無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件-   作:かまぼこポテト

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閲覧いただきありがとうございます。

物語も佳境に差し掛かろうとしています。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


魔族の国へ

玉座の間を後にしたロッソ達。

 

魔王城の廊下を進み、一つの部屋に辿り着いた。

 

『研究室』と書かれた札が貼り付けられたドアの前に立つと、ロッソは深呼吸をしてノックした。

「なんだね、誰かね?」

ドアの向こうから返事が来た。

「…ロッソだ」

「おお、ロッソ! 入っておくれ」

返事を受けて入室する。

室内には資料が散乱しており、足の踏み場も無いほどだ。その奥の机に目をやると、積まれた書類の影から手が出てきてひらひらと手招きしている。

「邪魔するぞ、スワリィーデ」

「ああ、構わないよ」

「失礼します、スワリィーデ様」

「お邪魔します」

シュワルコフとガガロルドも入室する。書類の影からひょこっと女性―――スワリィーデが顔を覗かせる。

「おお、シュワルコフにガガロルドも一緒か。どうしたんだい?」

笑顔を浮かべるスワリィーデの正面にロッソが立ち、口を開いた。

「スワリィーデ。力を貸してほしい」

「おやおやロッソ、珍しいね。君が誰かに助力を求めるとは」

「それほどの事態になったということだ」

「…話を聞こうか」

スワリィーデの顔から笑顔が消えた。

 

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魔道を進むリムル一行。

あれ以降、魔族の襲撃は無い。

魔物は相変わらず襲い掛かってくるが、一行の前では無力であった。

「―――ということから、この世界を治める魔王が俺たちを呼んだと考えています」

ルーデウスは現況をオルステッドに説明していた。

「目的は分かっていない、ということか…。それに無限の魔力というのも気になる」

「この世界では魔法を使っても疲労感が全くありませんでした。この本にもある通り、伝承は正しいのかも知れません」

「ならルーデウス、次に戦闘ではコレを使ってみろ」

そう言ってオルステッドは一本のスクロールを手渡した。

それを見ただけでルーデウスは意図を理解して頷いた。

「わかりました。試してみます」

「それにしてもオルステッドさんは強いな。さっきの魔族との戦闘でも余裕そうだったし。」

前を歩いていたリムルが歩調を合わせて隣に並ぶ。

「そっちの世界でもかなりの実力者だったのか?」

「オルステッド様は俺たちの世界では最強の存在の1人です」

「その言い方だと、他にも最強がいるのか?」

前を歩くアノスが振り向いて尋ねる。

「俺たちの世界では『七大列強』と呼ばれています。オルステッド様はその第2位です」

「第1位はもっと強いのか?」

「いえ、本気で戦えばオルステッド様の方が強いです」

「七大列強とは何の為に存在しているのだ?」

「俺とオルステッド様は〝ある存在〟を倒すために行動しています」

「前に言ってた〝悪い神〟のことか?」

リムルが尋ねるとルーデウスは答えた。

「そうです」

「もしルーデウスの世界に行くことがあったら俺たちが手伝ってやるよ」

「ありがとうございます。…見えてきましたね」

一行は魔道の端の絶壁に辿り着いた。

目の前には石造りの建物や街道からなる国が見える。

「ようやくだな。では、この世界の魔王に挨拶に行くとするか」

アノスが口端をつり上げて言う。アノスの視線は国の中心にある巨大な城に向けられていた。

「さっさと終わらせて、帰るぞ」

リムルが後ろのベニマル達を振り返る。

三者三様の返事を受けてリムルは街を見る。

ふと目に映る1人の魔族。

「あれって、ディアブロか!?」

街を行き交う魔族に紛れ、路地裏に入っていくディアブロの元に飛んでいくリムル。

一行もそれに続く。

ディアブロはリムルに気付くと表情を輝かせた。

「これはリムル様、ご無事で何よりです」

「いままで何処にいたんだ?」

「最初は魔道におりました。その後、この魔族の国に入り情報収集をしておりました」

「ここは敵の本拠地だろう、よく気付かれなかったな?」

「私のユニークスキル『誘惑者―オトスモノ―』で〝協力者〟を作り、潜伏しておりました」

「なるほどな。何か分かったか?」

「ここでは目立ちますので、私の潜伏先へご案内します」

ディアブロを先頭に一行は移動した。

路地をいくつか曲がると古い酒場があった。ディアブロは酒場の裏にある階段から2階に上がる。一行もそれに続いた。

「ここです」

2階は全員入っても余裕のある広さだ。部屋の中央の机には地図と資料が置いてある。

「じゃあディアブロ、話してくれ」

「その前にリムル様、一つよろしいですか?」

「なんだ?」

「こちらの方々は?」

「ああ、俺たちとは別の世界から来た人達だ。敵じゃないから、仲良くしろよ」

「かしこまりました。…では、報告させていただきます」

「ああ」

「ここ魔族の国を治めているのは『魔王ローズバルト』という者です。その者の目的は我々の世界の侵略です」

「侵略か…穏やかじゃないな。敵は俺たちの世界に来ることが出来るということか」

「はい。あと、魔王ローズバルトが我々をこの世界に呼んだようです」

「確かなのか?」

「はい、敵兵が話していました。我々をこの世界で殺してから、侵攻を始めるようです」

「よくそこまで分かったな」

「クフフ。リムル様、この下は酒場になっておりますので。敵兵から情報を集めやすいのです」

「それで酒場の2階なのか!」

「その通りでございます。酒場の店主も〝協力者〟なのです」

「目的は決まったな」

これまで静かに聞いていたオルステッドが声を上げる。

「そのローズバルトとやらが敵だと分かったなら、俺たちのやることは決まっている」

それにアノスも続く。

「ああ。敵魔王を倒そう」

リムルは力強く頷いた。

 

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魔王城―――中央訓練場

 

魔王城の中庭にあるその場所にロッソはスワリィーデと共に来ていた。

目的は兵士の指導をしている男に会うためだ。

 

「オウェルポス、ちょっといいか?」

兵士の訓練に鋭い目を向ける巨漢―――オウェルポスにロッソが声を掛ける。

オウェルポスはゆっくり振り向き腕を組んだまま口を開いた。

「どうしたロッソ。幼女の話なら今度にしてくれ」

「いや、幼女の話ではない」

「では聞こう。スワリィーデまで一緒にいるということは良い話ではなさそうだな」

「理解が早くて助かる。話は適応者についてだ」

「お前が仕留め損なった話は聞いている。で、それがどうしたのだ?」

「ローズバルト様に最後のチャンスを頂いた。これから軍団を連れて殲滅に向かう」

「お前がか?」

「ああ、出来れば力を借りたい」

「オレのか?」

「そうだ。適応者は強い、こちらも相応の戦力をぶつける必要があると考えた」

「…1つ条件がある」

「なんだ?」

「オレの部下を連れて行かない、ということでいいなら手を貸そう」

「オウェルポス。あんたが加勢してくれれば問題ないよ」

ロッソの横のスワリィーデがニヤニヤしながら言う。

オウェルポスは腕組みを解き手を差し出す。握手である。

「では、オレも手を貸そう」

「助かる」

ロッソとオウェルポスが固く握手を交わす。

魔王四天王の内の3人、ロッソとスワリィーデとオウェルポスは出撃の準備に入るのだった。

 

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ディアブロの報告を受けてリムル達は作戦会議をしていた。

 

テーブルの上には世界地図と魔族の国の地図が広げられている。

 

ベニマルが魔族の国の地図を差しながら話しはじめる。

「まず、我々の拠点はココ。次に敵魔王城はココで周囲の城壁には敵軍の防衛部隊がいます」

魔王城を円形に囲むように城壁が築かれている。無論、敵防衛部隊が駐留していることはディアブロの報告で分かっている。

「それと城壁内には『四天王』と呼ばれる存在を筆頭とした幹部が待ち構えています」

そう言うとベニマルはディアブロを見る。

「ディアブロ。敵幹部の人数までは分かっていないんだな?」

「ええ、6人までは分かっていますが。それ以上いる可能性は捨てきれません」

「敵幹部には十分注意して行動しましょう。複数人を相手にしないように分断して戦うべきです」

「しかしルーデウス、兵力差は歴然だ。相手の本拠地で分断戦法は厳しいだろうな」

「でしたらベニマルさん。こちらはなるべく複数人ずつで行動して、一対一の状況をなるべく作らないようにした方がいいと思います」

「では、編成は―――」

 

作戦会議は夜まで続いた。

 

結局、複数のチームで城壁を囲う形で同時襲撃する作戦となった。

 

編成は、

リムル、ランガ、シオン、ディアブロの正門チーム。

アノス、ミーシャ、サーシャの東門チーム。

ベニマル、ソウエイ、ハクロウの西門チーム。

ルーデウス、オルステッド、エリスの裏門チーム。

シン、エールドメード、レイ、ミサ、ゴブタ、ゲルド、シュナ、シルフィ、ロキシーの城壁外からの敵軍を迎撃するチーム。

以上5つのチームにて、早朝に作戦を開始することとなった。

 

「リムル様、すこしよろしいですか?」

ソウエイがリムルに声を掛ける。ソウエイは作戦会議中、リムルの命を受けて情報収集をしていた。

「なんだ?」

「先日撃退して敵が出撃準備をしているという情報を得ました」

「あのロリコン一味か?」

「はい」

「出撃準備って、目的はもしかして…」

「我々です。城壁付近の敵兵が話していました」

「敵はいつ動く?」

「今日中に準備は完了すると言っていたので、明日には動いてくるかと」

「出撃するのは正門からだよな?」

「恐らく」

「正面からぶつかることになりそうだな」

「はい。あと一つ、別の敵兵が気になる事を話していました」

「なんだ、気になる事って?」

「なんでも『未踏大陸の侵略が完了した』と」

「未踏大陸?」

「はい。この世界の地図にも表記されていた南に位置する大陸です」

「南か…」

呟きながらリムルは世界地図を見る。

現在リムル達がいるのは『ウロナ大陸』。その南東には『ヨクゼン大陸』と呼ばれる大陸があり。ウロナ大陸の南には火山地帯が大陸一帯を占める『ガジーエー大陸』がある。

そのガジーエー大陸からさらに南に位置するのが『未踏大陸』である。

「他の大陸に行く方法は船だけか?」

「はい。敵には『魔王水軍』という艦隊があるそうです」

「敵が話したのか?」

「喋らせました」

ソウエイの返答を聞き、リムルは苦笑する。

そこにアノスが近づいてくる。

「俺達の仲間が他の大陸にいる可能性も出てきたな」

「そうだな。なぁアノス、敵魔王を倒したら他の大陸に行かないか?」

「構わんぞ」

「じゃあ決まりだ。まずは敵魔王を倒して、帰る方法を教えてもらおう」

「そうだな」

2人の魔王は決意を新たにするのだった。




お読みいただきありがとうございました。

次回の投稿ですが、5月初めになりそうです。

今後もよろしくお願いいたします。
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