領域の支配者   作:ルルーラ・ランドー

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三話 禪院家での裏話と任務

京が禪院家に来て半年、京は直哉に連れられて任務の同行に行っている。意外にも直哉からの京の評価は悪くはなく、というより京には皮肉が通じないというのと、男尊女卑より強い完全実力主義という直哉の考え方に京が懐いているというものもある。獲物を持たない主義なのも良いのかもしれない。京は跡取り問題の軋轢も無い外部の人間というのもあるだろう。お互いの力を高めるため良く組手をしている。躰倶留隊の人からも直哉の機嫌が良いと女中たちへの皮肉や悪口が少なくなり、結果的にご飯が少し美味しくなったり八つ当たり稽古が無くなるため本当に助かってる。

 

二人がいない間に禪院真希と真依が義父直毘人と実父扇に呼び出されていた。座敷では直毘人は何時もどおり酒を飲んでいて、双子の母親もいた。そこで扇が口を開いた。

 

「京を口説き落とせ」

 

「は?」

 

「どっちでもいい、京を口説き落とせ、何なら二人共でもいい奴の子供を産め」

 

「待ってください!!まだ二人は中学生ですよ!!体ができてないうちの出産はきけ「黙れ!!」

 

「この際あの術式が手に入るならお前らは死んでも構わん、飯に薬を持って夜襲っても構わん」

 

「駄目だ…」

 

飲んでいた酒を置いて直毘人が話し始めた。

 

「文幸と『縛り』を設けている、本人の同意なしには術式の継承はできないようになってる。」

 

「な!!奴は非術師ではないのか!!」

 

「奴は非術師ながらも『呪術』の本質をよく理解できてる。もし、奴がもし徒手空拳なら呪術師なら準一級、呪具を用いれば一級相当だろうな。この俺に『手紙』で縛りをかけやがった、まあここまでの実力がなけりゃ俺が躰倶留隊への稽古をお願いしねえよ、だから」

 

「お前ら二人に任せる、そのために世話係を任せたんだ。嫌ならやらんでもいい、お前らがどうせ行きたいという高専に行くまでのあと一年半は自由に過ごせ。奴も高専に行くんだ、そこでやっても構わん。扇ほどではないが奴を婿養子にするのは俺も期待している。年齢的には直哉の後釜になるかもしれんからの」

 

「あと扇、話があるって言うから集まったんだが、真希と真依はもう俺の子供になってんだ、真希真依が京の子供を産んでもそいつは俺の孫だ。今更てめえが捨てた子供にてめえが期待してんじゃねえよ」

 

「………くっ!!」

 

扇は居づらくなったのか部屋から出ていってしまった。

 

「ふう、で、二人共、京はどうだ?俺としても奴を婿養子にして禪院家の血を継がせたいと思っている。」

 

「ふん!!強えけどただのバカなときがあるからそんな好きじゃない。ただの弟だ、何より女を禪院家繁栄の道具にしてるのが気に食わん」

 

「……私も、なんか弟って感じがしてます。」

 

「男としてなしか?」

 

「「はい」」

 

「そうか……では別の者にするか」

 

「またそうやって女を道具にするのか!「やめなさい!!」

 

殴りかかった真希を声で制したのは母親だった。

胸ぐらを掴まれたまま直毘人は話す。

 

「まあ、奴が高専に行ったら良くも悪くも目立つようになる、あの歳で『領域』に片脚突っ込んでるのは五条悟に次ぐ天才だからな、そうしたら奴の術式を得ようと御三家だけでなく呪術師の家系ならば奴を狙うだろう。もちろん呪詛師も例外じゃない。その面倒事を事前に防ぐために囲っておこうってわけだ。」

 

「真希、矛を収めなさい、これはあの子のためでもあるのよ」

 

「あと、真希、癇癪起こすのは扇にそっくりだ、そこは直せよ」

 

「ぐぬぬぬぬぬ………わかりました。」

 

その日、京がいないところで行われた人生を左右するかもしれない会議は終わった。

 

「っていう話があったって蘭太さんから連絡がありました」

帳の中で話すのは九州の片田舎に任務で来ている京であった。

帳の中の状況は基本的に外からはわからない。密会密談をするならば帳の中が一番良いだろう。二人は灯の人間に帳を降ろさせて中に入り目標の潜む建物に向かって歩いていた。

 

「なんや、そんなこと隠れて話し合うために態々俺ら二人で九州まで来させられたんか……」

 

「まあ、跡取り問題は血を見ますから……甚壱さんも別任務で出てるところで行われたみたいです。終わったら美味しい博多ラーメンでも食べて帰りましょう」

 

「そうやな、で、あの双子はお前から見てどうなん?」

 

「まあ、ありがたい話ではありますけど………二人共、姉みたいな感じですね……」

 

「はああああーー、枯れとるなぁ、まあ生意気な姉の方は俺も好かんが……」

 

「僕は強さを求めて禪院家に来たんです。家督が欲しくて来たわけではありませんから」

 

「京くんのそういうところ、お兄さん好きやで」

 

「ありがとうございます」

 

「ほんと、甚壱さんも扇さんもわかっとらんわ、術式なんて祓うための道具にすぎひん、大切なのは術者が強いかどうかだけやねん、弱いやつは家系を強化するための道具になるだけや、個人が強くなるためのもんやない。だから親父(ぱぱん)が当主になってんねん」

 

「それで、お願いがあるんですけど……」

 

「なんや?」

 

「一度、特級術師の五条悟に会ってみたいんですけど……」

 

「……たしかに、本当に強いやつに会うのはいい経験かもしれへんな、俺もガキの頃、甚爾君に会ったときに『本物』の強さを知ったからな、いいで、こんど学校見学も兼ねて高専に行ってみるか」

 

「ありがとうございます……ここですね」

 

二人の目の前には小さな教会があった、鍵は錆びていて簡単に壊せそうだ。

 

「高専から委託された情報によると一級が一体、二級が複数体、少なくとも4体が確認されています。」

 

「お手並み拝見や、今の京君なら『陣』でこの建物ギリギリ覆えるんじゃない?」

 

「どうでしょう……立体物を外からは初めてなので……やってみますね……『陣』!!」

 

何時も通り無刀の抜刀の構えで『陣』をする。

 

「うーん、ギリギリ後ろ1/4入っとらんわ、まあええわ、中に何体いそう?」

 

「1級相当が1、2級相当が4……だと思います。」

 

「せやな……でも正解は外に追加で2級が2や!!」

 

直哉が脚で京を飛ばしてから呪霊からの攻撃を回避する。

二人のいたところに呪霊の触手が突き刺さった。

 

「ぐっ……すみませんありがとうございます。」

 

「行くで!!」

 

「はい!!」

 

『投射呪法』

 

「『投影呪法』『編集(ディレクト)』『時間(デュレーション)』『圧縮』!!」

 

バシュバシュッ

直哉の拳と京の手刀が呪霊を貫く

 

「あとは中のやね。このまま行くで!!」

 

「はい!!」

 

直哉は投射呪法で加速し錆びた扉を破壊し突入する。そのまま一級呪霊を後ろの壁ごと打ち抜き祓った。

 

「あとは雑魚だけや」

 

「『投影呪法』『編集(ディレクト)』『代役(スタントマン)』!!」

 

京の幻影に呪霊の動きが止まる。そのまま一匹ずつ祓っていく、手刀で蹴りで踵落としで、最後の一体は頭突きで祓った。

 

「すごいですね、自分は『陣』をしないと数までわからなかったのに」

 

「ここら辺は経験や敵の数の把握は呪術師の基本や、確かに『陣』は便利やけどそれだけに頼ってると今みたいに『陣』の外からの攻撃で足元をすくわれるで」

 

「はい。」

 

「あと、術式は口に出さずにできるようになればええな。これに関してはそのうち出来るようになる、出来るようになれば『声に出す縛り』を作ることで威力を増すことができるからそれもボチボチやな。」

 

「勉強になります」

 

「ほな、ラーメン食って帰ろかー」

 

「やったー!!」

 

このあと直哉の奢りでラーメンを食べに行った

京が替玉を27個を食べた。

直哉は「30個は覚悟してたけど流石に行かんかったなぁ」と言いながら支払っていたらしい。




禪院直哉は投射呪法と投影呪法が似ていることからお互いに術式の研究をすることで術式の理解を深めることができるため彼の成長が自分の成長につながると思っています。
なにより、自分に合うと突っかかってくる妹と萎縮して話にならん妹より話しになる弟分を気に入ってます。
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