領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

22 / 62
二十二話 初任務

春の風が首筋を撫でる午後。

 

「スピーー」

 

座学の授業を京は爆睡していた。

教鞭を執るのは庵歌姫女史。

舐めた態度に一週間前は青筋を立てていたが、無駄に煽ってくるわけではない『五条悟』と割切り、気にしなくなった。

寝ていれば他の二人を邪魔しないから楽なものである。

 

「新田くんと琴音ちゃんは真面目に受けてくれて助かるわ」

 

たまに心情を吐露しつつも本日の座学が終わる。

 

「京を起こしなさい」

 

琴音が京をゆすり起こす

 

「…………もう食べれない……」

 

「!?、京様!!京様が食べれなくなるほどの料理ってどんな量ですか!?」

 

「………ん?あ、終わった?」

 

「そんなことより夢の内容を詳しく!!」

 

「………本マグロ一匹寿司ダブル3人前」

 

「参考になります」

 

メモる琴音を無視して歌姫は話し始める。

 

「では、初任務の説明をします」

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、市街地の廃墟に来ていた。

京は『陣』を廃墟全体に張り巡らせる。

 

「…………確かにいますね……呪霊」

 

珍しく京は外でお留守番だった。

歌姫先生と一緒に建物の外から眺めている。

 

「琴音もちゃんと『陣』を絶やしてないな」

 

「桐ヶ谷のソレ、便利すぎない?」

 

「『気配』で中の呪霊の数が大体わかる先生たちのほうが便利スキルな気がしますよ。『呪力』使わないし」

 

「たしかに………なるほどねぇ」

 

 

 

 

 

外の二人の視線の先の廃墟の中。

琴音と新は静かな進軍を続けていた。

 

「そういえば禪院さんの『術式』って何なんですか?」

 

「私は『琴音』で良いです、姉さん達と被るので。私は『術式』持ってませんよ?新田さんはどうです?」

 

「俺の『術式』は手で触れたものの状態を保持する能力です。傷に使うと悪化を防ぎます。」

 

「……………」

 

「……………」

 

新田は疑問に思った。

・琴音の等級は3級、新田新は4級である。

・桐ヶ谷は歌姫先生が「お前が言ったら外から廃墟を更地にして任務終わらせようとするから留守番だ」と言われてしまい外で待機している。

「え?今回の任務、MAXで2級の呪霊が出る可能性があるけど、どうやって祓うの?」

 

「………止まってください、この壁の先2匹うごめいてます。『簡易領域』を張るので石を投げて壁にぶつけてください」

 

「わかった」

 

琴音は壁に向かい抜刀の構えを取る。

 

『桐ヶ谷流剣術』『簡易領域』

 

新田は落ちていた石を壁にぶつける

コツンッと壁に当たると『呪霊』達がこちらに気が付き襲いかかってくる。

 

『斬』

 

先に襲いかかってきた方を切り祓う。

 

「もう一匹!!」

 

『桐ヶ谷流剣術』『中段』『裂』

 

『斬』の動きから一回転しもう一匹の呪霊の胴を切り裂く

 

「………これであと一匹の予定ですね。気を緩めず進みましょう。」

 

「はい」(どうしよう、何もしてない)

 

「そういえば、2級以上に出会ったらどうしようって言ってましたけど、出会ったらもちろん逃げますよ」

 

「………え?」

 

「我々は3級と4級で相手は2級、近くに准一級と特級がいます。助けを求めるが正解です。」

 

「でも先生達はついて来ませんでしたけど?」

 

「あれは多分私達を試してるんですよ。『相手を見極めて逃げるか?』って、それぐらい任務要項の等級表示は大切なものです。」

 

「………たしかに……本気で任せるなら四人で帳の中にいる必要ないもんな。」

 

「我々のように等級の低い術師は逃げることも覚えましょう…………いましたね……メインターゲット。報告より大きくなってる…………廊下の突き当たりです……」

 

二人の間に緊張が走る。

 

 

 

 

 

 

その頃、廃墟の外ではある提案をしていた。

 

「件の『2級呪霊』、報告より育ってますね……」

 

「そうね……二人共挑まずに逃げてる?」

 

「二人共逃げようとはしてますね」

 

「………先生、別に俺は『お留守番』で『建物を破壊しない』って理由でここにいるわけだからここから何しようが勝手ですよね?」

 

「貴方また何かやる気なのね?」

 

「……大丈夫ですよ。二人共助けますし建物も破壊しませんよ……多分……」

 

「私は今から二人の救援に向かうから好きにしなさい」

 

「はい。」

 

『投影呪法』『操演(マリオネット)

 

「新田くん!!おつかれ」

 

「琴音さん!?」

 

急にフレンドリーになった琴音に驚く新田

 

「桐ヶ谷だよ。ちょっと琴音の体を操ってるだけ、今先生もこっち向かってるから君は逃げな。後は俺がやるから」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「俺は術式無しで2級相当の男だよ。無理しなくても余裕だよ」

 

「わかりました、あとは頼みます。」

 

「はいはーい」

 

逃げる新田を背に刀を構え相手を見る、やはり聞いていたより大きくなってる。

助走距離もあるからこの体でも使える『剣術』を考えながら走り出す。

相手がこちらに気がついた。が構わず速度を上げ距離を詰める

 

相手の間合いに入った瞬間、相手の攻撃を自分の身を小さくして股下に滑り込み回避する。前に調べた『カバディ』で使われる技『ドゥッキ』、小さき『戦士』が大きな相手と戦うための技術である。

速度を保ったまま立ち上がりそのまま突き当りの壁を駆け上がる。

 

『桐ヶ谷流剣術』『抜刀』『月落し』

 

『呪霊』の首が池の水面に月明かりを落とすかのごとく落下した。

 

「いまのが『月落し』ね。感覚を覚えておくように」

 

走ってきた歌姫先生を確認すると術式を解除する。

 

「大丈夫?琴音ちゃん?桐ヶ谷がなんかしたみたいだったけど」

 

「大丈夫です。ただ、後で詰めます。」

 

「報告にあった呪霊は今ので最後ね………帰りましょうか」

 

こうして京都校1年ズの初任務は終わった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。