「おい、直哉、何故こいつがまだ生きている?」
「甚壱さん……それ俺と扇さんの甚壱さんで3回目や……まあ落ち着いて座ろうや」
会議室に入ってきた甚壱に京の足から繋がっているヒモを掴んでいる直哉が応える。
最後の招待客を迎えた会議室は閉じられる。
禪院家から『直毘人』『直哉』『甚壱』『扇』『真希』『真依』『琴音』
加茂家から『憲紀』
五条家から『悟』
会議の立会人として『楽巌寺学長』『庵歌姫』
大罪人『桐ヶ谷京』
スペシャルゲスト『伏黒恵』
顔真っ青で抜け殻のようになっている『琴音』と既にボコボコに殴られている『桐ヶ谷京』、泣いている『真依』となぐさめる『真希』、なんとも言えない顔の『直毘人』、いなくなった『甚爾』にそっくりな『伏黒恵』
何も知らない人であれば通達にあった『家族会議』であることを疑わないであろう。
「『役者』は揃ったなぁ……」
「まずそいつをどうやって殺してくれようか?」
「まあまあ、高専側がうちらのために場所を用意してくれて、歌姫せんせがせっかくお茶入れてくれたんや、飲んで落ち着こうや……うちじゃ珍しい紅茶やで……パパンも酒以外のものも偶には飲もうや」
直哉が飲むように勧めつつ自信も飲む
「……………ミントの香りでうまいやん」
直哉が飲むことを確認して皆一応に甘い紅茶に舌鼓する。
「………………………………………京くん……全員シロや」
「オッケーっす。あ、琴音とはやってないです。今の紅茶は飲んだ人が呪われているかどうかを見破るための『術式』を混ぜた紅茶です。はい、あのーすみません。五条先生、彼は誰ですか?」
「彼はね、現代の『十種影法術』使いにして、禪院甚爾君の息子の『伏黒恵』君です。甥っ子ですよ!!」
「いや、すみません。僕は本家内にいる呪詛師に呪われている人がいないか探るための口実で『家族会議』をしたのであって。本当の『家族会議』をするために呼んだわけではないのですが」
「………京……なんだ、孫はまだ見れんのか……」
「直毘人さん!!分かっていってますよね!!」
「ちょっと待て!!本家に呪詛師ってどういうことだよ!!」
ありかとう真希姉さん
「はい、順番に説明します、歌姫先生資料を全員に配ってください」
全員に資料が配られる。これは京渡された任務資料に任務の間に得た情報が追加されたものである。
「こいつは……躰倶留隊の……」
「今の所、僕が調べた限り、本家に存在する呪詛師です。」
「『ユキ』さんまで……」
「少なくとも両名が琴音の両親の呪殺に関与したと思われます。琴音にかけられた呪いを解呪してわかったことなのですが、この呪いは『禪院』性の人間にだけかける縛りを用いられていて、『あと3日』で起動します。」
「事情を説明して協力を得るために騙すことになってしまうのですがこのような場を用意させていただいたんですけども…………Why? Gojo .Why?」
「まあまあ、いいじゃないの、彼、4月から東京高専だからヨロシク!」
「…………………気を取り直しまして、禪院家の本家分家全員を一箇所に集める方法が欲しいです。具体的に言うと自分の『陣』の中にいるようにしたいです。あとは、『特級呪霊』『漆姫』と繋がる内通者の裏切り者を炙り出します。」
「…………そんなもん簡単じゃねえか……『琴音』が身ごもってることになってるんだろ?婚約発表すりゃいいじゃねえか?」
「は?」
「シナリオはこうだ『家族会議』が行われた結果、『桐ヶ谷京』は『当主にならない縛り』をして開放、分家として琴音との婚約発表なら、彼『伏黒恵』の顔合わせも含めて丁度いいだろう」
「よし、それしかねえな真依!琴音!!、これから京都校の連中と京都市内の呉服屋行って着物を出来合いでもいいから仕立てるぞ」
「京のは俺のお下がりでええな」
「恵くんのは甚爾の奴がまだあった気がするな……」
「はぁ………」
「加茂家は自分と東堂がなんとかします」
「五条家は僕がやるからね」
「え?いやちょっと待ってフギュっ「これ運びやすくていいわ、みんな本家帰るでー」
直哉は未だに簀巻き状態の京を引きずって出ていく。
ほんっとうに黒幕が直毘人さんじゃねえよなぁ!?
「では、あとは若い者同士でごゆっくり………」
京と琴音は久しぶりの自分の部屋にいた。
家族会議後、琴音は姉二人と歌姫先生、桃先輩、三輪先輩に着せ替え人形になっていた。恩人が裏切者であったショックからは大分立ち直れているみたいだ。
京は『まあ、よく耐えたほうだよね』みたいな扱いを本家で受けていた。ボコボコにされた京を担いで帰ってきた後継者候補の連中と「明日、京と琴音の婚約発表を行う。分家の連中も全員集めろ」という直毘人の鶴の一声でみんな察してくれたらしい。
そろそろ二人でゆっくり話したいので『陣』をする。
この様子なら勝手に解釈してくれるだろう。
「……ユキさん…子供がいるんですよ……5歳になります……」
「ミキちゃんだっけ?」
「はい……私のような人間を増やさないためにも呪術師になることを目標に高専に入ると決めていました……私は………」
「皆まで言うな…………この任務を受けたとき……俺も最悪のシナリオで考えてたんだ…………何より最初に琴音を疑った……」
「え?」
「『呪い』と『縛り』で操られている可能性を考えて渡したスマホに色々細工してたんだ、一応、コインランドリーを見つけられたのは結果オーライだったけどな…………直哉さんや扇さん、甚壱さんと密談してたのもそのためだ。」
「甚壱様ともしていたんですね……」
「……直哉さんと同じで東北に駆り出されてた。そして、『扇』さんと『甚壱』さんとは今回の一見で禪院家の人間を疑い祓うことに対する覚悟として『当主に目指さない縛り』を課した。代償は己の命で……そしてこうとも言った。『琴音の両親の呪殺の件が禪院家の意志によるものならば禪院家は分家もろとも斬り殺す』って。これに関しては『直哉』さんと『直毘人』さんにも言った」
「え?」
「今回の事件の黒幕の第一容疑者は『直毘人』さんだったんだ。俺の『投影呪法』を狙ってのものだと思っていた。でも偶々だった……禪院の体質が悪いのかもしれない………もっと根の深い問題だった……」
「この家の女性たちは禪院家ではより優秀な術師の血を禪院家に引き入れるための道具のように扱われている。…………ユキさん………子供産めない体だったんだ…………旦那さんは平の躰倶留隊士、本家での彼女の扱いはすぐにわかるね」
「殺しの理由は本人達にしかわからない…………けど。俺が書庫で見つけた資料によると『近縁の人間の血』が『呪胎』を産むための条件の一つらしい。それで、お前の両親が過去に受けた任務にねユキさんの妹さんが呪殺された事件があったんだ。多分、証拠の隠滅だろうね。」
「これは禁書で俺が『特級』になってから見れるようになった情報だから他に言うなよ…………」
「待ってください!!じゃあミキちゃんは!?」
「俺もその子なことを話にしか聞いてねえし、信じたくねえけどもよ。その子………呪胎だ……」
「……祓うんですか?」
「まだ決めかねてる…………人が呪霊の子供を産んだ話は過去にはあるがそれは異形に生まれたと記録されていた、だからバックにいるのはあの『漆姫』だと思っている……奴の眷属たちは人の形を取っていたからな。」
「あの子供に自由意志はあるのか?あったとしてそれは人なのか?呪霊なのか?これまで危害を加えていないなら生かすのか?今後危害を加えるかもしれないから祓うのか?俺にはまだわかんねえ」
「…………私は………あの子は………『人』だと……思います……私は……あの子を生まれたときから知っています……妹のように接してきました……もし、『呪胎』であったとしても……『人』として……生きてほしい……です……。」
「……明日、子供たちは姉さんたちが外に連れ出すことになってる………その間に祓うぞ」
「……はい」
「今日はもう寝よう」
「そうですね……」
そして、決戦日を迎える