「つーわけで、ハクは復帰したボーダー隊員として入隊することが決まりました~いぇ~い」
リンドウは帰ってくるなり上機嫌で報告をしてきた。どうやら今まで本部でボクについての報告をしていたようだ。いぇーいってなに?
「リンドウ、ボクが入隊することはわかったけど、詳しい設定は?」
「え?設定?さっき言ったろ?」
「まだ復帰しただけのボーダー隊員としか聞いていない。なぜボーダーをやめたのか、なぜ復帰したのか、そういう設定は必要だろう?」
「あ~………確かになぁ……どうすっかなぁ……」
どうやらリンドウは何も考えて無かったみたいだ。本部もなんで設定を考えずに許可したんだ……ん?この匂いは?火薬……でもないし、なんだろう……
「リンドウ、この匂いは何?」
「んぉ?スンスン……お、これは小南のカレーの匂いだな!小南のカレーはうまいぞ?」
「かれー?食べ物か?」
「あぁ!カレーを嫌いなやつは日本にいない位のパーフェクトな食いもんだ!楽しみにしとけよ!」
「……そうか、期待しておくよ」
かれー……日本に嫌いな人はいないのか………もしかして、薬物が入っているんじゃ………いや、リンドウ達は善人だ。薬物を使うとは考えられない。害があるものは使わないか。
ボクはそう考えながら、かれーの匂いを辿っていった。辿っていった先では小南が鍋をいじくり回していた。あれがかれーなの?
「小南、それがかれー?」
「あ、ハク!そうよ!今日は私が作ったカレーよ!もうすぐ出来るからテーブルの椅子に座って待ってて!」
「了解した」
そして、とけい?ボーン!と音がなると、うさみとリンドウが部屋に入ってきた。
「あ~お腹空いた~!お、今日は小南ちゃんのカレーかぁ」
「小南、俺は大盛で頼むぜ~」
「分かってるわよボス!ほら、出来たわよ!召し上がれ!」
そういって小南は白いものに茶色のものがかけられたのを運んできた。匂いから察すると、これがカレーみたいだ。けど、この白いのは?………カレーの匂いが強すぎてなにも匂いがしないね
「うさみ、この白いのは?」
「白い?…あぁ!ご飯だよ!日本人の主食!日本人は殆ど毎日これを食べるんだよ!カレーとは離れられない相棒だよぉ~!」
なるほど………これでエネルギー補給をしているのか、病棟でもおもゆ、というものを飲んだが、それとは別のものか、ボクがそう考えていると、カレーを運び終わったのか、小南もテーブルに着き、手を合わせていた。リンドウとうさみもやっていたので、ボクも見よう見まねでやってみる。
「はい、じゃぁ食べるわよ!いただきます!」
「「いただきます」」
「??」
「小南、いただきます、とは何?」
「え?えっとぉ……ご飯を食べる挨拶よ!」
「それだけじゃねぇだろ小南、ハク、いただきますってのは、このカレーになった生き物にあなた達の命をいただきます、て、感謝をする言葉でもあるんだ。そして、食べ終わったらごちそうさまでした。あなた達の命をいただきましたって意味だ」
……なるほど、このカレーは生物だったのか……カレーになった生物に感謝を……日本人は本当に不思議だ。
「なるほど、では、いただきます」
ボクも一口カレーを食べると、舌に不思議な感覚が広がった。咀嚼している間ずっとそれは続き、飲み込んでも、その感覚は消えず、胸の奥がぽかぽかした。この不思議な感覚は?
カレーを食べるボク見ながら、リンドウは話しかけてきた。
「小南のカレーはうまいだろ?」
「……ゴクッ、うまい、ていうのは、よくわからない。ただ、カレーを食べていると、胸の奥がぽかぽかする」
「それがうまいってことだ。うまいって感じたら、作ってくれた人に美味しいって伝えるのが礼儀だ」
「なるほど、では、小南、カレー、美味しいよ」
「ふふん!でしょう?まだあるから、一杯食べなさい!」
「そうか、なら頂こう」
「「「「ごちそうさまでした」」」」
ボクたちはカレーを食べ終わり、うさみとリンドウが食器を片付けていた。その間小南はボクを抱きしめながら、そふぁに座っていた。
「そういえば、ハクはあっちでどんなのを食べていたの?あっ」
その質問を問いかけてすぐ、小南はやってしまった、という声を出した。あっち、と言うのは国のことだろうね
「国ではまず、味のするものは無かったよ。まぁ、ボク達だけだろうけどね、味がするのは媚薬、薬物、精液くらいだったよ」
ボクがそう続けている間、小南はボクのことをぎゅっと強く抱きしめ続けていた。
「………ごめん、その……」
「別に構わないよ。ボク達はそれが当たり前だったから、辛いとは思っていなかったよ」
ボクはそういうが、小南は以前の落ち込んだまま、ボクを抱きしめ続ける。すると、片付け終わったリンドウとうさみが寄ってきた。
「おつかれさんと、ん?どうした小南?食いすぎて腹でも痛いのか?」
「えぇ?大丈夫?小南ちゃん」
「そういうんじゃないわ……」
「…………とりあえず、ハクの部屋を決めるか、まぁ、まだ片付けがすんでいないから、今日は小南と一緒に寝て貰うことになるが、良いか?」
一緒に寝るということは……そういうことかな?小南にはボク達を認めてくれた恩があるから構わな「ハク、お前の思っている意味じゃねぇからな?」……違うらしい……
「あ、あたしは大丈夫よ」
「ボクも、小南が良いなら」
「じゃ、決まりだな。小南、一旦ハクを部屋に連れてってくれ、少し話がある」
「……了解、ボス」
ボクは小南の部屋に案内された。小南の部屋は甘い匂いがして、何故か落ち着いた。そして小南はボクを部屋に置いて、リンドウと話をしに行った。話ってなんだろ?
ーー小南sideーーー
ハクをあたしの部屋に連れていってからリビングに戻って、ボスとうさみと話をしていた。話の内容は、さっきハクから言われたことだった。
「………そうか……カレー食ってるときにもしやと思ったが、まさかそこまでだったなんてな……」
「………ハクちゃん、私たちが思ってる以上のことを、当たり前だって、感じるまで……」
ハクの話を聞いてボスと栞はくらい顔をしていた。あたしも、ハクの口から媚薬や精液なんて言葉が出た瞬間、聞いたことをひどく後悔した。
「小南、ハクは辛いことだと思ってないから大丈夫だったが、できる限り、過去のことは聞かないでやってくれ」
「えぇ……わかってるわ、ボス……」
「栞……、あたしに、もっと、料理を教えて欲しいの」
「え?これまたどうして……」
「………ハクに、もっと、色んな味を知って欲しいの…もっともっといっぱい、美味しいの食べて欲しい……だから…」
「…おーけー小南!私も協力するよ!」
「栞……!ありがと!」
「かんばれよ、小南。とりあえず今日はハクと一緒に風呂に入って、使い方を教えてやってくれ。そんで今日はもう寝ろ」
「わかったわ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ボクが玉狛に来てから1ヶ月がたった。そして、今日はボクが正式にボーダーに入隊する日だ。
「……小南、起きて」
「んむぅ……」
結局、ボクの部屋は小南の向かい側の部屋になった。部屋が決まったというのに、未だにボクと小南は一緒に寝ている。まぁ、寝ているといっても、小南に抱き枕にされている。まぁ、小南とくっつけて、ボクも嬉しいし、安心して眠れるから嫌じゃない。けど、遅刻しそうになるなら別だ。
「……小南」
「すやぁ…」
「……………」
仕方ない、小南を無理やり引き剥がして起き、着替える。ボクの服はほぼ全部小南が選んでくれた。小南のセンスが良いのか、うさみやリンドウにも好評だ。
着替え終わり、小南の部屋を後にする。リビングに行くと、レイジさんが朝食を作っていた。
「おはよう、レイジさん」
「ん、ハクア、おはよう。もうすぐ出来るから待っててくれ」
「わかった」
レイジさんはこの玉狛に所属している男性だ。腕もかなりたつから、たまに手合わせをしている。それにレイジさんは料理も上手で、よく朝はレイジさんが作っている。今日はレイジさん特性、肉肉肉野菜炒めみたいだ。
「ほら、出来たぞ。今日は入隊式だろ?遅れるなよ」
「うん、わかってるよ。いただきます」
ーーーーーーーー
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
朝食を食べ終わり、支度をすませると、リンドウが迎えに来てくれた。
「おっす!おはよう!ハク!準備は出来てるか?出発だぞ!」
「おはようリンドウ、準備はできてるよ」
「今日はハクの晴れ舞台だ!気ぃ張っていけよ!」
本部に着くと、既に多くの新人とみられる隊員が集まっていた。リンドウ曰く、ボクの紹介もするから、非番の正規ボーダー隊員も集められているとのことだ。詳しくは聞かされていないのか、「何で俺たちが入隊式なんぞに……」など悪態をついていた。
リンドウにつれられて、式場の裏方に行くと、鬼怒田開発室長が話しかけてきた。
「久しぶりだね白堊ちゃん。ブラストアンカーの調子はどうかね?」
「良い調子です。鬼怒田さんが協力してくれたお陰です」
「そうかそうか、それはよかった。またいつでも来てくれ。歓迎するよ」
リンドウが掛け合ってくれたお陰で、ブラストアンカーは強化することが出来た。しっかりとした設備を使えたから、最適化ができて、少し要領が空いたから、新しい機能を追加することが出来た。鬼怒田さんには感謝しかない。すると、忍田本部長が話しかけてきた。
「白堊君、そろそろ時間だ。準備をしてくれ」
「わかりました。トリガー オン」
ボクはアッシュトリガーを起動し、アッシュのトリオン体になる。どうやら最初から 特別なトリガー使い として紹介するため、ブラストアンカーを装備して登場する。
「~~では最後に、今日付けで復帰する隊員を紹介する」
忍田本部長がこう言うと、ザワザワと騒がしくなった。そろそろ出番だね。ボクが裏方から会場に出ると、より一層騒がしくなった。
「彼女は第一次侵攻で生身に怪我を負い、今まで治療をしていた。だが、治療が終わったため復帰することになった。彼女は特殊なトリガーを使うため、通常のランク戦には参加しないことになっている。では白堊君自己紹介を」
「玉狛支部所属、白夢白堊、よろしく」
ボクが短く自己紹介をし、入隊式は幕を閉じ……無かった。
「では、今から嵐山隊と白堊君による模擬戦をして貰う」
「忍田本部長!?」
声をあげたのは、小南のいとこの嵐山さんだった。つまるところ、嵐山隊の隊長だ。
「忍田本部長!聞いてないですよ!それに、嵐山隊ということは、4対1です!白夢さんが不利ですよ!」
確かに多対1になるけど、それは慣れている。それに、小南やレイジさん、烏丸さんや迅さんとやってたりしていたから、鈍ってはいない。
「白堊君は復帰したてだが、S級隊員の迅、他に小南桐絵と互角以上に戦える実力がある。その心配は無用だ」
「なっ!?」
「ボクは構いませんよ」
「白堊君もこの通りだ。嵐山隊には白堊君のデータを送る。白堊君にも嵐山隊のデータを送るから、準備をしてくれ。諸君も移動して欲しい」
忍田本部長がそういうと、新人達は正規隊員につれられていった。そして、ボクも移動し、戦闘ブースに入り、嵐山隊の戦闘データを確認する。
嵐山さんは瞬間移動の中距離、近距離を使い分けるオールラウンダー
木虎さんはワイヤーを使った近距離特化のオールラウンダー
時枝さんは、サポート特化かな?援護射撃、防御、連携……厄介だね……最初に落としておいた方がいいね
最後の佐鳥さんは……スナイパーか、それも、二丁持ち……一回で2発攻撃できるのが厄介だ。場所がわかり次第、
データを確認し終わったことを伝えると、嵐山隊もデータ確認を終えたらしく、イヤホンからうさみの声が聞こえた。
『やっほ~ハクちゃん。大変なことになったねぇ、まぁ安心しておきなさい!この私がハクちゃんを勝利へ導いてあげようぞ!!』
「うさみ、よろしくね?」
『大船に乗った気持ちでいなさい!!』
そして、嵐山隊との模擬戦が始まった。
<トリオン体転送開始>
転送がされると、市街地に転送された。
『ここは市街地aだね、ここは坂道と高低差のある住宅街だよ。スナイパーやシューターが有利になるステージだから気をつけてね』
「わかった」
<模擬戦闘 嵐山隊vs白夢白堊 スタート>
そして戦闘が始まった。遠距離攻撃が有利なら、隠れつつ移動しないと……!
『右の赤いビルだよ!』
「あっぶな……」
移動しようとすると右前方から狙撃をされた。サイド・エフェクトのお陰で避けられた。即座にエクスパイルをうさみが言っていた赤いビルのに撃ち込むが、すこし下にずれてしまった。着弾し、大爆発を起こさせると、ビルが崩れながら、土埃と衝撃波が襲ってきた。……ちょっと、威力を込めすぎたかな?
エクスパイルは鬼怒田さんと一緒に開発した、ブラストアンカーの新技だ。爆裂杭に更にトリオンを注ぎ込むことで、飛距離、貫通力、爆発威力を向上させた。消費するトリオンも通常の爆裂杭の18本分にもなるし、見た目も1メートルを超えるから、ばれやすいのが欠点。
通常は時間をかけて威力を調整するけど、とっさのことでトリオンを込めすぎたらしい。
<佐鳥ベイルアウト>
『え?』
「ん?」
『えぇぇえええ!?』
「一人減った、ラッキーだね」
スナイパーを落とせたのはラッキーだったね。これで近距離、中距離に集中できる。
「よし、どんどんいこう」
『お、おぉ~?』
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はぁ!?佐鳥先輩何してるんですか!?」
『いやぁ~……めんぼくない……』
通信で佐鳥がベイルアウトしたことで、木虎は激怒していた。佐鳥が狙撃したあと、
『あ~ふせがれちゃいましたねぇ…おろ?何か飛んできて……いや、あれは無視していドゴ~ンッ!!!!!!』
ということだった。佐鳥が当たらないから大丈夫という慢心をした結果、大爆発に巻き込まれてベイルアウトしたのだった。
「何が大丈夫ですか!ねぇ!?」
「落ち着け木虎、あの威力のデータは無かったんだ。だが佐鳥、油断するのはいけないぞ」
『すいません隊長……』
怒る木虎を嵐山がおさめつつ、嵐山も佐鳥を軽く叱る。すると、遅れて合流した時枝が
「白夢は高威力の遠距離攻撃が出来ることがわかりました。あの威力は厄介です。でも近距離だとシールドの意味が無くなるので、中距離戦闘をしましょう」
「「了解」」
「いました」
「よしそのまま……一斉射撃開始!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ん?……!!」
『ハクちゃん!後ろ!』
勘にしたがって後ろを振り向いた瞬間、マズルフラッシュが見えた。直ぐにシールドを張り防御をする。シールドを張りつつ、遮蔽物に身を隠す。
「うさみ、場所わかった?」
『うん。西側の青い屋根の家の近くだよ』
「ありがと」
多分三人一緒に動いてるんだろう。小南に嵐山隊は連携が鬼、と聞いている。出来れば各個撃破したかったけど……仕方ない。中距離は相手の間合いだから無理やりにでも接近戦に持ち込まなきゃな……
遠距離からエクスパイルを撃ち込んで紛れながら接近するしかないかな……いや………固まってるなら……引き剥がせば良い
そして、エクスパイルの準備し、三人の位置を確認する。よし………今!
三人の中央辺りにエクスパイルを撃ち込み、爆発させる。三人はギリギリでシールドを張り、ダメージは受けなかったものの、吹き飛ばされてしまった。周囲は土煙で包まれ、視界が悪くなり、嵐山が無事か確認するため、声を出してしまった。
「木虎!時枝!無事か!」
「はい!」
「大丈夫です!うわぁ!?」
そこか、時枝さんの声がしたところにワイヤーアンカーを撃ち込み、引っこ抜く。すると、方辺りを後ろから貫かれた時枝さんを釣り上げた。後ろを向く時枝さんの首をブレードで両断する。
「えぇ~、こんなのアリなのかな」
そう呟き、時枝さんはベイルアウトしていった。
<時枝ベイルアウト>
ベイルアウトを確認し、念のため、木虎の声がしていたところにブレードを射出し、通常の爆裂杭を装填する。
「きゃぁ!?」
ブレードが射出された先からは木虎の声が聞こえた。土煙がうっすらとブレードが太ももをかすってトリトンが漏れていた。すぐに木虎に爆裂杭を撃ち込み、爆発させる
<木虎ベイルアウト>
木虎をベイルアウトさせた瞬間、銃弾の弾幕が飛んできた。シールドで弾幕を防御しながら、エクスパイルを装填し直しながら撤退する。土煙が完全に張れると、嵐山さんが弾幕を張りながら突っ込んできた。
「うぉぉおお!!!」
瞬間、嵐山さん視界から消える
『ハクちゃん後ろだよ!!』
うさみの声を頼りに後ろを向くと、スコーピオンに持ち変えた嵐山さんが既に切りかかっていた。体を反らせて回避するが、左腕を持っていかれた。嵐山さんがボクのエクスパイルを見ながら
「この距離なら君と相討ちに持っていけるだろう!!」
相討ち狙いか、確かにこの距離でエクスパイルを使えばボクもベイルアウトするだろう。
「残念だけど、ボクは死なないよ」
そういって、エクスパイルを射出し、嵐山さんの胸を貫く
「ははは………爆発しないのか………」
<嵐山ベイルアウト>
<戦闘終了 勝者白夢白堊>
こうして模擬戦はボクの勝利で終わった。
戦闘表現難しいなり!!