無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件- 作:かまぼこポテト
少しづつ話が動いていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
ルーデウスはひたすら砂漠を歩いていた。
照りしきる灼熱の太陽と荒れ狂い舞う砂塵。
小一時間歩いているが、周囲は見渡す限り砂、砂、砂。
土魔法でコップを作り、水魔法でコップの中を水で満たすと一気に飲み干す。
「大分歩いたと思うけど、ここが何処かさっぱり分からないな」
これまでの道中、誰にも会わなかった。サソリのような魔物には出くわしたが。
「何処かに街はないかな~」
もういい加減疲れてきたルーデウス。街があれば人探しも捗るだろうと思い歩いていたが、そろそろ限界である。
(街に冒険者ギルドのようなものがあれば、シルフィ達に伝言を残せるのに)
この伝言はかつての転移事件の際にルーデウスの父パウロが使った方法だ。
ルーデウスは見ていなかった、というか見れなかったりしたのだが、これはいい手であろうと考えた。
「そうと決まれば街を探そう」
両手で頬を叩いて歩き出す。
アクアハーティアの先端部の魔石が、太陽に照らされて輝いていた。
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アノス達は東に向かった。
岩と砂の大地を進んで行くと小さな町があった。
「ようやく町を見つけたわね」
「長かった」
サーシャとミーシャもさすがに疲れている。
「他の者達の手がかりがあるかもしれん、聞き込みをしてみるか」
「いっその事、全員いてくれたらいいのに」
「そうであればいいがな」
アノス達は町へと入っていった。
それほど大きい町ではないが、人口は多い。歩いていると冒険者ギルドがあった。
ひと際大きな建物なためよく目立つ。
「この建物だけ随分と大きいわね」
「武装した者が大勢出入りしているな…。ちょっといいか?」
アノスが通りがかった冒険者を呼び止める。
「なんだ?」
「この建物はなんだ。さっきから大勢出入りしているようだが?」
「冒険者ギルドだよ。あんた知らないのか?」
「あいにくこの町には先ほど来たばかりだ。冒険者ギルドとはなんだ?」
「名前の通り冒険者の組合だよ。この町は〝魔道〟に近いからな」
「魔道とはなんだ?」
「魔道を知らないのか? 魔道は〝魔族の国〟の南を通っている渓谷だよ。凶暴な魔物がウジャウジャいやがる」
「ほう。では冒険者はその魔物を狩る者のことを言うのか?」
「そうだな、この町では魔物の討伐依頼に事欠かないからな」
「魔物の討伐依頼を斡旋しているのが、冒険者ギルドということか?」
「そうだ」
「わかった。呼び止めて悪かったな」
冒険者はギルド内に入っていった。
「で、どうするの?」
「冒険者になる?」
サーシャとミーシャが訊ねてくる。
「何か手がかりがあるかもしれん。入ってみるか」
3人は建物内に入っていった。
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「さっきの3人組、怪しいな」
アノス達が建物に入っていくのを隠れて見ていた者たちがいた。
ソウエイである。
「どうですか、ソウエイ?」
背後から愛刀〝剛力丸・改〟を背負ったシオンが声をかける。
「我等の世界でも、この世界の者でもなさそうだ」
「まず服装からして浮いていますね」
シオンが指摘する通り、アノス達の服装は浮いていた。
アノスとミーシャは白、サーシャは赤を基調とした制服を着ている。魔王学院の制服であるため、冒険者ばかりのこの町では目立つのだ。
「もし〝異世界人〟なら。リムル様の障害になる前に排除する必要があるな」
「―――ほう、誰を排除するのだ?」
突然背後から声をかけられ、2人は後ずさる。
そこには白を基調とした制服に身を包んだ黒髪の男―――アノスが立っていた。
「いつから!?」
シオンとソウエイが得物を構える。
「なに、この町に入ってから視線を感じていたものでな。その真意を問いに来た」
余裕の笑みを浮かべるアノス。シオンたちが戦闘態勢に入っているのに対し、アノスは手をポケットに入れて突っ立っている。
「……シオン」
「分かっています」
シオンとソウエイは感じていた。目の前にいる男は自分たちとは次元の違う存在であると。
自分たちの主であるリムルと同格の相手であると。
アノスが右手で魔法陣を作り出す。
「1つ聞くが、お前たちはこの世界の人間か?」
アノスは笑みを崩さず問う。
「…違う」
得物を構えたままソウエイが答える。
「どこから来た?」
「テンペスト」
「テンペスト。聞いたことがないな、国の名前か?」
「ああ」
「お前たちは誰の配下だ?」
「魔王リムル様だ」
「魔王? ……そうか」
アノスはしばらく考えて口を開いた。
「俺とお前たちは別々の世界から来たのかもしれんな」
「なに!?」
ソウエイは驚いていたが。アノスの中では答えが出ていた。
先ほどの冒険者との会話で、アノスは自分たちが別の世界に来たと結論付けた。
そして、この世界の住人ではないと語る目の前の鬼人。
それと、ソウエイの口から語られた知らない魔王の名前。
アノスの世界で魔王はアノス1人。2千年前から変わらない事実である。
アノスは目の前にいる2人も、自分と同じ境遇にいるのではないかと考えた。
(おおよそ当たりだろう)
アノスは魔法陣を仕舞うと、口を開く。
「俺は他に飛ばされた仲間を探している。お前たちはその主を探している、といったところか?」
「…そうだ」
「どうだ。ここはひとつ、共に仲間を探してみる気はないか?」
「…どういうことだ。仲間になれとでも言うのか?」
「そうではない。一時的な協力関係を結ぶということだ」
「………」
ソウエイは考える。リムル達を探すにも情報が無さすぎる。協力関係を結べば情報収集も捗るかもしれない。
しかし、素性の知らない者に協力するということは危険もある。
だが。今優先すべきは、主であるリムルや仲間たちの安否を知ること。
「……わかった。一時的にお前に協力しよう」
「そうか、ではよろしく頼む」
アノスが手を差し出す。
「…こちらこそ」
差し出された手をソウエイはしっかり握った。
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