領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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十話 女子三人以上が集まると起きること

駅に着くまでの間、京は任務については一言も喋らなかった。極秘任務というのだから私に話すことができないのであろうと思い私も聞こうとはしなかった。最寄り駅につき会計を済ませるとケータイショップでスマホを買った、初スマホである。その後、文具屋でファイルとペンと日記帳を買った。今回の任務期間中に私が見聞きしたもの記録に残すように言われたためである。先程の奥様方との会話も可能な限り書き出すように言われた。あと、他の人に見られないようにとも、面倒ではあるが指示に従う。

 

ガラガラの電車の中、記憶の限りノートとにらめっこしていると京都高専の最寄り駅に着いた。

 

「任務のことは内密に………今回は東京と京都、どちらの高専に行くかを決める最後の見学ってことになってるから……」

 

ほとんど誰も降りない電車のホームでボソッと告げられた。

駅でタクシーを拾って京都高専に向かう。

 

タクシーの中では先程買ったスマホの設定をしていた

 

「まさかスマホが買っていただけるとは思いませんでした」

 

「保護者いないと何かと不便だし連絡用にも必要だからね…禪院本家と直毘人さんとお兄さんとお姉さん方には番号とメアドの連絡をしておいたから………あとの親戚連中は今は知らんでもいいでしょ。一応分家の電話番号だけ入れておこうか」

 

「ありがとうございます」

 

「あと、直毘人さんや他の禪院家の人にも言ってあるんだけど、警察に職質されたときにもしかしたら電話するかもしれない、そのときは直毘人さんか奥様方に代わってもらってお父さんとかお母さんとかそんな感じ言ってね、説明するの面倒だから」

 

「……確かに」

 

中学生の二人旅も異常なのに実家に電話して親を様付けで呼ぶのは不自然である……

 

そうこうしているうちに京都高専についた。

 

 

 

「急な訪問に対応いただきありがとうございます」

 

「いやいいよ、儂としても君にはこちらに来てほしいからの。部屋も用意してある。いくらでも自由にしていきなさい。歌姫、部屋に案内してあげなさい。」

 

楽巌寺学長に挨拶を済ませると歌姫先生に連れられて学生寮を案内された。

 

「こっちが男子寮であっちが女子寮、桐ヶ谷くんはメカ丸が寮の案内をするように頼んであるからそっちで聞いてね、禪院さんは私が案内するわ」

 

「わかりました」

 

「え?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「私が一人部屋ですか?」

 

「そうよ。それがどうしたの?」

 

「家では京様付けで同室だったので……」

 

「そうだったの?」

 

「……ここだけの話……禪院家のやり方ですよ……彼女が来るまでは真希姉さん真依姉さんと同室でしたし……」

 

「はぁ………子供相手に何やってんだか……ここに来たからにはこちらのルールに従ってもらうわ」

 

「「ありがとうございます」」

 

京と別れると女子寮を案内された。

 

「談話室がここ、これ部屋の鍵。部屋番号はタグに書いてあるから、真依さんの隣の部屋ね。お風呂場があっち、洗濯機もあるから自由に使っていいわ」

 

「………京様の衣類の洗濯は?」

 

「そんなの男に自分でやらせなさい!!」

 

「……はい……」

 

「じゃ、詳しい話は先輩たちに任せるわ〜」

 

にこやかに笑う先生の視線の先には真依姉さんと三輪先輩と金髪の先輩がいた。

真依姉さんに案内されて部屋に荷物を置くと談話室に連れてかれた。

 

 

「真依ちゃんと髪色は違うけど目鼻立ちの鋭い典型的な禪院顔ね……」

 

「私は鏡みても姉さん思い出して苛つくから髪色違うだけで随分マシよ」

 

「交流戦の際にはお手伝いいただきありがとうございます」

 

いつの間にか先輩方に囲まれていた。

 

「京は炊事洗濯全部自分でできるから大丈夫よ」

 

「……そうなんですか?」

 

「あいつ、自分でやると私らが母さんたちに怒られるからやらなくなっただけよ」

 

「なるほど」

 

「大変なんですね禪院家って……」

 

「古典的な男尊女卑って嫌ーな感じー」

 

「………ある意味、本家では一般的な価値観の京の所有物扱いのうちが一番楽かもね…直毘人様のお気に入りの京のモノだからお母さん達から無駄にイビられる事も無いし、野郎どもから適当に扱われることもないから……嫌じゃないなら結婚可能になったら早く結婚して分家に出ちゃいなさい。あいつは本家を継ぐ気なんてサラサラないし……金だっていっぱい稼げるんだから」

 

「はあ……」

そういえば自分が京の保護下でないときの本家の人たちに会ったことが無い。

 

「京様が来る前は大変だったんですか?」

 

「……そうね……私ら宗伝の術式を継げなかったって理由でクソ親父に捨てられて本家に養子として迎えられたんだけど、主に姉さんが何かと口答えしてそのたびにクソ親父や直哉にボコボコにされてたわ……ほとんど呪力のない姉さんは本当にボロ雑巾みたいな扱い。私も宗伝を継いでないからって居ないモノ扱いよ」

 

術式の無い私がどういう扱いになるか、考えただけでもゾッとする話である

 

「京が来てからは私達の扱いは変わったわ、私達に利用価値が生まれたの。あいつの術式を禪院家の物にするためにね。ここだけの話、クソ親父に呼ばれて言われたの、薬盛って二人であいつの子供を作れってね。」

 

「うっそ!!まだ中学生でしょ!!」

 

「本当!?というか薬!?」

 

「私らが死んでも構わんって言い出したから流石のお母さんも反対したわ、怒鳴られて黙ったけど。そしたら意外な人から私達に援護射撃が来たの……それが京のお爺さん、非術師なのに手紙で直毘人さんにそういうことしたら術式を継ぐことのできないように『縛り』をかけてたんだって」

 

「非術師にそんなことできるんですか?」

 

「直毘人さんが言ってただけから本当か嘘かは知らないけどね……まあ、禪院家的にもやろうとしてる事がクソ過ぎたらしく直毘人さんがキレてクソ親父に言ったの『てめえが捨てた子供にてめえが期待してんじゃねえ』って」

 

「ああ、スカッとしたわ!あの爺さんも言うね!」

 

「あの酒飲みのお爺さん酒飲んでるだけじゃないんだ…」

 

「クソ親父が出ていったあと私らに京のことを聞かれて弟分ですって答えたからあんたが本家の養子になったってわけ」

 

「そうだったんですね……」

 

「……あとそうね……その話があってすぐに直哉に姉さんと一緒に東京高専に拉致られたこともあったわね、朝5時前に叩き起こされて、姉さんが直哉にケツ触られたって騒いでたけど……どこからか姉さんが高専に行こうとしてる話を聞きつけて東京高専に見学に連れてってもらったわ……実際は直哉と京が『バカ』に会うための口実だったんだけど……私は高専に行く気なかったから術師としての稽古なんてしてないし『バカ』の高速移動に巻き込まれてダウン。その後のことは京が寿司食いまくって『バカ』がドン引きしたって話ぐらいね。夏休みの繁忙期に無理に行ったから直哉が東京や名古屋の任務押し付けられたりしてたらしいけど私らは宿にいたから詳しいことは知らないわ」

 

「五条先生ってドン引きすることあるんですね……」

 

「霞……誰も『バカ』が五条だとは言ってないわよ」

 

「あっ………」

 

「ともかく!!あのクソみたいな本家の中にいる間だけでも嫌な思いしたくなければより強い男の半歩後ろ歩いてれば何とかなるわ。姉さんのように口答えしたら駄目よ。」

 

「わかりました…」

 

「そういえばあの京って子、特級なんでしょ?百鬼夜行の時は確かに驚いたけど、他に何かヤバいエピソードないの?」

 

「……シン・陰流の『簡易領域』を見ただけで似たようなことされました……」

 

「術式無しの手刀で岩を真っ二つにしたわ」

 

「最近は半紙を空中にばらまいてすべてを2等分に切るという鍛錬をしていますね。」

 

「呪力操作だけでそんなことできるのね……2等分って……化け物?」

 

「私は剣使ってもむり」

 

 

 

 

その後、仕事を終えた歌姫先生も混ざって『特級術師伝説』の話や恋話に花が咲いたがそれはまた別の話

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