朝5時、真希と真依は焦っていた。
何故なら世話を頼まれた年下の男子が朝起きたら布団を畳んで行方不明なのである。
「………どうする?」
「ヤバい………めっちゃ怒られる」
あーでもないこーでもないと二人で話してると部屋の扉が開いて行方不明な男子が帰ってきた。
「すげー!!裏山超広い!!」
裏山とは禪院家の裏にある山であり。日頃、修行に使われている場所である。
焦っていた二人はあっけらかんとした少年の顔にうなだれた。
「おいおい、朝起きてどっか行くなら先に言ってくれよ」
「え?自由にしていいって聞いたし走ってきた!!腹減った!!」
「朝ごはんはこれからみんなの分も一緒に作るから待っててね」
「私は躰倶留の朝稽古に行ってくる」
「まじで!!俺も行く!!」
「とりあえずもう遅れそうだから走るぞ!」
「わかった!」
躰倶留隊の稽古は朝のランニングに始まり
瞑想、素振り、型、組み手等がある。
飛び出した二人はランニングコースである裏山に向かった
「ああー!!真夏のジャンボリー!!!レゲエ砂浜ビッウェイ!!」
「うるせぇ!」
殴られた、何が悪かったんだろうか、山の中で湘○乃風は良くななっただろうか?
「なんでランニングしながら大声で歌えんだよ!!」
「え?元気だから?」
「もう、走ってきたんじゃないのかよ!!」
「走ってきたけど元気なだけだよ?」
「ここ来る前も歌いながら走ってたのかよ」
「うん、熊よけのためにベル鳴らしながら歌ってた、襲われると面倒になるし」
「ああ、そうかい。じゃあいいよ」
「いいたいことも言えない世の中じゃああ、POISON!!」
「(なんか、選曲が古くねえか?本当に年下か?)」
このあと、隊長(信郎)さんに怒られた……
真希さんもなぜか怒られてた、すっげえ睨まれた。
朝の鍛錬から戻るとご飯が用意されていた。
「おかえり、ご飯できてるよ」
「ありがとうございます、いただきます」
「「いただきます」」
数分後、双子の妹、禪院 真依は米を炊いていた。
禪院家は才能豊富な成長期男子の食欲を舐めていた。
桐ヶ谷 京は1升あったおかわり分の米をすぐに食べきってしまったのである。直毘人は大笑いしながらもう一度炊いてくるように頼まれた真依は台所に走った。まだ私食べ終わってないんだけど、人の心とかないんか?と思いつつも禪院家が何となく雰囲気が良くなったのが悪くはなかった。
炊いた米消失騒動の後
直毘人と京は稽古場にいた。
「『呪術』……おまえさんたちが言うところの『気』について理解を深めよう」
「よろしくおねがいします。」
彼はペンとノートと机を用意して座学を受ける気満々だった。
「………一応は門外不出なんだ…………ノートは稽古後に書庫にしまうことになるが構わねえか?」
「承知しました。」
「よし、では桐ヶ谷流剣術では『気』を何と学んでいた?」
「感情の振れ幅で増減するものです、精神を研ぎ澄ますことで『気』を研ぐことができます。」
「その結果文幸は無刀に至ったわけか」
「そうです、あと、剣士が刀を握ってるときだけが戦いになるとは限らない、全局面に対応するならば剣を握らずとも同じ力を発揮せねばならない……と聞いております。」
「おまえさんの異常な精度の『呪力操作』の權現はわかった、では、その先、『呪術』の解釈を進めよう。」
「わかりやすく言うと『呪力』が電気、『術式』が家電だ、これは高専でも習うことだ。ここからはその『術式』の解釈を広げてできることを増やそう」
「はい」
「わかってる限りの『術式』を使ってみろ、どうせあの幻覚以外にもあるんだろ?」
「わかりました。」
そう言うと京は無刀で構えを取る
「『陣』!!」
「(こいつはすげぇ、新陰流の簡易領域に近いがこいつの場合天然物だ……、何よりまだ術式が付与されてねえのに呪力操作だけで形にしてやがる)これで何ができるんだ?」
「『陣』の中の相手の動きを察知しやすいようにしてます。」
「ありがとうよ、これは呪術の最終段階、『領域』に近えもんだな、京、まずはこれから『術式』の解釈を広げてできることを増やす!その次に『縛り』、所謂『ルール』を作ることで『術式』を補強する!!最後にこの『陣』に術式を付与して『領域』を完成させよう。」
「まずは実際に術式がどんなもの確認してもらおう、『陣』は続けておけ」
直毘人は構え、術式を使った。
『投射呪法』である。一秒間を24枚の動きに分けてアニメーションを構築することで動きを再現させる術式、アニメーションを破綻なく作らないと1秒間動けなくなる代物である。普通の人ならば見抜けないからくりを感知能力を上げる『陣』の中でやるとどうなるのであろうか?
「アニメーションですか?24fpsなのでフルアニメーション……」
「ふっふっふ、俺の術式もおまえさんの領域の中だと筒抜けか……」
「これ、自分も適用されるんですか?」
「そうだ、予め自分の動きを自分の視界を画角にして24枚のセル画にせにゃならん」
「予め……なるほど自分動きを予め……自分の技と一緒ですね」
「そうだな、お前さんの場合、予め自分の作った動きを映画のように投影してるだけだがの」
「なら別に映すの一人じゃなくてもいいですね」
「ほう?」
「映画の登場人物も一人とは限らないし、編集や撮り方次第では分身だってできるじゃない?」
「『
「サブよりスタントマンのほうがいいな」
「名前なんぞ自由につけろ、で、できそうか?」
「やってみます」
「いや、待て、やる前に縛りを作ろう……そうだな…映す人数は3人まで、大量にある行動のうち事前に見せるのは3人まで、そして、3人のうち1人だけお前さんが同じ動きをする。相手の対応を1/3にすることで呪力の強化をしよう」
「……選択肢以外の攻撃をしたら呪力を込めないようにする」
「それもいいな、京の力なら呪霊を祓うことはできずともダメージぐらいは喰らうだろう」
「そこまでの『縛り』を課せば……術式『
3人の京が直毘人に襲いかかる、一人は足払い、一人は首を跳ね、一人は後ろから心臓を一突き
『落花の情』
「ゴフッ」
直毘人の膝のカウンターが京の顔に入った。
もろに入った京はその場に仰向けに大の字で倒れ込む
正解は足払いだったがオートで迎撃する『落花の情』の前では無意味だった。
「前が見えねえ……」
「……領域の対処と変わらんな、だがこの術式を領域に付与できれば或いは……今はこの術式について理解を深め解釈を広げるようにしろ」
「はい………」
「あとは灯の奴らに稽古をつけてもらえ、そいつらの『落花の情』の練習にもなるだろ」
このあとめちゃくちゃ灯をボコした
京くんが来て一日目、禪院家はどうですか?
躰倶留隊員A「直毘人さんの機嫌が良くて助かる」
躰倶留隊員B「扇さんも妙に機嫌が良いのが怖いけど助かる」
躰倶留隊員C「俺たちの朝ごはんの白米が消えてたことは許さんけどな」