無職転移 -魔王も一緒に転移しちゃった件- 作:かまぼこポテト
今回はあまり話が進みません。
今後もよろしくお願いします。
「金剛!」
叫んだデヒブの体が金色に輝く。
アノスの放ったジオ・グレイズがデヒブに直撃する。が、デヒブは何もなかったように立っている。
「魔法か?」
「違う、〝闘技〟だぁ!」
デヒブは膝を曲げて腰を落とすと勢いよく跳躍してアノスに襲い掛かった。
「見かけによらず素早いな」
アノスは魔法陣を展開し『魔黒雷帝―ジラスド―』を放つ。
漆黒の雷がデヒブに降り注ぐが止まらず突っ込んでくる。
アノスは回避すると地上に降り立つ。攻撃を躱されたデヒブも同じく降り立ち、アノスと対峙する。
「闘技とは便利な物だな。先ほどの技、魔力無しで使ったな?」
「闘技は己の覚悟で発現する技だ、俺様がお前を殺すって覚悟でなぁ!」
「よかろう、では俺もお前に負けない覚悟を持って戦うとしよう」
アノスは魔法陣を展開した右手を天にかざす。
「『魔岩墜星弾―ギア・グレアス―』」
無数の巨大な魔石がデヒブ目掛けて飛来するが、デヒブは金剛で防ぐ。
デヒブの周囲に土煙が上がる。
「次は俺様のば―――」
言い終えるより先にデヒブは膝を着く。
ギア・グレアスを目くらましにして急接近したアノスが『根源死殺―ベブズド―』によって漆黒に染まった右手をデヒブの腹に抉り込ませた。
「ぐふぅ!ナニモンだよ、お前…」
「先ほども言っただろう、暴虐の魔王アノス。ヴォルディゴードだ」
「暴虐の魔王か…、俺様の敵じゃねぇな…」
アノスが右手を抜くとデヒブは倒れた。アノスの世界でベブズドは根源に直接干渉できる魔法である。
アノスはベブズドでデヒブの根源―――魂を破壊したのだ。
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「あ奴は一体何者じゃ、ソウエイ?」
「アノス・ヴォルディゴード。この世界でも我々の世界でもない世界から来た者です」
「ではやはり、我々は別の世界に来たというのか?」
「そのようです」
アノスから少し離れたところでソウエイとハクロウが話している。
魔物はネクロン姉妹の加勢もあり、すでに討伐完了している。
「はやくリムル様を探さねば」
「あの者達も仲間を見つけて自分たちの世界に戻ることが目的のようです」
「目的は一致しておるということか?」
「それに、リムル様も奴らの仲間と行動を共にしているかもしれません」
「我等と同じく、か?」
「ええ」
「そういうことなら、我等も共に行った方が良さそうだな」
「散り散りで探すよりも、纏まって行動した方がいいでしょう」
「あいわかった」
「意思は纏まったか?」
唐突に話しかけられ、ソウエイとハクロウが振り向く。
振り向いた先にはアノスとネクロン姉妹がいた。
「ああ、考えは纏まった。これからよろしく頼む」
ハクロウが手を差し出す。
「こちらこそよろしく頼む」
その手をアノスが強く握った。
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リムル達一行は、元々いた森一帯の平原『ロッキル平原』より東に位置する町『クトゥの町』に来ていた。
既に日は沈みかけているが、町で情報収集をしていた。
「なんだいお前さんたち、この辺の人じゃないのかい?」
「そうなんです。ボク達は旅をしていて、この辺りは初めてなんです」
シルフィが商人の老婆にこの辺りの事を訊ねていた。
「旅人さんかい? ウロナ大陸は初めてかい?」
「ウロナ大陸?」
「知らないのかい? お前さん達どこから来たんだい。ガジーエー大陸かい?」
「そ、そうです。ガ、ガジーエー大陸から来ました」
適当に話を合わせるシルフィ。
「そりゃまた、過酷なところから来たんだねぇ」
「そ、そうなんですよ~、過酷だったんですよ~」
「適当に合わせてるわね、シルフィ」
「怪しまれないか?」
「大丈夫よ」
少し離れたところでシルフィと老婆のやり取りを見ているリムルとエリス。
「リムルの仲間やルーデウスの情報が聞ければいいけど」
「オレの仲間はみんな強いから大丈夫だと思うけど。そのルーデウスってのは強いのか?」
「強いわ!」
「即答か…」
「ん? シルフィが戻ってきたわ」
老婆との話を終えたシルフィが戻ってきた。
「お待たせ」
「何かわかった?」
「ルディ達の情報は得られなかったよ」
「そう…」
「でも1つ、北の中央連合国に赤髪で角が生えた人がいるって」
「赤髪で角!?」
「ど、どうしたのリムル?」
「たぶんオレの仲間だ」
「そうなの? ならリムルの仲間を探しに北へ行く?」
「そうだねエリス、北へ向かおう」
「でも今日は遅いから、明日にしないか?」
「そうね、宿を探しましょう!」
3人は宿探しに向かった。
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ルーデウスは城壁沿いに歩いていた。
こっちの世界に来てから歩いてばかりのルーデウス。
ようやく入国口を見つけた。検問官が立っている。
「すいません。この街に入りたいんですが?」
「中央連合国への入国を希望ですか?」
「そうです」
(国だったんだ…)
「荷物を確認します」
検問官がボディと荷物のチェックを行う。
「…問題ありません。どうぞ」
「ありがとうございます」
ルーデウスはそのまま通り過ぎそうになったが立ち止まり振り向く。
「あの、今日この国に入国した人はいますか?」
「今日の入国者ですか? この辺りでは見たことない服装の男女3人組が入国しましたよ」
「それだけですか?」
「行商人や市民権を持つ者も含めるならもっといますけど?」
「いや、大丈夫です。ありがとうございます」
ルーデウスはお辞儀をして門内に入っていった。
(男女3人だけか…。シルフィ達だといいけど)
ルーデウスは宿を探しながら考えていた。
何かがおかしい。
以前の転移事件を思い出す。
こんなに問題なくいっているのが不思議だった。それに検問官も市民権を持っていない自分を特に疑わず入国許可を出した。それにさっき言っていた。
(中央連合国か。聞いたことない国だな)
アスラ王国でもミリス神聖国でもない国。
(まったく別の世界に来た、ということか…)
考えながら歩いていると曲がり角で人にぶつかった。
「うわっ!」
「キャッ」
ルーデウスは少し足踏みしただけだったが、相手は尻餅をついてしまった。
「すいません、考え事をしてて」
手を差し伸べる。相手は女の子だった、年はルーデウスより少し若いぐらいだ。
(白い、制服、みたいなもの?)
語彙が乏しいと自身でも思うが、ルーデウスは目の前の女の子が着ている服がこの国の国民が着ている服と少し違うと直感した。
そして、自分たちの世界のものとも違うとも。
「いえ、こちらこそすいません…」
女の子が手を取って立ち上がる。
「ミサ!」
女の子―――ミサの後方から銀髪の少年が近づいてくる。
「レイさん」
「突然走り出したからビックリしたよ。…こちらは?」
「すいません、考え事をしていて角でぶつかってしまって」
「いえ、こちらが周りを見ていなっかので…」
「どちらにしてもケガが無さそうでよかった。僕はレイ・グランズドリィ。彼女はミサ」
「ミサ・レグリアです」
「俺はルーデウス・グレイラットといいます。先ほどはすみませんでした」
「…ルーデウス?」
レイがルーデウスの顔をまじまじと見つめる。
「え、ええ。ルーデウスですよ?」
「奥さんはいる?」
「います」
「何人?」
「3人です」
「ロキシーは知ってる?」
「っ! 妻の名前です!」
「やっぱりロキシーの旦那さんだったんだ」
「ロキシーを知っているんですか!?」
「僕たちと一緒にこの国に来ている。案内するよ」
ルーデウスは歩き出すレイの後を付いていった。
お読みいただきありがとうございます。
今回から『闘技』などのオリジナルの技や魔法が出てきます。
闘技は、FF10でいう『技』に該当します。そのまんまです。
第二部ではそれらも堀下げて書いています。
もし第二部も気になるという方がおられましたら、感想などでお知らせください。