地理解説・登場人物紹介(第13章~第16章)
図書庫の城邦
この世界屈指の港湾都市。穀倉地帯に存在し、安定した食料源と余剰人口による産業によって安定した経済を保っている。厳密に言えば「図書庫の城邦」と呼ばれるのは城壁の範囲内だけ。ただ、口語的には図書庫の城邦を拠点とする大衙堂の支配が及ぶ範囲が「図書庫の城邦」と呼ばれることもある。一応その範囲では図書庫の城邦の頭領の名において治安維持が行われ、巡警のような人たちが物流網を監視している。欠乏や飢えが少ないこともあって、治安は良好。
モデルはムセイオンや大図書館を有したアレクサンドリア。この世界では大図書庫が燃えるようなイベントが起こらなかったため、古帝国の崩壊による経済・政治混乱を乗り越えて知識は保存・蓄積されているがそれ以外の具体的ノウハウは散逸気味である。
多くの学徒が知識を求めて集まり、周辺地域の様々な要職に就くことから外交的にも重要な場所である。なので時々短刀や毒薬が関わる案件が出てくるが、裏で巡警や「刮目」が頑張っている。
鉛
天文台の地
宗教的理由によって天文観測を行う人達が築いた小さな都市。様々な観測に必要な物資や資源の生産を小規模ながら行っている。資金源はたぶん有力者からの寄付とか。
モデルの一つはデンマークとスウェーデンの間にあるエーレスンド海峡に浮かぶヴェン島。ティコ・ブラーエによって天文観測施設が置かれていた。
鋼鉄の尾根
様々な鉱物を産する、北方の地帯。政治的に統一されているとは言えない状況だが、外敵から襲われるほど魅力的な土地ではなく、生産物である鋼鉄などを「鋼売り」が取りまとめ、その過程で有力な傭兵集団を持っていることから手出しされることは少ない。古帝国の時代でも騎乗動物が食べる植物の不足によって支配権ギリギリに置くのが限界であり、資源面で頭を下げねばならない強かな地域であった。
モデルはスイス、ノルウェー、南アフリカなど。スイスは地理的特徴と「傭兵」のイメージ。ノルウェーは寒冷な気候の参考に。南アフリカは南部アフリカ大断崖、カルー超層群などの地質分野のアイデア源。
「鋼売り」は古帝国時代に交易を行った一団を起源の一つとし、古帝国側から得た武器や技術を用いて勢力を拡大させた。古帝国崩壊後は船の民との取引に移ることで世界を市場とし、また鋼鉄の尾根内でも様々な分野にかかわることになったためにかなり大きな組織となっている。とはいえきちんとした政治システムが出来ているわけではなく、絶対的な権力者がいるわけではないのでなんかよくわからないことになっている。
「妙に印象の薄い男性」はかつて傭兵として少し働き、その過程で得た地理感を使って買い付けを行う人物であったがとある派閥に巻き込まれて諜報員の真似ごとをするようになり、キイを招待できた功績もあって出世した。本人としては名も無い一兵士として死ぬつもりで地元を出たのでかなり数奇な運命である。
「『鋼売り』から来た女性」はもともとある程度高級な娼婦のような仕事をしていたが、その過程で「鋼売り」に対して借金を作ってしまいハニートラップ人員として動いていた。様々な人を相手にしてきたためそれなりに学があり、キイの本気の話についていくことは無理でも優しく解説されれば理解できる。図書庫の城邦に来た時は「妙に印象の薄い男性」の指揮下にあったが、今はもう少し独立している。まあちゃんとした組織がないのではあるが。
製鉄場
鋼鉄の尾根にはいくつかの金属精錬を行う場所があるが、キイが訪れた製鉄場は川上に管理された森林があることで燃料を得ることができるために発展している。鍛冶の技術は古代中国を参考に適当に盛っているところがある。高炉とか白心可鍛鋳鉄とかがなんで紀元前に存在するんですかあそこ……。
場長は普通にこの製鉄場の親方みたいなもの。後継者争いが無い訳ではないが、基本的に話し合いとか別ポストの用意とかでどうにか安定して引き継ぎができている。
司女補をしている若い女性はこの地域にまで勢力を伸ばそうとする衙堂と、あまりちょっかいを出されたくない人々の折衷案から生まれたもの。たぶん神事の一環としての点火が半ば形骸化した結果このような形になっている。
内海
複数の海峡で区切られた海域。モデルは地中海。図書庫の城邦があるのは南東あたり。地中海性気候のような温暖な地域だろうが、キイが世界地図や気象観測機材をまだ作っていないので具体的な海流や気候の話をするのは避けよう。いや設定がそこらへんにあった紙にメモした雑な図しかないとか、そういうことではないですよ?気象って結構考えるのか大変で、コンピュータでシミュレーションを回したりしようにも相当な要素を勘案する必要があるので……。
大洋
南北に伸びる大きな海。モデルは大西洋。地理関係を意図的にぐちゃぐちゃにしているのでどこにあるかはこれを考えている時点では不明。風と海流を捉える事ができれば超えられなくもないが、そのためにはかなりの経験が必要であるし壊血病で死ぬことも多い。基本的に船の民は漁業で手に入れた魚などで取引をすることで陸の新鮮な食物を手に入れることが多く、あまりビタミンC不足にはならないため長期航海でなければ壊血病は見られない。それゆえに「海の呪い」は恐れられ、しばしば話が盛られて語られる。