若手の陸自幹部さん、トレセンに行く   作:Ο(オミクロン)

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トレーナーのヒミツ⑫
実は、自衛隊オタク。


あらすじ
アグネスタキオンの薬によりパワーアップした川原。圧倒的パワーを前にトレーナーは追い詰められるが、スタミナ不足という弱点をつき、逆転。これを制圧する。しかし、無理が祟ったのか気絶し病院送りとなった。


13話 怒闘の後に

ふと目が覚める。目を開けると視界には見慣れない天井と見慣れたアメジストの瞳が目に入る。

「…っ!?トレーナー君!やっと目が覚めたんだね!」

目を開けるやいなや、シンボリルドルフに思いっきり抱きつかれた。

「や、やあ、ルドルフ……ちょっと苦しいかも…。いてててて…。」

「あ、ごめん…。」

気持ちは嬉しいが、満身創痍の身体にウマ娘パワーの抱擁は痛すぎる。

僕が痛がってるのを見て、シンボリルドルフは抱きしめる力を少し緩める。

「それはそうと、ここはどこの病院なんだ?」

「ここかい?ここは、メジロ家が所有する病院だよ。」

川原と闘って気絶した後、ここまで運ばれたのだろう。

「僕が倒れてから何日が経っているの?」

周りに日付を確認できる物がないので、シンボリルドルフに聞いてみる。現状がつかめない以上、聞きたいことは山ほどある。

「あれから、2日経っているよ。聞きたいことは山ほどあるだろうが、まずは、お医者さんを呼ぼう。」

ひょっとして僕の心読んでいるのだろうか?そう思わせるほどの察しの良さだ。

彼女はスイッチを手に取り、ナースコールを押した。

 

数分後、お医者さんが来た。

「あぁ、よかった。意識が戻ったんですね。」

そう言って彼は安堵の表情を浮かべた。

「えぇ、ご心配をおかけしました。」

「いえいえ、本当に良かったです。どこか痛いところはありますか?」

「そうですね。全身が筋肉痛なのと、打撲した箇所と切り傷が痛みます。」

「わかりました。鎮痛剤を出しておきますので、安静にしてください。何かあれば、すぐナースコールを押してください。」

「ありがとうございます。」

「それじゃあ私はこれで失礼します。」

そう言ってお医者さんは病室から出て行った。それを確認し、2人で軽く頷き本題に入る。

「さて、トレーナー君。お医者さんも帰ったところで、色々と聞きたいことがあるだろう。こちらからも伝えたいことがあるんだ。」

まず聞きたいことといえば。

「あの後、何があったのか教えてくれないか?川原はどうなった?」

そう言うと、彼女は真剣な眼差しでこう言った。

「まずは川原についてだが、アグネスタキオンにより退化薬を打たれ、駆けつけた警察に連行された。今は取り調べを受けているだろう。間違いなく起訴されるはずだ。」

当然の結果だ。だが、チーム『フォース』はトレーナー不在となる。

「チーム『フォース』はどうなるんだ?」

「ああ、彼のチームなんだが、すでに解散した。」

まあ、これも当然といえばそうだろう。川原の作ったチームなど誰も残りたくないはずだ。となると、1つ疑問が生まれる。

「じゃあ、ライス達はどうなったの?」

「栗毛の子達2人は他のトレーナーのもとに行き、ミホノブルボンは同期トレーナーのチームに、そして、ライスシャワーとカレンチャンは……。おっと。」

「え?なになに?」

「2人はそろそろここに来ると思うから、ここから先は本人達から聞いてくれ。他に何かあるかい?」

続きが気になるが、彼女が終わりと言えば終わりだ。

さっきまでは色々と聴きたいことがあったが、安心したためだろうか、その気持ちはなくなってしまった。

「なし。」

「わかった。では、私から伝えることがいくつかある。まず、今回の件を受けて、URA幹部の大幅な人事異動が行われた。」

川原の親戚の悪事を見て見ぬふりをしたということで世間から大顰蹙を買ったそうな。沈静化のためにも、人事異動は速やかに行われたとのこと。

組織の自浄作用が働くのは良いことだ。

「この人事異動で、元トレーナーの若手職員が幹部に就任したりもしたんだ。」

この人だ。と人事異動の資料を見せてくる。件の幹部の名は、樫本理子という名前だそうだ。

「へー!すごいじゃん!」

若くして大組織の幹部を務めるのは本当にすごい。尊敬する。

「ああ、他にも、実績のある人物が幹部に選ばれたんだ。これで、URAの体制が大きく変わるかもしれない。」

ぜひとも、新しい風を吹かしてほしいものだ。

「他にも報告がある。テイオー達のデビュー戦についてだ。」

「あぁ……それね。大丈夫なの?トレーニングとか精神面とか。」

「心配無用。無事に出走できそうだよ。みんな、君に酷いことをしてしまった分、デビュー戦の勝利をもってその罪を償いたいと言っている。」

薬のせいだから別に気にしなくても良いのに。

「ちなみに、レースは7月某日の日曜日だ。」

「その日はと言うと…。」

「明日だ。」

「明日!?」

なんというベリーバッドなタイミングだろうか。

僕の不安とは対照的に、シンボリルドルフは心配ないと言った感じで頷いている。

しばしの静寂のあと、コンコンとドアがノックされ、二人のウマ娘が入ってきた。

「起きてるかな?お兄ちゃん。」

「お邪魔します。お兄さま。」

その声の主はライスシャワーとカレンチャンであった。

「やあ、2人ともよく来てくれたね。」

先ほどの不安を隠すように気さくに振る舞う。2人は僕の姿を確認すると共に駆け寄り、思いっきり抱きついてきた。

「いってぇーーーー!!!!!!」

本日2度目のウマ娘パワーの抱擁を味わい、絶叫するのであった。

 

 

しばらく経ち、痛みも治まってくる。

だが、ライスシャワー達はいまだに僕にしがみついて離れない。2人がどれだけ心配してくれたのかがわかる。

「心配かけてごめんね。」

2人の頭をポンポンと優しくタッチする。

「ううん、無事でよかったよ。お兄さま。」

そう言うライスシャワーは目元に若干の涙を浮かべていた。

見ると、カレンチャンの方も少し涙ぐんでいた。

しばらくして。

「お兄ちゃん。」

カレンチャンは改まった様子で声をかけた。

「何だい?」

「あのね、2人でずっと言いたかったことがあるんだけど、聞いてくれる?」

一体なんのことだろうか。これは聴いてあげねば。

「もちろんだよ。」

「ありがとう!じゃあ言うね。」

2人は深呼吸して言った。

「「私のトレーナーになってください!!」」

「こちらこそお願いします。」

即答した。川原の件が片付けばそうするつもりだった。

あまりの返事の早さに、シンボリルドルフもニッコリ。なるほど、彼女が言わんとしてたのはこのことか。

2人は嬉しそうにこちらを見る。

「やったー!!これからよろしくね!お兄ちゃん!」

「これからよろしくお願いします!お兄さま!」

「うん、改めてよろしくね。」

こうして、僕の元に新たな担当バが誕生したのである。

その後は、2人の今後の予定を話し、時間になったといったところで帰って行った。部屋にはまた僕とシンボリルドルフの2名だけになる。

「そうだ。テイオー達から、起きたら教えてほしいと言われているんだ。トレーナー君、声を聞かせてあげてくれないか。」

彼女はどこかにあった僕の携帯電話を手渡してきた。

「わかった。今から電話しよう。」

トウカイテイオーに電話をかける。

3コールほどで繋がった。

『トレーナーなの?』

「やあ、テイオー。」

『トレーナーだ!みんなー!!』

電話越しにみんなを呼ぶ声がする。

『え?ホントにトレーナーさんですの?』

『うん。トレーナー。』

『わぁ〜ホンモノだぁ〜。』

『目が覚めたみてえだな。』

担当の子達の声がする。すると、音声通話からビデオ通話に切り替わる。みんなトレーニングをしていたのかジャージ姿だった。

「やあ、みんな。レース前日なのに精が出るね。」

『うん。だってボク達の晴れ舞台だからね!』

『明日は頑張りますわ。』

『絶対勝つから!』

デビューする3人はやる気まんまんなようだ。

『帰って来たら、退院祝いと祝勝会兼ねてパーティだな!』

唯一デビュー戦に出ないゴールドシップがそんな提案をする。

「あぁ、楽しみにしているよ。」

その後、少し話をして電話を切った。

「みんな、張り切っていたね。」

「それもそうだろう。これから夢に向かって走り始めるのだからね。」

彼女達は、無敗の三冠や天皇賞制覇、楽しく走るなど形はそれぞれだが、今まで、その夢に向かって生きてきたのだ。その夢を支え、共に走り抜くのが僕の使命といえる。

「ところで、トレーナー君。」

「どうしたの?」

「最後の報告があるんだが、いいだろうか?」

「もちろん。」

「実は、トレーナー寮にお邪魔してね、君の郵便受けにこれが入ってたんだ。差出人は自衛隊の方だ。」

シンボリルドルフから封筒を渡される。

開封すると、当然だが、中から紙が出てくる。

「これは?」

「見た感じ何かの案内のようだね。」

紙をめくるとそこには…。

「か、幹部レンジャー!?」

幹部レンジャーの募集要項であった。

「トレーナー君。幹部レンジャーってなんだい?」

シンボリルドルフは

「幹部レンジャーは陸上自衛隊における資格の一つで、ゲリラコマンド、言わば、特殊な任務を遂行するための技能を身につける教育訓練があるんだ。僕のような幹部自衛官は指導法も学ぶよ。ただ、陸上自衛隊でも最も過酷な訓練だと言われる。」

「そんなものがあるんだね。」

「うん。以前から、受けたいなとは思っていたんだ。」

「ふむ。それで、この紙は、その幹部レンジャーの教育を受けろということだね?」

「そうなんじゃないかな?でも、強制でもなさそうだし、君達のトレーニングもあるからなぁ…。」

すると、もう1枚紙が出てくる。

「これは……?」

ウマ娘教育隊長からの手紙だった。その手紙を読んでみる。

 

トレーナー君へ

この手紙に同封しているのは、幹部レンジャーの募集要項です。見りゃわかるか。君にこの件について話が来ているんだ。実は私も一枚噛んでいる。詳細は追って連絡する。

 

追伸

君の活躍は秋川さんより聞いてるよ。面白い日々を送っているんだね。

 

ウマ娘教育隊長より

「教育隊長……。」

「上司からの手紙だね?幹部レンジャーと何か関係が?」

「ある。どうやらこの件はさらに上の人間も絡んでいるような気がするよ。ちょっと不安になってきた…。」

「何があろうと心配無用だ、トレーナー君。それで、受けるのかい?幹部レンジャーを。」

「…まあ、保留だね。」

「…そうか。まあ、君の好きにすると良いよ。きっと、同期トレーナーも協力してくれるだろうしね。では、用件も終わったし、私はそろそろ帰ろうかな。みんなの引率に備えて休んでおかないと。」

「うん。じゃあね。」

シンボリルドルフは部屋を出て行った。

「…急に暇になったな…。」

とは言ったものの、募集要項に目を通したり、携帯を扱ったりしていると、いつしかまぶたは重くなっていった。

 

 

『川原容疑者の悪行は未然に防ぐことができなかったのでしょうか。それではCMです。』

明くる日の午後。

病院の娯楽室でテレビを観ている。川原の件でトレセン学園のニュースばかりが映っている。これでは気が滅入る。隣のおじいさんもそう思ったのか、番組を変える。

時間が経つと、レースの映像が映る。デビュー戦を迎えるウマ娘の紹介があり、その中にはもちろん、担当の子達もいた。

「いよいよ始まるのか……。」

心臓がバクバクしているのを感じながら、かじりつくようにテレビを観る。

「おい、兄ちゃん。今日走るウマ娘はみんなかわいい子ばっかだな。」

隣の椅子に座ってるおじいさんに話しかけられる。

「そうですね。みんな可愛いですよね。」

「おうよ!俺の孫も1人がウマ娘でな!それが、めっちゃかわいくってなぁ。」

おじいさんが話し始めると止まらない。孫の自慢話がどんどん続く。

「そういえば、あんたはトレーナーさんかい?」

「まあ、そんな感じですね。」

「そうか。若いのにすごいねぇ。」

「おっ!レースが始まるぞ!」

他愛のない話をしていると、後ろの席のおじいさんが興奮してレース開始を告げる。

ついに来た。今日のデビュー戦は3レースあるようだ。それぞれのレースに1人ずつ担当の子達が走る。

まずはトウカイテイオーだ。

『ゲートイン完了。出走の準備が完了しました。』

『スタートしました!一斉に飛び出していきます!先頭はトウカイテイオー!…。』

「頑張れ、テイオー。」

トウカイテイオーはなかなか良い位置にいる。これなら勝てるかもしれない。

「うぉぉ!!行けェ!!!」

「頑張れー!」

「いけー!」

いつの間にか集まっていたのか周りからも声援が上がる。

『最後の直線!先頭は依然、トウカイテイオー!強い!』

そのまま大差をつけトウカイテイオーがゴールした。

『トウカイテイオー圧勝でゴールイン!!』

「やったぁ!!!」

「すげぇな、あの子は。」

「いい走りだったぜ。」

「すごかったわね。」

周りの人達からは称賛の声が上がる。

「残りのレースも楽しみだな!兄ちゃん!!」

「そうですね。きっと、みんなやってくれますよ。」

次は、メジロマックイーンが出走する。

「頑張れよ。マックイーン。」

「おぉ!メジロ!この子はここの病院の保有者のご令嬢か!」

「こりゃ、応援しなきゃだな!」

『3枠6番、メジロマックイーーン!!!』

観客から割れんばかりの声援が送られる。生で観れないのが悔やまれる。『ゲート入り完了。出走準備が整いました。…スタートしました!』

スタート直後、すぐに先頭に躍り出る。

「いいぞォ!!」

「その調子だァ!!」

周りも盛り上がる。

その後、中盤に入っても先頭をキープし、2番の子から6バ身も差をつけている。

さあ、終盤だ。

「いけェ!いけェ!」

「頑張るんだよ〜!」

「いっけぇええ!!」

『残り200m。メジロマックイーン!突き放していく!』

「あと少しだ!がんばれー!」

『ゴールイン!勝ったのはメジロマックイーンだ!』

「おっしゃあああ!!!」

「よく頑張った!お嬢様!」

「いい勝負だったぞ!」

「いやぁ!良かった!」

周りの人にも祝福されている。

「いやぁ……、凄いね。」

「うん……。やっぱり凄いな。」

興奮冷めやらぬ中、次のレースが開始される。

『1番人気はこの娘、ファインモーション!』

「この子はアイルランドのお姫様じゃないか!」

「お姫様がGIを走る姿を見れるのかい!?」

「面白くなりそうわい。」

『さて、ゲートに入りました。』

『スタートしました!』

「おぉ!来たぞ!」

「いいスタートだ!」

ファインモーションは中団の位置にいる。

「いいぞ、ファイン。」

『第2コーナーを回って向こう正面へ!先頭は変わらず…!』

後続との差は広がっている。このまま1着争いに持ち込めそうだ。

終盤、ファインモーションは仕掛ける。

「よし、来るぞ!」

「頑張れー!」

「いいぞー!」

『ここからスパートをかけていく!』「いけぇぇぇ!!」

「もうちょっとだ!頑張れぇ!!」

『ファインモーション!抜け出した!!』

「うぉぉ!いけぇぇ!!」

「いいぞぉ!!」

『速い!!差は広がるばかり!』

「行ける!いける!!」

『ゴールイン!勝ったのはファインモーション!見事、1着でゴールインです!!』

「おっしゃああ!!」

「ナイスファイト!」

「最高だよぉ!」

気づくと娯楽室内は老若男女、様々な人で溢れていた。

「いやぁ!本当に凄かったねぇ!」

「そうじゃな。ワシもびっくりしたわい。」

「わし、感動しちゃったわい。」

娯楽室は拍手喝采に包まれる。

こうして、3人のデビュー戦は見事、みんな1着で終わったのであった。

 

 

デビュー戦後の夜、みんなにお祝いメッセージを送るとともに、自衛隊の仲間やトレーナー達からお祝いのメッセージが送られてきた。その中に、ウマ娘教育隊長からのもあったのだが。

『デビュー戦勝利おめでとう。今日の君が担当している子達の走りは見事なものだったよ。ぜひとも、実際にお会いしたいよ。』

どうやら担当の子達を気に入ったらしい。

見舞いに来てくれた同期にこのことを伝えると。

「あはは!良いことじゃん。」

ケラケラと笑っていらっしゃる。ちなみに、同期のチームにも会ってみたいと声がかかったらしい。

2人で世間話をしていると、その教育隊長から電話がかかってくる。

「トレーナー3尉です。お疲れ様です。」

『おお!トレーナー君!今日はホントにおめでとう!任務については順調かね?』

「ありがとうございます!任務の方についてはそうですね…。なんとも言えないです。」

『ははは!そうだろうなぁ!…少し見直す必要があるかもな…。』

「でも、なんとかやっていきます。」最後の方は何を言っていたのか聞こえなかったが、諦めずにやり遂げる旨を伝える。

『うん、その意気だ!頑張ってくれ。』

「はい!」

『そうだ!お話が3つあってね、時間あるかい?』

「はい、大丈夫です。」

『1つ目。実はな、秋川さんから、君の担当の子達に取材したいという記者がいるから、その許可をお願いしたいと言われてね。』

トレセン学園で勤務する自衛官を取材するには、教育隊長に話を通して、各幕僚監部からのOKをもらう必要がある。

ちなみに、自衛官トレーナーというのは話題性があるのか、よく取材されることが多いと聞く。各幕僚監部も滅多なこと以外は許可するらしい。今回は僕がその対象のようだ。

『そこで、君のトレーナー生活の様子なんかを撮影してもらっても良いかな?後日、秋川さんから話がいくだろう。陸幕にはこちらから話を通しておく。』

「了解です!」

『2つ目は、ちょっとした事情聴取だ。』

教育隊長の声のトーンが急に真面目になる。

『秋川さんより今回のURAとトレセン学園の騒動について聞いたよ。聞けば、直接的にも間接的にも君が関与しているそうじゃないか。』

「う、そうですね…。」

『そう身構えるな。別に処分するつもりはないよ。ただ、何があったか教えてほしい。』

生徒達があるトレーナーからパワハラを受けたこと、それを救うために色々と画策したこと、そのついでで親族であるURA幹部を免職に追い込んだこと、薬の影響で学園のウマ娘達が暴徒と化したこと、黒幕のパワハラトレーナーを懲らしめたこと等々、今回の事件の全てを教育隊長に説明した。

『そんなことが。やっぱり、君は面白い生活を送っているんだな!いやー、愉快愉快!』

先ほどの真剣さはどこへやら、教育隊長はゲラゲラと笑った。

『色々あったようだが、結果的にその生徒さん達は君に救われたわけだ。やるじゃないか!でも、これで君を敵に回してはいけないのがわかったな!なんせ、君のバックにはメジロ家にアイルランド王国がいるからね!ああ、シンボリ家もいるな。…あそこは政治関係者が多いからな……。』

そう言われて気づく。権力がバックにいるのは川原だけではなく、僕もそうだということ。さしずめ、毒をもって毒を制したといったところだろうか。

『じゃあ、最後の用件ね。』

「あ、はい。」

おっと、いけない。集中しなければ。

『君には、今年、幹部レンジャーの資格を取ってもらいたい。』

予想外の言葉が飛び出した。そして、それは地獄の幕開けとなるのだった。




ご無沙汰しております。
リアルが忙しく、筆が進まない状況の中、何とか投稿することができました。
次は12月頭を目処に新章に突入できるように頑張ります。
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