20,000字以内で語るBlue Hysteria ~パラドックス事変から異世界事変まで~ 結論:まとめられなかったよ   作:WaT=Vermillion

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 先に言っておきます。

 20000字でまとめられませんでした。

 タイトル詐欺でごめんなさい。

 テイルズオブベルセリアの要素は、次の次くらいになります。


パラドックス事変~魔法少女事変

 遠山キンジとノエル=ヴァーミリオンが出会って双子の子供ができる。

 

 主役の金恵と銀次が生誕。

 

 しかし、キンジは謎の少女、ν-13に殺される。

 

 それを物心ついた銀次は目の当たりにし、復讐に燃える。

 

 そんな中、暁の帝国で出会ったのは暁零菜。

 

 彼女と仲良くなっていくうちに、彼女の両親に憧れを持つ。

 

 一方で金恵は、神崎・H・アリアの下で武偵として修業するため、渡英。

 

 銀次は高神の杜に行き、獅子王機関の剣巫兼武偵となった、遠山銀次。

 

 最初の物語、パラドックス事変。

 

 並行世界での異母兄、遠山・H・欽二郎と出会い、米国組織『ディメンション』による歴史改変を止めることに協力。

 

 そして、過去の世界に行き、東城刃更、成瀬澪、成瀬万理亜、野中柚希、野中胡桃、ゼストと出会い、魔界での内紛を止める。

 

 その際、ジン=キサラギと出会い、因縁が生まれる。

 

 一行は欽二郎の世界に行き、ディメンションと衝突。

 

 そこで、捕縛されていたその世界の刃更とその娘、東城乃蒼を救出。

 

 乃蒼を仲間に、組織を追って過去の世界の絃神島へ。

 

 銀次は仲間たちと別行動をし、ディメンションと接触した絃神冥駕と対峙する暁古城、姫柊雪菜、煌坂紗矢華を援護する。

 

 その際、病気を悪化させ、死期を悟る。

 

 零菜、ディメンションの動きを察知し、絃神島へ。

 

 絃神島への武力行使に際して、第四真祖の夜の帝国の帝王となる覚悟を見せる暁古城、真祖たちと全面戦争を覚悟する藍葉浅葱、絃神島の占領を図るディメンションとツバキ=ヤヨイ、ジンと共にディメンションを壊滅する銀次たちが交錯する。

 

 死期を悟った銀次は、イザヨイに変身したツバキを止めるため、ジンを庇って腹部を貫かれる。

 

 死にゆく銀次に零菜から血を分けられ、吸血鬼になる。

 

 吸血鬼になった銀次は、滝川、もとい、ラースに自分を配下にするよう懇願。

 

 銀次はシルバと名乗って、約一ヶ月、ジンと共に魔王の反対勢力、枢貴院の残党と対峙していく。

 

 その中で、銀次は魔術を覚える。

 

 そして、魔王レオハルトから絃神市国との同盟締結のため、ラースと共に、暁古城を護送任務を請ける。

 

 古城から「自分から行く代わりに姫柊の身を保証してほしい」という条件を受け入れ、ラースが護送を請け負い、シルバが雪菜の護衛監視を請ける。

 

 それを雪菜が止めるが、ラースが秘かに刃更を呼んでおり、雪菜の気を失わせる。

 

 雪菜が浅葱と共に、遠山キンジ、ノエル=ヴァーミリオンらに古城の捜索を頼み込むのを阻止しようと考えるが、零菜がいるため断念。

 

 雪菜と零菜たちが、東城家を突き止め、彼女たちと共に行動を共にする。

 

 しかし、東城家を襲う雑魚魔族にかまっている間に、絃神市国のエネルギー生産地区を襲われる。

 

 シルバは独断で任務を放棄、エネルギー開発地区へと急ぐ。

 

 シルバが到着時には、ディメンションと模造眷獣を扱うラミア、ルミアと戦う古城、刃更、ラースと合流。

 

 一方的に、押されていく中、キンジ、ノエル、雪菜、澪たちが参戦する。

 

 その中で、シルバは零菜に銀次だと見抜かれ、拘束される。

 

 そこで、拘束された銀次は零菜にファーストキスを奪われ、初吸血行為をする。

 

 零菜の熱烈なキスの影響で、ヒステリアモードになった銀次は能力を限界突破し、シルバの仮面を捨てる。

 

「ここから先は蒼銀(オレ)の戦争(ケンカ)だッ!」

 

「いいや、銀次君ッ! わたしたちの聖戦(ケンカ)だよッ!」

 

 銀次と零菜は念願の台詞、古城と雪菜の十八番の台詞を奪うと、模造眷獣を使うルミアと対峙する。

 

 銀次が零菜の力と零菜の血から貰った雷の眷獣の力を使い、模造眷獣を消滅、ルミアを倒す。

 

 しかし、銀次と零菜の行動、そして萌葱の出現によって、キンジや古城たちに未来から来た子供とばれてしまう。

 

 銀次は一時未来の暁の帝国に帰還し、改めてディメンションの壊滅を言い渡され、新装備を手に、過去に戻る。

 

 それからは暁家に居候し、武偵が起こした事件に巻き込まれ、解決するも、未来での彼の師匠、煌坂紗矢華に監視される。

 

 古城の失踪、バルフレアの謀反と欺波のディメンションの支配、勇者の里の崩壊、復讐のブラド三世とリュパンの因縁、ISによるアルディギア王国の転覆の危機、吸血王の戦争、イ・ウーの介入、古城の暴走、神族の介入、ディメンション壊滅を経て、ディメンションとの決着を着ける。

 

 銀次と零菜たち、欽二郎と乃蒼たちはそれぞれ自分たちのいる未来の世界へ帰還する。

 

 銀次は戸籍を暁の帝国に移し、零菜や萌葱たちと暮らし始める。

 

 しかし、暁の帝国を襲撃する、ココノエとテイガー、ラムダと対峙。

 

 その際、マイやマコト、カジュンと出会い、銀次にノエルの面影を重ねられる。

 

 ココノエたちを捕縛するも、すぐに釈放。

 

 国の機密機関、第七機関を設立される。

 

 ノエルの子供である銀次は検査を経て、次元境界接触用素体、ラムダと似た遺伝子を持っていることを確認。

 

 同時に、父親を殺めたνと似た遺伝子を持つことを知る。

 

 そんなこんなで、ラムダたちと過ごしていると、月の一部が破壊される。

 

 そして、銀次は零菜と一緒に翼とマリアの合同ライブを観に行くために来日。

 

 しかし、観客席にノイズを散布し、マリアが宣戦布告する。

 

 銀次はこの時、シンフォギアを初めて見る。

 

 避難する観客に紛れ、銀次と零菜はマリアに奇襲を仕掛ける。

 

 翼を逃がすために、二人がかりでマリアのガングニールと戦闘。

 

 しかし、調と切歌の加勢で追い詰められるも、翼も装者であったため、3対3、響とクリスも加わり、5対3になるも、ノイズによって、逃げられる。

 

 特務二課に捕まった銀次と零菜は、状況の把握と協力を頼まれる。

 

 装者たちが戦っている裏で、米国部隊が絡んでいると知ると、彼らを監視する。

 

 米国部隊、マリアとナスターシャの密談を知ると、それらを記録。

 

 しかし、途中でノイズの介入に遭い、マリアたちと一時的に共闘する。

 

 銀次は記録を米国にいる金恵に渡し、ある依頼をする。

 

 ラムダが救援に駆け付けるも、未来の神獣鏡に敗れ、負傷する。

 

 フロンティアが起動する。

 

 その間、銀次とラムダを収容したシュヴァルツェア・ハーゼ、通称黒ウサギ隊に保護される。

 

 整備兵である、フェル・ボーデヴィッヒから、銀次にシンフォギア、ISに次ぐ兵器である、試作ムラクモ・ユニット、双剣を譲り受ける。

 

 双剣を受け取った銀次はフロンティアに浮上させられた二課に秘かに侵入。

 

 シュルシャガナのギアペンダントを入手し、調を説得。

 

 快諾した調と行動を図るも、響と合流し、三人で本部から脱出。

 

 調と切歌が戦闘している間、響を抱え、フロンティア内部へ進むが、米国部隊が来たことを知り、響と別れる。

 

 米国部隊が調と切歌を殺そうとするのを止め、意識を失っていた調を安全な場所へと運ぶ。

 

 調から、「自分の血を吸ってほしい」と言われ、承諾。

 

 調からシュルシャガナの力を模倣した技を習得し、米国部隊を一掃。

 

 調から「マリアたちは任せてほしい」と言われ、本部に迫る部隊を撃破し、共に脱出。

 

 脱出後、バビロニアの宝物庫を封じるために走る未来に力を増強させる魔術を施し、ソロモンの杖をバビロニアの宝物庫と共に封じ込め、爆散。

 

 その後、マリアたちは日本の刑務所に護送され、ラムダも黒ウサギ隊と共にドイツへと旅立った。

 

 安堵する間もなく、米国の暗殺部隊がマリアたちが収監された刑務所を襲撃。

 

 これを察知した銀次によって、入室間際で部隊を全滅させる。

 

 一方で、金恵は米国の政治家を護り抜き、米国政府の陰謀を国民に知らせた。

 

 米国政府は解体を迫られ、新体制が敷かれることになった。

 

 その後、マリアたちの日本での受け入れが難しいと判断されると予想した暁の帝国が受け入れを承諾した。

 

 調を初めに二人も同意を得たことで、彼女らが解放される。

 

 銀次と零菜は、国連から任務を請けて出発するマリアから「調と切歌をよろしくね」と言われる。

 

 銀次が手続きをし、調と切歌を二学期から彩海学園の中等部に在籍させる。

 

 一方で、金恵はF.I.S.の跡地から、聖遺物、シンフォギアの存在を知る。

 

 銀次は、調から「武術の手解きをしてほしい」と頼まれ、渋々受け入れる。

 

 萌葱から、IS学園の文化祭に招待された銀次たちは、調と切歌も引き連れ、来日。

 

 銀次に対して切歌はどこか壁を感じており、信頼をしていなかった。

 

 一夏の王冠争奪戦に巻き込まれ、銀次が王冠を切歌に渡す形で一夏を助ける(?)も、箒やセシリアらに狙われる羽目になる。

 

 そんな中、一夏と調と切歌の誘拐を企む亡国企業(ファントム・タスク)に、調を拉致される。

 

 調を救うため、切歌は銀次に「アタシの血を吸ってほしい」と頼まれ、吸血。

 

 イガリマを纏った切歌と、イガリマの技を模倣した銀次のタッグプレイによって、調を奪還。

 

 簪と響に、調と切歌を保護するように頼み、亡国企業を撃退。

 

 王冠を土産に、調と切歌の検査を経て、暁の帝国へと帰国。

 

 切歌も銀次を信頼し、銀次の弟子になる。

 

 波朧院フェスタに備えている時に、調と切歌から「マリアを見に行ってほしい」と言われ、渡英。

 

 金恵に再会するも、まともに会話せず、別れる。

 

 銀次は国連の職員になりすまし、マリアと再会。

 

 即座にバレ、冷たい態度を取られるも、感謝される。

 

 その折、オートスコアラーのファラに襲われ、シンフォギアを纏っている翼が狙いと知り、ライブ会場を後にする。

 

 金恵とセシリアに狙われるものの、ファラの存在を知ると、共闘する。

 

 ラムダから報告にあったアルカ・ノイズの出現に際して、金恵を下がらせるも、翼のシンフォギアが破損。

 

 ファラとアルカ・ノイズが撤退すると、金恵は銀次を問い詰めるも、なにも答えなかった。

 

 銀次はマリアと翼と共に来日。

 

 金恵も後を追って、来日。

 

 響がガリィに襲われた際、ガングニールを纏ったマリアと共にガリィを攻撃。

 

 しかし、あしらわれ、撤退される。

 

 金恵はその現場に向かう途中で、つけられていると直感が走り、八紘の部下、秋十と出会う。

 

 秋十が「なぜわかった?」と問うと、金恵は「見えただけよ」と答えた。

 

 響とガングニールが負傷、破損すると、ムラクモを持つ銀次が第一線で戦うことに。

 

 しかし、零菜と調の策略で、奏が使用していた残存のLiNKERを調と切歌が使用して参戦する。

 

 そこでミカによって、シュルシャガナとイガリマが破損され、危機に陥るも、改良型のシンフォギアを纏った翼とクリスによって事なきを得る。

 

 零菜が調と切歌と共に離脱し、銀次は翼とクリスのアルカ・ノイズの殲滅に協力する。

 

 キャロルの登場にて、負傷。銀次は離脱。

 

 結果、響と翼とクリスによって、キャロルは撃破。

 

 しかし、あっけない勝利に、銀次は不穏を感じていた。

 

 そして、弦十郎へ秘かにそれを告げた。

 

 一方で金恵は、秋十からシンフォギア、アルカ・ノイズ、銀次のことを聞き出していた。

 

 シュルシャガナとイガリマの改良、そして、アガートラームの修復によって戦力は増強された。

 

 そして、ガリィとの再戦。

 

 マリアはイグナイトモジュールを使うも暴走。

 

 危うく仲間を手にかけたところを銀次が吸血して止めた。

 

 しかし、銀次は吸血鬼でありながら、重症を負ってしまう。

 

 銀次を手にかけたマリアが落ち込んでいると、エルフナインが声を掛ける。

 

 そこへ用事を済ませた銀次が立ち入っていく。

 

 弱音を聞かれたマリアは目を逸らすが、銀次が異変を察知した。

 

 ガリィが再び襲撃を仕掛ける。

 

 銀次の双剣を纏うも、マリアが力を出し惜しんだ。

 

 銀次はガリィを足止めし、マリアに接触する。

 

 エルフナインの「自分らしくあること」と銀次の「罪を喰わせてくれ」という言葉。

 

 その言葉によって心を保ったマリアは銀次に頼む。

 

「わたしの血を、弱さを吸ってほしい」

 

 それに銀次は彼女の首の付け根から血を吸って答えた。

 

 短いようで長い時だった。

 

 マリアは胸のガジェットを操作し、再びイグナイトモジュールを起動する。

 

 今度は成功したマリアのイグナイト。

 

「ここから先は、蒼銀(オレ)の戦争(ケンカ)だッ!」

 

「いいえ、銀次ッ! わたしたちの聖歌(ケンカ)よッ!」

 

 息を合わせた銀次とマリアは、ガリィを追い詰め、撃破する。

 

 一方で金恵は、ファミレスで響とその父親、洸とのやり取りを目撃する。

 

 響にたかろうとした洸に対し、金恵が割り込む。

 

「悪いけど、この子に手持ちはないわッ! 行くわよッ!」

 

 洸を置き去りにして、響を連れて外に出た。

 

 金恵は、響の顔を覗き込んで、ぱぁっと明るくなる。

 

「あなた、響でしょッ!? あたしのこと、覚えてるッ!?」

 

「もしかして……金恵さんッ!?」

 

 金恵と響は、知り合いだった。

 

 響が2年前のライブでの生存がきっかけによる誤解による風評被害に遭った時に助けた人物だ。

 

 家の修繕、メディアへの報復、その他加害者への徹底抗戦。

 

 それを金恵がやってみせたのだ。

 

 彼女が響を助けたのは偶然だった。

 

 昔も、今も。

 

 久しぶりに会った金恵は、響にジュースを奢りながら、父との話を聞いた。

 

 ひどく幻滅していた様子だった。

 

「壊れたものはもう戻らない……」

 

 泣くように呟いた響の言葉に金恵は返す。

 

「確かに、元には戻れないわね。でも、別のなにかに作り変えることはできるんじゃないかな?」

 

「別の、なにか……?」

 

「人間関係全部が、ってわけにはいかないかもだけどさ。家族くらいは、どうにかしないといけないんじゃないかな」

 

「でも、わたしは……」

 

「あたしには、もうできない人がいるの。……死んじゃった父さんだけどね」

 

「それって……ッ!?」

 

 響は金恵が銀次の姉だと気づくも、通信音が入る。

 

 しかし、通信機を手に取ろうとするのを金恵が止めた。

 

「あなたが今、重要な戦いをしているのは知ってる」

 

「金恵さん、でも……ッ!」

 

「あとで、あたしに脅されたって言い訳すればいい。あっちにだって、あたしのことは筒抜けだろうから」

 

「でも、この手で――ッ!」

 

「今のその手じゃ、『壊すこと』しかなにもできないわ」

 

 響の焦る手はやがて止まり、通信機も鳴らなくなった。

 

 一方で、銀次は調と切歌と現場で戦っていた。

 

 しかし、ミカを取り逃がし、二人は喧嘩してしまう。

 

 見かねた銀次は、二人の頭を撫でた。

 

「今回の失敗は、俺の責任だ。殴るなり、矢面に立たせるなり、好きにしてくれ」

 

 その言葉に、二人は喧嘩をやめるも、そっぽを向いてしまう。

 

 その後、零菜の仲介によって、仲直りし、二人はミカを撃破する。

 

 金恵は、響と話し合って心を落ち着かせ、答えを出した。

 

「もう一度、父さんに会います……」

 

「うん。あたしもいいかな?」

 

「いえ、一人で合いたいです」

 

「わかった。勝手についてる。手出しはしない」

 

「心配してくれるんですか?」

 

「そりゃね」

 

「わかりました。手出ししないで見守ってください」

 

 銀次はマリアと一緒に、要石を護るべく、翼の家に来ていた。

 

 ファラに襲われるものの、剣技が通じず、鏑矢による攻撃も風で吹き返された。

 

 被害は出なかったものの、翼が精神的に追い詰められていた。

 

 父親の八紘からも、冷たい態度を取られ、マリアが激昂する。

 

 さらには銀次にもある事実を言い放った。

 

「君の姉さん、金恵、と言ったか。着実にそちらに来つつある」

 

「どういうことです? そちらには遠ざけるようにお願いしたはずだ」

 

「逆に気取られた。寧ろ、危険だからこそ首を突っ込んでいるのかもしれん」

 

「……ッ! 姉は、金恵はそういう人間だ……ッ!」

 

 その事実は銀次を深く突き刺した。

 

 三人は、各々違う心境を抱きながら、翼の部屋へ向かった。

 

「なんなのッ!? あの父親の態度はッ!?」

 

「なんで、お前が怒るんだよ……」

 

「だって、父親なら――」

 

「俺は、父親が死んでる姿が脳に深く刻み込んでんだ」

 

「え……ッ!?」

 

「いや、もしかしたら、俺の父さんが生きていたら、父親に反発していたかな。今のマリアみたいにさ」

 

「ごめん……」

 

「謝んな。お前があの人に殴らないようになだめたつもりだぞ」

 

「わたしがそういう女に見えるの?」

 

「見えたから、出したくもない話題を出したのさ」

 

「……えらく信用してないのね」

 

「感情的になるのは悪いことじゃねぇって思っちゃいるがな」

 

「誉めてんの? けなしているの? どっち?」

 

「どっちだろ? 俺も言っといてわからんくなった」

 

「二人とも、わたしの部屋の前でいちゃつくのはよしてくれないか」

 

「「どこをどう見たら――ッ! なんで台詞が被るッ!」」

 

「やっぱり、いちゃついてる……」

 

 翼の部屋に着いた三人は部屋の片づけをする。

 

「あぁ。なんか、金恵のことを思い出すなぁ」

 

「金恵も、こんな感じに散らかすの?」

 

「この部屋ほど散らかさねぇよ。俺に片付けさせるのが問題だって思ってるんだよ」

 

「それは……すまない」

 

「翼が謝んな。馬鹿で暴れん坊の金恵には敵わなかったってことだよ」

 

「金恵が、もし、アルカ・ノイズを目にしたらどうすると思うの?」

 

「……戦うんじゃないかな。少なくとも、民間人を逃がすまではさ」

 

「不安なの?」

 

「そうかもしれない。この件に関わって、金恵が塵にでも……」

 

「……そうか」

 

「安心しろ。そうなる前にわたしたちが片を着けてやる。そうだろ、マリア?」

 

「……えッ? なんだったかしら?」

 

「どうしたのだ? 二人とも?」

 

「いや、なんでもねぇ。下着はしまっとくな」

 

「男がやらないの。男が」

 

「なんだよ。高神の杜じゃ、俺が洗濯大臣という称号だって得てんだぞ」

 

「銀次ッ! 女子の下着を洗ってたのッ!?」

 

「安心しろ。収納にしまうまでが洗濯だ」

 

「だからといって、一歳年上の下着まで扱っていいわけないでしょッ!」

 

「いいじゃんか。師匠ほどの大人な下着じゃないんだから」

 

「おい、銀次」

 

「確かに、翼の胸は平均より劣っているのかもしれないけどッ!」

 

「おい、マリア」

 

「ええやんかッ! 零菜の下着まで洗ったことあったぞッ! あっちの方がでかいってッ!」

 

「なんで方便が混ざったッ!? 確かに、零菜と翼じゃ――ッ!」

 

「確か、ここら辺のどこかに仕込み刀があったような……」

 

「あの、翼、さん?」

 

「嘘、でしょ?」

 

「まさか、小さい頃から常在戦場を叩きこまれ――ッ!」

 

「じゃ、下着はマリアに任せて、他の衣類を畳もうかな」

 

「じゃあ、それを箪笥に入れるわ。手伝ってくれる?」

 

「もちろんだぜッ! 平和に片付けるぞッ!」

 

「……冗談だ、というのは控えておこうかな」

 

 翼以外の二人は、この部屋の異様に気づいた。

 

 ファラの再度の襲撃の際に、八紘の真意に気づく二人は、それを聞いた翼の剣技はファラを斬り裂き、撃破。

 

 しかし、ファラの最期の言葉と大爆発によっての要石の破壊によって動揺が生まれる。

 

「まさか、エルフナインが……ッ!?」

 

「馬鹿なッ! 今更疑えんッ!」

 

「……」

 

 しかし、ファラの最期の言葉は銀次が懸念していたことだった。

 

 エルフナインとキャロルが繋がっている。

 

 そして、計画のためにイグナイトの歌をわざと身に受けさせたこと。

 

 そして、防護策も張ってあった。

 

 ファラが事前に盗んでいたデータは既にココノエの遠隔操作によって、改竄されチフォージュ・シャトーの起動を失敗に終わらせた。

 

 響と洸は、よりを戻したい、という話をしていた。

 

 響から「父さんの方から来てほしい」と返答に対し、洸は「それはできない」と返す。

 

 金恵が背後から見守っていたが、あえてなにも口にしなかった。

 

 しかし、そこへ秋十が割り込んだ。

 

「なによ、今、重要な場面じゃない」

 

「もう、彼女に関わるな。弟を困らせたいのか」

 

「姉を困らせてんのはどこのどいつよ、って返しといて」

 

 そんな折、チフォージュ・シャトーが都庁に顕現。

 

 響と洸を避難させるように促す金恵。

 

 そこへキャロルが介入し、響と洸が離れ離れになる。

 

 洸の行動が響を護るためにやっていることだと知ると、響は父親から受け継いでいるものを確認した。

 

 その心に迷いなく、響は洸を護り抜き、洸を逃がすよう、金恵たちに頼む。

 

 しかし、緒川の車に乗り込む寸前で、金恵は車から出た。

 

 チフォージュ・シャトーに乗り込む銀次の姿を見たからだ。

 

 金恵は銀次を追うように、都庁から侵入を試みる。

 

 秋十はそれを止めるため、後を追う。

 

 銀次と零菜、マリアと調と切歌は強制起動を試みるチフォージュ・シャトーを止めるために奔走する。

 

 銀次たちがシャトー内に潜入すると、命からがら生きていたウェル博士と合流する。

 

 そして、銀次たちの前にコピー人形が現れる。

 

 銀次と零菜がウェル博士をシャトーの停止を、マリアたちがコピー人形の破壊を目指す。

 

 見事にシャトーを停止させ、コピー人形を破壊し、成功したと思った。

 

 その瞬間、マリアとウェル博士の腹部を剣が貫いた。

 

 その剣は、銀次にあるものを想起させ、そして実現した。

 

 父の仇、ν-13。

 

 その姿をみた銀次は口にしていたマリアの暴走データによって黒く染め上げた。

 

「ニゲロ……ミンナ……ヤツ……ヲ……コロスッ!」

 

 そう言い残すと、νと激しい戦闘が繰り広げる。

 

 偶然居合わせた金恵と秋十は驚愕する。

 

 零菜は手にしている黄金の槍を握り締め、金恵たちに言った。

 

「金恵さん、みんな。マリアさんたちを助けてあげて。わたしは銀次君を連れ戻す」

 

 そう言うと、零菜は銀次に向かって走り出した。

 

 金恵は秋十と共に風前の灯火のマリアを抱え、その場から脱出を試みる。

 

 しかし、誰もが悟っていた。

 

 マリアとウェル博士は助からない。

 

 それでも、誰も口にしなかった。

 

 言えば、それが実現しそうで。

 

 本当になりそうで。

 

 奇跡を信じて、戻るしかない。

 

 しかし、ウェル博士が口を開く。

 

「わかって、る、だろ、僕と、マリア、どっちも、助からない……」

 

「黙りなさいッ! 本当に死ぬわよッ!」

 

「一人、一人だけ、なら、助か、る……」

 

「どういうこと……?」

 

「これ、は、僕自身、に、取っておいた、ものだ……」

 

 そう言うと、ある注射を弱々しい手で確かに、秋十に渡してきた。

 

「そいつは、あの吸血鬼、の、血液から、作った、特殊な、もの、さ……」

 

「なぜ、これを?」

 

「僕、以外の奴に、打たせる、ためだ……。僕の、英雄的、存在を、語るには……」

 

「お前、正気か?」

 

「ネズミの、ションベン、のような、奇跡、に、すがりつくんじゃあ、そんなもの、力じゃあ、ない……」

 

「狂っている……ッ! お前は……ッ!」

 

 秋十がそう吐き捨てると、マリアが彼を強く握った。

 

「それなら、わたしの方が、適任だ……ッ!」

 

 消えそうな、だが、強い眼差しで訴えた。

 

 ウェル博士を抱える調と切歌が言った。

 

「マリア……」

 

「本当に、やる気デスか……?」

 

 「本気よ」と強い語気で言った。

 

 金恵はマリアの本気の眼差しに偽りがない、と感じた。

 

 だからこそ、残酷に、冷淡に秋十に言う。

 

「やりましょ。奇跡にすがっている場合じゃない」

 

「だが、吸血鬼にする、ということは……」

 

「わかってる。自然の摂理に反しているけど、あたしには助けなきゃいけない人がいるのよッ!」

 

「それは、多分、わたしと、同じ、よ……ッ!」

 

 マリアが金恵を強く握る。

 

 金恵はマリアを優しく座らせる。

 

「秋十。注射を」

 

「馬鹿を言うな。素人がやっていいことじゃない」

 

「でも――ッ!」

 

「俺が打つ。医学の心得は持っている」

 

 秋十はマリアの首筋に注射を打ち込む。

 

「ぐ、あ、あああああッ!」

 

 マリアが強い悲鳴を上げた。

 

 金恵は傍で感じ取った。

 

 瞳が揺れながらも、強くゆらめいたこと。

 

 そして、死にそうな人間とは思えない力を持っていることを。

 

 しばらくして、悲鳴が止んだ。

 

 瞼も閉じていた。

 

 しかし、離れているのに、心臓の音が激しく聞こえる。

 

 出血が止まっている。

 

 装甲を貫いた傷跡は塞ぎつつあった。

 

 そして、瞼が開き、左目の瞳は蒼く染まっていた。

 

 やがて、マリアが立ち上がった。

 

 開いた口から見えた犬歯は牙として鋭くなっていた。

 

「……成功した様ね……ドクター」

 

 マリアは左手の籠手から剣を取り出す。

 

 そして、金恵たちに向けて言う。

 

「これから、あなたの弟を、銀次の所へ行ってくる。ドクターを頼むわ」

 

 そして、足早に去っていった。

 

 それを見ている金恵に、秋十は言う。

 

「行ってこい。こいつは俺が連れて行く」

 

「でも――」

 

「俺一人なら、重症人は連れていける。間に合わせる」

 

 間に合わせる。

 

 その言葉だけ小さく聞こえたのは気のせいではなかった。

 

「ごめんッ! 行ってくるッ!」

 

 金恵は銀次の場所へと向かって行った。

 

 銀次とνはシャトーを壊しながら、殺し合いをしていた。

 

 それを零菜が喰い止めようとするも、強い力に突き飛ばされて遠ざけられる。

 

 何度も血反吐を吐いた。

 

 何度も骨が折れた。

 

 そろそろ再生が追い付かなくなりそうだ。

 

 身体中が痛い。

 

 白いセーラー服も血と埃で汚れている。

 

 誰も助けが来ない。

 

 それでも、銀次を止めねば。

 

 零菜の足は徐々に銀次たちに近づく。

 

 しかし、銀次を突き刺そうとした剣が目の前から来る。

 

 死ぬことはないかもしれない。

 

 あの第四真祖の血を継いでいるのなら。

 

 ただ、考えることは自分が蘇生するまでに銀次はいるのだろうか。

 

 ただ、それだけだった。

 

 しかし、その考えは剣をはねのけた衝撃によって吹き飛ばされた。

 

 剣をはねのけたのは白銀の剣。

 

 零菜はそっと横へ顔を向けた。

 

 瀕死だったはずのピンク髪の女性が、血の跡を残しつつも、力強く立っていた。

 

 何度瞬きしたか、だが幻じゃない。

 

 マリアが駆けつけてくれたのだ。

 

 変わったのは、左目の瞳が蒼になっていた。

 

「マリア、さん……?」

 

「たった一人で、よくやったわ。あとは任せなさい」

 

 微笑んだ口から牙を覗かせた。

 

「まさか、マリアさん……ッ!?」

 

 マリアは銀次とνの戦闘に交わる。

 

「いくわよッ! わたしの新たなバースデーライブよッ!」

 

 マリアは歌を唄いながら二人に向けて剣を飛ばした。

 

 零菜は痛みを感じてきたか、その場でうずくまった。

 

 後ろから、金恵が駆けつけた。

 

「零菜ちゃん、大丈夫ッ!?」

 

「金恵、さん、ごめんなさい、わたし……」

 

「ううん、ありがとう。銀次のためにボロボロになってくれて……」

 

「でも、マリアさんだけじゃ……」

 

「大丈夫よ。あたしだけじゃないから」

 

 そう言うと、後ろから調と切歌が駆けつける。

 

 マリアの歌は、三人の歌に代わり、銀次とνを攻撃し続けた。

 

 νが弱ったところで、鎖で拘束し、調が巨大な鋸で近づく。

 

 頭部のモノアイパーツが取れたところで、調に超重力を仕掛けた。

 

 調はこけたが、νの追撃はなかった。

 

 νの身体が隅々までボロボロだったからだ。

 

 パーツもほとんどヒビが入っている。

 

 νは逃げるように飛び立っていった。

 

 それを追おうとする銀次をマリアが抱きしめて止めた。

 

 そして、唇を奪った。

 

 黒く染まった銀次が動揺していた。

 

 唇を離したマリアは銀次の首筋に目掛けて牙を立てた。

 

 銀次の血を吸っていくと、銀次の姿が黒から解き放たれる。

 

 元に戻った銀次は涙を流してマリアを抱きしめた。

 

「ごめん……俺は……俺は……」

 

 吸血を終えたマリアは彼の頭を撫でた。

 

「いいのよ。わたしが望んだ罰の形だから……」

 

 二人の下へ駆け寄る金恵と零菜、調と切歌。

 

 しかし、それと同時に大きな揺れに襲われる。

 

「どういうことデスかッ!?」

 

「まさか、シャトーが崩壊するのッ!?」

 

 周りを見れば、壁や柱がボロボロだ。

 

 いや、半分以上が崩れている。

 

 天井が落ちてきても不思議ではなかった。

 

 そして、その直感は実現する。

 

 崩落していくシャトー。

 

 床が崩れ、天井も崩れ、どちらが上かわからない。

 

 だが、おかしい。

 

 それらに潰されていなかった。

 

 それに、誰一人も。

 

 互いの無事を確認していると、秋十の声が響いた。

 

「おい、ウェルッ! ウェルッ!」

 

 全員は目を合わせて頷き、声の方へ駆けた。

 

 瓦礫だらけだったが、もう崩落することがないようだ。

 

 声の方へ駆け寄ると、ウェル博士が下敷きになっており、秋十が瓦礫をどかしていた。

 

 ウェル博士の左手には端末らしき物体を握っていた。

 

「馬鹿なッ!?」

 

「まさか、ドクター、わたしたちを助けるために……ッ!?」

 

 そう驚く銀次とマリアにウェルは一つのメモリーチップを渡した。

 

 そして、ウェルはマリアに「僕が与えてやった命で、せいぜい足掻いてこいッ!」と力強く言った。

 

 やがて、ウェルの瞼が閉じていき、瞳を銀次に向けた。

 

「もし、僕が、英雄なら、お前は、来てくれる、のかい?」

 

 銀次は、その言葉に戸惑い、ウェルの瞼が閉じた。

 

 しばらくの沈黙が流れ、銀次が呟いた。

 

「あんたが完全聖人の英雄になるなら、俺は世界の敵になるよ」

 

 それが涙を堪えて搾り出した銀次の返答だった。

 

 銀次は、自身に身に付いていた双剣を探そうとしたが、マリアに止められる。

 

「もうあなたは下がっていなさい。あとはわたしたちがどうにかするわ」

 

「……キャロルに勝つ打算はあるのか?」

 

「思い付きを数字で語れないわ」

 

「わかった。俺はここで舞台をおりる。お前たちに、人の未来を託すよ」

 

「ええ」「はい」「デス」

 

 銀次と金恵と秋十、マリアと調と切歌は別の道を歩んだ。

 

 銀次たちは合流地点まで辿り着く。

 

 しかし、気づく。

 

 金恵の姿がない。

 

 だが、秋十によってヘリに乗せられた。

 

 マリアたちは、響たちと合流し、絶唱を唄った。

 

 銀次と秋十が本部に辿り着く。

 

 その時、キャロルが威力を強めた。

 

 しかし、それを防いだ者がいた。

 

 金恵だ。

 

 金恵が双剣を握って、キャロルの攻撃を弱めた。

 

 それに気づいた銀次は、エルフナインがいた端末を操作した。

 

 銀次のパーソナルデータを消去し、新たに金恵をマスター登録した。

 

 金恵に双剣が纏ってくる。

 

 それは銀次の銀色ではなく、蒼色だった。

 

「S2CAヘキサコンバージョンッ!」

 

 響が曇天の空に向けて、力を放出すると、六人のギアが変化し、空を飛んでいた。

 

 キャロルがアルカ・ノイズを大量に放出すると、六人の装者は掃討に臨んだ。

 

 しかし、たった一人、金恵だけはキャロルに喰らいついた。

 

「貴様なんかに、オレのパパを喪った苦しみが、わかるかぁぁぁぁぁッ!」

 

「あたしにだって、父さんが死んだ日のことは、ずっと覚えてるわッ!」

 

「貴様如きの父親なんぞに――ッ!」

 

「それでも、あたしにとっては最高の父親だったッ! あたしはそんな父さんの娘で、誇らしいって思ってるッ!」

 

「なら、なにを託したッ!? お前の父は、お前にッ!?」

 

「強いて言うなら、このナイフくらいかしらねッ!」

 

 そう言いながら、緋色のナイフを突き刺した。

 

 赤い閃光は蒼い閃光へと変わり、レーザーのように飛んでいった。

 

 それがキャロルの頬を掠めていた。

 

「お前はぁぁぁぁぁッ!」

 

「はあぁぁぁぁぁッ!」

 

 キャロルと金恵がぶつかり合っていた。

 

 しかし、キャロルがほくそ笑む。

 

「かかったな」

 

 金恵の上下から牙のようなものが挟もうとして来た。

 

 それを避けた金恵だが、キャロル自体が碧の獅子の中にいて、攻撃できない。

 

 六人の装者が各々攻撃を加えるが、傷一つつかない。

 

 ならば、とアームドギアを投げつけた。

 

 立花響を除いて。

 

 立花響が集めた六人分のアームドギアを束ねていた。

 

 それに攻撃する残ったアルカ・ノイズ。

 

 金恵がそれを斬り裂いて血路を開いた。

 

「行ってッ! ハートの全部乗っけちゃってッ!」

 

「はいッ!」

 

 そして、巨大な拳のアームドギアは碧の獅子に突っ込んでいく。

 

 やがて、ぶつかり、碧の獅子は崩壊していく。

 

 そして、落下していくキャロルに手を差しだす響。

 

 金恵も飛んで、もう一方の手を差しだした。

 

 二つの手がキャロルを握ると、四つの羽が彼女たちを包み、爆発から護った。

 

 それから、数日が経った。

 

 キャロルの行方は知らなかった。

 

 それと同時に、エルフナインの症状も悪化した。

 

 もう、いつ死んでもおかしくはなかった。

 

 暁の帝国の治療なら、助けられたかと訊かれたらわからない。

 

 魔術や錬金術に精通していても、キャロルが使った錬金術は別物だった。

 

 だからこそ、助けられるとは言えなかった。

 

 ただ一つの手を残せば……。

 

 銀次はエルフナインが入院している病院のロビーに座っていた。

 

 それをマリアが見つけて声を掛けた。

 

 しかし、彼がマリアを見る目はとても悲しい目だった。

 

 マリアの左目の瞳が自分と同じになってしまったからだ。

 

 マリアがそんな銀次の頭を撫でた。

 

「言ったでしょ。わたしが望んだ罰の形だって」

 

「でも……」

 

「あなたがふざけないから、調と切歌が心配するわよ。零菜からも「泣き言が多い」ってさ」

 

「こういう時、ふざけられないだろ?」

 

 マリアが銀次の横に座る。

 

「わたしのことは気にしないで頂戴。吸血鬼ジョークなんか教えてくれると嬉しいけど」

 

「言えねぇよ。そこまで強くない」

 

「なら、アイスでも食べる?」

 

「マリア、お前大分気が楽になったんじゃないか?」

 

「しばらく、国連から監視を寄越さないって」

 

「なるほど、歌姫様はご機嫌なわけだ」

 

「だから、あなたもご機嫌になりなさい」

 

 マリアは銀次の頬を引っ張り上げた。

 

「痛いなッ! 吸血鬼でも、痛いし、無敵じゃねぇんだぞッ!」

 

「ごめんごめん……」

 

 マリアは安堵した。

 

 やっと笑ってくれた。

 

「それで、なんのアイスがいいの? コーヒー?」

 

「いいや、俺も一緒に行く。コーヒー、飲めんし、食べれんし」

 

「あら、意外」

 

「チョコレートとか、イチゴとか、あッ、あそこのイチゴチョコレートが食べてみたいな。ショコラオレンジも」

 

「なによ、随分ふてぶてしくなったじゃない」

 

 マリアは再度安心する。

 

 自然と笑うようになってくれた。

 

「いいけど、零菜と調と切歌の分はあなたが奢りなさいよ」

 

「えぇ……。ケチ」

 

「ケチでも結構、吸血鬼ですから」

 

「吸血鬼でケチなの、うちの帝王だけだぞ?」

 

「第四真祖と一緒にしないでッ!」

 

「だったら、冷血女?」

 

「この場で浴びせましょうか?」

 

「やめろ、病院でッ! もう吸血鬼ジョーク使えんじゃんッ!」

 

 それでも、互いの頭にはエルフナインのことは入っていた。

 

 おそらく自分たちの血を使えば……。

 

 だが、彼女はそれを望んでいなかった。

 

 直接訊いたわけじゃない。

 

 ただ、普通の生物としての死を望んでいた。

 

 彼女からはそう考えさせた笑顔があった。

 

 吸血鬼にはそんな死がない。

 

 最悪、世界が滅んでも、生きていけるのだろう。

 

 そして、夜になって金恵が病院の見張り番をするようになった。

 

 ふと、入り口の横を曲がってみた。

 

 なにかがいた気がした。

 

 その姿に、金恵は驚いた。

 

 キャロル。

 

 姿をくらましていた彼女がここに来ていた。

 

 どういうことか、ある説を聞いたことがあるのを思い出す。

 

 ドッペルゲンガーは出会ったら死ぬ。

 

 エルフナインの死期が近づいている。

 

 そこでキャロルが現れた。

 

 敵対心はなかった。

 

 それはキャロルもそうだった。

 

 なにより、なにも反応がなかった。

 

 戦った間柄だというのに。

 

「キャロル……?」

 

 金恵は思わず呼んだ。

 

 しかし、返ってくる答えは予想外、いや、違和感の答えに近かった。

 

「キャロル……? それはオレの名前か?」

 

 記憶がない。

 

 そうとしか考えられない。

 

「あなた、あなたのパパのこと、覚えてる?」

 

「パパ? オレにパパがいたのか」

 

 まさか、あの戦いで。

 

 パパとの想い出も戦ったことも焼却したというのか。

 

 ドッペルゲンガーの噂話はこの際信じない。

 

「キャロル、こっちに来て」

 

「どこへ行くんだ?」

 

「あなたをよく知っている人のところよ。死ぬ前に会わせたいの」

 

 金恵はキャロルを連れて病院へ入った。

 

 そして、エルフナインの病室へと連れてきた。

 

「エルフナイン。起きてる?」

 

「金恵さん……。どこで、キャロルを……?」

 

「それより、この子、記憶を失っているみたいなの。教えてあげて。あなたが一番詳しいでしょ」

 

「ええ……。そうなんですか……。わかりまし――ッ!」

 

 エルフナインが咳込んだ。

 

 口を塞いだ手には血によって紅く染まっていた。

 

 前の番をしていた翼からは聞いてなかった。

 

 もう、死期にいるということか。

 

「すみません……。ボクの口からでは、もう……」

 

「そうか、お前も、消えていくのか……」

 

 そんな、二人とも救えないなんて。

 

 金恵には悔しさがあった。

 

 すると、互いに口づけを交わし合った。

 

 エルフナインから想い出を受け継ぎ、キャロルの中に入っていく。

 

 その現場に金恵は立ち合っている。

 

 奇跡、と呼んでしまうのかもしれない。

 

 だが、彼女たちの巡りあわせは必然なのだと。

 

 やがて、エルフナインの心拍センサーからピーという音が鳴りはじめた。

 

 金恵は一つになった彼女を抱きしめた。

 

 やがて、来る仲間たちも喜んで彼女を受け入れるのだろう。

 

 しかし、金恵たちは知らなかった。

 

 新たな脅威が、背後から忍び寄ってくることを……。




この時点で14457文字。

結論:まとめられなかった。すみませんでした。

 なので、続編として金恵が主役の風鳴事変と銀次が主役の異世界事変を20000字以内で書こうと思います。

 これが前後編というわけでなく、同時進行の物語です。

 まとめて書くと、混乱する可能性が高いと思います。

 現に、金恵を登場させてから混乱しましたからね。

 だから、分けて書く可能性があると思います。

 元々、短編でまとめるつもりでしたので、長くはならないと思います。

 異世界事変は、テイルズオブベルセリアがベースですからね
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