金属加工用旋盤第二号となんちゃってフライス盤第一号が完成してしまった。金属加工用旋盤第二号は旋盤第一号の改良の過程で交換された部品をメインに構成されているので同一性が怪しくなってくる。まあ鋳鉄の土台で考えればいいかとも思ったがこれも交換されているんだよな。うーん、金属加工用旋盤第一号が最初から引き継いでいるのは目的因ぐらいである。機械なのに。
で、回転して対象物を加工するという基本的性質は変わらないので加工物を二次元で動かせるようにしたのがフライス盤である。定義上はこれは立フライス盤。ただし金属加工用旋盤第二号はアタッチメントで横フライス盤としても使える。なんというか私の知識で名前を付けるのが良くない気がしてきたな。ひとまず加工できればいいんだよ。
そして金属加工用旋盤第一号に送り
まあ、そういうわけで私はしばらく
「キイさん?」
「待って」
ケトが書類を持って私の横に立つ。クラッチを離して回転を止めてから、改めてケトの方を見る。
「どうしたの?」
「一つ、まずは船の話です。この秋に出港するのは少し難しいかと」
「理由は?」
「氷が出始める時期が早いそうです。今から準備をして港に行っては間に合いませんし、陸路ではかなり時間がかかります。この横
「あー」
重量が数百キログラムはあるからな。多少雑に扱っても問題ないが、人力で運ぶにはそれなりの人数が必要だ。
「……なら、港が動けるうちに手紙を出すか。他には?」
「その手紙の話ですね。書いておきますか?明日ここから港の方に出る人たちがいるので、その人に渡せば届くはずです。あと新聞」
ケトが渡すのは多くの荒い紙。見出しには色々と興味深い内容が並ぶ。面白そうだが、これは後で。
「久しぶりだなぁ。一番新しいやつの日付は?」
「一月半前です。かなり滞ることなく運ばれているかと」
「そうか、そんなにかかるのか……」
片道でも45日、往復なら90日というのはかなりのものだ。何かを決めるにはこのタイムラグは長すぎる。物品はともかく、情報はそれなりの速度でやり取りされないと世界が回るのが遅くなるからな。問題が発生する速度も悪化する速度も上がるけど、それだけ問題を発見するのも解決するのも楽になる。
「無線機、そういえば最近使ってなかったな」
「通じるんですか?」
「実験用の電波は定期的に出されているはず。発電機もそろそろできるし、聞いてみようかな」
一応持ってきた発電機で鉛蓄電池の充電ができるようにはしてあるが、ちょっとした
「わかりました。ええと、新聞にはざっと目を通したのですが面白そうなものを優先して伝えましょうか?」
「いや、面白そうなのは自分で探すから……。けど、重要なものがあるなら教えて」
「わかりました」
そう言ってケトは新聞の束をめくる。
「例えば発電用の水車が作られたとか」
「発電?何に使うの?」
「製紙ですよ。苛性物質が必要になっているそうで」
「なるほど。まあ排水とかの問題はしばらくは大丈夫そうだけど規模が大きくなってきたら対策しないとな……」
黒液のようなものなら主成分はリグニンなので燃料には使えるが、加工して化学原料にするのは難しそうだ。私のいた世界でそこらへんがあまりされていなかったのは純粋に石油とかから作ったほうが楽だったからかな?ああでも燃料にするならタービンが必要か。最終的に電力は原子力発電まで持っていきたいので高圧蒸気の取り扱いについてのノウハウの蓄積を行いたいところだ。
「それと無線通信の改良が進んでいるようです。既にいくつかの船に搭載されているとか」
「受信機が?それとも送信機が?」
「送信機は真空管の問題でかなり難しいそうです。受信機であれば手回し発電機と合わせて置かれていると」
「かなり進んでいるな……」
私はケトが指差す記事を見ながら言う。私がいなくとも、改良は着実に進んでいるのだ。