奴隷兵の帰還   作:メヴィ

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ナックル型トリガー

 修送った次の日、ボクは朝からずっと部屋のベッドでゴロゴロしていた。今日は非番なのだ。

 いつもなら小南がいるけど、用事があるみたいで、暫くの間は玉狛には帰ってこない。いつも一緒にいたから変な感覚だ。

 

 それに加えて烏丸さんもレイジさんもいないから模擬戦も出来ない。迅さんはボクが起きたら既にいなかったから本部にでも行ったんだろうね。

 今日玉狛にいるのは、うさみ、よーたろう、雷神丸とボクだけだ。とにかくやることがない。まだ朝の9時なのに……はぁ……

  

 

 「ハクちゃん起きてる~?お、起きてるね。鬼怒田さんから荷物届いてたよ~」

 「ありがと」

 

 突然部屋にやってきたうさみはどうやら荷物を届けに来てくれたみたいだ。

 これは……空白のトリガー?なんでーーあぁ、そういうことか。

 

 鬼怒田さんからの荷物には何も組み込まれていないトリガーと手紙が入っていた。手紙にはこのトリガーを自由に使って構わないから何か組み込んでみて欲しいとのことだった。暇をもて余してきたボクにはうってつけだね。

 空白のトリガーを持って作業室に行って作業を開始する。

 組み込むのは……ナックル型で良いか。

 

 ナックル型トリガー

 ボクがまだ向こうにいた時にあったアッシュトリガー。使ってたのは……たしか男だった筈だ。それ以外は覚えてない。

 

 ナックル型は文字通り殴るトリガー。起動させると腕全体がトリオンに覆われる。

 覆われた状態で殴ると物凄い威力が出る。バムスターくらいの固さでも一撃でバラバラにするほどの威力がある。

 ナックル型は更にトリオンを消費することで殴った後にもう一度殴った衝撃を与える"インパクト〟という特性がある。

 インパクトは使用者の意思で自由に使用できて、時間差でも使用できる。

 

 例えば殴り飛ばしたトリオン兵が宙を舞っている間に空中でインパクトを発動させて空中で処理、又は更に吹き飛ばす。

 殴る瞬間に発動させることで倍の威力を出すこともできる。呪◎廻戦の黒閃みたいな感じです

 

 ……流石にあの威力は無理かな……まぁあれはトラストしているのが前提のトリガーだ。トラストしていないこのトリガーならナックル型を再現できただけマシかな。

 

 3時間程でトリガーシステムの構築、組み込みが終わった。組み込んでみるとやっぱりこれだけで容量が無くなった。このトリガーは今他にシールドも何も出せないトリガーだ。

 

 両腕からトリガーを取り出してから、ナックル型トリガーを起動させる。するとイメージ通り両腕がトリトンで覆われてナックル型になった。

 そのままパソコンを弄って訓練室の中にバムスター作り出す。ナックル型トリガーを起動していても問題なく打ち込めたから指先を動かすのには問題無いみたいだね。

 そのまま訓練室に入って、ナックル型の威力を試してみるとやっぱり威力は出なかった。せいぜいバムスターの装甲にヒビが入ってへこむくらいだった。

 そのままインパクトを試そうとしたら訓練室の扉が開いた。

 

 「よぉ、面白そうなの使ってるじゃないか」

 「レイジさん?今日はいないんじゃ」

 「まぁその予定だったんだけどな。急に暇になったもんで来てみたらと言う感じだ」

 

 レイジさんはやれやれとジェスチャーをしながら教えてくれた。

 レイジさんがいるならこれ(ナックル型トリガー)はレイジさんの方が適任の筈だよね。

 

 「トリガー解除」

 「お?どうした?」

 

 ボクがトリガーを解除するとレイジさんは不思議そうな顔をした。

 

 「レイジさんがいるならレイジさんの方がこのトリガーが適任だからね。ボクがネイバー出すからこのトリガーで倒して」

 「お、おう」

 

 

 ボクが訓練室を出てオペレーターの席についてモニターを確認すると、レイジさんがナックル型トリガーを起動させて軽く腕を振るっていた。

 

 『まずはそのトリガーについて簡単に説明するよ。そのトリガーは見ての通りナックル型、殴るトリガーだよ』

 「これハクが作ったのか?」

 『鬼怒田さんからの依頼でね。それでそのトリガーは簡単に言えば殴る威力を上げるトリガー。まぁやってみた方が早い』

 

 そういってボクはバムスターを出した。それを見たレイジさんがそのまま殴るとバムスターは吹き飛ばされた。

 ……適任だと思ったけどここまで適任なのか……

 

 「これ良いな。今までスラスターを使っていたから違和感があるが……こっちの方が楽だ」

 『そ、そっか……それとまだナックル型専用トリガーあるんだ。ナックルにトリオンを込めて殴った後は追撃の衝撃を与えることができる。インパクトって言えば発動するよ』

 

 次は少し大きめのバムスターを出した。普通サイズだとレイジさんがもの足りなさそうな気がしたから。

 それを見たレイジさんはニヤリと笑って「了解」と言ってバムスターを殴って浮かせた。

 うん。文字通り浮かせたんだよ。ふわって。

 

 「インパクト」

 

 ドゴォオオンッ!!

 

 

 バムスター一瞬浮いた後にバムスターは訓練室の天井にぶち当たって砕けた。

 

 『……えぇ……?』

 「少し、やりすぎたか?」

 

 おかしい……アッシュトリガーのトラスト1……位の威力になってる……レイジさんとの相性が良すぎた?

 レイジさんも少し驚いていた。レイジさんでもこんなに威力が出るとは思ってなかったんだろう。

 

 『……次で最後。次は殴った瞬間にインパクトを発動させてみて。多分……さっきの数倍の威力が出る筈だからバムスターも強化するよ』

 「…わかった」

 

 

 

 

 「その…すまなかったな…トリガー壊しちまって」

 

 ボクはレイジさんからヒビが入って使い物にならなくなったトリガーを返して貰った。

 これは……直せそうに無いね。中のトリガーの回路がイカれてる。

 

 「ま、まぁ大丈夫だよ。そもそもこっち(日本)では実戦向きのトリガーじゃないからね。それにレイジさんのデータが取れてるから」

 

 

 結果から言うとナックル型トリガーはショート?オーバーヒート?して壊れてしまった。それとバムスターは吹き飛びはしなかったけど、凹んだ。あの強化されたバムスターはボーダー本部の壁と同じ硬度に匹敵していた。途中で壊れてなかったら……考えるのはやめよう。

 

 壊れてしまったものは仕方ない。とりあえず鬼怒田さんには……ナックル型の構築システムとレイジさんのデータを送っておこう。鬼怒田さんならデータがあれば十分だろうし。

 

 それから若干申し訳なさそうなレイジさんと一緒にリビングに戻った。時計を見ると1:20分で、ずっと地下で作業していたボクはお昼ごはんを食べ損ねていたのを思い出した。するとレイジさんもまだだったらしく、トリガーを壊してしまったお詫びにと、外に食べに行った。行ったのはレイジさん行きつけの定食屋さんで凄く美味しかった。

 

 お店の店員さんに親子に間違えられたり、店主さんに隠し子か!!と、疑われた時のレイジさんの顔が面白かった。だってレイジさんは21歳でボクは17歳だ。そうするとレイジさんは4歳で子供を作ったことになる。

 それから少し店主さんとお話してからご飯を食べた。レイジさんは野菜炒め定食で、ボクはしょうが焼き定食だった。帰り際に店主さんから何故か飴を貰って頭を撫でられた。

 ボクが?マークを浮かべているとレイジさんがニヤニヤしながら店主さんに「こいつ17だぞ」って言ったら店主さんと店員さんがびっくりしていた。

 

 帰るついでにレイジさんと食材の買い出しをした。買い出しをしている最中に烏丸さんと会って、定食屋さんの話をすると笑われた。

 

 「だってレイジさんとハクさん似てますもん。目付きとか表情が仏頂面な所とか」

 「……そんなに似てるか?」

 「…烏丸さんが言うなら……?」

 

 烏丸さんに言われてボクとレイジさんはお互いに顔を見合わせた。

 似てる……かな?烏丸さんが言うなら似てるんだろうけど……

 数秒レイジさんとお互いに顔を見合っていると烏丸さんが更に笑い始めた。

 

 「ッぷ…そう言うところですよ」

 「「?」」

 「ま、そのうちわかりますよ」

 

 

 

 

 烏丸さんはバイトに行く途中だと言って行ってしまった。商店街の電気屋さんのテレビをふと見ると根付さんが映っていて何故かラッドの写真を持っていた。どうやらイレギュラーゲートの発生源がこのラッドだったみたいだ。

 それにしてもラッドを………少し懐かしいな。ボク達(奴隷)もこうやって敵地に送られたな。

 

 『今からボーダーによる一斉駆除が始まります。このネイバーを見たらボーダーにご連絡を!!』

 「どうしたハク?……おい、大丈夫か」

 「…、うん。少し前のことを思い出しただけだよ。ボクは前まで()()()()()だったから」

 「……な、中はどうなってるんだ?」

 「中……は無いかな。あれは(ゲート)二つの場所に現れる。けどその二つは本当は一つだから……一番簡単に言うドアだね。部屋(玄界)部屋(近界)を繋げる一つのドア」

 「なるほどなぁ……」

 

 

 ボクが説明をするとレイジさんはうんうんと頷きながら納得していた。

 うまく説明ができてよかった。

 

 

 

 

 

 

 それからは特に何もなくてちょこちょこ話ながら玉狛に帰った。帰る頃にはもう夕方になっていて玉狛の回りの川がオレンジ色に照らされていた。

 玉狛に帰ってきて買ってきた食材をボクがビニール袋から出して、レイジさんが冷蔵庫に入れていく。

 二人で分担してきるとリビングのドアが急に開けられて見てみるとうさみが入ってきた。ボクのトリガーを持って。

 

 「おかえり~ハクちゃん。もう、トリガーを置きっぱなしにしちゃダメだよ?」

 「ありがとうさみ」

 

 すっかりトリガーを外していたのを忘れてた。

 トリガーを腕に入れると今度は血が出なかった。やっぱり頻繁に開いた方が良いんだね。

 

 「今日はレイジさんと一緒にどこに行ってたの?」

 「飯を食いに行ってついでに買い物をしてきたんだ」

 

 レイジさんがそう言うとうさみが意外そうな顔をした。

 

 「…俺がハクが新しく作ったトリガーを壊しちまってな。それの詫びで食いに行ったんだ」

 「……落ち着いた筋肉が暴れる筋肉に……」

 「……握りつぶした訳じゃないぞ?」

 「え、そうなの?」

 「レイジさんにボクの作ったトリガーを試して貰ってたんだよ。途中までは大丈夫だったんだけど、最後の最後でトリガーが耐えられなかったんだよ」 

 

 ボクが説明するとうさみはぽけっとした顔をした。なんでだろう?

 そんなこんなでレイジさんがナックル型トリガーを使っている動画を見せると「やっぱり暴れる筋肉……」と言っていた。

 その日の夕食はうさみのロールキャベツだった。まる

 

 

 

 

 

 

 

 




何気にはじめてのほのぼの日常?でした。コメント、評価貰えると作者が豚になりながら喜びます。
追記
ランキング見てみたら41位(5/9時点)に入っててくそびっくりしました。改めまして読んでくれている皆様ありがとうございます。これからも何卒よろしくお願いします。





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