無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件- 作:かまぼこポテト
今回はそれほど話が進みませんが、楽しんで頂ければ幸いです。
アノス達一行は魔道を進んでいた。
「ところで、私たち以外のみんながこの世界に来てると思う?」
サーシャが前を歩くアノスに尋ねる。
「この世界に飛ばされた時、近くにはレイとミサ、それとシンとエールドメードがいた。ファンユニオンも近くと言えば近くだったが、可能性は低いだろう」
「心配?」
ミーシャがアノスの顔を覗き込む。アノスは口元を歪めて。
「問題あるまい。そう簡単に負ける連中ではない」
と、笑顔で言った。
そこに1人の影が現れる。ソウエイである。
ソウエイは先行して敵勢力の調査をしていた。
「どうじゃった、ソウエイ?」
ハクロウが顎髭をさすりながら尋ねる。
「特に町や人影は無く。魔物ばかりです」
「リムル様達の気配は?」
「ありませんでした」
「こっちではないのかも知れんな…」
「ルートを変えた方がいいんじゃないっスか?」
ゴブタが南の方角を指さす。ちなみにソウエイが偵察してきた方角は東である。
「では南下しつつ情報収集をするとしよう」
アノス達は進路を南に変更した。
「ちょっとアノス、よかったの?」
歩きながらサーシャが小声で尋ねてくる。
「何がだ?」
「さっき倒したデヒブとかいう奴が言ってた『魔王』を探さないでよかったの?」
「遅かれ早かれ、相まみえるだろう。今は合流するのが先だな」
「この世界の魔王と別の世界の魔王。アノス以外に魔王がいる」
「どの世界にも魔王と勇者はいるのかしら?」
「案外、俺たちがこの世界にとっての勇者かもしれぬぞ?」
「勇者なんて柄じゃないわ」
アノス達は笑いながら南を目指した。
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シンとエールドメードはフレスでを飛行していた。
前方に小さい街が見える。
「ここかからでは小さく見えますが。国のようですね」
「カカカッ! 城壁に囲まれた砦のような国だな」
フレスで近づくと、どんどん城壁が大きくなる。近づいているから当然なのだが。
シン達はようやく城壁で囲まれた国―――中央連合国に到着した。
そのまま城壁の上に着地する。
「我が君はどこに…」
「いなかったとしても情報は得られるかもしれぬ。とりあえず中へ―――」
「お~い! そんなとこで何やってる!」
シンとエールドメードは声がした方を向く。声は城壁の真下から聞こえた。
下には1人の男が立っている。
「飛んできたの見たぞ~! 検問で入国手続きして入ってくれ~!」
下で検問官が叫んでいる。
シンとエールドメードは地上に降りると検問官に向き直る。
「これに書いてください」
検問官が1枚の書類を手渡す。入国手続書である。
「わかりました」
シンは受け取ると、自身とエールドメードの名前を記入した。
「では、これで―――」
「お父さん!?」
書類を渡そうとした時、声がした。シンはバッと音がする勢いで声の方角を向いた。
そこにはシンの愛娘、ミサが立っていた。
もちろん、レイやリムル達も一緒である。
「ミサ!」
シンは駆けだした。ミサにぶつかる勢いで彼女を抱きしめた。
「ケガはありませんか?」
「大丈夫です、レイさんが守ってくれましたから」
「そうですか。…レイ・グランズドリィ」
ミサの隣のレイを見る。
「なにかな?」
「今回は礼を言っておきます」
「珍しいこともあるもんだね」
レイが微笑んだ。
そこでルーデウスが割り込む
「あの~、ミサさんの知り合いですか?」
「お父さんです」
「あちらの方は?」
「担任の先生です」
「はぁ…、なるほど」
「あなたは?」
シンが鋭い眼光でルーデウスを睨む。
「ルーデウス・グレイラットと言います。あなた方と同じ境遇にいる者です」
「同じ境遇? 見たところ魔族には見えませんが。あなたはディルへイドの者ですか、それとも地底の者ですか?」
「お父さん、ルーデウスさんは私たちとは別の世界から来たんです」
「別の世界、ですか…。俄かには信じられませんが」
シンは娘であるミサの言うことを信じることにした。
「わかりました、ミサ。それで、これからどうするのですか?」
「この国から北に行くと『魔道』という渓谷がある。そこからさらに北にある『魔族の国』を目指そうと思う」
ルーデウスより後ろにいたリムルが前に出ながら言う。
「…あなたは?」
「俺はリムル=テンペスト。ルーデウス達とも違う世界から来た者だ。元の世界では魔王をやっている。よろしく」
「魔王ですか…」
シンの眼光が鋭くなる。
「そちらの魔王の事はレイから少し聞いてるよ。争う気は無い、出来れば仲良くしたいと思ってる」
そう言うとリムルは手を差し出す。
「…異論はありません。こちらこそよろしくお願いします」
シンはその手を強く握った。
お読みいただきありがとうございました。
次回投稿は少し感覚が空くと思います。
今後も読んで頂ければ嬉しいです。