奴隷兵の帰還   作:メヴィ

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|д゚)チラッ


|д゚)ノ∠※。.:*:・'°☆


^^;)))


にじゅうにわ

 「はっはッ………ングッ!はっはっはっはっ!」

 「………ペース、速くなってる。焦らなくて良い、から一定に」

 

 ボクがそう言うと修ははひッ!と呼吸が混ざったような、少し変な返事をした。

 ボクが倒れて病院に行ってから今日で一週間がたった。

 病院での精密検査の結果は【不明】、至って健康体だった。でも少しでも変なところがあればすぐに連絡をするようにと瓦灯先生にその場で連絡先を交換させられた。

 

 今日は【玉狛第二】のメンバー全員で体力作り、をしている。今はとにかく走って体力を付ける。

 前方を見れば少し遠くに千佳やレイジさん達が見える。

 はっきり言って、修には全部が足りない。

 体力、持久力、筋力、肺機能、トリオン量。

 

 トリオン量はボクたち(奴隷たち)みたいにしか後付けでしか増やせないみたいだけど、体の機能は使い続けることで増幅されるから、これから頑張っていくしかない。

 

 「はっはっはっはっハッ!?」

 「………」

 

 隣を走る修の体勢がガクンと一瞬崩れてペースが落ちる。

 横目で身体全体を確認するとさっきまで辛うじて保てていた重心がぐらぐらと揺れて、足を気にしているように見えた。

 ………足、痛めたかな?

 

 「はッ!ふっはッはッはっはッ!」

 

 修はさっきよりも更に呼吸を乱しながら走る。

 でも、さっきよりも苦しそうにしていて、走る場所もふらふらとしてきた。やっぱり、どこか痛めたみたいだね。終わりにしよう。

 

 「はっはっはっ?は、はくッ あさん?」

 

 修の前を遮るように腕を出して徐々にスピードを落としていって、修は止まった。

 修は膝に手をついて肩で息をして整えようとしている。でも、走り続けた後に急に止まったりするのは良くない。少し歩きながら整えるのが一番良い。

 

 「歩いて終わりにしよう。足、痛めてるかもしれない」

 

 そう言って修の足に注意しながら手を引いてゆっくりと玉狛に向かって引き返す。

 

 「ぼッ、ま、まだ」

 「無理をしても、身体はついていかないよ。ゆっくり………とはいかないけれど、休めるなら休もう?」

 「ぁ…は、はい……そう、します…」

 「うん。じゃぁ帰ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うん。ちょっと痛めてるねぇ~…明日まで湿布を貼って、そんでとりあえず今日の残りの時間はトリオン体での訓練にしよう」

 「す、すいません…」

 「別にいいよぉ~?修君も本気でやってるってことだし♪………メガネ人口を増やすための重要人物なのだから~」

 「あ、あはは……」

 

 宇佐美さんはメガネをスチャッと直してドヤ顔をしてきた。

 毎度思うけどメガネ人口とは……?いやまぁメガネをしている人の多さだろうけど。

 とりあえず、残りの時間を無駄にしないためにトリオン体へと換装する。けど…

 

 「………」

 「あ、あの栞さん…白堊さんが……」

 「ん~?あ、まぁた寝ちゃったかぁ…もっしも~しハっクちゃ~ん」

 

 ソファに座ったまま眠っていた白堊さんに宇佐美さんが起こしにかかる。

 

 栞さんは白堊さんに近づいていって………白堊さんをまるで犬か猫のようにむにむにとし始めた。

 次第に揉むだけではなくほっぺを摘まんだり押し潰したりして、白堊さんの顔で遊び始める。

 

 「あ、あのッ……!う、うさみ、さんッ」

 「ん~?」

 

 僕は笑わないように堪えているとニヤニヤする宇佐美さんと目があった。

 

 「……えい♪」

 「ぶはッ!?」

 

 瞬間、宇佐美さんは白堊さんの顔をまるで梅干しのように潰した。それに僕は耐えきれず吹き出して崩れ落ちそうになるが、ギリギリで耐えた。

 

 「ん………ぅひゅみ?」

 「ぉよ、起きちゃったか。おはよ」

 「……また寝ちゃって、ごめん…」

 

 白堊さんはそう言って視線を落とす。

 実を言うとあの日から白堊さんはふとした瞬間に寝てしまう事が多くなった。

 

 訓練の休憩時間や待ち時間。宇佐美さんや小南先輩によればテレビを見ている時、お風呂に浸かっている時にもらしい。

 

 「すこ~しだけだから大丈夫だよ、ね?さ、修君もやる気マンマンみたいだしはやくやろ~!」

 

 お~!と白堊さんを励ますように背中を撫でる宇佐美さん。

 

 「はい!よろしくお願いします白堊さん」

 「ん…、わかった。いこ」

 

 そして、白堊さんはソファから降りると僕の手を引いて訓練室へと向かっていく。

 

 「うさみ、設定よろしく」

 「は~い、おまかせあれ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 「は~いお疲れ様~」

 

 ヘトヘトになった僕は白堊さんに引きずられるように訓練室から連れ出されてソファへと寝かされた。

 

 「ほいほいっと、水分と糖分だよ~」

 

 寝かされ、天井を見上げながら息を整えていると宇佐美さんが隣に水と…どら焼きを置いてくれた。

 前から思っていたけど、玉狛っていつもどら焼きがあるような…

 

 「あ、ありがとうございます…」

 「うさみ、ありがとう………んぐ…」

 

 ポスッ、と軽い衝撃と一緒に視界に白い髪が入り込む。

 どうやら白堊さんがソファに座ったみたいだ。

 

 「………はむ……ン」

 

 息を整え終えて体を起こして、どら焼きを食べながら隣を見ると白堊さんが背筋を伸ばしてどら焼きを啄むように食べていた。

 時折、白堊さんの足がピクッと揺れる。

 前に烏丸さんが

 「甘いものとかうまいのを食べると揺れる。食べきる前に4回揺れるとSRだ」

 とか言っていた。今回は2回だった。

 

 「修」

 「ッは、はい!、?」

 

 声をかけられ驚いて白堊さんを見るとジッと目を合わせられて僕に手を伸ばしていた。

 

 「い、いや…すいませ……え?」

 「修が見てて、思い出した。こうすると疲れが取れやすくなるって」

 

 いつの間にか僕の視界は横になっていて、頭には柔らかい感触が伝わり続けていた。

 ……??

 

 「え、あ~…、?」

 「今日はもう終わりだから、修が回復するまでこうしてる」

 

 そして頭にもうひとつ暖かい感触が増える。

 

 「お~……これまた、大胆な……因みにハクちゃん。どこから知ったの?」

 「?___記事に書いてあった。鳥丸さんと迅さんもそうだって言ってた。もしかして、間違い?」

 「いや正解なんだけど………そっかぁ~烏丸君と迅さんかぁ……まいっか。後で私にも()()してね」

 「うん。わかった。修寝ちゃったみたいだから、そのあとで」

 

 

 

 

 

 

 




ほのぼ~の回?でした。
修は十分近く宇宙空間にいました。はい。
………修の宇佐美への呼び方って宇佐美さん、であってますよね…?栞さん…?

埋め込まれたトリオン金属の名称!!

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