領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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十三話『疑似領域』

早朝、落雷のような音と地響きで目が覚めた。

目をこすりながら部屋を出ると真希さんがいた。

 

「おい、琴音、早く顔洗って着替えろ!!『バカ』が帰ってきた!京を回収しに行くぞ!!」

 

何となくすべてを察した私は急いで着替える

案の定校庭に巨大なクレーターができていて真ん中に京が刺さっていた。

 

「いやぁ、頼まれ事はわかったよ。それでにしてもまだまだだねぇ、京」

 

「おい『バカ』!!校庭どうすんだよ!!」

 

「おはよう真希!琴音くん!早く彼を回収してね!直しとくから」

 

真希姉さんと引っこ抜くとクレーターの外まで引きずり出す

 

「だーめだー勝てねー」

 

「昨日おじいちゃんから喧嘩は駄目って言われなかったかなぁ?」

 

「せんせとやるならちゃんとトドメ刺せって言われました」

 

「それはそれは、やっぱりお年なのかね?」

 

「……元気そうに見えましたけど……ダンブ○ドアと同い年になるまでは死ななそうですよ?」

 

「言えてるかも……じゃ!!」

 

五条悟は垂直に上に飛んでいった。

いつの間にか校庭のクレーターは消えていた。

 

「まったくお前は………」

 

「大丈夫ですか京様!!」

 

「怪我はしてないよ。無理もしてない。朝ごはん食べたら学長に挨拶しに行こうか」

 

「はい」

 

「はぁ、まあいいや。」

 

惨状に比べるとピンピンしていた京に安堵した私を引き連れて食堂に向かう。ご飯を大量に食べ(京都高専から連絡があったらしい)満足した京に連れられて夜蛾学長のいる建物に来た。

 

「桐ヶ谷 京、君はなぜ呪術高専に入る?」

 

「??己を高めるため??別に強くなるんだったら高専じゃなくてもいいよ。」

 

「そうか……そういえば君はそうだろうな」

 

「禪院 琴音、君はなぜ呪術高専に入る?」

 

「私ですか?」

急な質問に私も驚いた。 何故私は高専に入るのだろうか?考えもしなかった。

 

「そうだ、君も春から高専に入るのであろう?」

 

「私は………」

 

「呪いを学び、払う技術を身に着け、その先に何を求める?」

 

「私は……最初は両親の仇を討つために呪術を学びはじめました。今は私のような人間を減らすために強くなりたいです」

 

「そうか……二人共合格だ……どちらの高専を選ぶかは君等の自由だが、東京校を選んだときは最大限の歓迎をしよう」

 

「「ありがとうございます」」

 

 

 

 

二人で挨拶を済ませると校庭で組手をしている先輩たちと合流した。

京は真希姉さんに組手の相手を頼まれたが

 

「今朝で呪力使いすぎたからやめとく」

 

と言ってベンチでノートを広げて考え事を始めた。

これは呪術を深めるための座学である。

今は『領域』について研究を進めているそうだ。

本家にいた頃からやっていたが本家の資料とその時のノートは本家の書庫にしまってあるため、新しいノートで再スタートしている。

 

「やはり中々アイデアが浮かびませんか?」

 

「うーん、今朝も試したんだけどやっぱり『疑似領域』は『縛り』が足りないみたいなんだよね」

 

「二人共おはよー」

 

「おはよー、お?何やってんの?」

 

乙骨先輩とパンダ先輩が話しかけてきた。狗巻先輩は禪院先輩に捕まって組手をしている。二人曰くじゃんけんで決めたらしい。

 

「『疑似領域』の強度を補強するための『縛り』を考えてるんですよ」

 

「たしか、『縛り』って簡単に言うと『ルール』だよね?このノート見てるとなんだかスポーツやゲームを作ってるみたいだよね。」

 

「それだ!!」

 

「なんで気が付かなかったんだろう!!コート、点数制度、ファールによるペナルティ!!全部『縛り』じゃないか!!格闘技じゃダメだ、平等な『縛り』では弱すぎる、『疑似領域』はお互いに平等にしながらも不平等なルールのスポーツってないかな?」

 

「うーん、攻めてる方が不利なスポーツってこと?オフサイドはいろんなスポーツである気がする、あとキーパーは手足使えるのはある種の『縛りだよね』」

 

「それさーカバディはどう?」

 

「ああ!!カバディ!!教科書に載ってたやつ!!」

 

「………???」

 

「調べました。12.5×10のハーフコートで行う。攻める側は敵陣に入る間は『カバディ』と言い続けて息をついたらアウト。その間に相手チームの選手をタッチして体の一部でもいいから自陣に戻ればポイント。」

 

「『境界』を作り『敵陣では術式を使えない縛り』を課す……平等に不平等な縛り……これならできそう……よし!!」

 

ノートを閉じると京は立ち上がり走り出す

 

「ねえさーん、狗巻せんぱーい、実験に付き合って下さーい」

 

「え!?やだ!!」

 

「高菜!!」

 

「狗巻先輩、ありがとうございます。では」

 

『疑似領域展開』〜鬼陣闘技場〜

 

「この領域は真ん中にある『境界』で『敵陣』『自陣』に分けています。『自陣』では縛りはありません。『敵陣』では『術式』が使えませんが呪力量を増大させます。」

 

そう言うと『境界』を行き来する。

 

「うん、出来てる。狗巻先輩!!こっち来て僕に『座れ』言ってみてください!!」

 

「しゃけ?」

 

「うんうん」

 

恐る恐る『境界』を超えて『敵陣』に入る

 

「ツナマヨ?」

 

「『座れ』ならそんな問題はないっしょ?」

 

「…………『座れ』……」

 

何も起きない

 

「よっしゃあああああああ、後はこの『領域』を磨くだけだ!!」

 

「ありがとう京くん。これで言いたかったことが言える。パンダ、憂太、真希、いつもありがとう……あと、2日前寮の冷蔵庫の俺の3個入りプリン全部食べたやつぜってえ許さねえから」

 

前半の『ありがとう』で感動していた空気が一瞬で凍る。

先輩方は全員目をそらしていた。

 

「真希、パンダ、憂太、組手やろうか………」

 

術式が無くとも呪言師の言葉の重みは常人のものとは違うようだ

 

「先輩……領域解きますから気をつけてくださいね」

 

「しゃけ」

 

霊異記が解けた瞬間、狗巻先輩は真希姉さんに距離を詰める

 

「ちが、私は誰のか知ら」ゴスッ

 

真希姉さん、撃沈

 

「棘はマジだ!!憂太逃げるぞ!!」

 

「う、うん!!」

 

犯人を追って狗巻先輩は走っていってしまった。

 

「………姉さん、生きてる?」

 

「何とか……いてぇ」

 

「ま、姉さんなら大丈夫でしょ、琴音、姉さんを寮まで連れて行ってあげて」

 

「はい……大丈夫ですか。」

 

「悪いね……」

 

私は真希姉さんのに肩を貸して校庭をあとにした。

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