無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件- 作:かまぼこポテト
今話から各キャラクターに焦点を当てた戦闘が続きます。
お楽しみいただければ幸いです。
魔王城―――正門
ここは最も敵兵が配置されており。リムル、ディアブロ、シオン、ランガが襲撃している。
しかし、並みの者では彼らの進軍を止めることは出来ず、敵防衛線は突破されようとしていた。
正門に向かったオウェルポスとは別に、正門に増援が到着した。
ロッソ、スワリィーデ、オウェルポス以外の4人目の魔王軍四天王―――ルキナン。
精神操作に長けた黒髪の魔法使いである。
直接的な攻撃魔法や闘技は使えないが、精神操作で敵を操り戦う。
そのルキナンと直属の配下がリムル達の前に立ち塞がる。
「優勢もここで終わりよ!」
ルキナンは手にした杖をリムルに向けて詠唱する。
「『ダーク・ワールド』!」
ルキナンの魔法が発動し周囲を黒い霧が包もうとする。
「リムル様。この場は私が」
ディアブロがルキナンに相対する。
「わかった。任せるぞ、ディアブロ!」
「お任せを」
リムル、シオン、ランガは霧が周囲を包み切るまえにこの場を後にする。
ルキナンはリムル達を追おうとする部下を止める。内部にはオウェルポス達がいると分かっているからだ。
霧の中にはディアブロ。
それに相対するルキナンと部下50人。
数では不利だが、ディアブロは笑みを崩さない。自身が敗北するなど微塵も考えていないからだ。
「私は魔王軍四天王の1人、ルキナン。この霧に捕らわれた時点で貴様に勝ち目は無いわ。投降しなさい!」
ルキナンが高らかに名乗りと勧告をするが、ディアブロは余裕の笑みで笑い返す。
「クフフフッ、私に勝ち目が無い。何を言っているのか分かりませんが?」
「強がりを…。かかれ!」
ルキナンの合図で周囲の部下が一斉にディアブロに襲い掛かった。
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正門から突入したリムル達は城内で敵と相対していた。
銀色のフルプレートメイルで武装した一団、その先頭に立つ巨漢は他の者よりも豪華な装飾を施されたフルプレートメイルで武装していた。
強い、リムルは先頭に立つ男をみてそう感じた。
「我が名は四天王が1人、オウェルポス。適応者よ、貴様達の名を聞こう!」
先頭の巨漢、オウェルポスはリムル達に剣先を向けて問う。
「魔王リムル=テンペストだ。そちらの魔王さんに用がある、ここを通してもらうぞ」
「ローズバルト様を差しおいて魔王を名乗るとは、とんだ不届きものだ。万死に値する!」
「別の世界で魔王を名乗っても構わないと思うんだがな」
「斬ってしまいましょう」
「待てシオン、相手の出方を見る」
「この場で貴様たちを殺し、貴様たちの世界を我等のものとする!」
オウェルポスの言葉を聞いてリムル達の表情が変わった。
「行かせるわけないだろ?」
「ならば、私を倒すことだ!」
そう言うとオウェルポスは剣を構えてリムルに斬りかかった。
リムルは上空の飛んで躱すがオウェルポスは追撃してくる。
リムルは飛行して粘糸をオウェルポスの剣に絡めると強く引っ張った。そのまま旋回してオウェルポスを振り回すと粘糸を解き、オウェルポスを地面に叩きつけた。
大きく砂煙が舞ったが次の瞬間、オウェルポスが剣を一振りして砂煙を払う。
「認識を改めよう、他の世界の魔王よ。貴様は強い。故に、貴様はオレが確実に殺すことにする」
オウェルポスは背後の部下たちに合図をする。
総勢70名。の戦士団がリムル達に向かってくる。
「こいつらは任せていいか?」
リムルは背後のシオンとランガを振り返る。
「お任せください、我が主」
「リムル様の邪魔はさせません」
2人の声を受けリムルは少し微笑むと、オウェルポスへと向き直る。その表情は本気だ。
リムルは背中に翼を生やすと上昇してオウェルポス目掛けて急降下した。
「来るがいい、魔王リムル=テンペスト。返り討ちにしてくれる!」
「行くぞ、勝負だ!」
リムルは高速の弾丸となりオウェルポスに仕掛ける、しかしオウェルポスはその攻撃を躱す。オウェルポスは剣を構えてリムルへと振り下ろすが逆にリムルがそれを体を捻って躱す。躱しながら刀を振り抜き斬りかかる。
(通った!)
剣戟は確実にオウェルポスの左首筋を捉える、攻撃が通るとリムルが確信する。
しかし刀はオウェルポスの左腕に防がれる。鈍い金の輝きを放つオウェルポスの左腕、正確には左腕に装着されたアーマーの輝きである。
オウェルポスの左腕のみが金色に輝いている。
「フッ!」
リムルはその場から飛び退き、オウェルポスから距離を置く。
「それは闘技ってやつか?」
「そうだ。これは『金剛・真』、自身の体だけではなく、身に着けているモノにまで発言する闘技の上位技だ」
(それで斬れなかったのか。鎧に効果を付与出来るなら、おそらく剣にも出来るだろうな)
リムルは刀の剣先をオウェルポスに向けて構える。
オウェルポスも剣を上段に構える。
(闘技は魔法じゃないとアノスは言っていた、捕食は無理だな。どうする)
リムルが打開策を思案しているとリムルの究極能力『智慧之王―ラファエル―』が話しかけてきた。
《解析が完了しました。金剛・真の付与範囲は一部のみに限定されます》
(一部だけか、なら!)
リムルは刀を構えて斬りかかる。横薙ぎに一閃、無論オウェルポスは剣で防ぐ。
(間髪入れずに、次!)
リムルは一撃目が防がれたタイミングで剣の軌道を変える。二撃目は逆袈裟斬り、三撃目は首を狙った一文字斬り。
しかしオウェルポスは二撃目も三撃目も剣で防ぐ。
(やはりか、智慧之王の言った通りだな)
リムルは距離を置く。先ほどのように腕で防がない様子にリムルは次の攻撃方法を決定する。
(次で、決める)
「今度はこちらから行くぞ!」
オウェルポスが剣を腰だめに構えて斬りかかってくる。
リムル目掛けて横薙ぎに放たれた剣撃をリムルは刀で受け止める。やはり剣に金剛・真の効果が付与されている。
(これで!)
刀でオウェルポスの攻撃を受け流すと、右手でオウェルポスの腹部を触れる。
次の瞬間、リムルの究極能力『暴食之王―ベルゼビュート―』の権能の1つ『魂喰』が金剛・真で守られていないオウェルポスの魂を食らい尽くした。
「…見事だ。魔王リムル=テンペスト」
消滅していくオウェルポスの言葉だけが、その場に残った。
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裏門から侵入したルーデウス達も会敵していた。
敵は3人、四天王のロッソとスワリィーデ、それとロッソの部下のシュワルコフ。
「この先に通すわけにはいかないねぇ」
スワリィーデがナイフの剣先をルーデウス達に向けて言う。ロッソとシュワルコフも各々の武器を構えている。
「オルステッド様、戦闘は避けられそうにありませんね」
ルーデウスがアクアハーティアを握りなおす。エリスとオルステッドも戦闘態勢だ。
「俺はあのメガネの相手をします。オルステッド様はあのナイフを持った女戦士をお願いします」
「いいだろう」
オルステッドが頷く。エリスが剣を抜刀姿勢で構えたままルーデウスに振り向く。
「ルーデウス、私は?」
「エリスは二刀流をお願い」
「わかったわ!」
そう言うとエリスはシュワルコフへと走り出す、間合いに入ると抜刀して斬りかかった。
シュワルコフは横へ回避すると距離を取るため飛び退く。
「ルーデウス、そちらは任せるぞ」
「はい。余計なお世話でしょうが、オルステッド様もお気をつけて」
ルーデウスの言葉を聞き終えてオルステッドがスワリィーデに襲い掛かった。
顔を向けたルーデウスが見たのは口元に少し笑みを浮かべた眼光鋭いオルステッドだった。
ロッソがルーデウスへとボア・ゴロアを放つ。
しかしルーデウスの作り出した土壁でボア・ゴロアは阻まれる。ルーデウスは土壁を解くとストーンキャノンを連射する。ストーンキャノンはルーデウスが最も得意とする魔法の1つであり、自身より格上の相手にダメージを与えることが出来る数少ない魔法である。
無数に放たれたストーンキャノンがロッソに迫るが、ロッソは杖を地面に向けてからそれを天にかざす。
「『ガイオ・ゴロア』!」
ロッソの足元から火柱が上がり、ストーンキャノンは焼失した。
「まだまだ!」
ロッソはボア・ゴロアを放つ。ルーデウスは土壁で防ぐが、連射されたボア・ゴロアを防ぐので精一杯だ。
(あれは炎、身体強化の闘技ではなさそうだ)
ボア・ゴロアの間隙を縫いストーンキャノンを放ち応戦する。
(以前のようにいけるはず)
ルーデウスはザリフの篭手を横に突き出す。
「腕よ、吸い尽くせ!」
次の瞬間、ボア・ゴロアが止んだ。
「またか!」
ロッソはボア・ゴロアが消滅するのを確認すると後方に飛び退き距離を離す。
杖を構えて天を仰ぐと、ロッソは声高く詠唱する。
「『サモン・ディザスター・ガイテ・デラ・ゴロア』!」
杖の先端を足元に向けると、ロッソの足元に魔法陣が展開される。ロッソを中心に展開された魔法陣から円柱状の光が天へと昇る。
ルーデウスはロッソ目掛けてストーンキャノンを放つが。光に阻まれ粉々になる。
光が収束しロッソが姿を現す。
しかしロッソの姿は先ほどまでと変わっていた。
あえて言うなら『異形』『魔物』といった所だろう。
人間のように肌色の皮膚ではなく赤黒い鱗のような体表。前世のゲームなどで見る悪魔を彷彿とさせる翼、それに尻尾。
見開かれて充血した眼球と2本の角。それと身に纏う炎を見たことで、ルーデウスはロッソが〝別のナニか〟になったのだと理解した。
「ガアァァァァァァァ!」
雄叫びを上げてロッソが突進してくる。
ルーデウスは土壁を展開するがロッソは拳で土壁を破壊し、そのままの勢いで襲い掛かってきた。
(まずい、速い!)
咄嗟に距離を取るため、風魔法『エアバースト』で自身の体を飛び退かせる。
が、ローブと左裾が巻き込まれて千切られる。
(生身では敗ける。なら!)
スクロールを発動して魔導鎧一式を呼び出し装着する。
そのまま右手のガトリング砲でストーンキャノンを連射する。
ロッソが纏う炎によって焼失するが、構わず打ち続ける。その場にロッソを釘付けにすることが目的なのだ。
そのままロッソとの距離を縮めながら左手の盾を構えて突進する。
盾を前方に構えたままロッソ目掛けて体当たりする。ロッソは吹き飛ばされるが、受け身を取り態勢を整えた。
ロッソは拳を振りかぶり、地面を蹴って跳躍すると、ルーデウスの頭上からパンチを繰り出す。
ルーデウスは盾を構えて防ぐが盾は軋み、僅かに変形した。
(攻撃が重い!)
ルーデウスは盾とガトリング砲を振り回すことでロッソを振り払う。ロッソは飛び退いて距離を離す。
「ゴアァァァァァァァァ!」
再びロッソが襲い掛かる。
ルーデウスは盾を前面に構える。ロッソの拳が盾に触れる瞬間腰を落とす、盾を地面から斜めに構えた態勢になる。ロッソの拳は構えた盾を翳めてそのまま通り過ぎようとする。
しかしルーデウスは盾を上に突き出す、思いっきり。ロッソの体は上方へと浮かび上がり、完全に態勢を崩したロッソはそのまま打ち上げられる。
その隙をルーデウスは見逃さない。
ルーデウスはガトリング砲を連射しながらロッソ目掛けて跳躍する。撃ち出されたスートンキャノンはロッソの翼を障子紙のように破る。
連射を止めてロッソに追いついたルーデウスはガトリング砲をロッソの体に抉り込ませるとストーンキャノンを再び撃ち出した。
「ゼロ距離ならどうだ!」
ガトリング砲からストーンキャノンが放たれる。しかしロッソの体表の鱗は想像以上に硬く、撃ち出されたストーンキャノンは次々に砕けていく。
「ガアァァァァァ!!」
ロッソは魔道鎧を拘束して炎で包み込む。
魔道鎧は瞬く間に炎に包まれ、煙を上げていく。
(熱い。このままでは焼け死ぬ)
ルーデウスは吸魔石で炎を吸収して無効化する。しかしロッソは炎を絶え間なく放ち続ける。
消耗戦である。
「これで、どうだぁ!」
ルーデウスはストーンキャノンの連射速度を上げる。
この世界ではルーデウスの魔力は無限。
目一杯のストーンキャノンを食らわせるつもりで放ち続けた。
そして、先に攻撃を通したのはルーデウスだった。ストーンキャノンがロッソの鱗を貫いたのだ。
その後は一瞬だ。
一度通ったストーンキャノンは続けざまにロッソの体に直撃する。
そして遂にストーンキャノンがロッソを貫通して天空に抜けた。。
「ゴオォ!? ガ、ガァ…」
ロッソの体から力が抜けるのを確認するとストーンキャノンの連射を止める。
そのまま地面目掛けて落下していく。
ドゴォッという爆音を立てて墜落したが、接地の瞬間エアバーストで減速して衝撃を緩和した。
ルーデウスに続いて墜落したロッソは糸が切れたように動かない。ルーデウスは体を起こすとロッソが起き上がって来ないことを確認する。
ルーデウスの、勝利だ。
お読みいただきありがとうございました。
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