一話 禪院家に弟子入りしました
その日、禪院家に珍しい人から電話があった。
直毘人の旧友であり非術師ながらも剣術道場の師範をしている『
「久しぶりだなぁ!!まだ足ついてるか!?」
「ああ、おかげさまで俺は元気だ!」
『桐ヶ谷 文幸』は『桐ヶ谷流剣術』の師範にして禪院直毘人が実力を認める最強の非術師の一人である。 過去に躯倶留隊の体術の手ほどきをお願いしたこともあり、非術師に教わることに異を唱えた炳の連中に『切られた』幻覚を見せるほどの殺気を見せるほどの手練である。
「どうした?いきなり電話なんてしてきやがって、酒飲もうとしてたのによぉ」
酒ならとっくに入っている
「もう飲んでやがるじゃねえか、ちょいと頼みたいことがあってな?」
「てめえが頼み事とは珍しい、なんだ?」
「今、一人だけ住み込みで育てている弟子が居るんだが、そいつを預かってくれねえか?」
「ああ?うちは合宿所じゃねえぞ?」
「先日、家内が倒れて入院しちまってな……俺も歳だから道場閉めて家内とゆっくり生きようと思ってよ」
「そうかい……で、そいつ、歳はいくつだ?」
「12だからこんど中学上がる」
「真希真依の一個下か……いいぜ、お前の技は教えてあるんだよな?」
「もちろんだとも、俺の約70年分の人生で積み上げた心技体全てを習得させた。しかも多分おめえらで言うところの『呪術』ってのも扱えてるみてえだ、本当なら3年後に高専入れるつもりだったんだけどよ」
「はっはっはっはっ、なんだ術師か、非術師が育てた術師には興味がある!!、3年間みっちりしごいて高専に入れてやるわ!!」
「そうかい、助かった。あとは頼んだ。」
「おう、ゆっくり休め」
「ありがとうよ」
数日後、禪院家の門を少年が叩いた。
「ごめんください、『桐ヶ谷
「旦那様ー、京くんがいらっしゃいました。」
京は座敷に上げられ躰倶留隊全員と一部任務に出ている炳に囲まれていた。
「お世話になります、『桐ヶ谷 京』です。京都のきょうで『みやこ』って読みます。よろしくおねがいします。」
京は正座で深々と頭を下げた
「よく来たな!!『文幸』から話は聞いている。きっとヤツのことだからしっかり修練は積んでいるだろう?道場のときと変わらず過ごしてもらって構わん、好きにしてくれ。」
「ありがとうございます。」
もう一度深々と頭を下げた
「それで……おまえさん、術式が使えるんだってな?」
「????」
京はキョトンとした顔をしていた。JUTSUSHIKI?なにそれ?
「あーー、そうだな、まちなかでバケモンみたいなの見たことあるか?」
「あります。師匠から見て見ぬ振りをするように習いました」
「そうか、それならいい、着いてそうそう悪いが力を見たい、立会できるか?」
「はい、大丈夫です。」
場所を座敷から中庭の広いスペースに移された。
日頃躰倶留隊が修行する場所である。
そこで彼は何も持たず自然体に立っている
「剣は持たねぇのか?」
「はい、剣は持ちません」
「じゃあそこのお前やってみろ」
「はい!」
直毘人が指さした躰倶留隊の一人が出てくる。
「死なねえ程度にやっていい、それでは、はじめ!!」
「剣士が武器なしとは、ガキが舐めやがっ」
このときその場にいる『全員』が京がその躰倶留隊士の首を手刀で飛ばす幻覚をみた。
「フンッ……!!」
京渾身の蹴りが躰倶留隊士の脇腹を襲った。
「あっちゃー、もろ入っちゃった」
「こいつぁ、こいつはすげえ!!投影呪法とでも名付けようか!!影を操る禪院家の相伝の術式に近いがどれとも違う。」
「え??」
「京って言ったか?お前さん、手刀で……例えばあの岩を切れるか?」
直毘人は隅にある大きな庭石を指さした。
「はい。できますよ」
京は庭石の前に立つと素手で抜刀の構えを取る。
「(こいつはたまげたなぁ、自然体で呪力操作してやがる、しかも『呪力操作だけ』で手に刃を作ってやがる、術式なんかじゃねぇ、文幸め、本当に全部この年のガキに教え込みやがった)」
「ハァッ!!!」
右腕を引抜くと岩の上半分が切れ地面に滑り落ちた。
「ハッハッハッハ!!もう既に2級相当だな。よし!!明日からは俺が稽古をつける!!真希!!真依!!てめえらが使ってる離れにこいつも入れてやれ、お前らでこいつの生活の面倒を見ろ。いいな!」
「はい。」「……チッ……はい」
「それでは解散!!京は双子に部屋を案内してもらえ!!」
「それでは改めてお世話になります。」
拝啓 お師匠様
気難しい人だと聞いていた直毘人さんに気に入られました。
何とかやっていけそうです。