無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件- 作:かまぼこポテト
引っ越しも一段落着きましたので、これから執筆を再開していきます。
今後もよろしくお願いいたします。
リムル達一行は北に進んでいた。
道は舗装されている訳ではなく、岩肌が覗いている。
ルーデウスは世界地図を見ていた。
「ルディ。歩きながら見ているとコケますよ」
隣を歩くロキシーが顔を覗いてくる。
「っと、そうですね」
「何か気になることでもありましたか?」
「はい、ウロナ大陸の南にある大陸なんですが…」
ルーデウスは地図をロキシーに見せる。
「ガジーエー大陸とヨクゼン大陸。これがどうしました?」
「ガジーエー大陸は巨大な火山があると書かれています。まさに魔大陸かもしれません」
「もう一つは変な形してるわね!」
「〝翼〟みたいな形をしてるね」
いつの間にかエリスとシルフィも地図を覗き込んでいた。
「他の大陸に来た人がいるのか気になるな」
ルーデウスは地図をしまいながら家族の事を考えていた。
娘や妹、母達が来ていない事だけを願っていた。シルフィは「大丈夫」と言っていたがやはり心配なのだ。
この大陸に来ていないだけで、別の大陸には来ているかもしれない。
現在、ルーデウスの家族の中で自衛が出来るほどの戦闘力を持つ者全員がこの場にいる。
つまり、もし娘達が別の大陸に来ているなら守る者がいないのだ。
「ルディ、大丈夫? 怖い顔してるよ?」
シルフィが隣から顔を覗き込んでくる。
自分でも気づかない内に険しい顔をしていたようだ。
「大丈夫だよ、シルフィ」
「みんなの事が心配ですか、ルディ?」
ロキシーが前方を見据えたまま尋ねる。
「はい」
「あの時、家にはルーシーやアイシャ達もいたけど光ったのは私とシルフィだけだったわ。大丈夫よルーデウス!」
「ああ、そうだねエリス。一刻も早く元の世界に帰る方法を見つけて、家に帰ろう」
「そうだね」
「みんな待ってますよ」
「当然よ!」
三者三様の返事が帰ってきた。
「ルーデウスの家族は仲いいな~」
ランガに乗ったリムルがルーデウス達のやり取りを眺めていた。
「そうですね~、仲良しはいいことだと思います。ね、お兄様?」
「そうだな。それはそうと。あのエリスという女、並みの剣士ではないな。気配が違う」
「強そうだよな~。ハクロウとどっちが強いかな?」
「無論ハクロウが勝つでしょうが、苦戦はするでしょう」
「あのシンって人とレイも中々強そうだよな」
「ええ、シン相手ではハクロウでも勝つのは難しいでしょう」
「ちなみにお前なら勝てるか?」
「距離を取って『黒炎獄―ヘルフレア―』で波状攻撃をすれば何とかなるでしょうね」
「近づかれたら?」
「考えたくありませんね」
肩を竦めるベニマル。テンペストの軍事部門に於ける最高指揮官であるベニマルは、戦闘力もさることながら冷静に状況を判断する能力がある。そのベニマルが弱気な回答をするということはシンの実力は相当だとリムルは判断した。
「ま、今は味方だからな。仲良くしろよ?」
「もちろんそのつもりです」
リムル達が談笑しながら歩いていると突然黒い影が差し、人が現れる。
リムルは影から現れた人物に見覚えがあった。
「リムル様」
「ソウエイ!?」
蒼髪に白い一本角。テンペスト幹部の1人、ソウエイである。
「お前、いままで何処にいたんだ?」
「詳しい話は後ほど。この先にコンラという村がありますので、まずはそちらへ。シオンやハクロウ達もそこにいます」
「わかった。…ということだが、いいか?」
リムルはルーデウス達に確認をとる。
「構いませんよ」
ルーデウス達が同意し、一行はソウエイの案内でコンラの村へ向かった。
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コンラの村に着いたリムル一行。
寂れた村である。
「なぁ、ソウエイ」
ベニマルが先頭のソウエイに尋ねる。
「なんだ?」
「この村は、どんな村なんだ? 村人が居ない上に、ほとんどの建物が朽ちているが」
「村人が居ない訳ではない。数人だが見つけた。シオン達が話を聞いている頃だろう」
「話とは?」
「この世界には不定期的に、異世界からの来訪者が現れるそうだ」
「異世界からの来訪者、つまり俺達のことか?」
「そういうことになるな」
「その原因は分かっているのか?」
「その情報をシオン達が集めている。……ここだ」
ソウエイが大きな建物の前で立ち止まる。大きな建物と言っても、壁や天井は所々朽ちていて雨漏りしそうだ。
「では、その魔王が知っていると?」
「そ、そうですじゃ!」
建物の中から声が聞こえた。
男の声と老婆と思しき声。男の声を聞いた途端、シンが勢いよく建物内に踏み込んだ。
「我が君!」
踏み込んだシンの視界に入ったのは、椅子に座り老婆の話を聞いている主―――アノスだった。
「遅かったな、お前たち」
シンと、後ろにいるレイやミサを視界に捉えるとアノスは口元を歪める。
「我が君、よくぞご無事で」
シンはアノスの眼前で跪いた。
「異世界に飛ばされたところで、怖気づく俺ではないぞ」
「承知しております」
「やあ、アノス」
シンの後ろからレイとミサ、エールドメードが近づいてくる。
「お前たちも変わりないようだな」
「おかげさまでね」
「エールドメード、お前も来ていたとはな」
「カカカッ、異世界! なんとも奇想天外、未踏の境地ではないか! まったく興味が尽きぬわ!」
「ともあれ、全員無事で何よりだな」
アノス達は再開を喜び合った。
「リムル様!」
シオン達がリムルの前に並び跪く。
「みんな元気だったか?」
「はいっス。リムル様もご無事で何よりっス!」
ゴブタは少し泣いている。
「シオン達はあっちの魔王と行動していたのか?」
「はい。同じ境遇の者同士、利害は一致していましたので」
「仲は悪くなさそうだな」
「はい。あちらも私たちと争う気は無いそうです」
「それでシオン、村長から話は聞けたのか?」
リムルの後ろに控えていたソウエイが尋ねる。
「それは―――」
「話は俺が聞いている」
アノスがシン達と一緒に近づいてくる。
「はじめまして、俺はリムル=テンペスト。元の世界では魔王をやってる、よろしく」
「アノス・ヴォルディゴードだ。俺も魔王だ、お互い仲良くしよう」
2人は握手を交わす。
「それで、話って?」
「この村の村長から話を聞いたが、どうやら俺たちは意図的にこの世界に来たようだ」
「意図的?」
「この世界にも魔王がいるそうでな。どうやらその魔王が俺たちを呼んだようだ」
「なんでそんなことするんだ?」
「分からぬ。ただ、その魔王が元の世界への帰還方法を知っているようだ」
「向こうから来る様子も無さそうだし、俺達から出向くしかないか~」
「そうする他あるまい」
「で、その魔王は何処にいるんだ?」
「ここより北にある『魔族の国』にいるようだな」
そう聞いてリムルは地図を広げた。
「魔族の国に行くためには『魔道』を超える必要がありそうですね」
ルーデウスが地図を覗きながら言う。
リムルも地図を見ていたら隣にいるソウエイが報告する。
「以前、魔道にて魔王の配下を名乗るデヒブという者の襲撃を受けました」
「強かったか?」
「いえ。魔王アノスが倒したので我々は戦っていません」
「敵は配下だけか?」
「いえ、多数の魔物の群れも確認できました」
「そうか。敵の配下は魔物中心かもしれないな」
「しかし、アノスさんが戦った配下より強い敵が出てくる可能性は捨てきれません」
地図を睨んでいたルーデウスが顔をあげて全員に対して言う。
「アノスさん。配下を倒したあと、音沙汰無かったんですよね?」
「ああ」
「…さすがに配下の魔族が1人だけではないでしょうから。報復も視野に入れておいた方がいいと思います」
「問題あるまい、そこまで強くなかったぞ。興味深い『技』を使っていたがな」
「興味深い技、ですか?」
「『闘技』というらしい。魔力を使わず、覚悟で発現するそうだ」
「覚悟…。魔力を使わないのなら、防ぐ方法はありませんね」
「デヒブが使ったのは『金剛』という体を金色にして防御力と速度をあげる程度の技だ。そこまでの脅威ではあるまい」
そこにリムルが割り込んでくる。
「他の闘技が何なのか分かるまでは無闇に戦わず、複数人で相手した方がいいだろうな」
「そうですね」
「では明日、魔道へ向かうとするか」
アノスの言葉に全員が頷いた。
お読みいただきありがとうございました。
第二部に出して欲しい作品等ありましたら、感想などでお知らせください。
出来る限り登場させていこうと思います。
それでは、次回も楽しんで頂ければ幸いです。