?」

 

 書類とかの手続きなら休養期間にできたはずなことに私は少なからず不満を覚えた。

 せっかくトレーナーもついて、休養という我慢もしたのに、トレーニングができないなんてちょっとした生殺しだ。

 

「私の方でもいろいろと手続きがあったのよ。あのときは勢いですぐ休職するって言ったけど、流石に説明やら申請書類やら引継ぎやらで時間が必要だったのよ。それに、あなたのための準備だって必要だったんだから。これでも、超特急で終わらせてきたのよ? もっと急がせて何か不備があってもいいの?」

 

「よくない。じゃあ我慢するよ」

 

 確かにその通りだ。茜さんは中央トレセンの現職トレーナーで雇われている社会人だ。

 普通だったら1カ月とか前にそういった更新をするものを数日で通したっていうのが異常なのか。

 それに私のための準備ということはトレーニングメニューなのだろうか。それだったらなおさら急かすのは駄目だ。

 変に急がせてトレーニングメニューの組み方が甘くなってしまう。そんなのじゃ、ただでさえ遠い私の夢はさらに遠くなるのは困る。

 ここは納得するしかない。

 

「えーっと、これって聞いていいのかわからないんだけど。眼帯ってなんでつけてるの? もしかして、目が悪かったり?」

 

 話題を切り替えようと、口に出したのがこのことだった。正直、見た目に関することだったので聞きにくいのもあったのだが、すごく気になっていた。

 

 病院で付けるような眼帯じゃなくて普通にお洒落な眼帯付けてるし聞かないでいるのはちょっと耐えられなかった。

 人がいるところで聞けるようなことでもないし、この車内で2人きりだから聞いてみた。

 

「ああ、この眼帯ね。気になるわよね。知り合った人にはよく聞かれるわ。別に目が悪かったり傷があったりなんてことはないから。むしろ良すぎるから着けてるの」

 

 よく聞かれるらしいこの質問に茜さんはあっけらかんと答える。

 

 よく見えるからとはどういうことなのだろうか?

 

 漫画のキャラの設定で目がよすぎて脳の処理が追い付かなくなるから日常的に目かくする。なんてよくある設定だけれど、こんな現実世界でそれを本当にやっている人がいるなんて思えない。

 新手の冗談ということでいいのだろうか。

 

 私が訝し気に見ていると、茜さんはチラッとこちらを確認して、苦笑した。

 

「冗談みたいだけど本当よ。トレセン学園から直々にお願いされてるの。同じ転生者ならわかると思うんだけど」

 

「なんで転生者?」

 

 関係なくないか? 同じ転生者なのは病院での言い合いの時に知って、そのあとにもしっかり転生者であることを言われてけど。

 転生者っていっても前世の記憶があるくらいで眼帯とは何の関係もないでしょ。

 

「転生者がウマ娘を視ればわかるものは?」

 

 わかるもの? まさか、特定のウマ娘ならゲームアプリやアニメとかの媒体で知っていることだとでもいうのだろうか。その判別した特定ウマ娘のウマソウルの元を知っていれば得意なバ場や距離、作戦はわかるだろうけど。

 そもそも、記憶じゃ目と関係ない。

 

 本気で頭を悩ませてると答えが出された。

 

「本当にわからないのね。いや、一応視て知っていたけど。転生者は基本的に全員ゲームのアプリ画面みたいなウマ娘のステータスが見えるのよ。私は恩恵でその性能がさらに一段階良くて、ウマ娘からしたら個人情報が筒抜けレベルだから許可がない限り見ないようにお願いされてるのよ」

 

 「……いや、え、マジ? 転生者ってそんな能力者なの」

 

 「大マジよ。転生者全員の共通能力よ」

 

 大声出して驚くわけではないが、予想外のことに私は少しなんて言葉を出せばいいかわからなかった。

 

 

 

 私が衝撃を受けていると、茜さんが転生者のことについていろいろと話してくれた。

 いろいろと言っても、茜さんが経験談を少しだけ話してもらっただけだが。

 

「転生者っていっぱいいるんだ」

 

 今まで、私だけかと思ったら茜さんがいて、さらに見知らぬ転生者がたくさんいるらしい。

 

「ええ、思ってるよりも多いわよ。私も知ったとき驚いたもの。競争ウマ娘業界じゃ転生者なんて探せば簡単に見つかる存在よ」

 

「ってことは、ルドルフさんたちも知ってる?」

 

「もちろん。トレセンの一般生徒は知らない娘もそこそこいるけど、上層部やトレーナーはみんな知ってるわ。勿論ステータスが視えることも」

 

「私は見えないけどね」

 

 そう、転生者はウマ娘でもトレーナーでも、一般人でもそのウマ娘ステータスというのが視れるというが、私は見えない。

 

 許可が必要なほどの深度でウマ娘ステータスを細部まで見ることのできる茜さんが視るには、私自身で見えないように拒否しているからということだった。

 生まれて一度もステータスを見たことがないということはおそらく、生まれる前から拒んだから。

 

 私の記憶にはないけど、茜さんは女神さまに貰ったと言っていた。

 その女神というのはこの世界の三女神の事かはわからないが、転生者なら必ず転生前に相対している存在だという。

 ということは、その段階で私は要らないとでも言ったのだろう。

 

 見えないことに残念なのかと言われればそうは思わない。

 

 だって、現実で生きている世界でそんなものが見えるだなんて私は嫌だ。

 そんなものが見えてしまったら私の新しい人生はきっと色あせてしまっていたかもしれない。どこかで、この世界はゲームなんじゃないかって。

 そうだったとしたら、あの菊花賞を見て熱中することも夢を抱くこともなかったのだろうか。

 

 まあ、もしもの話だから今の私には全く以て関係ない話なのだけれども。

 

「そうね、あなたが視えないことについては特に思うところはないわ。少し驚いたけどね」

 

「私も同感。茜さんが視えるって事にも転生者の話も驚いたけど、私にとっては知らなかったら知らないで終わってただけの話だしね」

 

 それだけだ。たまたま、トレーナーになってくれた茜さんがそうだっただけの話。

 

「でも、知ったからには存分に使ってもらうから。その視る力」

 

 使えるものは使う。

 URAもトレセン学園もこの能力を知っていて黙認している力。

 茜さんの視る能力は他のウマ娘に極限使ってほしくないだけで、許可があれば使用可能だし、担当ウマ娘である私には自由に使える。

 

 使わないなんて手はない。

 

 いままで使ってきているはずだから、わざわざ言う必要なんてなかったのだけれど。

 これは私が茜さんに向けた確認のようなものだ。

 

 GⅠ目指す以上妥協は認めない。自由に私を視て限界までトレーニングを課してほしいと。

 

「そういわなくても、元からそのつもりだから大丈夫よ」

 

「うん、よろしく」

 

 茜さんは何を当たり前なことをと答えた。

 それが聞きたかった私は運転に集中して前を視ている茜さんを視ながら横目で見ながらうなずいた。

 

「じゃあ、私からも一つお願いいいかしら?」

 

「なに」

 

「私がスワローが疑問に思う指示をしたとしても、だまされたと思って一度は試してほしいのよ」

 

 わざわざ言うって、そう私が思うようなことをやるって予告してるようなものじゃん。

 

「時と場合と内容によるけど……まあ、わかった」

 

 ただのトレーニングだけじゃ夢の成就には足りないかもしれない。そのために必要なのだというのならやってみる価値は出てくる。

 

 自分の本心を吐露して、真面目に救い上げてくれた人だ。菊花に繋がるというのなら私は全力で答えよう。

 

「さあ、ついたわよ」

 

 声とともに車が停車する。

 窓からは校舎らしき建物の裏手側だった。

 

 車から降りれば、そこは教員用の駐車場らしい。

 

「これを渡しておくわね」

 

 と、何か目の前に突き出されたので私は反射的に手を出した。

 

 ポトと手のひらに置かれたのは来客者と書かれた名札だったので私は首に来客者用の名札を首にかけた。

 

「じゃあ、私は少し用があるから、スワローは自由に校内を見学してていいわよ」

 

「は?」

 

 私は名札を首にかけるのを確認すると茜さんはそう言って教員用の出入り口へと歩いていく。

 

 私は少しあっけにとられ固まっていたが、すぐに茜さんのそばえ駆け寄ろうと思い足を前に出そうとしたが、私の肩に手がかけられる。

 

「あとはよろしく頼むわ。マルゼンスキー」

 

「え?」

 

「ハイハーイ、任されたわ。小鳥ちゃん、ここから私が学園を案内してあげるわね!」

 

 振り向くと、マルゼンさんがニコニコと茜さんへ手を振っていた。

 そして、手を振り終えると今度は私の手を取って引っ張る。

 

「それじゃ行きましょうか!」

 

「突然そんなこと言われましても。私、ここには手続きに――」

 

 引かれるままに歩きながら教員用出入口の方を向くが、そこに茜さんの姿はもうなかった。

 

 え、手続きって私必要ないの、じゃあ何で連れて来た? もしかして、見学のために呼ばれたの?

 早速、私が疑問に思うことを決行されても正直困るんだけど!?

 

 困惑しながらも、私はマルゼンさんに手を引かれてついて行くしかなかった。

 

 

 

 

 

【ウマ娘名:マイノスワロー

 

 やる気:好調  体力:57/112

 

 

 体力が安全圏まで回復しました。疲労困憊状態が解消されました。

 

 肉体の運動パフォーマンスが正常値に戻ります。】

 

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