若手の陸自幹部さん、トレセンに行く   作:Ο(オミクロン)

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主人公のヒミツ④
実は、トレセン学園の同僚達からは『隊長』と呼ばれている。


サブタイトルの由来は某ヤバいですねのゲームからです。
王女つながりで、あのキャラの登場です。


5話 王女連結

川原の後ろ盾を処理する計画は順調だ。あとは実行に移すのみ。

メジロマックイーンから連絡が来る。

昨日の今日で実行にまで移せるとは流石だ。仕事が早い。

確実に川原を追い詰めている。

 

しかし、こうも計画が順調に上手くいくと不安を感じる。

このままいけば川原はひとたまりもないだろう。

それはいいのだが、何か見落としがあるのではないか?

川原の奴、何か企んでいるんじゃないか?

そう思うと僕は落ち着かなくなった。

 

杞憂だろうか?

 

川原に対して不安は尽きないが、本来の業務は怠るべきではない。

僕は選抜レースの会場に来ていた。

ここで、あるウマ娘の走りを観るためだ。

 

そのウマ娘の名はファインモーション。

 

「あ! トレーナー!」

会場に入り、観客席に向かおうとすると、僕を呼ぶ声がする。

振り向くとそこにはファインモーションがいた。

「どうしてここに?まもなく出走なんじゃ…。」

「見つけたから、声をかけてみたんだ♪」

ファインモーションは屈託のない笑顔を浮かべて言った。

 

「それはありがとう。レース前だけど、緊張はしないのかい?」

「大丈夫!何度も選抜レースに出てるからね!」

あっけらかんとそう答える彼女。

ただ、何度もこのレースに出ているということは…。

「私、今日のレース頑張るから応援してね♪」

そんな僕の心配をよそに、ファインモーションは僕の手を握り、目を輝かせながら言う。

周囲から殺気を感じる…。

「ああ…。頑張ってくれよ。」

殺気のありかを探りつつ、ファインモーションを送り出す。

 

彼女は満足した様子でコースへ向かって行った。

さて、こちらもレースを見学するとしよう。

止まない殺気を感じつつ、再び観客席に向かって歩き出した。

 

 

ファインモーションは選抜レースで見事1着をとった。

見事なレース運びだった。

レース後、ファインモーションに話しかけられた。

「トレーナー!私の走りどうだった?」

ファインモーションは少し興奮しているようだった。

「凄かったよ!目が離せなかった…圧倒的じゃないか。」

「ホント!?︎やったぁー!!︎」

ファインモーションは飛び跳ねるように喜んだ。

 

さて、そろそろ本題に入ろうか。

「ファイン、契約の件なんだけど…。」

「うん!」

彼女は嬉しそうな表情のまま、こちらを見る。

「ぜひとも、僕の担当になってもらえないか?」

「うん!モチロン!」

こうして、ファインモーションとの契約が決まった…と思いきや。

「それは困ります。殿下。」

背後から声が聞こえる。

振り返るとそこにはスーツを着たウマ娘の姿があった。

先ほどと同じ殺気を感じる。

なるほど、あの殺気は彼女から発せられたものだろう。

「あ、隊長!」

「隊長?」

ファインモーションの言葉を聞き、スーツ姿のウマ娘を観察する。

思い出した。ファインモーションと初めてあった時にすれ違った、あのスーツのウマ娘だ。

彼女は無言で僕を見つめてくる。そして、口を開いた。

「はじめまして。私は殿下の身辺警護を任されてるSP隊長です。以後、お見知り置きを。」

「これはご丁寧に。僕はシンボリルドルフ達を担当しているトレーナーです。よろしくお願いします。」

お互いに挨拶を交わし、本題に入る。

「困るとはどういうことですか?」

尋ねるとSP隊長は険しい表情で言った。

「殿下はその御身の安全を第一に日本に来られています。レースなんてさせると安全の確保が難しくなります。先程の選抜レースも日本のトレセン学園がどのようなものかを知るために父君と調整してやっと参加した例外なものです。加えて、貴方のような新人と契約したとなると父君への説明も難儀します。」

確かに彼女の言うことはごもっともだ。

ファインモーションはアイルランドから来たが、とある国の王族の末裔でもある。そして、父親は政府の高官である。

そんなVIPの担当トレーナーが新人、それも自衛隊から来た余所者であればそうは問屋が卸さないだろう。

 

だが、こちらもおいそれと引くわけにはいかない。ファインモーションの才能は本物だ。この機会を逃したくはない。何よりも、彼女の走りたいという願いは立場関係なしに尊重されるべきだ。

「隊長さん。僕だって考えなしに彼女と契約するわけではありません。」

「ほう? であれば、貴方のお考えを聞かせてください。」

「僕はウマ娘のトレーナーであると同時に、自衛官でもあります。」

「自衛官?ほう……。」

自衛官という単語を聞いて、彼女は腑に落ちたのか、表情を和らげる。

上手く行った、これはいけるか?

「僕は、トレーナーとしてはもとより、幹部自衛官としてウマ娘を指導する立場にいます。当然、中央トレーナーのライセンスもあります。だからここにいるんです。確かに、アスリートの指導者としては未熟ではありますが、そんな僕を信じて契約を結んでくれた娘達もいます。僕は彼女達と共に成長していきたい。」

熱意と勢いを込めて説得する。

「……なるほど、言いたい事はわかりました。しかし、それでもやはり我々は了承できません。」

「それは何故ですか?」

「殿下の身の安全を守ることが我々の使命だからです。そのためには、負傷者が続出するトゥインクルシリーズには参加させられません。アイルランドのそして、祖国のために邁進される殿下の夢を守るため、我々は断固として反対します。」

「……それはファインのためってことか?」

語気を強めて言ってみる。

「えぇ。そうです。」

「ならば、彼女が今やりたいことを支えるのもまた彼女のためじゃないのか?」

「それは……。」

「それとも、僕の事を認めたくない理由でもあるんですか?」

「そのようなことはありません!」

「それなら、僕を信用して下さい。」

「しかし……。」

「いいじゃない♪」

僕とSP隊長が話し合っていると、ファインモーションが割り込んできた。

 

「殿下!何を仰っているのですか!?︎」

ファインモーションの言葉にSP隊長は慌てた様子を見せる。

「だって、彼、すっごく真面目な人だよ。大丈夫だよ♪お父様には私からも伝えておきます。」

ファインモーションは無邪気に言う。

「い、いえ……しかし……」

「もう決めたの♪」

「……はぁ、分かりました。」

結局、ファインモーションに押し切られる形でSP隊長は折れてくれた。

ファインモーションの希望もあり、今後は僕の元でトレーニングすることとなった。

「殿下のご決断であれば、我々SPはそれに従います。」

こうして、僕に新しい仲間ができた。

「今まではここで走ることなく、走る喜びも感じず、ただ単に生活を送るだけだと思っていた。でも、私はここで走る喜びを知った。これからは仲間達とレースを通じて語り合える!キミのおかげで良い思い出ができそうだよ!」

ファインモーションの喜ぶ声が聞こえた。

 

 

「素敵な仲間が増えますよ!」

午後のトレーニングの時間、担当のみんなにそう伝える。

「大慶至極。私とテイオーだけだったのも大分賑やかになるな。」

シンボリルドルフは満足げにしている。

「楽しみだね〜。ボクも早く会いたいなぁ〜」

トウカイテイオーはウキウキしている。

「あの、トレーナーさん。その方とはどこで会えるのでしょうか?」

メジロマックイーンは少し不安そうな表情で尋ねてくる。

「心配しないで、マックイーン。直に来ると思うから。」

 

すると、扉を叩く音がする。

 

「トレーナー、入っても良いかな〜。」

「入って、どうぞ。」

扉越しに声が聞こえたので、入室許可を出す。

「はじめまして、ファインモーションと言います。これからよろしくお願いします!」

ファインモーションが挨拶をする。

「はじめまして。私はシンボリルドルフだ。生徒会の会長もやっている。これから切磋琢磨し頑張っていこう。」

「ボクはトウカイテイオーだよ〜。よろしくね〜。」

「はじめまして、私はメジロマックイーンですわ。よろしくお願いします。」

「ゴールドシップだぜ!よろしく頼むぜ!!」

おっと、招かれざる客を確認。

 

「おいこら、君とはまだ契約してないでしょうが。」

「まあ、細かいこと言うなって、な?」

「全く、あなたという人は……。」

メジロマックイーンはため息をつく。

「まあ、でもマックちゃんがいるなら、正式に担当契約するのもアリだな。」

ゴールドシップは言う。

「ちょ、ちょっと、何言ってるんですか!?︎」

「ん? 別に問題ないんじゃねえか? なあ、トレーナー?」

「ああ、そうだね。」

「貴方はなんで落ち着いているんですの!?」

「いや、ゴルシだし。」

「そういう問題ではありません!」

流れでゴールドシップとの契約も決まる。

「なんだか楽しくなりそうだね♪」

ファインモーションが微笑みながら言う。

「これからもっと楽しくなるさ。きっとね。」

「うん、そうだよね♪」

ファインモーションは満面の笑みを浮かべていた。

 

これで、僕は5名のウマ娘を担当することになる。

「新しく2人を迎えたところで、早速トレーニングを始めようか。」

「了解だ。」

「おー!」

「参りましょう!」

「レッツゴー!」

「おう!」

みんなの元気の良い返事を聞き、トレーニングを開始する。

 

「課目、レーストレーニング。細目、模擬レース。着眼、自分の能力の確認。」

レース勘の涵養はもちろんのこと、5名の実力を認識するために行う。

レース等を通してシンボリルドルフ達についてはその実力を把握はしているが、ゴールドシップについては未知数だ。

また、5人で走るとなると今までとは違った発見があるので、非常に有意義になるだろう。

 

「本日は模擬レースを行う。君達の適性を考慮し、今回のレース距離については中距離2000メートル、バ場は芝で良バ場となる。ここでは、各人の実力を今一度確認してもらいたい。あわせて、レース勘も養っていこう。何か質問は?」

僕が尋ねると、1番に手を挙げたのはファインモーションだった。

「はい、ファインモーション。」

「この勝負、ルドルフ会長が勝つんじゃないの?」

「わからない。」

「えぇ!?︎」

僕の答えを聞いたファインモーションは驚いた表情を見せる。

「いくらルドルフが強いと言っても、レースに絶対はない。現にルドルフは昨年、カツラギエースに一度は負けてる訳だし。それに、今回は勝ち負けではなく、自分の実力を知ることに重きを置いて欲しいんだ。」

「うん、わかったよ!トレーナー!頑張るね!」

「私も全力を尽くしますわ!」

「アタシも本気出すぜ〜。」

みんなやる気十分だ。

「では、30分後に実施する。じ後の行動にかかれ!」

「「「「「はい!!」」」」」

5人は一斉に散り、それぞれ準備運動をしたり、柔軟したり、アップを始める。

 

しばらくして、出走の準備ができたようだ。

「位置について…用意…」

一呼吸おいて…

「スタート!!!」

その合図と共に5人はスタートする。

 

 

序盤の順位を見ると

1番手メジロマックイーン

2番手トウカイテイオー

3番手シンボリルドルフ

4番手ファインモーション

5番手ゴールドシップ

となる。

まとまることなく、離れすぎずな位置関係だ。

それぞれが得意な脚質で走っているのだろう。

 

中盤に入ると、先頭を走る2人の差が広がり始める。

「残り1000メートル。このままだとマックイーンが逃げ切るかな。」

みんなはどこで仕掛けるだろうか、目が離せません!

そんなことを考えていると、外から一気に追い上げてくる者がいた。

「あれは、ゴルシ!?︎」

なんとゴールドシップが後方から一気に追い上げてきたのだ。

「これはすごい!!ゴルシがどんどん前に出て行く!」

それにつられてか、シンボリルドルフ達も加速していく。

いよいよ、どうなるかがわからない。

「ここで仕掛けてきたか!では私も本領発揮といこうか!」

シンボリルドルフがメジロマックイーンとトウカイテイオーを抜かし、先頭に躍り出た。

ゴールドシップも負けじと追いすがり、2番手になる。先頭争いはこの2人になりそうだ。

「今日のアタシは佐賀からここまでアップしてきたからな!暖気運転はバッチリだぜ!」

レースが終盤に入る。

相変わらず、2人の先頭争いだ。

2番手のゴールドシップと3番手のメジロマックイーンとは2バ身離れている。

「ギアをあげるか!」

「フフッ、これは楽しめそうだな!」

ゴールドシップが少しづつ詰め寄っていく。シンボリルドルフも負けじと速度を上げる。

そして、ついにゴールだ。

勝ったのはシンボリルドルフ。2着はゴールドシップ。

その差は一バ身だった。

3着はメジロマックイーン。4着はトウカイテイオー。クビ差だった。

5着はファインモーション。

トウカイテイオーとは2分の1バ身だった。

 

「お疲れ様。」

息を整えてるみんなの前まで近寄る。

「危なかった…。」

「はぁっ、はあっ、はあ、はあ……」

「はあっ、はあっ……ふう。」

「うぅ、悔しいなぁ……。」

「くそぉ、負けた!」

各々感想を言う。やはりと言うべきか、ゴールドシップが一番悔しそうにしている。

 

「ゴールドシップ。」

「何だよ、トレーナー。」

「ルドルフ相手によくやった。ナイスガッツ!」

「……へ?」

「頑張った!」

「お、おう!」

「あと一歩だったね!」

「まあな!」

「でも、すごく良かったよ!」

「ったりメーじゃん!」

「次は勝て!」

「ああ!」

 

「トレーナ〜。」

「はい、どうした?」

「ボクは?」

「もちろん、テイオーもよくやったぞ!」

「えへへー!」

「ただ、もう少しスタミナをつけないとな。」

「分かった!これから頑張るよ!」

 

「わたくしもよろしいですか?」

「ああ。マックイーンもよく走ったと思う。」

「うふふっ♪」

「スタミナでごり押す戦法を使えるかもしれない。今後はパワーつけようね。」

「ええ。承知しましたわ。」

 

「トレーナー、私も〜。」

「ファインも良く頑張ってたよ!」

「わあい!」

「これからは基礎を中心に鍛えてみるか。」

「うん!」

 

「私もいいかな?トレーナー君。」

「ルドルフも不調子ながらすごかったよ!足のケア、万全にしていこうね。」

「了解した。」

と、それぞれに評価を下した。

これなら、4人はデビュー戦で闘えそうだ。シンボリルドルフは足の調子次第で宝塚記念に出走だ。

その後、トレーナー室に戻り、諸連絡を行い、時間が来るまでみんなとおしゃべりした。

「それでは、皆、今日はここまで。明日は休みにするから、身体を休めたりして自由にしてほしい。」

解散の号令をかける。

 

みんな、帰りの身支度をしている。

「トレーナー君。今日もお疲れ様。」

「バイバーイ!」

「失礼しました。」

「またねー。」

「バイビー!」

騒がしかったこの部屋も一気に静かになる。さっきまでの賑やかさが嘘みたいだ。

「よし、僕も帰るか。」

荷物をまとめ、寮へ向かう。

「オイ、てめェ。」

その途中、とあるウマ娘に声をかけられる。

彼女は…。

「エアシャカールか。どうしたの?」

僕がそう聞くと、エアシャカールは目を細めて睨みつけてきた。

「えっと……?」

「てめェに話がある。少し付き合え。」

 

 

「それで、話って…。」

「ファインと担当契約を結んだだろ?それが何を意味するのか、わかってるよなァ?」

エアシャカールの言葉を聞きながら、僕は考える。

考えうることは…。

「1歩間違えれば、ファインモーションとの契約を破棄されるかもしれないってこと?」

「…それも間違いではねェが、言いたいことはそうじゃねェ…。」

そう言うと、エアシャカールはため息をつく。

そして続けた。

 

「知っているかもしれねェが、アイツはとある王族の末裔で父親は政府高官だ。そんなヤツと契約するってことがどういう意味を持つかわかっているのか?」

「それは…。」

「アイツに何かあったら、それは即ち国際問題だ!下手すりゃ国同士の戦争にだってなりかねない。」

さらに彼女は続ける。

「他国の軍人に自国の役人の娘の面倒を任せているもンだ。お前ならこれがどういう意味かわかンだろ?」

そこまで言って、エアシャカールは改めて僕を見る。

「知り合いのよしみで忠告しといてやらァ…。アイツの担当トレーナーは生半可な気持ちで務まるモンじゃねェ。それこそ全てを失う覚悟がなければな。」

 

彼女の言っていることは最もだ。わざわざ時間を取って忠告してくれるあたり彼女の優しさが伺える。

「覚悟か…。覚悟ならないことも無い。」

「ンだァ?…その煮え切らねェ返事はよォ。純文学か?」

僕の返答を聞いたエアシャカールは、少し苛立ちを含んだ声で言った。

「ファインとの契約を決めたのは他でもない、僕だ。その決意には当然、覚悟がある。」

「ハッ!よく言い切った!まァお前ならそう言うと思ってはいたンだがな。ただ、覚悟があったところでどうにもならねェこともある。その時にお前が培って来たものが試される。まあ、ロジカルに行こうぜ。」

精々励めよと言い残し、彼女は去る。

口調は乱暴だが、僕のことを思って言ってくれたのだろう。

 

「トレーナー様。」

エアシャカールからの言葉を反芻していると、声をかけられる。

後ろを振り返ると、そこにはSP隊長がいた。

「聴かれてましたか…。それで、どうかされましたか?」

「貴方に伝えたいことがあります。」

そう言うと、彼女は真剣な表情でこちらを見つめた。

「まずは、午前の件、申し訳ございませんでした。殿下の身を守ることに固執しすぎたがゆえに、本心を蔑ろにしておりました。それを貴方に気づかされました。」

彼女は頭を下げて謝る。

「そして、殿下と契約してくださり、ありがとうございます。あのように嬉しそうな顔を見たのは久しぶりです。」

そう言うと、彼女は優しく微笑む。

「殿下と契約している限り、これからは貴方も護衛対象です。不束者ですが、よろしくお願いします。」

「は…はい。こちらこそよろしくお願いいたします。」

突然のことに面食らうも、なんとか返事を返す。

 

「どうか敬語はよしてください。貴方の仲間に接する感じでお願いします。」

「そ、そういうわけにはいきませんよ……。」

「ふふっ。であれば、いずれ慣れていただければ結構ですよ。」

その後、彼女と色々な話をした。

SPのメンバーのこと、昔のファインモーションのこと、まだ幼い彼女から手作りの勲章をもらったこと、アイルランド国防軍にお世話になっていること、訳あってSP隊の指揮官になったこと、色々話してくれた。

 

こうして話せば、彼女のことを他人とは思えなくなった。

気づけば、敬語からくだけた口調で話せるようになっていた。

「そろそろ時間ですね……。最後に1つだけいいですか?」

「どうしたの?」

「父君からの伝言です。娘のことをくれぐれも頼む。また、時を改め、リモートでも良いから顔を合わせたい。とのことです。」

それだけ言うと、彼女は闇夜に消えていった。

 

『覚悟』という言葉が再び心に浮かぶ。

 

 

ファインモーション絡みで色々とあったが、寮に戻る。

飯と風呂も終わり、OD作業服にプレスをかけているとスマホから通知音が聞こえた。

 

画面を見ると、ライスシャワーからの連絡だった。

 

『こんばんは、お兄さま!』

『突然でごめんなさい。明日は空いてる?』

と、メッセージが来た。

『こんばんは。空いてるけど、どうしたの?』

『ライス、お兄さまと一緒にお出かけしたいなって思って……。ダメかな?』

なんだ、お出かけのお誘いか。

 

『いいよ。どこに行くの?』

『遊園地に行ってみたいなって。』

『わかった。行こう!』

了解の返事を送り、スマホを置く。

 

すると、3分後にまた通知が来る。

『ごめんなさい。大事なことを伝え忘れてました。』

『カレンさんもきます。』

これは全力で兄を遂行しなければならない。

 

『了解。待ち合わせ場所はどうする?』

『9時に正門前でどうかな?』

と、地図が送られてきた。バスと電車を乗り継いでだいたい1時間かかる所だ。

 

『大丈夫だよ。楽しみにしてるね。』

『こちらこそです。おやすみなさない。お兄さま。』

『おやすみ、ライス。』

そこでやり取りを終えた。

 

「明日の準備しないと。」

明日に向けて準備をし、その日は眠りについた。




今回もご覧いただきありがとうございます!

SP隊長がアイルランド国防軍の関係者というのは、オリジナル設定になるのでご了承ください。

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